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仕事を選んだ理由
しおりを挟む暦の中で誰かが勝手に決めた記念日を祝うことに、何の意味があるのだろうと思っていた。
草が青々と生い茂り、花がきらびやかに咲き誇る様子は確かに綺麗だと感じるけれど、それを誰かに贈ることに何の価値があるのかわからなかった。
……だって枯れるもんなぁ。
花瓶に生けていると虫は寄ってくるし、枯れれば処理も大変だし。
個人的にはあまり良い事はない気がするのだけれど、世の中には一定の需要が存在することは理解していた。
誰かが何かを始めたときや何かを成し遂げたときのお祝いをはじめとして。ある誰かが、他の誰かに気持ちを伝えるときの形あるものとして草花を飾り付けた一品を贈る人が多いのだと。
前にも言った通りに、私個人としてはそこに価値を見出せないから、そういう人々に共感をすることはできなかった。
――しかし、それらの行為に意味がないと思っているわけでもなかった。
誰かのために何かをするのはいいことだ。
当事者同士の間で感謝や喜びという感情がやり取りされるのであれば、それはとても素晴らしいことだろう。
だから、
「いらっしゃいませ。何をお探しで?」
今日も今日とて店にやってきたお客様を笑顔で迎え入れるのだった。
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