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37 プロポーズ
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泣き続けるアリンの肩に手を添えてフェアンは優しく抱き寄せた。
「アリンは悪くない、何一つ悪くないよ。」
「アリンはずっと1人で頑張ってきたんじゃないか。辛かったろう…。きっと君のご両親は君のことを誇りに思っているに違いない。……だって君は人間の俺を無条件で助けてくれた。」
「……なぁアリン。今から話す事…聞いてくれるか?君に言わなくちゃいけない事があるんだ。」
フェアンは座り込むアリンの前に片足をついて跪いた。それに驚いたアリンは慌てて顔を上げた。
「フェ、フェアン…?」
「何があってもずっと一緒だから。これからの未来…幸せを共に分かち合いたい…そして俺に悲しみを半分背負わせてくれないか?」
そしてポケットから小箱を取り出し中に入っている指輪がアリンに見えるように向けた。
「えっ!こ、これ!」
あまりの驚きにアリンの瞳からは涙がスッと引っ込んだうえに大きな目を見開かせている。
「受け取ってくれませんか…?」
「これ…って結婚てこと?!あ、でも僕たち男同士だし、それに僕猫獣人だし…え、えっと…」
「そうだな。俺たちは男同士だし、種族も違う。でもアリン、俺はずっと言ってるだろう?君が人間だろうと他の獣人だろうと大好きだと。……こんなにも愛しているんだ。」
その言葉に座り込んでいたアリンは勢いよく立ち上がり俺に抱きついた。
湿気のせいでベタつく体も気にせずキツく、キツく…。
「フェアンッ…!本当にいいのっ?子供もできないよっ?」
「そうだな、出来ないな。でも、それよりも君が良いんだ。アリンがいいんだ。」
ぎゅうっと、抱きつくアリンの頭をポンポンと優しく撫でた後そっと体を離した。俺が真剣な顔をしたのが伝わったのかアリンの背筋も伸びる。
「アリン……返事は?」
「……っはい!喜んで!」
それは今までで1番の満面の笑みだった。
「幸せにする、必ず!アリン…俺は幸せ者だ…。」
アリンの頬を優しく撫でるとくすぐったそうに笑った。そのあとアリンがそっと瞳を閉じたのを合図にフェアンはそのピンク色の唇にちゅっと口付けた。
「アリン、左手を出して?」
「うん…」
そっと差し出された左手の薬指にシルバーのリングをはめた。
それはアリンにとってどんな宝石よりも光り輝くものだった。
「嬉しい…。」
左手の薬指をうっとり見つめアリンが呟いた。
「今はこれしか出来ないが…。……アリン、実はまだ君に話していない事があるんだ。」
「えっ…?」
「とても大事な話なんだ……。アリン、実は俺は……」
その時2人の後ろからガサガサと言う音と馬の足音が聞こえた。
「っ!誰かいるのか!!」
フェアンは自分の背中でアリンを守り、声を上げ威嚇した。
しかし、その威嚇は杞憂に終わった。
「リヒテル様…」
「タイラー…」
茂みから現れたのは自分の護衛をしていたタイラーだった。
「アリンは悪くない、何一つ悪くないよ。」
「アリンはずっと1人で頑張ってきたんじゃないか。辛かったろう…。きっと君のご両親は君のことを誇りに思っているに違いない。……だって君は人間の俺を無条件で助けてくれた。」
「……なぁアリン。今から話す事…聞いてくれるか?君に言わなくちゃいけない事があるんだ。」
フェアンは座り込むアリンの前に片足をついて跪いた。それに驚いたアリンは慌てて顔を上げた。
「フェ、フェアン…?」
「何があってもずっと一緒だから。これからの未来…幸せを共に分かち合いたい…そして俺に悲しみを半分背負わせてくれないか?」
そしてポケットから小箱を取り出し中に入っている指輪がアリンに見えるように向けた。
「えっ!こ、これ!」
あまりの驚きにアリンの瞳からは涙がスッと引っ込んだうえに大きな目を見開かせている。
「受け取ってくれませんか…?」
「これ…って結婚てこと?!あ、でも僕たち男同士だし、それに僕猫獣人だし…え、えっと…」
「そうだな。俺たちは男同士だし、種族も違う。でもアリン、俺はずっと言ってるだろう?君が人間だろうと他の獣人だろうと大好きだと。……こんなにも愛しているんだ。」
その言葉に座り込んでいたアリンは勢いよく立ち上がり俺に抱きついた。
湿気のせいでベタつく体も気にせずキツく、キツく…。
「フェアンッ…!本当にいいのっ?子供もできないよっ?」
「そうだな、出来ないな。でも、それよりも君が良いんだ。アリンがいいんだ。」
ぎゅうっと、抱きつくアリンの頭をポンポンと優しく撫でた後そっと体を離した。俺が真剣な顔をしたのが伝わったのかアリンの背筋も伸びる。
「アリン……返事は?」
「……っはい!喜んで!」
それは今までで1番の満面の笑みだった。
「幸せにする、必ず!アリン…俺は幸せ者だ…。」
アリンの頬を優しく撫でるとくすぐったそうに笑った。そのあとアリンがそっと瞳を閉じたのを合図にフェアンはそのピンク色の唇にちゅっと口付けた。
「アリン、左手を出して?」
「うん…」
そっと差し出された左手の薬指にシルバーのリングをはめた。
それはアリンにとってどんな宝石よりも光り輝くものだった。
「嬉しい…。」
左手の薬指をうっとり見つめアリンが呟いた。
「今はこれしか出来ないが…。……アリン、実はまだ君に話していない事があるんだ。」
「えっ…?」
「とても大事な話なんだ……。アリン、実は俺は……」
その時2人の後ろからガサガサと言う音と馬の足音が聞こえた。
「っ!誰かいるのか!!」
フェアンは自分の背中でアリンを守り、声を上げ威嚇した。
しかし、その威嚇は杞憂に終わった。
「リヒテル様…」
「タイラー…」
茂みから現れたのは自分の護衛をしていたタイラーだった。
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