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また来た人
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「その頃、リリスは、そそっかしくて。今もそそっかしいけど。あっ!あれ?あそこで転けた子、リリスじゃないか!?そうだ、リリスだ!僕が助けてあげないと!ちょっと行ってくる!」
いつもダラダラのそのそ動くと叱られているらしい人が、シュビッビューンという感じで走り去った。
王都騎士学校へ入学予定と聞いています。その動きは、現在通われている入学準備学校の訓練の場でみせた方が良いのではないでしょうか。そしてここは走るの禁止です。
***
「あ、聞いてくれよ。昨日出かけようと家を出て少し歩いたところで、リリスにバッタリ会ってさ。何だか困ってる様子だからどうしたのって聞いたら、迷子だって。ほんと、可愛いよね!
僕の知っている店にハンカチを買いに行きたいって言うから、案内してあげて。どれも可愛いから選べないって困っているから、選んであげて。お金足りないかもって言うから、買ってあげたんだ!
その店を出た後、2人同時に喉が渇いたって声に出しちゃって、ふふふ、大爆笑だよね。
露天で人気のジュースと揚げ菓子買って、中央広場の噴水前にあるベンチに座って食べたんだ。その後2人でまた街を歩いて。しばらく歩いて疲れたなと思ったところで、ここに来る予定があること思い出しちゃってさあ。はぁ。リリスに悪いことしたなぁ」
リリスさんが10歳の頃に引っ越してきた街で、家から徒歩5分の距離にある貴方の家の近くで会ったのですよね?職務に忠実な門番に追い払われ、敷地の内には入れてもらえないけれど、ほぼ毎日通ってくるとか。迷子?それは可愛いではなく、病院に連れて行くべき症状なのではないでしょうか?結構進行していると思われますよ。知り合いのおばあちゃまがそんな感じでしたから、知ってます。
買い物は、それ、完全に買うように誘導されていますよね?
ここに来る予定は……思い出さないなら、永遠に思い出さない様、お願いしたいです。私の話ではないですが、一般的に、来る来ないはハッキリしていただかないと困るんですよ。待つ方は誰でも。こんなこと、貴方もリリスさんも知らないでしょうね。非常識ならご存じかもしれませんが、なんせ常識ですから。仕方ないです。
ちなみに、私は貴方を待っていません。ご存じないかもしれませんが。
***
「今日は、来る途中にリリスに会って、挨拶してたら、虫が出たらしくて。それで、リリスが驚いてさ。きゃあって、飛び跳ねて、転けそうになったんだけど、ちょうど僕の立っている場所だったから、慌てて抱きとめたんだ。そしたら、やだ、あたしったら、男の人の胸に飛び込んじゃった恥ずかしいって!そう言われるとこっちも恥ずかしくなるよね」
今日もですよね。何時から待ち構えているのか。毎日熱心ですね。淑女教育では「少しの間だから」と言う油断が、お肌を焼くのです!と、タコさんウィンナーのピアスが出来上がる程、言い聞かされるそうですよ。淑女じゃなくとも日焼けを心配してしまいますが、もう何年も毎日何時間も張り込みしてらっしゃる様ですし、今更でしょうか。焦げ具合が気になりますけども。有名な劇場俳優マーツシゲルンみたいに、黒光りしてたりするのでしょうか。気になります。
***
「そういえば、久しぶりに叔父様にお会いしたら、最近暑くなってきたけど、毎日体力作りの訓練頑張っているのか?よく焼けて引き締まってきたなって、褒められたんだ!そういえば、ここ数年、リリスと一緒によく歩いたなと。リリスに会った時にその話をしたら、体力作りを一緒にできて嬉しいって。可愛いよね。笑顔の歯が輝いて見えたよ」
確かにリリスさんとの、朝から夕方まで、毎日欠かさずの街歩きは、訓練になってるかもですね。
ワー、スゴーイ!(棒読み)
今日は、気になっていたことがわかり、スッキリしました。
2人して、黒光り&白い歯!
マーツシゲルンのミニコピーコンビとして、劇場に出してもらえるんじゃないでしょうか。
ガンバレー!(棒読み)
***
「昨日、久しぶりに家に帰ろうとしたら、家の近くにリリスがいたらしくて。俺を見つけて飛びついてきたんだ。夕方で、暗くなってきていたせいかな?そこに誰かが立っているなんて全く気づかなかったから、驚きすぎて、悲鳴あげちゃったよ!
近所の人まで出てきたから、慌てて逃げて。その後、リリスといつも行ってた噴水前にあるベンチで話していたんだけど、急に俺に会えなくなって、どうしたのかなって心配して、たまにみにきてたんだって。騎士学校行くって伝えてたんだけど、忘れてたみたいでさ。リリスはそそっかしくて、忘れんぼだねって笑ったんだ。
騎士学校ってどこにあるのか知らないって言うからさ。この街の市場前から、乗合馬車で王都中央市場まで移動して、そこからまた騎士学校行きの馬車に乗ると着くんだって教えたら、それはどこって。どこって聞かれても、俺も歩いて行ったことがないから答えにくいよね。王都騎士学校って名前が住所と同じだし、手紙も王都騎士学校と俺の名前で届くよって教えてあげたんだけど、急に抱きついて泣き出して。甘い焼きパン買ってあげたら少し落ち着いてくれたから良かったよ。
その後、家のものが俺を呼びに来てさ。近所の人から俺が学校から帰ってきてたと知らされたらしくて、探していたって。家でちょっと怒られて参ったよ。この近くには昔から不審者がいるから気をつけろって。夜は特に、闇に紛れているから怖いらしい。驚いて落とした金とか食材とかが、消えることもあるって。物語に出てくる魔法使いみたいでびっくりだよね。あ、リリスだ!黒のワンピースだと昼間は目立つね!キョロキョロ何か探しているみたいだから、俺も手伝ってくる!あ、このクッキー食べないよね?もらって行くね!」
全寮制の王都騎士学校の帰宅許可は半年毎ですから、本当に久しぶりですよね。闇に完全に紛れるとは、リリスさんは、マーツシゲルンを越えられたのですね。もっと焦げるのか、今がマックスレベルなのかが気になります。まあ、私の愛読書「高貴なる漆黒」に出てくるジャック裁判官のガウンの色には負けると思いますけど。あ、ジャック様の漆黒のガウンは、公正を象徴しているのですよ。黒色は他の色に染まりませんので。
貴方は騎士学校で毎日訓練しているはずなのに、マーツシゲルンじゃなくなりましたね、訓練……サボってるんでしょうか。退学にならないと良いのですが。
リリスさんは騎士学校に通うと聞いても、これまでの入学準備学校の様に、週に数回数時間、自宅から通うだけだと勘違いしてたんでしょう。馬車を乗り継いでいくなんて、お金もかかりますし、行けないとわかって良かったのでは?仮に毎日通える距離だとして、王都騎士学校の前に立って貴方を待っていても、寮生の貴方は外に出てきたりしないでしょう?その前に、王都騎士学校なら、門の前だけじゃなく、塀沿いでも、毎日通って立ち続けたら、通報というか、すぐに捕まって取り調べされると思いますから、諦めてもらった方が良いと思います。
ご自宅のご近所の不審者に関しては。不審を通り越して、追い剥ぎ?黒い何かが黒い何かの下に落ちた品を隠せば消えますよね。取り調べにどんどん自分から近づかれている気がします。
関係ないですけど、僕から俺に変わったのですね。僕より俺が格好良いんですよね。聞かなくてもわかります。うちの可愛い甥っ子が、そう言っていましたから。
クッキー泥棒……それは甥っ子へのお土産の包みです。お皿の上の食べ残しをもらうかのような軽さで持ち去らないでください!見たらわかるでしょ?子供向けの可愛い包みで、貴方へのプレゼントではないと!机の上でもなく、こちら側に置いていたのに、何故手を伸ばしてまで持って行くのか!(怒)
私も通報したいです。貴方も是非取り調べされてきてください。
***
「最近リリスに会わないって思ったら、手続きの為に連れて行かれた、転校先の学校のある街でバッタリ会ったんだ!なんだか雰囲気、色?が違ってて、リリスだとわかんなかったよ。小さい頃、路地裏に座り込んでいるのを見た、占い師の婆さんみたいだった!俺は全く気づかなかったんだけど、名前を呼ばれて、リリスだってわかったんだ。びっくりしたよ。でも、なんだか大勢で移動中みたいで、大きな馬車に乗ってどこかに行っちゃったんだ。迎えに来てと叫んでたけど、どこに行けば良いのかなあ。俺、もしかしたら、リーダーになるかもしれないから、忙しいんだけど。それに加えてリリスも探さないといけないとなると、ここにもなかなか来れないだろうなぁ。明日には学校のある街に引っ越ししちゃうし」
王都騎士学校は、退学になったそうですね。ご家族からお聞きしました。転校先は民兵の訓練所ですので、学校ではありません。単位もありません。良かったですね。少し通えば、訓練終了で、辺境に派遣だそうです。大丈夫。まずはリーダー目指して頑張りましょうという意味で言われただけです。エリート教育を受けたわけじゃない人が、いきなり長がつく役職に就けるわけがありませんので、当然隊長にもなれません。訓練所で判断した適材適所だそうですから、多分ひたすら穴を掘る役とかにつけてもらえますよ。大丈夫です。
更にご安心ください。もう、ここには来れないと思います。辺境兵はお休みの日も待機場所が決まってますからね。貴方の家も辺境に用意されるらしいです。本当にもうここには来なくて良いですよ。最初から来なくて良かったんですけど、勝手に来てましたよね。営業はしていませんけど、営業妨害だと思います。
そもそも貴方の話は聞き飽きましたし、私は貴方の日記帳ではないのです。
少し前に、貴方のご実家から、職場に大金の寄付をいただきました。私にも臨時ボーナスが出ましたので、これからもう永遠にお会いしないなら、まあいいかなと思います。
「アリスさん、受付カウンター業務交代するわ。お昼行ってらっしゃい」
「はい、行ってきます」
王立図書館勤務のアリス・ブッカーは、総合受付案内のカウンター内にある椅子から立ち上がると、足早に職員食堂に向かったのだった。
fin
◆◆◆◆◆◆
後書き
プチ補足:
王都の端っこ住まいの少年少女。中央市場は王都の真ん中。王立図書館は中央市場より少年たちの住まい寄り。王都騎士学校は、少年たちの住まいから、王都の中央を挟んだ反対側。(広い敷地が必要なので、王都という名前はついていても、ど真ん中にはない)
少年は王立図書館行きの馬車に乗って話にきていました。金持ちのボンボン。
実は、王立図書館付近を少女が歩いていた回数は両手以下。少年が馬車に乗ったのを見つけると、走って追いかける少女。道で転けたりして見せると、配達の馬車にただ乗りできたりするので、それに成功した時だけ王立図書館まで辿り着いていました。帰りは勿論ボンボンの奢りで馬車に乗って帰ります。
王都騎士学校への行き方の説明を受けた時の反応について。ただ乗りは結構難しい(1度乗るとその黒さから覚えられ、道中の話でこの子やばい子だとバレるので2度はない)ので、馬車移動2回の王都騎士学校に「通う」のは無理と判断。これまでの様に帰りはボンボンの奢り馬車というわけには行かないので、帰宅できないことになり、絶対無理と絶望したようです。
いつもダラダラのそのそ動くと叱られているらしい人が、シュビッビューンという感じで走り去った。
王都騎士学校へ入学予定と聞いています。その動きは、現在通われている入学準備学校の訓練の場でみせた方が良いのではないでしょうか。そしてここは走るの禁止です。
***
「あ、聞いてくれよ。昨日出かけようと家を出て少し歩いたところで、リリスにバッタリ会ってさ。何だか困ってる様子だからどうしたのって聞いたら、迷子だって。ほんと、可愛いよね!
僕の知っている店にハンカチを買いに行きたいって言うから、案内してあげて。どれも可愛いから選べないって困っているから、選んであげて。お金足りないかもって言うから、買ってあげたんだ!
その店を出た後、2人同時に喉が渇いたって声に出しちゃって、ふふふ、大爆笑だよね。
露天で人気のジュースと揚げ菓子買って、中央広場の噴水前にあるベンチに座って食べたんだ。その後2人でまた街を歩いて。しばらく歩いて疲れたなと思ったところで、ここに来る予定があること思い出しちゃってさあ。はぁ。リリスに悪いことしたなぁ」
リリスさんが10歳の頃に引っ越してきた街で、家から徒歩5分の距離にある貴方の家の近くで会ったのですよね?職務に忠実な門番に追い払われ、敷地の内には入れてもらえないけれど、ほぼ毎日通ってくるとか。迷子?それは可愛いではなく、病院に連れて行くべき症状なのではないでしょうか?結構進行していると思われますよ。知り合いのおばあちゃまがそんな感じでしたから、知ってます。
買い物は、それ、完全に買うように誘導されていますよね?
ここに来る予定は……思い出さないなら、永遠に思い出さない様、お願いしたいです。私の話ではないですが、一般的に、来る来ないはハッキリしていただかないと困るんですよ。待つ方は誰でも。こんなこと、貴方もリリスさんも知らないでしょうね。非常識ならご存じかもしれませんが、なんせ常識ですから。仕方ないです。
ちなみに、私は貴方を待っていません。ご存じないかもしれませんが。
***
「今日は、来る途中にリリスに会って、挨拶してたら、虫が出たらしくて。それで、リリスが驚いてさ。きゃあって、飛び跳ねて、転けそうになったんだけど、ちょうど僕の立っている場所だったから、慌てて抱きとめたんだ。そしたら、やだ、あたしったら、男の人の胸に飛び込んじゃった恥ずかしいって!そう言われるとこっちも恥ずかしくなるよね」
今日もですよね。何時から待ち構えているのか。毎日熱心ですね。淑女教育では「少しの間だから」と言う油断が、お肌を焼くのです!と、タコさんウィンナーのピアスが出来上がる程、言い聞かされるそうですよ。淑女じゃなくとも日焼けを心配してしまいますが、もう何年も毎日何時間も張り込みしてらっしゃる様ですし、今更でしょうか。焦げ具合が気になりますけども。有名な劇場俳優マーツシゲルンみたいに、黒光りしてたりするのでしょうか。気になります。
***
「そういえば、久しぶりに叔父様にお会いしたら、最近暑くなってきたけど、毎日体力作りの訓練頑張っているのか?よく焼けて引き締まってきたなって、褒められたんだ!そういえば、ここ数年、リリスと一緒によく歩いたなと。リリスに会った時にその話をしたら、体力作りを一緒にできて嬉しいって。可愛いよね。笑顔の歯が輝いて見えたよ」
確かにリリスさんとの、朝から夕方まで、毎日欠かさずの街歩きは、訓練になってるかもですね。
ワー、スゴーイ!(棒読み)
今日は、気になっていたことがわかり、スッキリしました。
2人して、黒光り&白い歯!
マーツシゲルンのミニコピーコンビとして、劇場に出してもらえるんじゃないでしょうか。
ガンバレー!(棒読み)
***
「昨日、久しぶりに家に帰ろうとしたら、家の近くにリリスがいたらしくて。俺を見つけて飛びついてきたんだ。夕方で、暗くなってきていたせいかな?そこに誰かが立っているなんて全く気づかなかったから、驚きすぎて、悲鳴あげちゃったよ!
近所の人まで出てきたから、慌てて逃げて。その後、リリスといつも行ってた噴水前にあるベンチで話していたんだけど、急に俺に会えなくなって、どうしたのかなって心配して、たまにみにきてたんだって。騎士学校行くって伝えてたんだけど、忘れてたみたいでさ。リリスはそそっかしくて、忘れんぼだねって笑ったんだ。
騎士学校ってどこにあるのか知らないって言うからさ。この街の市場前から、乗合馬車で王都中央市場まで移動して、そこからまた騎士学校行きの馬車に乗ると着くんだって教えたら、それはどこって。どこって聞かれても、俺も歩いて行ったことがないから答えにくいよね。王都騎士学校って名前が住所と同じだし、手紙も王都騎士学校と俺の名前で届くよって教えてあげたんだけど、急に抱きついて泣き出して。甘い焼きパン買ってあげたら少し落ち着いてくれたから良かったよ。
その後、家のものが俺を呼びに来てさ。近所の人から俺が学校から帰ってきてたと知らされたらしくて、探していたって。家でちょっと怒られて参ったよ。この近くには昔から不審者がいるから気をつけろって。夜は特に、闇に紛れているから怖いらしい。驚いて落とした金とか食材とかが、消えることもあるって。物語に出てくる魔法使いみたいでびっくりだよね。あ、リリスだ!黒のワンピースだと昼間は目立つね!キョロキョロ何か探しているみたいだから、俺も手伝ってくる!あ、このクッキー食べないよね?もらって行くね!」
全寮制の王都騎士学校の帰宅許可は半年毎ですから、本当に久しぶりですよね。闇に完全に紛れるとは、リリスさんは、マーツシゲルンを越えられたのですね。もっと焦げるのか、今がマックスレベルなのかが気になります。まあ、私の愛読書「高貴なる漆黒」に出てくるジャック裁判官のガウンの色には負けると思いますけど。あ、ジャック様の漆黒のガウンは、公正を象徴しているのですよ。黒色は他の色に染まりませんので。
貴方は騎士学校で毎日訓練しているはずなのに、マーツシゲルンじゃなくなりましたね、訓練……サボってるんでしょうか。退学にならないと良いのですが。
リリスさんは騎士学校に通うと聞いても、これまでの入学準備学校の様に、週に数回数時間、自宅から通うだけだと勘違いしてたんでしょう。馬車を乗り継いでいくなんて、お金もかかりますし、行けないとわかって良かったのでは?仮に毎日通える距離だとして、王都騎士学校の前に立って貴方を待っていても、寮生の貴方は外に出てきたりしないでしょう?その前に、王都騎士学校なら、門の前だけじゃなく、塀沿いでも、毎日通って立ち続けたら、通報というか、すぐに捕まって取り調べされると思いますから、諦めてもらった方が良いと思います。
ご自宅のご近所の不審者に関しては。不審を通り越して、追い剥ぎ?黒い何かが黒い何かの下に落ちた品を隠せば消えますよね。取り調べにどんどん自分から近づかれている気がします。
関係ないですけど、僕から俺に変わったのですね。僕より俺が格好良いんですよね。聞かなくてもわかります。うちの可愛い甥っ子が、そう言っていましたから。
クッキー泥棒……それは甥っ子へのお土産の包みです。お皿の上の食べ残しをもらうかのような軽さで持ち去らないでください!見たらわかるでしょ?子供向けの可愛い包みで、貴方へのプレゼントではないと!机の上でもなく、こちら側に置いていたのに、何故手を伸ばしてまで持って行くのか!(怒)
私も通報したいです。貴方も是非取り調べされてきてください。
***
「最近リリスに会わないって思ったら、手続きの為に連れて行かれた、転校先の学校のある街でバッタリ会ったんだ!なんだか雰囲気、色?が違ってて、リリスだとわかんなかったよ。小さい頃、路地裏に座り込んでいるのを見た、占い師の婆さんみたいだった!俺は全く気づかなかったんだけど、名前を呼ばれて、リリスだってわかったんだ。びっくりしたよ。でも、なんだか大勢で移動中みたいで、大きな馬車に乗ってどこかに行っちゃったんだ。迎えに来てと叫んでたけど、どこに行けば良いのかなあ。俺、もしかしたら、リーダーになるかもしれないから、忙しいんだけど。それに加えてリリスも探さないといけないとなると、ここにもなかなか来れないだろうなぁ。明日には学校のある街に引っ越ししちゃうし」
王都騎士学校は、退学になったそうですね。ご家族からお聞きしました。転校先は民兵の訓練所ですので、学校ではありません。単位もありません。良かったですね。少し通えば、訓練終了で、辺境に派遣だそうです。大丈夫。まずはリーダー目指して頑張りましょうという意味で言われただけです。エリート教育を受けたわけじゃない人が、いきなり長がつく役職に就けるわけがありませんので、当然隊長にもなれません。訓練所で判断した適材適所だそうですから、多分ひたすら穴を掘る役とかにつけてもらえますよ。大丈夫です。
更にご安心ください。もう、ここには来れないと思います。辺境兵はお休みの日も待機場所が決まってますからね。貴方の家も辺境に用意されるらしいです。本当にもうここには来なくて良いですよ。最初から来なくて良かったんですけど、勝手に来てましたよね。営業はしていませんけど、営業妨害だと思います。
そもそも貴方の話は聞き飽きましたし、私は貴方の日記帳ではないのです。
少し前に、貴方のご実家から、職場に大金の寄付をいただきました。私にも臨時ボーナスが出ましたので、これからもう永遠にお会いしないなら、まあいいかなと思います。
「アリスさん、受付カウンター業務交代するわ。お昼行ってらっしゃい」
「はい、行ってきます」
王立図書館勤務のアリス・ブッカーは、総合受付案内のカウンター内にある椅子から立ち上がると、足早に職員食堂に向かったのだった。
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◆◆◆◆◆◆
後書き
プチ補足:
王都の端っこ住まいの少年少女。中央市場は王都の真ん中。王立図書館は中央市場より少年たちの住まい寄り。王都騎士学校は、少年たちの住まいから、王都の中央を挟んだ反対側。(広い敷地が必要なので、王都という名前はついていても、ど真ん中にはない)
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実は、王立図書館付近を少女が歩いていた回数は両手以下。少年が馬車に乗ったのを見つけると、走って追いかける少女。道で転けたりして見せると、配達の馬車にただ乗りできたりするので、それに成功した時だけ王立図書館まで辿り着いていました。帰りは勿論ボンボンの奢りで馬車に乗って帰ります。
王都騎士学校への行き方の説明を受けた時の反応について。ただ乗りは結構難しい(1度乗るとその黒さから覚えられ、道中の話でこの子やばい子だとバレるので2度はない)ので、馬車移動2回の王都騎士学校に「通う」のは無理と判断。これまでの様に帰りはボンボンの奢り馬車というわけには行かないので、帰宅できないことになり、絶対無理と絶望したようです。
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