転生人生三度目の正直〜今世こそは幸せ者になりたいっ!〜

しおりんごん

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「それじゃあリューちゃん。ママ、3階の席から見守っているから。張り切ってらっしゃいね」
「うん。行ってきます。」

神殿の入り口で母とは別れることになる。
ホール内は国中の10の歳になる子供が一同に集まっているからすごい人口密度だ。

、、、のにも関わらず、俺の周りには謎のバリアがあるように人が集まらなかった。
これは、、、神が言ってた禍々しい魔力云々のせいだろうな、、、。

それにしてもここまでわかりやすく避けられるのか!
逆に俺に親しくしてくれる村の人たちが不安になるレベルだ。危機感レベル1だろう。

バリア外からおそらく俺に関するヒソヒソ話や、他のたわいのない話が聞こえてくる。

『愛子になれるかなぁ!』
『ここ数100年は誰も愛子に選ばれてないらしいよ』
『なんだ、、、あいつ。おかしくないか』
『怖い、、、』
『なんか、臭くない?』
『お腹すいたー』
『うっ魔力酔いしそう。』

おい5人目!!!それ俺のことじゃねぇよな?!違うよな?!?!

あと最後のひと!俺のせいならごめんな!!


『お集まりの皆様。お席に着席願います。』

神官と思われる人物が声がけを始め出した。俺もそれに倣って席に着く。

両隣の子供が最大限俺から体を離してるのは気のせいだと思いたい。


『まず初めに、我らが大国の光。サリウス・カディルシア国王様よりご挨拶をいただきます。』
『10の年になる子供達よ。そなたらには今から己の力を知るための儀式を行う。自分の適性を知り、磨き、いずれ世のため人のために力を振るえる人間に成長することを心から願っている。
以上だ。』
『ありがとうございました。では、名前を呼ばれたものから壇上におあがりください。

ルキ・カディルシア殿下。』
「はい。」

やっぱり、、、。心の準備をしていたからそこまで動揺はなかった。
前世の姿をそのまま持ってきたような変わらず美しい子供が壇上に上がる。

あいつの姿を見れただけでこんなにも心が歓喜で溢れるなんて。我ながら呆れるな。

ルキは神父との間にある大きな水晶に手をかざす。
水晶が輝きだすのと同時に数メートル先にある魔法陣から神々しい光が溢れ出した。

『こ、これは、、、!』

周りの人間が騒ぎだす。

魔法陣の場には小さなドラゴンが
そしてルキの手の甲からは視覚できないほどの光が溢れていた。
神父もいつもの冷静さを脱ぎ捨てて、興奮したように宣言する。

『ルキ・カディルシア殿下!光の愛子であり、最上級の使い魔、ホーリードラゴンの幼体を顕現なさった!!』


うぉぉぉぉ、と。
周りの人間が熱狂している。前世と変わらず、彼はスーパースペックのようだ。 
前前世でもユーザーからは人気投票一位の大人気キャラだったから、、、。

ん?待てよ。
この世界は『仮初の世界と愛子の意志』の続編RPGだと神は言っていた。
でもそれなら、前作の主要キャラの生まれ変わりがここまで主張して存在しているのはゲーム的にありなのか?
それとも、誰かがプレイしているわけではないからそんなの関係ないのか、、、?

やはり神には色々聞き出さないといけないことがあるみたいだ。

結局あのあと、『あとは私に任せなさい!』と、不安を置き土産に姿を見せなくなったんだが、、、。
おそらく、この後の俺の召喚でなんらかの獣に扮して出てくるだろう、、、。多分。

あー!不安しかないんだが?!
あの神、報連相ができないにも程があるだろ!

『次、リュー・クランベルくん』

おっと。俺の番が来たようだ。

というか、初めはクランベルが家名だってことに焦りを覚えたんだが(1000年前の大悪党と同じ家名のため)
みんな何も気にしていないようだ。
以前見た伝記では、世界の最悪シア、としか記名されていなかったから、家名まで伝わっていなかったのかもしれない。
もしくはあの両親が俺との関係性を全て揉み消したのか、、、。

まぁ、俺としても、あいつらと縁を切られようが願ったり叶ったりなので特に思うことはないけれど。、、、って、言ってるうちに壇上にたどり着いた。

ちらっと特別席にいるルキに目を向ける。
よかった。特に俺に対して気づいてることもなさそうだ。
、、、寂しくなんかない。うん。


『手を。』
「はい。」

力は前世のものを引き継いだとしても。また闇の愛子になるとは思えない。
神が主要人物には近づくなと明言していたんだから、そこら辺は調整してるだろう。愛子なんて、主要人物が、いや、全国民が関心を向けるものに違いないから。


、、、と、思っていたけれど。

あっれれ~?なんか手の甲が光り出したぞ?

『こ、れは、、、』

おいおいおい!やめろやめろ!光るな!萎えろ!(?)
俺の切実な願いも届かず。俺の手の甲にはドス黒い紋章が浮かんでいた。



うわー。どうすんだよこれ。おい神!お前ちょくちょく思ってたけど仕事できないタイプだろ!


神に対して怒りを向けていた俺は気づかなかった。周りの人間が紋章より何より、魔法陣の方に目を奪われていることに。

「んー!数万年ぶりの顕現だ~!やっほーリューちゃん!出てこれたよー」

「「「「「人間を使い魔にしょうかんした?!?!?!?!?!?!」」」」」


あぁ。
この神に何かを任せることは今後ないだろう。多分こいつは愉快犯だ。




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