金瞳の王子は黒猫少年を溺愛する

小鳥遊ゆう

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23 2回目のデート 後編

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「見て見て!フェアン!これ珍しいチューリップなんだって!」

キャアキャア言いながらチューリップ畑を歩くアリンは恋人とのデート、というよりも遠足に来た子供のようだったがそれもわからなくもない。

ーー何年も来たがってたみたいだしな…来て良かった。

クルクルと変わる表情や走るような足取りに見ている方が幸せになる。

「アリン、あんまりはしゃぐと…」

「きゃあっ!」

ードンッー

アリンは足元に誰がいるのか気付かずに派手に転んでしまった。

「アリン、大丈夫かっ!」

「いてて……うん、僕は大丈夫。」

「…あの…どいてくれませんか?」

アリンの尻餅をついた下から声が聞こえた。

「あっ!す、すいません!お怪我はありませんか?」

「…大丈夫です。」

「でも、お洋服も汚れてしまってるみたいだし…」

「大丈夫と言っています。それより、他にもお客さんいるんだから周り見てください。」

「ご、ごめんなさい…」

作業着を着たアリンと同じ黒髪の男性猫獣人はフェアンが、連れが失礼したと言うとギロッと睨んできた。

「…あんたが村長が言ってた人間か。」

「そうだが。それが何か?」

「別に。人間もこんなとこ来るんだな。」

そう言うとフンっとそっぽを向いて去って行ってしまった。


久しぶりに人間嫌いに出会ったな、と思ったがそんな事思うのも久しぶりな事だった。学校の子供たちは慣れるのが早いのか2週間も経てば普通に挨拶してくれるようになったし、なんなら休み時間一緒にサッカーをすることもある。そしてこれは村長やリンダさん、そしてなによりアリンのおかげというのを自覚していた。

ぽかんと呆然とした表情のアリンの肩をトントンと叩き声をかけた。

「アリン、もう日が暮れる。そろそろ帰ろう。」

「そう、だね。フェアン、連れてきてくれてありがとう!」

「どういたしまして、可愛い子猫ちゃん。楽しんでくれたかな?」

「~~!こ、子猫ちゃんって…!」

ワタワタと頬が赤くなるアリンを愛でつつ、その細腕を優しく掴んで足早に2人の家に帰った。



ーーー


アリンが、この日『今日のお礼』として作ってくれた夕ご飯は俺が最初の晩に美味しいと言って食べた料理だった。

「アリン、この料理って…」

「覚えてる?最初の夜の日と同じメニューだよ。……あの日は僕たちが出会って最初に食べた夜ご飯。そして、今日は僕たちが恋人になって最初に食べた夜ご飯になるんだよ!」

「アリン…」

「これからも、記念の日ができたらこのメニュー一緒に食べたいなって……それくらい一緒にいたいんだ。」

なーんてね、といいながら顔を真っ赤にさせるアリン。

ーー可愛すぎるだろう!!!!


「アリン。可愛いすぎる。……昨日の今日だけど今晩、抱くから。」

「えっ!?」

「可愛すぎるアリンが悪い。さぁ美味しいご飯を食べよう、早くアリンが食べたい。」

「フェ、フェアン!?」



2人の夜はまだまだ続きそうだ。
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