愛を知らない僕は死んじゃう前に愛を知りたい

しおりんごん

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第一章 ぼくの居場所

わくわく!屋敷の人に見つかったらアウト!天国を目指せ!物置部屋脱出ツアー!

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翌朝ボクの気分はまるで
インポッシブルなミッションを
クリアするスパイのような気分だった

、、、つまりは浮かれていた

今は午前10時ぐらい
ちょうど第一王子がこの屋敷に到着したぐらいだろうな

ボクはまず身軽な格好に、、、
と思ったけど物置部屋に
ボク用の身軽な洋服があるわけない

だからボクは前世の頃、図書館で指導書を見ながら作っていたコースターや、セーターの作法を思い出しながら
物置部屋にあった白い布と
針と透明な糸を使って
ちくちく夜中に作っていたワンピースみたいな布を被った
前世の頃よりもちろん背は小さいし
ても小さい
でも、小さいから早く作ることができた
適当に布を形に合わさるだけだったからね、裁縫はかなり得意かも!
極めて見たい、、、
死ぬまでにやりたいことが一つ増えた!

かなりヒラヒラしてパンツ見えちゃうかもって思ってたけど
足ギリギリまで裾が伸びてなんだかんだ
動きやすい感じになった!

ボクは鏡を探した

物置部屋なんだから使い古した鏡ぐらいあるよね

チカっと目に光が反射した
窓から対照的に置かれている物の布を
そっと取ってみた

!!やっぱり鏡だ!

自分の容姿をマジマジと見るのは何年振りだろうか

鏡に写ったボクは、、、



え!!おばけ?!?!



いや、ボクだ、、、

髪が!髪が長い!!!
顔が見えない!
そりゃ視界が狭いって感じるわけだよね

でも、髪自体はすごくサラサラで
(お風呂にはいつも全員が寝静まった後にこっそり入っていた、屋敷だからお風呂場はいくつかあって物置部屋の隣にもあるのが唯一の救いだった)
綺麗な深い藍色の髪をしていた
まるで深海みたい、、、

ドキドキしながら前髪?と言えるかわからないぐらい長い髪をそっと両手で分けた

そこに映った顔は、、、

あれ?ボクめっちゃ可愛くない??





びっくりした

小説のルティアーヌはかなりふくよかな体型をしていて
顔にも出来物がかなり目立っていて
周りから好まれる容姿ではなかったのに

鏡に映る僕、ルティアーヌは天使??

いや、自分で自分を天使というのは、かなり自意識過剰のようにみられると思うけど、前世のボクがルティアーヌの素顔を目の当たりにしたら
多分美しすぎて鼻血出して倒れちゃうかも、、、

クリンとしたとても大きな目は
これでもかというぐらいまつ毛がバサバサ付いていて
瞳の色は綺麗で透き通った黄金の瞳
薄くぷるんとした唇に、綺麗な形をしているまだ小さい鼻
ほっぺはほのかにピンク色に染まっていて、食べちゃいたいぐらいもちもちしている
でも、自分の顔だからどう頑張ってみても食べれない現実に少し悲しんだ

悪役令息なのにこんなに可愛いことがあるのだろうか?


、、、もしかして、ボク以外の人物からは悪役補正がかかってとても不細工でふくよかに見えてるのかもしれない

いや、絶対にそうだろうな
じゃないと、こんなところで一人で過ごしているわけがない

前世でもいくら勉強やスポーツができないとしても
顔が可愛ければかっこよければ
程よく愛されていたのだから

ボクは今とても可愛いけれど
(ナルシストに聞こえるけど、そういうわけじゃないよ)
だったら悪役令息だとしても
誰かは愛してくれるはずだろうに
この世界ではありえない
この顔はボクにしかわからないのだから
なんの意味もないことに少し残念な気分だった
前世でこの顔だったらアイドルになれるよほんとに!



あ、すっかり顔のことばかり気にしてしまった
よし、頭から消そう
周りからは不細工でふくよかな男の子にしか見えないのだから
不自然になってしまう

あー!!もう本当に!悪役令息補正なんて!もったいないなー!!


————————————————————

周りから容姿のことでバカにされるのは
いやだけど
このミッションでは
前髪で周りが見えないと
とても危険だから、前髪を切ることにした
後ろ髪は綺麗なストレートだからもったいなくて切ろうとは思えなかった


ボクはワンピースを作った時に使った
手芸セットのような箱からハサミを取り出して

、、、、、、、、、じょきん!!!







、、、やってしまった、


一般的に前髪を自分で切るということは
おかしいことではないだろう

だけれど、


長い髪+数年ぶりに触るハサミ+小さな手=失敗確定演出

当然のように失敗した

ボクは眉毛上のぱっつんで
長い髪

昔の日本の女性の髪型みたいになってしまった、、、


ま、まぁ、この髪型が好みの人は少なからずいるだろうし?!?!
ボクからみたら!ボクしか見れないけど!顔は可愛いのだから!

プラマイゼロだよね!!!

ちょっと、、、ほんの少しだけ涙が出た

しゅん、、、





———————————————————-

よし!身の回りの準備は完了した

なんか、ワンピースに長い髪に
可愛い顔立ちだからすっごい美少女に見えるなぁーと自画自賛しながら

でも周りから見たら
ふくよかなおばけなんだろうなー
と想像してちょっと笑いながら

廊下や、周りが完璧に静かになるのを待った
12時をすぎた頃
時が来た!!

ボクは忍足で非常階段を降りて

すぐ隣にある庭園のドアを開いた
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