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第二章 アイドル地下国

百八話 後悔と信頼

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武翠side

朝、見張りをしていたら陛下命令で出てきた手下達が地下国中を探し回って居る。目的は英雄ギルドを捕まえること、英雄ギルドを狙いに探しに来た。場所は宿屋、武翠は直ぐにこの事を仲間に伝えて窓から外に出て外に隠れる。だが外は手下達だらけ、隠れていればいずれ見つかる、だから武翠達は戦うと決め、手下達を薙ぎ倒して本部、レーヌ城へと到着する

到着した武翠達は飛んでくるレンに気付き、レンを援護する事を決め、武翠は紫織達と分かれ、門前に居る、門番と決闘。丁度降りてきたレンに先を行かせて武翠は門番、中佐のジャック・デパールとの決闘が始まる

名前 ジャック・デパール

白髪トゲトゲ短髪

「今頃、お前らの英雄さんはどうなっとるんかのぉ」

「なに?レンに何かあったのか!!教えろ!!」

「陛下の圧は精神状態が弱ければ弱いほど、効くという、その者は精神的に病み始め、ぶっ壊れ初めるって言っとったわ」

「それは………マズイ………!」

扉の先へ行こうとするがジャック・デパールに邪魔をされ、道を塞がれる。今はジャック・デパールとの戦いなのに、レンを優先してしまう武翠、だがジャック・デパールに道を塞がれて先に行けない、先に行くにはジャック・デパールを倒さなければいけない、精神状態が限界値に達してしまったらレンはその場で自害してしまうだろう。例え人が居たとしても構わず自害してしまう程の陛下の圧はあるという

武翠は斬り掛かる

「乱暴だのぉ、お前は。戦闘では必ず冷静を保たなくては隙が出来てしまうぞよ」

「ッ!」

横から何者かが斬り掛かる

なんとかその攻撃を抑える、その武翠を攻撃した者の正体は影である、ジャック・デパールの影であった。第二のジャック・デパールが出現してきたという事は難易度が上がったという事である。そして2対1、完全に不利な状況でもあり、完全に卑怯である、だが勝たなくては先へは進めない

「そうか………これからは強くならなきゃいけないんだもんな、強くなれよ、レン………私は私の任務を果たして、私も強くなるから」

レンの事はレン自身に任せて、武翠は武翠の任務を果たす。援護には向かわないと決めて、武翠はジャック・デパールとの決着をつける。ここで強くならなくてはこれから生きていけない、強くならないとレンの隣には居られない

この戦いでみんな、一段階強くなる

「さあ、決着をつけるぞ!ジャック・デパール!」

「来たまえ、英雄ギルド」

鎌と杖剣がぶつかり合う

中佐は中佐でも只者ではない、レーヌ城の中佐であり、レーヌ城の鉄壁の門番でもあるジャック・デパール、無断で入った者は容赦無くその場で切り裂いたという噂がある。巨人でも普通に強い者でも簡単に切り裂いてしまうくらい

押し返して影の方を切り裂く

「切り裂いたぞ!」

「はは、それはどうだかのぉ」

スキル ディッルアバタール

切り裂いた影は消えること無く、分身し始めた

スキル トランスファー

武翠に影が乗り移る

「グぁッ!!」

膝を着く

「さあ、ゆっくりお休みあれ、英雄ギルドさんや」

視界が真っ暗になり、何も見えなくなる、戦況は一気に変わり、相手が有利。こんなスキルを持ってて勝てるわけがないのだ、さっきは勝てると思って調子に乗っていた武翠だが一気に落ち込み初めた

どうすれば勝てる?

どうやってあの影を攻略すればいい

奴に勝つ方法があるのか

この空間から出られる方法は無いのか

これを倒さなければ、次へ進めない

「どうすればいいんだ!いや、こういう時こそ冷静にならないといけないな」

冷静にはなっているが、ずっとソワソワしている、勝てないという状況をどうひっくり返すかをまず考え始めるが、こんな乗っ取られる経験が無い為、こっから出られる方法が思い付かないし、出たとしても影の攻略法が無い。これは完全に詰みである

とその時

『武翠、何をボヤッとしているのかしら?』

「っ!?」

何故か英雄ギルドであった莉乃香が武翠の目の前に現れてきた、これは夢だろうか、幻覚だろうか、どちらにせよ嬉しくある武翠

あの時謝罪をしてなかった

あの時礼を言えなかった

言えずにお別れを迎えることになった

それだけは嫌だった

それだけは、最後だけは一緒に居たかった

「自我がある莉乃香か?」

『何言ってるのよ、あるに決まってるじゃない。でもあんたと話せるのは僅かよ』

「その僅かだけでも嬉しいさ、あ!そうだ!レン!レンのことを気にかけてやってくれないか!レンが、レンがやばいんだ!精神状態が、あのままだとレンが自害しちゃうんだ!莉乃香!助けてくれ、レンを」

『落ち着きなさいよ』

「落ち着けない!落ち着け無いんだ!何故莉乃香はそんなに冷静なんだ!」

『大丈夫よ、蓮なら』

レンの精神状態がヤバいというのに莉乃香は何故冷静なのか、何故冷静で居られるのか、おかしいのは武翠だろうか。莉乃香が冷静な理由、それは誰よりも愛し、誰よりも信頼し、誰よりも一番に大丈夫だと思っているから、レンは大丈夫だと、レンは必ず乗り越えられると、レンならあの程度の敵なら勝てるとそう言っている

莉乃香は

『蓮ならきっと勝てるわ、英雄を信じなさい、武翠』

「………信頼度高くないか?付き合ってると高くなるものなのか?私にはよく分からない、君達がそんなに信頼し合ってる理由が」

『ん~付き合ってるとかじゃないわね、なんかあいつならやれるって信じてるのよ、蓮と私は』

あいつならやれると深く信頼を得ているレンと莉乃香はあの時に途切れてしまった。あの瞬間、あの戦いで途切れた、だが好きって言う思いはまだ途切れていない。今もこれからもずっと、レンに伝えられなかった思いを全て後悔して少し悔しがる莉乃香、別れは伝えられない時もある

それが別れというもの

『蓮にさようならって、大好きって言いたかったわね』

「莉乃香………この戦いが終わったら、伝えるさ。私が必ずレンの元まで届けてみせる」

『まずは今戦っている敵に勝たないと伝えられないじゃない、まずはその敵に勝ってからよ』

「うぐっ………り、莉乃香………勝てないんだよ、あの相手、どうやったら勝てるんだ?」

『勝てるかどうかなんてあんた次第よ』

ヒントすら教えてくれない莉乃香だが、これは莉乃香にとって最大のヒントであり、最大の答えである。勝てるかどうかは武翠次第、実力はジャック・デパールより格上だというのにレンのことを気にしたり、ジャック・デパールより弱いと思ったりしているから勝てないのだと莉乃香は言っている。これが武翠に対する答え

そして莉乃香は

『あんたは強いんだから、勝てるわ。もっと自分を信じなさいよ』

「もっと………自分を信じる………」

『そうよ、自分を信じる』

「信じる………信じるがレンを助けたいという気持ちは変わらない」

『んもう、お人好しなんだから。なら全て救ってきて。あんたと紫織とみんなで』

「ああ」

自分を信じる、信じるのだが、レンを助けたくて仕方がないお人好しの武翠、助けたいという気持ちはみんな変わらない、みんな助けたいという気持ちを持っていることを知っている。だから武翠も仲間として家族として英雄ギルドとして助けると誓う

そして莉乃香に別れの言葉を言う時間

「レンには言わなくていいのか?」

『大丈夫よ、まぁ、見てなさい。私が惚れた男がどれだけ強いのか、精神がやられたくらいじゃレンはやられないわ』

「ふっ、ああ」

『あんたもあんたで勝ちなさいよ、武翠』

「必ず勝つさ」

またねとお別れの言葉を交わし、幻覚、幻影でも見えた莉乃香はとても本物に近かったが、それでも話せて嬉しく思う武翠。例え天国に居たとしてもレンを応援、信じ続ける莉乃香は笑顔で武翠の目の前で光と共に消えていった、武翠は今、目の前の敵とこの暗闇と戦うことだけに集中する

待ってろ、ジャック・デパール

待ってろ、レン!

まだまだ続く、武翠vsジャック・デパールの対決はどちらに微笑むのか、それはもうすぐ決着が着く
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