金瞳の王子は黒猫少年を溺愛する

小鳥遊ゆう

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27 さよなら、初恋

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「レイが…ぼくを、好き…?」

「言っとくけど、お前の思ってる好きと俺の好きって違うからな。」

レイはそう言うと徐にベッドから立ち上がりラグに直座りしている僕を押し倒した。

「ちょっ…痛いよ!レイッ!やめて…」

「俺の好きはこのままキスしたり、その先もやりたいって意味なんだけど?」

「レイ……」

「お前が男でもいけるんなら、もっと早く手、出しときゃよかったな。」

レイは、そのまま僕の腕が動かないようにグッと力をかけ顔を近づけてきた。同じ猫獣人でもレイの方が体格がいいし、体力もある。このままもがいても力では敵わなそう…。
だんだん近づく唇にアリンは決心した。

ーーこのままじゃっ…!レイ、ごめん!

ドンッ!!

思いきりレイの股間を蹴り上げると、レイはぐぅっと声を出して蹲った。

「レ、レイ…ごめん。」

「……そんなにあいつがいいのかよ。人間のくせに。お前の両親殺した人間と同じ種族だぞ?…なんで俺じゃダメなんだよ…!」

「レイ。僕の両親が死んだ理由とフェアンは違うよ…!それに、レイがそう思ってくれてるなんて…。わかんなくて…。いつから…なの?」

「知らねぇ。気付いたらだ。……ずっとお前のそばにいるのは俺だったんだ。これからも、そうなるはずだったのに。…あいつが現れて…パッと出てきたあいつにアリンはニコニコしてて…。無性にイライラしたんだよっ!悔しくて、お前が笑うたび苦しくなって…わかっちまったんだよ、お前が好きだって…。」

クソっと言いながら俯くレイの瞳から涙が落ちる。なんで僕は気付いてあげれなかったんだろう、いや気付いても応えてあげられない。

「レイ、レイ…ごめん。ごめんね。」

「……なんでお前が泣いてんだよ。」

「レイが泣いてるから。ごめん、ありがとう。」

「なぁ…アリン。やっぱダメなんだよな…」

「ごめん…ごめんね。」

「わかったよ。もういい。もういいから、お前は帰れ。…今は1人にしてくれ。」

ウンウンと頷くとアリンはそのままレイの家を飛び出した。




ーーもしあいつと出逢ってなかったら俺とアリンは恋人になれたのだろうか?いや…そんなこと考えても意味ないな。好きだったよ。さよなら、俺の初恋。



ーーー




はぁはぁ…はぁ。

早く家に帰りたくてだんだん薄暗くなる空の中走って帰った。
ちょうど家が見えて来ると、フェアンが玄関の外で待っててくれた。

「アリン!おかえり。」

「はぁ…はぁ…」

「…アリン…どうした?とりあえず家に入ろうか」

「レイに話してきた。」

「……!」

街灯に照らされて光る涙の跡、真っ赤になった瞳。フェアンはそれに気付くと無言でアリンを抱きしめた。




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