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15 始まり アリン視点
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「はぁ!?なんであいつがアリンの家に住む事になんだよ!!」
「そんなこと言っても…村長の決定だし…」
「っ!お前はそれでいいのかよ!?」
「…うん…僕も別にいいよ。フェアン、悪くない人だし」
今朝の事を思い出してしまい頬が赤く染まる。
「おまっ!!なんで赤くなってんだよ!!!」
「ちょ、ちょっとレイ!ここ村長の家の前!静かにしてよ~…」
レイは相変わらず声が大きい。僕は頼りないし親もいないから心配なのはわかるよ。でもなんだかこの関係は友達っていうより兄と弟って感じで少し不満。
「アリン、遅くなってすまない。レイも待たせた。」
帰る時に村長に呼ばれたフェアンが帰ってきた。
「話なんだったの?」
「あー…なんでもない。まぁちゃんとやれって話だ。」
「えーなにそれっ!」
そう言って笑うとフェアンもつられて笑った。
「なんか、お前ら…距離感近くなってねぇ?話し方とか…」
「そう?だってさ、暫くは一瞬に暮らすわけでしょ?敬語で喋り続けるの大変だよ。…フェアンはこれでもいい?」
「もちろん。むしろこっちのが嬉しいよ。」
やっぱ誰かと暮らすのは自分で思ってるより嬉しくて、1人でご飯食べなくていいんだー、とかただいまって言ったらおかえりって言ってくれるのかなーとかそんなことばっか考えてたんだ。
だからかな、僕はこの恋愛経験のなさからすっごく大事な事を忘れてたんだ。
家に着いてフェアンに先に家に家に入ってもらってレイにお礼を告げると心配そうな顔で僕に聞いてきたんだ。
「そういや、アリン。お前これからどうやって寝るんだ?さすがに、リビングで寝続けるわけにはいかねぇだろ?」
「えっ、リビングで寝てないよ?」
「は?じゃあどこで寝たんだよ。」
「そんなの、もちろんいっしょ…」
そこまで言ってやっと気付いた。昨日は全く意識してなかったから平気だったけど、一目惚れとか好きとか言われた手前一緒に寝ることなんてもう出来ない。
どうしようと焦ってるとそんな僕に勘付いたのかレイが般若のような顔になってた。
「おまえ、まさか…一緒に寝たのか…」
「……!」
「……あいつ、一発殴ってくる」
「わー!!やめてやめて!!」
レイは鬼の形相で家に入ろうとするから必死に宥めて、今日から一緒に寝ないって約束したらやっと落ち着いてくれた。
……そこからは怒涛の時間だった。
「1時間後くらいにまた来る」って言ったレイは本当に1時間後に来た。布団と木の箱を持って。
その頃、僕とフェアンはのんびりとお茶をしながら明日からの計画を立ててて、お昼食べたらノスティアを案内するね、なんて言ってたんだ。そしたらノックもチャイムも鳴らさずに入ってくるから本当びっくりした。
1人で荷物を持ちきれなかったからか、朝の配達明けのお兄さんまで連れてきた。もうお兄さんはすごく疲れ果てた顔してて、それが心配で声をかけたら「まぁあいつのアリンの事に関して人使いが粗いのは有名だから」って苦笑いしてた。そしてフェアンを見るなり「本物の人間だ~大きい~」って野次馬根性丸出しだった。
そうこうしているうちに、レイは家の空き部屋に布団と木の箱を置いて戻ってきた。
「おい、布団持ってきてやったから今日から使えよ。あと、いつまでも親父さんの形見の服ばっか着せんな!」
どうやら箱には当面の服や歯ブラシなどの日用品が入ってて、それを使えってことみたい。
やっぱレイは優しくて気が利く友達だ。
そして最後にフェアンを呼び出して何か話をしてたみたい。
なんの話か聞きたかったけどそんな空気じゃなかったし、お兄さんが「アリンのご飯食べたい~!!」って駄々こねるのをレイが怒りながら引っ張って帰っちゃったから聞けなかった。
嵐のようにやって来て嵐のように去っていく2人を見送ると、フェアンが優しい顔をしてまっていてくれた。
久しぶりの家に誰かいるという感覚に胸が高鳴る。
「アリン、これからよろしく」
「フェアン、こちらこそ!」
「そんなこと言っても…村長の決定だし…」
「っ!お前はそれでいいのかよ!?」
「…うん…僕も別にいいよ。フェアン、悪くない人だし」
今朝の事を思い出してしまい頬が赤く染まる。
「おまっ!!なんで赤くなってんだよ!!!」
「ちょ、ちょっとレイ!ここ村長の家の前!静かにしてよ~…」
レイは相変わらず声が大きい。僕は頼りないし親もいないから心配なのはわかるよ。でもなんだかこの関係は友達っていうより兄と弟って感じで少し不満。
「アリン、遅くなってすまない。レイも待たせた。」
帰る時に村長に呼ばれたフェアンが帰ってきた。
「話なんだったの?」
「あー…なんでもない。まぁちゃんとやれって話だ。」
「えーなにそれっ!」
そう言って笑うとフェアンもつられて笑った。
「なんか、お前ら…距離感近くなってねぇ?話し方とか…」
「そう?だってさ、暫くは一瞬に暮らすわけでしょ?敬語で喋り続けるの大変だよ。…フェアンはこれでもいい?」
「もちろん。むしろこっちのが嬉しいよ。」
やっぱ誰かと暮らすのは自分で思ってるより嬉しくて、1人でご飯食べなくていいんだー、とかただいまって言ったらおかえりって言ってくれるのかなーとかそんなことばっか考えてたんだ。
だからかな、僕はこの恋愛経験のなさからすっごく大事な事を忘れてたんだ。
家に着いてフェアンに先に家に家に入ってもらってレイにお礼を告げると心配そうな顔で僕に聞いてきたんだ。
「そういや、アリン。お前これからどうやって寝るんだ?さすがに、リビングで寝続けるわけにはいかねぇだろ?」
「えっ、リビングで寝てないよ?」
「は?じゃあどこで寝たんだよ。」
「そんなの、もちろんいっしょ…」
そこまで言ってやっと気付いた。昨日は全く意識してなかったから平気だったけど、一目惚れとか好きとか言われた手前一緒に寝ることなんてもう出来ない。
どうしようと焦ってるとそんな僕に勘付いたのかレイが般若のような顔になってた。
「おまえ、まさか…一緒に寝たのか…」
「……!」
「……あいつ、一発殴ってくる」
「わー!!やめてやめて!!」
レイは鬼の形相で家に入ろうとするから必死に宥めて、今日から一緒に寝ないって約束したらやっと落ち着いてくれた。
……そこからは怒涛の時間だった。
「1時間後くらいにまた来る」って言ったレイは本当に1時間後に来た。布団と木の箱を持って。
その頃、僕とフェアンはのんびりとお茶をしながら明日からの計画を立ててて、お昼食べたらノスティアを案内するね、なんて言ってたんだ。そしたらノックもチャイムも鳴らさずに入ってくるから本当びっくりした。
1人で荷物を持ちきれなかったからか、朝の配達明けのお兄さんまで連れてきた。もうお兄さんはすごく疲れ果てた顔してて、それが心配で声をかけたら「まぁあいつのアリンの事に関して人使いが粗いのは有名だから」って苦笑いしてた。そしてフェアンを見るなり「本物の人間だ~大きい~」って野次馬根性丸出しだった。
そうこうしているうちに、レイは家の空き部屋に布団と木の箱を置いて戻ってきた。
「おい、布団持ってきてやったから今日から使えよ。あと、いつまでも親父さんの形見の服ばっか着せんな!」
どうやら箱には当面の服や歯ブラシなどの日用品が入ってて、それを使えってことみたい。
やっぱレイは優しくて気が利く友達だ。
そして最後にフェアンを呼び出して何か話をしてたみたい。
なんの話か聞きたかったけどそんな空気じゃなかったし、お兄さんが「アリンのご飯食べたい~!!」って駄々こねるのをレイが怒りながら引っ張って帰っちゃったから聞けなかった。
嵐のようにやって来て嵐のように去っていく2人を見送ると、フェアンが優しい顔をしてまっていてくれた。
久しぶりの家に誰かいるという感覚に胸が高鳴る。
「アリン、これからよろしく」
「フェアン、こちらこそ!」
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