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2イブネリオ王国の秘密
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二か月前、イブネリオ王国の王・ジェイダが病気で亡くなった。病気が発覚してわずか三か月の事だった。
最愛の妻・マリアは五年前ジェイダが六十歳の時、病気で亡くなった。妻を心底愛し大切にしていたジェイダは妻の死に深く悲しみ、周りも心配するほど痩せこけていった。子どもがいればまだ立ち直れる事もあっただろうが、残念なことに二人は子宝に恵まれなかった。
必要最低限の公務だけを行い、以前はよく行っていた町の視察もマリアが亡くなってからは引き籠り行かなくなってしまった。
そんなジェイダが死ぬ直前、”言っておかなくてはならない事がある”と寝ているベッドの周りに側近たちを集めたのだ。
「私は直に死ぬだろう。その前にお前たちに伝えなくてはならない事がある」
「そんな、王様!まだ死んではいけません!」
側近の中で一番年の若い、秘書のマーリンは寝ているジェイダの手を泣きながら握りしめた。
「本当にすまない……。これからお前たちや国民に苦難が訪れる事をわかっていたのに……今日まで秘密にしていたことを申し訳なく思っている」
「どういう事ですか……?」
「言い伝えになるが……遠い昔のことだ、この国の資源を狙いに魔族が人間を襲う事件があったのだ。男たちは必死に戦った。だが、魔族の力は強くたくさんの人が犠牲になってしまった。もうこの国は終わりかと誰もがそう思った時だった。ある一人の青年が長剣で魔族の長デビアスの首を取ったのだ。……どんな屈強な男たちが挑んでも敵わなかった、デビアスを倒したその青年の名は”ジェイコブ・ユグラシア”。イブネリオ王国の初代国王だ」
静かに淡々と話すジェイダの表情は真剣で、その姿を見ていた周りの側近たちは息をのんでジェイダの話に聞き入っっていた。
「魔族の長・デビアスは死ぬ直前言った。『お前の血が絶えるとき、私は再びこの場所へ戻るだろう』と……。私には世継ぎがいない。もしこの話が本当なら私が死んだ後にデビアスが復活してしまうかもしれん」
「で、でも、言い伝えなんですよね!?それに、この国には最強の騎士団がいるではないですか……!」
申し訳なさそうに話すジェイダに反論するようにマーリンは眉尻を下げながら語気を強めた。
「そうだったらいいんだがな……。確かにこの国の騎士団は強い。だが、下級の魔族は倒せてもデビアスは倒せん。この血がなければ」
「そんな……!じゃあ、どうしたら……」
ざわめきだす側近たち。マーリンも見るからに落ち込み握ってた手の力がだんだんと弱くなっていく。
その様子を見たジェイダはマーリンに、書斎の引き出しに入っている箱を取ってくるよう命じた。
マーリンはそれに従い引き出しを開けると朱色のベルベット素材で出来た小さい箱を取り出した。
「王様、これでしょうか?」
マーリンが両手で手渡すとジェイダはそっと中からゴールドで出来た鍵を取り出した。
「みな、聞いてくれ。ひとつだけ方法がある。私の血は絶えても私の血が新たな勇者を選ぶ。……これで勇者を召喚するのだ」
最愛の妻・マリアは五年前ジェイダが六十歳の時、病気で亡くなった。妻を心底愛し大切にしていたジェイダは妻の死に深く悲しみ、周りも心配するほど痩せこけていった。子どもがいればまだ立ち直れる事もあっただろうが、残念なことに二人は子宝に恵まれなかった。
必要最低限の公務だけを行い、以前はよく行っていた町の視察もマリアが亡くなってからは引き籠り行かなくなってしまった。
そんなジェイダが死ぬ直前、”言っておかなくてはならない事がある”と寝ているベッドの周りに側近たちを集めたのだ。
「私は直に死ぬだろう。その前にお前たちに伝えなくてはならない事がある」
「そんな、王様!まだ死んではいけません!」
側近の中で一番年の若い、秘書のマーリンは寝ているジェイダの手を泣きながら握りしめた。
「本当にすまない……。これからお前たちや国民に苦難が訪れる事をわかっていたのに……今日まで秘密にしていたことを申し訳なく思っている」
「どういう事ですか……?」
「言い伝えになるが……遠い昔のことだ、この国の資源を狙いに魔族が人間を襲う事件があったのだ。男たちは必死に戦った。だが、魔族の力は強くたくさんの人が犠牲になってしまった。もうこの国は終わりかと誰もがそう思った時だった。ある一人の青年が長剣で魔族の長デビアスの首を取ったのだ。……どんな屈強な男たちが挑んでも敵わなかった、デビアスを倒したその青年の名は”ジェイコブ・ユグラシア”。イブネリオ王国の初代国王だ」
静かに淡々と話すジェイダの表情は真剣で、その姿を見ていた周りの側近たちは息をのんでジェイダの話に聞き入っっていた。
「魔族の長・デビアスは死ぬ直前言った。『お前の血が絶えるとき、私は再びこの場所へ戻るだろう』と……。私には世継ぎがいない。もしこの話が本当なら私が死んだ後にデビアスが復活してしまうかもしれん」
「で、でも、言い伝えなんですよね!?それに、この国には最強の騎士団がいるではないですか……!」
申し訳なさそうに話すジェイダに反論するようにマーリンは眉尻を下げながら語気を強めた。
「そうだったらいいんだがな……。確かにこの国の騎士団は強い。だが、下級の魔族は倒せてもデビアスは倒せん。この血がなければ」
「そんな……!じゃあ、どうしたら……」
ざわめきだす側近たち。マーリンも見るからに落ち込み握ってた手の力がだんだんと弱くなっていく。
その様子を見たジェイダはマーリンに、書斎の引き出しに入っている箱を取ってくるよう命じた。
マーリンはそれに従い引き出しを開けると朱色のベルベット素材で出来た小さい箱を取り出した。
「王様、これでしょうか?」
マーリンが両手で手渡すとジェイダはそっと中からゴールドで出来た鍵を取り出した。
「みな、聞いてくれ。ひとつだけ方法がある。私の血は絶えても私の血が新たな勇者を選ぶ。……これで勇者を召喚するのだ」
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