醜い大人

優雅

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精神は子ども

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 あなたは自分が社会に出た時の気持ちを覚えているだろうか?
もしかしたらまだ社会に出てないかもしれないね。とにかく、私は今から書くこれらの事を胸に置き、皆に留めておいてほしい。


私はとんでもないひねくれ者だった。
昔から、「やってはいけません」という事はやりたくなる様な性格だった。
そして誰かに構ってもらいたくて仕方がなかった。
周りの人間は驚くほど静かで、なぜ、という疑問を持たずに生きているようだった。
しかし、私はそれほどアクティブな人間ではない。どちらかといえば、大人しく静かなグループにいた。つまり、本当の自分を
いたのだ。

中学生のとき、ある衝動に駆られた。
"この友情を壊したらどうなるか" と。
要はヒトの心理の仕組みは知っていたものの、本当に自分の予想通りに動くかが知りたかった。
他人より他人の事を考えていたんだから、そりゃあ思い通りになったさ。
数式を解くように、解答ができて、正解だったんだから。
ただ、そうやってるうちに周りの人間は消えていった。
いや、自ら遠ざけたのかもしれない。

「ねえ、景子の秘密知らない?」

そう軽く問いかけてきたのはいつも絡まないクラスメイトだった。
私は景子と仲が良かったが、最近になってリコや真歩が近づいてきた。その2人とも決して悪い仲ではなかった。

八方美人だった私は色んな場所に滞在できるよう、誰でも良い顔をしていたのだ。
私も景子の嫌なところがないとは言えなかったが、憎むほどでもなかった。
しかし、リコ達は景子のルックスが気に食わないのか、男子からモテて少し目立つ存在を妬んでいたのか知らないが、景子を地へ落とすため、そんな事を聞いてきたのだ。
これが小学生の出来事なのだから、女という生き物は相当しぶとく、面倒臭い。

以前、景子は興味本位からか、その頃流行していたSNSで知り合った男性と会う約束をしていた。
そのSNSを紹介したのはチヒロで、その男性とも既に会っていたようだった。
私とユリはその時、ただ"面白そう" という感情で、2人が会う場所へ見に行った。
大手電器屋の立体駐車場。今でも鮮明に覚えている。
私たちは、何も出来なかった。いや、何もせず傍観していただけだった。

後日、景子がその事について口を開いた。予想はしていたが、やはり という。
「後部座席でされた」と生々しいエピソードを、目を見開いて聞いていた。
危なかっしいことをしたと、あの時止めておけば……等と今でも罪悪感に駆られている。


それを、黙っていれば良かったのに。

一生、私の中で閉じ込めておけば良かったのに。

小学生の好奇心が、どれほど恐ろしいか。後悔先に立たず、というものはまさにこの事である。


【 1 】

私は、人から頼られることがあまりなかった。
突出した特技も無し、平凡な顔立ち、争い事が嫌で他人から気に入られるよう愛想を振りまいて生きていた。
「ノート見せて」等の小さなことでも、頼られることが嬉しかった。
ひねくれ者だった半分、正直だったのだろう。
全ての者に良い顔、全ての頼みにイエスと言えば、他人は私を "利用"しようと企む。
私は小学生ながらにもそれを勘づいていた。

景子がリコ達に何らかの理由で嫌われ、孤立させられていた。
私も協力させられていたため、リコ達のグループへ移動していた。
女子にはよくある話である。

毎日、休み時間になると「景子のこういう所がウザイ」などの悪口ばかりで、私は共感するしかなかった。
私はその時、ここで認められれば周りが称えてくれる、と勘違いしていたのだ。
「ねえ、景子の秘密知らない?」と言ったリコの問いかけは、私の眼をじっと見つめていた。
千載一遇のチャンスと言わんばかりに、私は「えぇ…でもこれ言っていいのかなぁ、」とほのめかすように口走った。
その時は後悔さえしなかった。

私は事を話し終えた後、周りがどんな反応するかドキドキしていた。すごい?私はみんなが知らないこんな話も知っているのよ。と、自慢げになっていた。
しかし、周りの反応は予想以上に大きく、そして最悪な方向に走り出した。

「それをさ、言いふらして広めてやろうよ。」

と言われた瞬間、サッと血の気が引いた。私の発言責任及び景子との友情亀裂の未来がよぎったのだ。
やんわりと「やめようよ~」とは言ったが、リコ達は絶好のエサを狩った獣のような目付きをしていた。

噂は3日もかからずクラス全体、学年全体に広まった。
景子が登校すると女子はコソコソ話、男子は軽蔑の眼差し。本人もすぐに気づいたようだった。

そして、誰かが担任に噂のことを報告し私たちの取り調べは始まった。

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