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33 新たな恋敵⑤
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「これが、いいんじゃない?」
「えー?そうかな、こっちの色のが似合うと思うんだけど…」
昨日悩んでたのが馬鹿らしく感じるくらいマイトとのお出かけは『普通のお出かけ』だった。今日は買いたいものがあるからそれに付き合って欲しいってことで仕事で使う道具や雑貨屋など見て回った後、近くの売店でコーヒーを買ってベンチに座りながら飲んだ。コーヒーを飲んでいる間、僕はフェアンの良さを知って欲しくてひたすらマイトに話しかけてた。マイトは聞き上手で、僕の話をうんうんと相槌を打って聞いてくれるし、時折質問もしてくれるから僕はいつもより饒舌になってたと思う。
ひたすら話した後、マイトはにっこり笑って僕に言った。
「あーもう惚気でお腹がいっぱいだ!」
「の、惚気…!?そっかこれ惚気になるのかぁ…」
「そりゃそうでしょ!花もくれるし、料理も上手だし?……ってアリンはフェアンに何かしたことあんの?」
「何かって……そういえば何かってことした事ない…!」
「そっかぁ。じゃあ今からフェアンに何かプレゼント買いに行こうぜ!」
そして、冒頭のセリフに戻る。
フェアンのプレゼントには髪紐を贈ることにした。もうずっと僕が使ってた黒の髪紐を使ってくれてる。でもただでさえ僕のお古なのにそればっかり使ってるからだんだんボロボロになってきてたんだ。
ーー僕の分も買って、お揃いにしちゃお…
初めて大切な人に贈るプレゼントに思わず口角が上がる。
フェアンはとっても綺麗な金色の目と髪だからそれに映えるネイビーの髪紐にした。全体はネイビーで、先の方が黒色のストライプ模様になっている髪紐だ。もう少し派手な色でも良かったかなって思ったけど仕事でも使えるし、どの服でも合いそうでこの色に決めた。
僕の方は全体がネイビーで先の方が金色のストライプ模様になっている。ストライプ模様はお互いの髪と瞳の色にしてもらって『いつでもそばにいるよ』って気持ちを込めたんだ。
ーー喜んでくれたらいいな…
髪紐を包んでもらい受け取るとその紙袋をぎゅっと胸に抱きしめた。
「良いの買えて良かったな。……ところでさ、なんか暑くない…?」
「えっ、そうだなー…確かにちょっと暑いかも…」
まだ5月だというのになんだか体が熱くて額に汗もかいている。パタパタと手で仰ぐが一向に汗がひかなくてだんだん足もおぼつかなくなってきた。マイトも暑いと言っていたはずのに、汗なんかかいてないしニコニコ笑って平気そう。
ーーあれ?風邪でもひいたかな…?
だんだんぼんやりしていく意識の中、マイトは倒れそうになる僕を抱きとめてくれた。
ーーお礼言わなくちゃ…
そう思っていると、マイトは僕の耳元で囁いた。
「ごめんな。どれだけ言われても人間は大嫌いなんだよ。」
そこで僕の意識はプツリと途切れた。
「えー?そうかな、こっちの色のが似合うと思うんだけど…」
昨日悩んでたのが馬鹿らしく感じるくらいマイトとのお出かけは『普通のお出かけ』だった。今日は買いたいものがあるからそれに付き合って欲しいってことで仕事で使う道具や雑貨屋など見て回った後、近くの売店でコーヒーを買ってベンチに座りながら飲んだ。コーヒーを飲んでいる間、僕はフェアンの良さを知って欲しくてひたすらマイトに話しかけてた。マイトは聞き上手で、僕の話をうんうんと相槌を打って聞いてくれるし、時折質問もしてくれるから僕はいつもより饒舌になってたと思う。
ひたすら話した後、マイトはにっこり笑って僕に言った。
「あーもう惚気でお腹がいっぱいだ!」
「の、惚気…!?そっかこれ惚気になるのかぁ…」
「そりゃそうでしょ!花もくれるし、料理も上手だし?……ってアリンはフェアンに何かしたことあんの?」
「何かって……そういえば何かってことした事ない…!」
「そっかぁ。じゃあ今からフェアンに何かプレゼント買いに行こうぜ!」
そして、冒頭のセリフに戻る。
フェアンのプレゼントには髪紐を贈ることにした。もうずっと僕が使ってた黒の髪紐を使ってくれてる。でもただでさえ僕のお古なのにそればっかり使ってるからだんだんボロボロになってきてたんだ。
ーー僕の分も買って、お揃いにしちゃお…
初めて大切な人に贈るプレゼントに思わず口角が上がる。
フェアンはとっても綺麗な金色の目と髪だからそれに映えるネイビーの髪紐にした。全体はネイビーで、先の方が黒色のストライプ模様になっている髪紐だ。もう少し派手な色でも良かったかなって思ったけど仕事でも使えるし、どの服でも合いそうでこの色に決めた。
僕の方は全体がネイビーで先の方が金色のストライプ模様になっている。ストライプ模様はお互いの髪と瞳の色にしてもらって『いつでもそばにいるよ』って気持ちを込めたんだ。
ーー喜んでくれたらいいな…
髪紐を包んでもらい受け取るとその紙袋をぎゅっと胸に抱きしめた。
「良いの買えて良かったな。……ところでさ、なんか暑くない…?」
「えっ、そうだなー…確かにちょっと暑いかも…」
まだ5月だというのになんだか体が熱くて額に汗もかいている。パタパタと手で仰ぐが一向に汗がひかなくてだんだん足もおぼつかなくなってきた。マイトも暑いと言っていたはずのに、汗なんかかいてないしニコニコ笑って平気そう。
ーーあれ?風邪でもひいたかな…?
だんだんぼんやりしていく意識の中、マイトは倒れそうになる僕を抱きとめてくれた。
ーーお礼言わなくちゃ…
そう思っていると、マイトは僕の耳元で囁いた。
「ごめんな。どれだけ言われても人間は大嫌いなんだよ。」
そこで僕の意識はプツリと途切れた。
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