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ヒーロー参上?

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 バァン!!

 壊されたドアから入ってきたのは、指揮官様だ。めっちゃ怖い顔してる!こわっ!え、なになに!?

「ウタ!大丈夫か!?」

え!?俺?

ぽかんと見上げていると、駆け込んできた指揮官様と目が合う。指揮官様は、俺の頭の先から足先まで視線を動かして、ほっ、と息をついた。そして、視線を俺様さんに向けると、また眉間に深い皺を寄せて言った。

「貴様、何をしたか分かっているのか!」
「は。」
「処分は追って伝え」
「あの……」

めちゃくちゃ厳しい口調で話す指揮官様と、神妙な顔で聞く俺様さん以下、お兄さんたち。でも、気になって割り込んでしまった。みんなの視線がこっちに向いて、どきどきする。

「俺、別に何もされてませんし……なんならこっちから質問してたくらいなんですけど……処分って大袈裟じゃないですか?」

沈黙の後……指揮官様がゆっくりと俺の方を振り返る。そして、眉間に皺を寄せたまま、口を開いた。

「君は、さっきまでの状況で『何もされてない』『処分は不要』というのか?」
「え、あ、はい。だって何もされてませんもん。」
「される寸前だったとは思わないのか?」
「うーん……未遂というほど危機感も感じませんでしたけど?」
「いや、しかし……」
「そもそも、特区から軍に来る奴って来るんですよね?だったら俺もそう思われても仕方ないかと。」

指揮官様は、言葉もないと言わんばかりの顔をしている。うーん、俺様さんそんな悪い人じゃなさそうだし、何もしてないのに処分されんのは可哀想だよな~。俺が悩んでいると指揮官様は衝撃から立ち直ったのか、口を開いた。

「……ならば、君は……いや、わかった。当事者がそう言うのであれば、」

指揮官様は俺様さん達の方に向き直って、続けた。

「貴様らは任務の準備を妨害した。よって、訓練場三十周を命じる!行け!」

はっ!と敬礼した後、俺様さんたちは部屋を出て行った。残ったのは、俺と、指揮官様と、さっきまで俺を案内していた人。きっと、この人が指揮官様を呼んできてくれたんだろうな。お礼言っとこう。

「あの、ありがとうございました。」
「え?」
「俺が突然いなくなったから、あなたが指揮官様を呼んでくださったんですよね?」
「あ、いや……私は、」

「指揮官様?君は私のことをそう呼んでいるのか?」
「え、あ、はい。」

突然指揮官様が話に入ってきた。何なんだろ、この人。指揮官様で間違ってないだろ。

「ワルターと呼んでくれ。」

少し考えた後、指揮官様はおもむろに口を開いてそう言った。何言ってんだ?お偉いさんを名前で呼べと?

「い、いえ……そんな恐れ多、」
「構わない。ワルターと呼んでくれ。」

真剣な顔で詰め寄られて、諦めて名前を呼ぶ。

「ワルター様。」
「あぁ。」

嬉しそうに笑われると、なんだかなぁと思う。
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