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26ジュリ、屋敷で働く
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「おはよう、ジュリ」
「ショウ……今何時……」
目が覚めるとそこには満面の笑みのショウがいた。
まだ眠いのかジュリはベッドに横たわりながら壁に掛けてある時計を見ると時刻は朝の七時。
普段この時間は客を見送って二度寝する時間。当然まだ頭が動いていなくてぼんやりとしている。
ジュリはそのまま大きなあくびを一つすると、のそのそとベッドから降りた。
「朝迎えに来るって言ってたけど、ノックもなしなの?」
「もちろんしたよ、何度も。だけど返事がなかったから心配で」
そう言いジュリの頭をやさしく撫でる。
あまりに自然に甘やかしてくるショウに少し恥ずかしい思いはあるものの不思議と嫌ではなかった。
昨日、お互いの事を話しあって距離が近くなった二人。優しく見つめるショウの瞳も前はただのアルファの"オメガを狙う目"としか感じれなかったが今は純粋にその目に見つめられると嬉しいとすら感じる。
ーーアルファ相手にこんな気持ちになるなんて思わなかった。
照れる気持ちを隠すように頭を撫でてくるショウの手を振り払い、代わりにショウの服の裾を軽く引っ張った。
「五分で用意するから……外で待ってて」
「ん、わかった。ドアの外で待ってるから。朝食、一緒に食べよう」
「わかったから!早く行ってよ、着替えられない!」
はいはい、と笑いながら手を振り出て行くショウをジュリは真っ赤な顔でただただ見つめていた。
ーーーー
ショウは朝食は基本一階のダイニングルームで一人、昼食は騎士団員と、夕食は一人か日によってマーリンやレミウス、また他の王の側近たちと食事をすることが多い。
日中は騎士団員と共に訓練や町を巡回し、夕方はいまだ姿を隠しているデビアスについて側近たちと話し合う事があり毎日朝から夜まで多忙を極めている。
昨日はジュリが来た初日ということもあって、昼も夜も一緒に過ごせたがそれは昨日が特別だっただけで今日からは普段の仕事に戻ることとなる。
「という事なんだ。今日は昼まで訓練のあと巡回があって……帰ってこれるのは夜になる。昼食は部屋に届けさせる。訓練はぜひ見に来てほしいんだが巡回は危険だからこの屋敷にいてくれ。ここの敷地は庭も含めジュリの自由にしてほしい。……せっかくここに来てくれたのに一人にしてすまない」
焼き立てのトーストにじゅわりとバターが溶ける。半熟のスクランブルエッグと採れたてのトマトやレタスが真っ白な皿を綺麗に彩っている。そんな見事な朝食を食べている最中、ショウは申し訳なさそうな顔で向かいに座るジュリに告げた。
ジュリはそれは当然の事だろうと驚きもショックも受けなかった。
なんせ昨日ショウの話を聞いた後だ。ショウが国民を守りたい気持ちやこの国で生きていきたい気持ちも知ったからには「行かないで」なんて言えやしない。
「ねぇ……僕を男娼として抱くつもりはないの」
「ない。君が好きだから。ジュリにも僕を好きになってもらってからそういう関係になりたい」
「うーん……じゃあ。僕ここで働かしてもらう」
温かいアールグレイティーを飲みながらそう告げるジュリに、ショウの顔が真っ青になっていくのがわかる。
と思えば次第に顔が真っ赤になり、「顔色がクルクル変わるなぁ」とジュリが思っていると、ショウは机に両手を叩きつけ座っていた椅子を倒しながら立ち上がった。
「そんな!ここで働いてもらうために呼んだわけじゃない!」
「でも僕は男娼だよ。男娼としての仕事が出来ないなら何か他のことしなくちゃ。……っていっても僕に出来る事なんてあんまりないんだけどね。借金返して男娼辞めた後でも何か働けるように社会経験したいんだ」
不器用だけど頑張るね、そう言って目を輝かせながら微笑むジュリ。
その笑顔があまりに綺麗でショウはもう反対と言えなかった。
「わかった。ただ、どんな仕事をいつするかだけは俺が決めさせてくれ」
「うん!もちろん!」
ジュリ、男娼以外の仕事に初めて挑戦することとなった。
「ショウ……今何時……」
目が覚めるとそこには満面の笑みのショウがいた。
まだ眠いのかジュリはベッドに横たわりながら壁に掛けてある時計を見ると時刻は朝の七時。
普段この時間は客を見送って二度寝する時間。当然まだ頭が動いていなくてぼんやりとしている。
ジュリはそのまま大きなあくびを一つすると、のそのそとベッドから降りた。
「朝迎えに来るって言ってたけど、ノックもなしなの?」
「もちろんしたよ、何度も。だけど返事がなかったから心配で」
そう言いジュリの頭をやさしく撫でる。
あまりに自然に甘やかしてくるショウに少し恥ずかしい思いはあるものの不思議と嫌ではなかった。
昨日、お互いの事を話しあって距離が近くなった二人。優しく見つめるショウの瞳も前はただのアルファの"オメガを狙う目"としか感じれなかったが今は純粋にその目に見つめられると嬉しいとすら感じる。
ーーアルファ相手にこんな気持ちになるなんて思わなかった。
照れる気持ちを隠すように頭を撫でてくるショウの手を振り払い、代わりにショウの服の裾を軽く引っ張った。
「五分で用意するから……外で待ってて」
「ん、わかった。ドアの外で待ってるから。朝食、一緒に食べよう」
「わかったから!早く行ってよ、着替えられない!」
はいはい、と笑いながら手を振り出て行くショウをジュリは真っ赤な顔でただただ見つめていた。
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ショウは朝食は基本一階のダイニングルームで一人、昼食は騎士団員と、夕食は一人か日によってマーリンやレミウス、また他の王の側近たちと食事をすることが多い。
日中は騎士団員と共に訓練や町を巡回し、夕方はいまだ姿を隠しているデビアスについて側近たちと話し合う事があり毎日朝から夜まで多忙を極めている。
昨日はジュリが来た初日ということもあって、昼も夜も一緒に過ごせたがそれは昨日が特別だっただけで今日からは普段の仕事に戻ることとなる。
「という事なんだ。今日は昼まで訓練のあと巡回があって……帰ってこれるのは夜になる。昼食は部屋に届けさせる。訓練はぜひ見に来てほしいんだが巡回は危険だからこの屋敷にいてくれ。ここの敷地は庭も含めジュリの自由にしてほしい。……せっかくここに来てくれたのに一人にしてすまない」
焼き立てのトーストにじゅわりとバターが溶ける。半熟のスクランブルエッグと採れたてのトマトやレタスが真っ白な皿を綺麗に彩っている。そんな見事な朝食を食べている最中、ショウは申し訳なさそうな顔で向かいに座るジュリに告げた。
ジュリはそれは当然の事だろうと驚きもショックも受けなかった。
なんせ昨日ショウの話を聞いた後だ。ショウが国民を守りたい気持ちやこの国で生きていきたい気持ちも知ったからには「行かないで」なんて言えやしない。
「ねぇ……僕を男娼として抱くつもりはないの」
「ない。君が好きだから。ジュリにも僕を好きになってもらってからそういう関係になりたい」
「うーん……じゃあ。僕ここで働かしてもらう」
温かいアールグレイティーを飲みながらそう告げるジュリに、ショウの顔が真っ青になっていくのがわかる。
と思えば次第に顔が真っ赤になり、「顔色がクルクル変わるなぁ」とジュリが思っていると、ショウは机に両手を叩きつけ座っていた椅子を倒しながら立ち上がった。
「そんな!ここで働いてもらうために呼んだわけじゃない!」
「でも僕は男娼だよ。男娼としての仕事が出来ないなら何か他のことしなくちゃ。……っていっても僕に出来る事なんてあんまりないんだけどね。借金返して男娼辞めた後でも何か働けるように社会経験したいんだ」
不器用だけど頑張るね、そう言って目を輝かせながら微笑むジュリ。
その笑顔があまりに綺麗でショウはもう反対と言えなかった。
「わかった。ただ、どんな仕事をいつするかだけは俺が決めさせてくれ」
「うん!もちろん!」
ジュリ、男娼以外の仕事に初めて挑戦することとなった。
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