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16 王子、働く
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レイが置いていってくれた布団は王宮のよりも小さくて固かったが間違いなく昨夜よりよく眠れた。
今日は朝からアリンは仕事らしく定食屋までの道にあるから、と言って昨日村長から渡された地図の場所まで着いて来てくれた。
アリンは仕事内容をしっているらしく、「あぁ~うん、フェアンなら大丈夫だよ」と目を逸らしながら言われた。すごく不安だ。
「ここだよ」と言われてついた場所はなんと猫獣人が通う学校だった。
「フェアン、リンダさんには盾ついちゃダメだからね?」
「リンダさん…?」
「フェアンの上司…?になる人!とりあえず、頑張って!…じゃあ僕そろそろ行かないと!」
そう言ってアリンは走って仕事に行ってしまった…。
アリンの表情や突然話に出てきた謎のリンダさんには不安しかないが、腹を括るしかない。王宮でしか働いたことの無い俺だがアリンと居るためだ、やるしかない!!
ーーー
結論から言うと俺の仕事は『学校用務員』だった。
校門から学校へと歩いていると「待ってました!」の声と一緒に年配の男性猫獣人が走って来た。
彼は一瞬俺を見て怯んでいたが直ぐに背筋を伸ばした。どうやら彼は教頭らしい。
「校長とリンダさんが待ってます。急ぎましょう。」
「はい…」
「村長から話は聞いています。大丈夫ですよ。」
教頭先生は安心させるかのように、にっこりと笑った。
校長室に入ると気の弱そうな男性と恰幅の良い女性が座っていた。
「初めまして。私がリンダ•ノルマンよ。今日からじゃんじゃん働いてもらうからね!!」
ワハハと豪快に笑うリンダ。おぉ、すごい迫力だ。アリンはこの方に盾突くなってって言ってたんだよな…?
「フェアンです。よろしくお願いします。」
「なーに緊張してんの!!大丈夫よ!」
「初めまして、校長です。村長から聞いたよ、色々大変だったねぇ…」
「いえ、改めてよろしくお願いします。」
猫獣人は人間嫌いなはずなのに出会った人みな優しくしてくれる。
ーー俺はついている…感謝しないと。
俺の仕事は学校がある平日で朝の7時から夕方16時、給与もきちんと支払われるようで、これでアリンに食費や生活費を渡せると安心した。
これからの仕事はリンダさんに聞いてください、と校長に言われるとリンダさんは、俺の腕を取って立ち上がらせ「それじゃ早速行くよ!」とそのまま校長室を出る事になった。
仕事はとてもハードだった。朝の太陽が照りつける中、草むしりやゴミ捨て、トイレなどの共有部の掃除、あっという間に一日が終わった。人生で初めてのトイレ掃除がこうなるなんて思っても見なかった。
猫獣人が通う学校はここしかなくて6歳から15歳までの子供たちが通っていた。小さい子たちは人間に興味津々で近寄って来たり話しかけて来たりしてとても可愛かった。だが、大きい子どもはやはり嫌悪感や不満もあるらしく、時折ゴミを投げつけられたり悪口をすれ違いざまに言われることもあった。
それでも不思議なのがこの生活に不満はない、という事だ。嫌われることもあるがそれはこれからの自分をみて判断して欲しいって思ってるし、何より好きな人が近くにいるという事実が嬉しかった。
ーー未だに王宮は俺を探しに来ないのか。…俺は用無しということかもな。もしそうならここで、『フェアン』として暮らしていきたい…
今日は朝からアリンは仕事らしく定食屋までの道にあるから、と言って昨日村長から渡された地図の場所まで着いて来てくれた。
アリンは仕事内容をしっているらしく、「あぁ~うん、フェアンなら大丈夫だよ」と目を逸らしながら言われた。すごく不安だ。
「ここだよ」と言われてついた場所はなんと猫獣人が通う学校だった。
「フェアン、リンダさんには盾ついちゃダメだからね?」
「リンダさん…?」
「フェアンの上司…?になる人!とりあえず、頑張って!…じゃあ僕そろそろ行かないと!」
そう言ってアリンは走って仕事に行ってしまった…。
アリンの表情や突然話に出てきた謎のリンダさんには不安しかないが、腹を括るしかない。王宮でしか働いたことの無い俺だがアリンと居るためだ、やるしかない!!
ーーー
結論から言うと俺の仕事は『学校用務員』だった。
校門から学校へと歩いていると「待ってました!」の声と一緒に年配の男性猫獣人が走って来た。
彼は一瞬俺を見て怯んでいたが直ぐに背筋を伸ばした。どうやら彼は教頭らしい。
「校長とリンダさんが待ってます。急ぎましょう。」
「はい…」
「村長から話は聞いています。大丈夫ですよ。」
教頭先生は安心させるかのように、にっこりと笑った。
校長室に入ると気の弱そうな男性と恰幅の良い女性が座っていた。
「初めまして。私がリンダ•ノルマンよ。今日からじゃんじゃん働いてもらうからね!!」
ワハハと豪快に笑うリンダ。おぉ、すごい迫力だ。アリンはこの方に盾突くなってって言ってたんだよな…?
「フェアンです。よろしくお願いします。」
「なーに緊張してんの!!大丈夫よ!」
「初めまして、校長です。村長から聞いたよ、色々大変だったねぇ…」
「いえ、改めてよろしくお願いします。」
猫獣人は人間嫌いなはずなのに出会った人みな優しくしてくれる。
ーー俺はついている…感謝しないと。
俺の仕事は学校がある平日で朝の7時から夕方16時、給与もきちんと支払われるようで、これでアリンに食費や生活費を渡せると安心した。
これからの仕事はリンダさんに聞いてください、と校長に言われるとリンダさんは、俺の腕を取って立ち上がらせ「それじゃ早速行くよ!」とそのまま校長室を出る事になった。
仕事はとてもハードだった。朝の太陽が照りつける中、草むしりやゴミ捨て、トイレなどの共有部の掃除、あっという間に一日が終わった。人生で初めてのトイレ掃除がこうなるなんて思っても見なかった。
猫獣人が通う学校はここしかなくて6歳から15歳までの子供たちが通っていた。小さい子たちは人間に興味津々で近寄って来たり話しかけて来たりしてとても可愛かった。だが、大きい子どもはやはり嫌悪感や不満もあるらしく、時折ゴミを投げつけられたり悪口をすれ違いざまに言われることもあった。
それでも不思議なのがこの生活に不満はない、という事だ。嫌われることもあるがそれはこれからの自分をみて判断して欲しいって思ってるし、何より好きな人が近くにいるという事実が嬉しかった。
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