愛を知らない僕は死んじゃう前に愛を知りたい

しおりんごん

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第五章 体乗っ取られちゃった⭐︎

救われる権利なんて

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ボクは純粋に感心した


彼は、絶望して死んでもなお、自分の威厳を取り戻そうとしてる



ボクにはそんな彼がとてもカッコよく見えたんだ

前世でのボクは、救いなんてないものだと完全に諦めていた

それに転生した初めの時だって

ルティアーヌの結末を『しょうがないか』で、受け入れていた


そんなボクをギルや精霊たちが救ってくれたんだもの

何もしなかったボクが救われて
必死に足掻いてる彼が救われないなんて

とても納得できない

それに、少しだけの罪悪感もあるけどね

並行世界のボクだというのなら、この世界にもともといた『ルティアーヌ』の精神も、ここの彼と同じになっていたかもしれない

それならボクは、悪役でもない『ルティアーヌ』の体を無理やり奪ってしまった、、、なんて
考えても、どうしようもないけど






「きみ、何言ってるのかわかってる?
きみにとっての敵である僕の手助けをするっていうの?」

「うん。
正直、これからその主人公がこの世界に転移してくるのは定かじゃないけど
もしその時がやってきたらボクもキミのような状況になるかもしれない

だから、ボクもキミに助けて欲しいんだ」

「正気?
その『手助け』には、僕に体を貸すってことなんでしょう?」

「うーん、、、そうだけど、ちゃんとルールは決めよう!
ボクも学校には通いたいし、、、
キミも色々準備も調べたいこともあるでしょう?
だから時間制とか、、、それはおいおい
これはお互いにとって契約みたいなものだしね」

「僕がそのまま体を奪ってしまうかもよ?」

「その時は、キミを倒すよ」

「、、、、、、」



そう
キミの助けは、ボクの破滅に対する対策にもなるんだ

来るかもしれない主人公に対しても
ボクの寿命にしても
母様の記憶にある謎についても

これから未来を望むなら、やるべきことはたくさんある

「ボクの人生」を全うするって約束したんだから

それなら協力してくれるもう一人の自分以上に頼れる助っ人はいないでしょう?




というか、もう一人のボクが固まってるよ、、、
うーん、確かに「約束破ったら殺すぞー」
なんて言われて「わかった!」なんてすぐ返せるわけもないか
まぁ、ギルの新入生挨拶聞かせてくれなかった代償だよ
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