妹の身代わり人生です。愛してくれた辺境伯の腕の中さえ妹のものになるようです。

桗梛葉 (たなは)

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第44 初めまして、愛される日々 1

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「あぁ、やっぱりレナによく似合っている」

目を細めて笑うリオネル様に私の頬が熱くなる。

取りあえず、私はリオネル様に贈っていただいた青色のドレスの裾を意味なく弄りながら。

「ありがとうございます…」

小さな声でお礼を言うのが精一杯だった。

あまりに照れくさくて、恥ずかしくて。私はそのままリオネル様から離れた場所で立ち尽くしてしまう。

「ほら、こっちにおいで、エレナ」

そんな私に少し苦笑をしたリオネル様が私に向かって手招きをした。だけど私はリオネル様のその声に、思わず息を飲んでますます固まってしまっていた。

「エレナ?」

「…はい…」

もう1度名前を呼ばれて、ぎこちないまま返事を返す。

時折こうやって愛称ではなく、エレナとハッキリ名前を呼んでもらえるのは嬉しかった。

だけどその時のリオネル様の声はとても甘くて柔らかいのだ。初めて向けられるその音に、私はどうして良いのか分からなくなってしまう。

そんな声で呼ばれて、とても恥ずかしくて仕方がない。でもその声が泣きたくなるぐらい嬉しい気持ちにもしてくれる。

相変わらずレナと呼ばれていても不安にならないのも、リオネル様がこんな声で私の名前を呼んでくれるからだと分かっていた。

「いかがされましたか?」

手招きされるまま、ギクシャクと近付いた私の頭をクスッと笑ったリオネル様の掌が撫でてくる。それは恥ずかしさを押して近付いてきた私を褒めているようだった。そんなリオネル様の自然な動きに私の頬はますます熱くなっていた。

きっと真っ赤な顔をしているのだろう。

「私の婚約者は可愛いな」

クスクスと笑うリオネル様に思わず顔を覆ってしまう。

唐変木だと聞いていたのに。色恋ごとには不慣れだとリオネル様自身も言っていたはずなのに。

「嘘つきです……」

これのどこが唐変木で不慣れなのか、と問い詰めたくなる状況だった。

「いや、嘘じゃないぞ。本当に可愛い」

私の言葉を勘違いしたのだろう。リオネル様が心外だ、とでもいう声でもう1度とんでもない事を訴えてくる。

「……違います……そちらではございません…」

「じゃあ、何のことなんだ?」

「不慣れだって仰ってたはずなのに…私はずっと振り回されっぱなしです…」

私は思わず恨みがましく言ってしまう。だって私も初めての恋だから、リオネル様が不慣れで正直良かったと思っていたのだ。初心者同士ゆっくりと慣れていこう、と安心していたはずだったのに。それなのに。

「こんなに手慣れていらっしゃるなら、ちっとも不慣れなんかじゃありません」

そう言って、リオネル様をジトッと見つめてしまうのも私はきっと悪くない。

「慣れているように見えているなら嬉しいことだ。ただ、やりたい事や思っている事をやっているだけだからな」

「ーーーーー!!」

そう言って笑ったリオネル様に、指先へキスを落とされて私はもう何も言えなくなった。
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