15 / 70
15 始まり アリン視点
しおりを挟む
「はぁ!?なんであいつがアリンの家に住む事になんだよ!!」
「そんなこと言っても…村長の決定だし…」
「っ!お前はそれでいいのかよ!?」
「…うん…僕も別にいいよ。フェアン、悪くない人だし」
今朝の事を思い出してしまい頬が赤く染まる。
「おまっ!!なんで赤くなってんだよ!!!」
「ちょ、ちょっとレイ!ここ村長の家の前!静かにしてよ~…」
レイは相変わらず声が大きい。僕は頼りないし親もいないから心配なのはわかるよ。でもなんだかこの関係は友達っていうより兄と弟って感じで少し不満。
「アリン、遅くなってすまない。レイも待たせた。」
帰る時に村長に呼ばれたフェアンが帰ってきた。
「話なんだったの?」
「あー…なんでもない。まぁちゃんとやれって話だ。」
「えーなにそれっ!」
そう言って笑うとフェアンもつられて笑った。
「なんか、お前ら…距離感近くなってねぇ?話し方とか…」
「そう?だってさ、暫くは一瞬に暮らすわけでしょ?敬語で喋り続けるの大変だよ。…フェアンはこれでもいい?」
「もちろん。むしろこっちのが嬉しいよ。」
やっぱ誰かと暮らすのは自分で思ってるより嬉しくて、1人でご飯食べなくていいんだー、とかただいまって言ったらおかえりって言ってくれるのかなーとかそんなことばっか考えてたんだ。
だからかな、僕はこの恋愛経験のなさからすっごく大事な事を忘れてたんだ。
家に着いてフェアンに先に家に家に入ってもらってレイにお礼を告げると心配そうな顔で僕に聞いてきたんだ。
「そういや、アリン。お前これからどうやって寝るんだ?さすがに、リビングで寝続けるわけにはいかねぇだろ?」
「えっ、リビングで寝てないよ?」
「は?じゃあどこで寝たんだよ。」
「そんなの、もちろんいっしょ…」
そこまで言ってやっと気付いた。昨日は全く意識してなかったから平気だったけど、一目惚れとか好きとか言われた手前一緒に寝ることなんてもう出来ない。
どうしようと焦ってるとそんな僕に勘付いたのかレイが般若のような顔になってた。
「おまえ、まさか…一緒に寝たのか…」
「……!」
「……あいつ、一発殴ってくる」
「わー!!やめてやめて!!」
レイは鬼の形相で家に入ろうとするから必死に宥めて、今日から一緒に寝ないって約束したらやっと落ち着いてくれた。
……そこからは怒涛の時間だった。
「1時間後くらいにまた来る」って言ったレイは本当に1時間後に来た。布団と木の箱を持って。
その頃、僕とフェアンはのんびりとお茶をしながら明日からの計画を立ててて、お昼食べたらノスティアを案内するね、なんて言ってたんだ。そしたらノックもチャイムも鳴らさずに入ってくるから本当びっくりした。
1人で荷物を持ちきれなかったからか、朝の配達明けのお兄さんまで連れてきた。もうお兄さんはすごく疲れ果てた顔してて、それが心配で声をかけたら「まぁあいつのアリンの事に関して人使いが粗いのは有名だから」って苦笑いしてた。そしてフェアンを見るなり「本物の人間だ~大きい~」って野次馬根性丸出しだった。
そうこうしているうちに、レイは家の空き部屋に布団と木の箱を置いて戻ってきた。
「おい、布団持ってきてやったから今日から使えよ。あと、いつまでも親父さんの形見の服ばっか着せんな!」
どうやら箱には当面の服や歯ブラシなどの日用品が入ってて、それを使えってことみたい。
やっぱレイは優しくて気が利く友達だ。
そして最後にフェアンを呼び出して何か話をしてたみたい。
なんの話か聞きたかったけどそんな空気じゃなかったし、お兄さんが「アリンのご飯食べたい~!!」って駄々こねるのをレイが怒りながら引っ張って帰っちゃったから聞けなかった。
嵐のようにやって来て嵐のように去っていく2人を見送ると、フェアンが優しい顔をしてまっていてくれた。
久しぶりの家に誰かいるという感覚に胸が高鳴る。
「アリン、これからよろしく」
「フェアン、こちらこそ!」
「そんなこと言っても…村長の決定だし…」
「っ!お前はそれでいいのかよ!?」
「…うん…僕も別にいいよ。フェアン、悪くない人だし」
今朝の事を思い出してしまい頬が赤く染まる。
「おまっ!!なんで赤くなってんだよ!!!」
「ちょ、ちょっとレイ!ここ村長の家の前!静かにしてよ~…」
レイは相変わらず声が大きい。僕は頼りないし親もいないから心配なのはわかるよ。でもなんだかこの関係は友達っていうより兄と弟って感じで少し不満。
「アリン、遅くなってすまない。レイも待たせた。」
帰る時に村長に呼ばれたフェアンが帰ってきた。
「話なんだったの?」
「あー…なんでもない。まぁちゃんとやれって話だ。」
「えーなにそれっ!」
そう言って笑うとフェアンもつられて笑った。
「なんか、お前ら…距離感近くなってねぇ?話し方とか…」
「そう?だってさ、暫くは一瞬に暮らすわけでしょ?敬語で喋り続けるの大変だよ。…フェアンはこれでもいい?」
「もちろん。むしろこっちのが嬉しいよ。」
やっぱ誰かと暮らすのは自分で思ってるより嬉しくて、1人でご飯食べなくていいんだー、とかただいまって言ったらおかえりって言ってくれるのかなーとかそんなことばっか考えてたんだ。
だからかな、僕はこの恋愛経験のなさからすっごく大事な事を忘れてたんだ。
家に着いてフェアンに先に家に家に入ってもらってレイにお礼を告げると心配そうな顔で僕に聞いてきたんだ。
「そういや、アリン。お前これからどうやって寝るんだ?さすがに、リビングで寝続けるわけにはいかねぇだろ?」
「えっ、リビングで寝てないよ?」
「は?じゃあどこで寝たんだよ。」
「そんなの、もちろんいっしょ…」
そこまで言ってやっと気付いた。昨日は全く意識してなかったから平気だったけど、一目惚れとか好きとか言われた手前一緒に寝ることなんてもう出来ない。
どうしようと焦ってるとそんな僕に勘付いたのかレイが般若のような顔になってた。
「おまえ、まさか…一緒に寝たのか…」
「……!」
「……あいつ、一発殴ってくる」
「わー!!やめてやめて!!」
レイは鬼の形相で家に入ろうとするから必死に宥めて、今日から一緒に寝ないって約束したらやっと落ち着いてくれた。
……そこからは怒涛の時間だった。
「1時間後くらいにまた来る」って言ったレイは本当に1時間後に来た。布団と木の箱を持って。
その頃、僕とフェアンはのんびりとお茶をしながら明日からの計画を立ててて、お昼食べたらノスティアを案内するね、なんて言ってたんだ。そしたらノックもチャイムも鳴らさずに入ってくるから本当びっくりした。
1人で荷物を持ちきれなかったからか、朝の配達明けのお兄さんまで連れてきた。もうお兄さんはすごく疲れ果てた顔してて、それが心配で声をかけたら「まぁあいつのアリンの事に関して人使いが粗いのは有名だから」って苦笑いしてた。そしてフェアンを見るなり「本物の人間だ~大きい~」って野次馬根性丸出しだった。
そうこうしているうちに、レイは家の空き部屋に布団と木の箱を置いて戻ってきた。
「おい、布団持ってきてやったから今日から使えよ。あと、いつまでも親父さんの形見の服ばっか着せんな!」
どうやら箱には当面の服や歯ブラシなどの日用品が入ってて、それを使えってことみたい。
やっぱレイは優しくて気が利く友達だ。
そして最後にフェアンを呼び出して何か話をしてたみたい。
なんの話か聞きたかったけどそんな空気じゃなかったし、お兄さんが「アリンのご飯食べたい~!!」って駄々こねるのをレイが怒りながら引っ張って帰っちゃったから聞けなかった。
嵐のようにやって来て嵐のように去っていく2人を見送ると、フェアンが優しい顔をしてまっていてくれた。
久しぶりの家に誰かいるという感覚に胸が高鳴る。
「アリン、これからよろしく」
「フェアン、こちらこそ!」
0
お気に入りに追加
428
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あなたの隣で初めての恋を知る
ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。


【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる