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25翔の過去②
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「ジュリ、泣かないで。この話には続きがあって。その時駆けつけてくれた警察官のお兄さんは犯人を取り押さえる時に怪我して……俺はそれに責任感じたからもう大泣きで。お兄さんは俺を安心させようと笑顔で『こんな怪我、君が助かったんだからなんともない。沢山の人を助けるのがお兄さんの使命だから』しか言わなかった……。その時に俺もこの人みたいになりたいって思ったんだ」
「ショウは凄いよ。それならなんとしてでも元の世界に帰らないと……」
「いや、いいんだ」
ショウはすぐにそう言い切ると今度はジュリを後ろから抱きしめた。
「元の世界には家族や友人もいるし、寂しくないのかと聞かれればそりゃ少しは寂しい。でも……ここで生きるのも悪くないなって思ってるんだ。魔族もおおかた倒したがデビアスはまだ倒していないし……ここでみんなの為に戦って、そしてジュリと一緒に生きていきたいんだ」
「っ……!だ、だから僕は相応しくないし!……そもそも一目惚れって言ってたけど、それもどこが良いのかわかんないし……って、ちょっとなんで!」
ジュリは勢いよく立ち上がるとショウの腕を振り払い真っ赤な顔をしながら離れた。
ジュリが見つめる先、ショウの股間部分は見るから大きく膨らみズボンの中で苦しそうにしていた。
「違う!いや、違わないな。好きな子が近くにいたらこうなるんだろう。といっても俺はそういう行為をしたことがないからわからないが。……絶対、手を出さないから安心してくれ」
「う、うそ……。だってショウ、かっこいいし性格もいいし絶対モテるじゃん」
「恋人はいたことはあったが……そういう雰囲気になるとあの事件の事を思い出して勃たなくなるんだ。病院にも通ったことがあるが結局意味はなかった」
ショウは落ち込んでいるのかしょんぼりと項垂れるように首を縦に落とした。それと同時に股間のふくらみもしょんぼり小さくなってしまった。
トラウマが残ってしまうくらい心に大きな傷を負っているのだろう。ジュリは穏やかで優しいショウが落ち込んでいる姿に苦しくなり駆け寄ると正面からショウを抱きしめた。
その細腕では背中まで回しきれなかったが、それでも力一杯、精一杯ショウを抱きしめた。
「僕に勃つならきっと大丈夫だから!……ショウが昔の事乗り越えられるまで協力するよ!」
「……君だけでいいんだけどな」
小声で呟く。「え?なに?」とジュリに聞かれたがショウはそれに答えず代わりにジュリの細い体を優しく抱きしめた。
ー---
しばらくお互いの体温を感じながら抱きしめ合っていたが、部屋をノックする音でハッとお互い我に返り体を離した。
「お食事はお済みでしょうか?」
メイドが二人入ってくる。そのうちの一人はジュリに「男娼ごときが」と悪態をついた人物だった。
「あっ、じゃあ僕そろそろ部屋に戻るね。……ごちそうさまでした」
ジュリは部屋に戻ろうと立ち上がるとドアに向かった。
ショウは慌ててその腕を掴むとメイドには見えないようドアの前でその大きな体を使いジュリをすっぽり隠した。
「メイドさんに見られてるよ……」
「友達だって、見送りの挨拶くらいするだろう?……ジュリ、明日もよければ訓練見に来ないか?」
「ショウが良ければ見に行きたい……かも」
「よかった。じゃあ明日の朝迎えにいくよ」
ショウはそう言うとジュリの手を取り指先に触れるだけのキスをした。
ジュリは途端に真っ赤な顔になり、逃げるように部屋を出て行ってしまった。
その様子を、メイドが睨みつけるように見ていた事を二人はその時は気づいていなかった。
「ショウは凄いよ。それならなんとしてでも元の世界に帰らないと……」
「いや、いいんだ」
ショウはすぐにそう言い切ると今度はジュリを後ろから抱きしめた。
「元の世界には家族や友人もいるし、寂しくないのかと聞かれればそりゃ少しは寂しい。でも……ここで生きるのも悪くないなって思ってるんだ。魔族もおおかた倒したがデビアスはまだ倒していないし……ここでみんなの為に戦って、そしてジュリと一緒に生きていきたいんだ」
「っ……!だ、だから僕は相応しくないし!……そもそも一目惚れって言ってたけど、それもどこが良いのかわかんないし……って、ちょっとなんで!」
ジュリは勢いよく立ち上がるとショウの腕を振り払い真っ赤な顔をしながら離れた。
ジュリが見つめる先、ショウの股間部分は見るから大きく膨らみズボンの中で苦しそうにしていた。
「違う!いや、違わないな。好きな子が近くにいたらこうなるんだろう。といっても俺はそういう行為をしたことがないからわからないが。……絶対、手を出さないから安心してくれ」
「う、うそ……。だってショウ、かっこいいし性格もいいし絶対モテるじゃん」
「恋人はいたことはあったが……そういう雰囲気になるとあの事件の事を思い出して勃たなくなるんだ。病院にも通ったことがあるが結局意味はなかった」
ショウは落ち込んでいるのかしょんぼりと項垂れるように首を縦に落とした。それと同時に股間のふくらみもしょんぼり小さくなってしまった。
トラウマが残ってしまうくらい心に大きな傷を負っているのだろう。ジュリは穏やかで優しいショウが落ち込んでいる姿に苦しくなり駆け寄ると正面からショウを抱きしめた。
その細腕では背中まで回しきれなかったが、それでも力一杯、精一杯ショウを抱きしめた。
「僕に勃つならきっと大丈夫だから!……ショウが昔の事乗り越えられるまで協力するよ!」
「……君だけでいいんだけどな」
小声で呟く。「え?なに?」とジュリに聞かれたがショウはそれに答えず代わりにジュリの細い体を優しく抱きしめた。
ー---
しばらくお互いの体温を感じながら抱きしめ合っていたが、部屋をノックする音でハッとお互い我に返り体を離した。
「お食事はお済みでしょうか?」
メイドが二人入ってくる。そのうちの一人はジュリに「男娼ごときが」と悪態をついた人物だった。
「あっ、じゃあ僕そろそろ部屋に戻るね。……ごちそうさまでした」
ジュリは部屋に戻ろうと立ち上がるとドアに向かった。
ショウは慌ててその腕を掴むとメイドには見えないようドアの前でその大きな体を使いジュリをすっぽり隠した。
「メイドさんに見られてるよ……」
「友達だって、見送りの挨拶くらいするだろう?……ジュリ、明日もよければ訓練見に来ないか?」
「ショウが良ければ見に行きたい……かも」
「よかった。じゃあ明日の朝迎えにいくよ」
ショウはそう言うとジュリの手を取り指先に触れるだけのキスをした。
ジュリは途端に真っ赤な顔になり、逃げるように部屋を出て行ってしまった。
その様子を、メイドが睨みつけるように見ていた事を二人はその時は気づいていなかった。
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