転生人生三度目の正直〜今世こそは幸せ者になりたいっ!〜

しおりんごん

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「リューちゃん~ご飯よぉ~」
「はーい!」


どうも。
前前世、渡邊龍斗。前世、シア・クランベル。

そんでもって今世はリュー・クランベルとして生まれ変わった俺です。

名前フュージョンしちゃってるけど、また違う名前よりも馴染みのあるものでちょっと嬉しい。


あれから、知らない天井を見つめていろいろ考えすぎて知恵熱が出た俺は今世の母親が起こしに来てくれた時には意識を失っていて。これ幸いと、一時的な記憶喪失を装った俺は簡単に今の状況を教えてもらえた。

話を聞いて出した結論は、ここは『仮初の世界と愛子の意志』の舞台から1000年ほど経った同じ世界だ。
正義の味方と、シアの争いは今には伝説として語り継がれているようで。後日見た伝記は概ね間違いはない話だったけど、店の店員がこれ以上肉を出せないとシアに不況を買ったことでシアはその店員を丸焼きにして食べてしまった、、、って話は流石に盛りすぎだ。
いくらラスボスでも人肉を食べたいとは思えなかった。

あーあと、俺が死んだ時の状況もかなり違ったけど。1000年前の物語が今も正しく受け継がれてる方が珍しいからそれはしょうがないことだろうと折り合いをつけた。

ただ、シアは女にだらしがなく、毎日酒と肉と女に溺れていた。って定義したやつは許さない。
どこから出てきたデマなのか、、、。風評被害にも程がある。ラスボスにも人権を!!


、、、と、話がずれてたな。

とにかく、ここは俺が死んでから1000年ほど経った世界で、俺は片田舎の平民として生まれ変わっていた。現在9歳。

裕福な家ではないけれど父も母も俺のことを心から愛してくれている優しい家族だ。
前世で心から欲しかった家族がもう手に入ってしまってるので、もしかしたら今世は前世で辛い思いをした俺にとっての神様から与えられた労いかもしれない。

その根拠に子供ながらも俺は前世での最終スペックほどの力を持っていた。俺は正義の味方に殺されたけど、負けたわけじゃなかった。負け惜しみとかでもない。ただ詳しく話すのは長くなるので割愛するけど、、、。
死んでしまったけれど前世では世界最強だった自信がある。
これは夢見てたファンタジーチートライフができるのでなないのだろうか。

「リュー。今日ジノおじさんのお手伝いしたと聞いたよ。偉いね。ジノおじさんからお礼のパンをもらったんだ。明日の朝食べようか。」
「まぁまぁ!リューちゃんいい子ねぇ!優しい子に育ってくれてママ嬉しいわぁ」
「えへへ。うん!明日起きるの楽しみ!」


うん。でもとりあえずはまだ冒険にも行かずにこの家で過ごしたいかな。



----------------------------------------------------------------------

転生してから三ヶ月ほど経って、この世界にも慣れてきた俺は今鏡の中の俺を見つめている。、、、決してナルシストとかではないから誤解しないでほしい。

シア・クランベルはゲームの主要キャラなだけあって美青年だった。
だが今世の俺は残念ながらシアではなくありきたりな日本人モブの渡邊龍斗の外見を引き継いでしまったのが少し惜しい。黒髪黒目のそこらへんにいる男の子だ。

まぁ、シアの外見を持って生まれてもこの世界では忌み嫌われている悪だしまた面倒が起きてしまうのは確実だから、、、。現像魔法で当時の記録残ってるし。シアの顔、世界史の教科書とか載ってそうだし。
でもでも、名前を足して2で割ったなら、外見も足して2で割ってくれてもよかったんじゃあないですか?神様。今よりはかっこいいでしょうに。


『チート能力そのまま持ってこれただけでも感謝してよね~』
「いや~でも。シアはあの外見ももはや武器というかなんというか、、、

、、、って、え?!?!」


鏡の中の俺が喋っている?!?!


『それはそうだけどさ。でも今の君も十分可愛いよー。その小さめのお鼻とか。潰してやりたくなっちゃう。』
「は?!え?!何事?!?!」
『どーどー落ち着いて~ビークールだよ』
「幻影魔法?いや、誰が何のために、、、?とりあえず依代の鏡ぶち壊せばいいか。」
『ちょっと待って!落ち着くの早すぎる!!』
「お前が落ち着けって言ったじゃん。敵襲に焦り続けるわけもないだろ。伊達にラスボス人生送ってねぇよ。」
『ヒュー!かっくいー!望んでラスボスになったわけでもないのに知識と経験はどこまでも活かそうとする意地汚なさがとって見えるね!』
「よし。ぶち壊す。」
『うひゃー!待って待って!何で君がまた転生したのか知りたくなぁい?!』

何だこいつ。
何故俺が転生者だと、、、しかも『また』?
3度目の人生なのを見抜いてる?

『まず自己紹介だね。どうもー神様だよー!』
「ぱぱ~!工具セットってどこにあったっけー?」
『待ってってば!!ほんとに私神様なの!君の前世も前前世も私が用意してたんだよ!』
「、、、本当に?」
『本当本当!!前前世の君の勤めてた会社も住んでいた街も、携帯キャリアの会社も出身大学もクレカの暗証番号も購入したAVだって私は知ってるよ!』
「、、、は?やば」
『ガチで引かないでよ~、、、』


でも。この世界にはない言葉、、、クレカとか、携帯キャリアとか。
それを口にしているということは、あながち神様というのもありえるかもしれない。
どちらにせよ、ただものではない。


「それで?神様とやらが俺に何のようだ。」
『お、信じてくれるようだね!それじゃあ本題に入るけど、君にはもう一度世界を救ってほしいんだ!』
「はぁ?世界を救う?それにもう一度、、、って。神様なら知ってんだろ。俺は世界を滅ぼしかけて殺された悪役だった。」
『もう!屁理屈言っちゃって~。私は神様だよ?君が何を考えて、何で殺して、何で殺されたのかなんてお見通しだぞ⭐︎』
「うざ、、、」
『神様にうざいなんて言わない!とにかく君には前世と同じやり方じゃなくていいからこの世界を救ってほしいんだ。そのためにスペックそのまま引き継がせたし。』
「何で俺なんだ?メリットも、やらなくちゃいけない理由もない。それに今はこの世界平和そのものだぞ?何から世界を救えってんだよ。」
『もぉ~一気に質問しないで~!せっかちな男はモテないぞ!』

何なんだこの自称神!めちゃくちゃうざくないか?!

『心の中丸見えだからね!うざいとか言わない!』
「はっ。腐っても神ってわけ?」
『腐ってないです~新鮮もぎたてフレッシュ神様だっての』
「、、、さっきの質問の答えは?」
『まず、世界平和そのもの~の話だけど近い将来この世界は滅びます!』
「は?どういう、、、っ!」
『質問はひとまず待ってねぇ』

な、なんだ?!口が開けない!高度な束縛魔法、、、!

『まずねーこの世界って君がラスボスだったゲームの続編なんだよねぇ。で、ゲームってことはラスボスが出てくるわけでしょ?でもちょっと諸々の不手際で本来のラスボスよりまぁ、結構強くなっちゃってて、、、私が直々に排除できるのが一番いいんだけど、世界に直接関与することはタブーなんだよ~。だから君の力を借りたいわけ!
前前世の魂を気まぐれにゲームのラスボスに移してみたらなんかすごいスペックの化け物できちゃって。そのまま世界滅ぼすかなぁ?って傍観してたら君あっけなく死んじゃったし、、、。君、結構私のお気に入りだったんだよー?君の人生面白かったのにさ。
それから1000年ぐらい暇してたけどなんか世界がバグり出して未来覗いてみたら続編世界のラスボスめちゃ強になってて!君の魂を思い出してさ!君なら倒せるかもーってもう一回呼び起こしちゃったわけ!』
「んーんーんーん!!んんー!!ん!!!!(俺の転生関連の問題全部お前のせいなのかよ!!!!!!!)」
『いや~まぁさ、最初の転生は本当気まぐれだったし~まさかあんな結末迎えるなんて思ってなかったもん!ごめんごめんのメンゴのすけ!』

軽い、、、そしてうざい、、、!!!

『やらなくちゃいけない理由は正直なところないけど~神様のお願いだよ~
あーメリットは少しあるかも?ほら~君の元彼。彼もまたこの世界に生まれ落ちてるよー』

は?

その瞬間俺の頭に美しく聡明な1人の男が思い浮かんだ。純白の髪に輝く金の瞳。この世の美しさを全て詰め込んだような、、、そんな男が。

『詩的だねぇ。意外とロマンチスト~?』
「(うるさい!てか、元彼でもなんでもない!!)」
『ありゃ、そうなの~?でもあの金ピカ王子と乳繰り合ってたじゃん』
「んーーーーーーーー!!!!!!!!!!💢💢(声にならない怒り)」
『うわぁ!ごめんごめんって!とにかくさ!彼がいる世界なら救うメリット、君にあるでしょ?』

くそっ。何もかも理解されてるようで気持ち悪い。
あぁそうだよ。あいつがいるなら、それだけで俺はこの世界を守らなくちゃいけないんだ。大変遺憾だが!!

『私も君に無償で働いてほしいわけじゃないからね~一応この世界は私の管轄だし、できるだけサポートするよ~ほら。親ガチャは大成功なの用意したでしょ?』
「(親ガチャいうな。でもあの2人はとてもいい人だし、、、。お前の話が本当なら少し働いてやっても、、、いい。、、、はぁ。具体的にどうするんだよ。)」
『うーん。それはまだ考え中⭐︎まぁとにかく、君には続編世界の主人公どもとはあまり関わらない方がいいってことだけ忠告しとくね!』
『(は?なんでだよ)』
『何でもかんでもありませんーこの村には魔力を感知できるものがいないから君はのほほんと暮らしてるけど、君一応元ラスボスだよ?禍々しい魔力漏れ漏れなの~王都の学園では一目置かれるを通り越して避けられるだろうねぇ!怖すぎて!』
「(安易に主人公側に近づいても警戒されるだけってこと?)」
『そゆことー』
「(お、まえさぁ、、、!神様ならそこんとこうまく調整できただろうが!!)」
『いやだからー言ったでしょ?すごいスペックの化け物できちゃったって。君前世で僕の予想を安易に超えるほど力つけすぎたんだよー』
「(、、、確かにファンタジー世界に転生できた喜びでのめり込んで魔力も何もかも鍛えてたっけ)」
『自業自得乙です!てわけで、またなんかあったら連絡するわ~!アデュー⭐︎』

と言った感じで。
俺と神様(仮)の初の会合は終わってしまった。最後の最後までウザかった神には痺れたが憧れはしない。なんならぶち倒したい。

てか、なんも詳しく話してないじゃん!俺これからどうすりゃいいの?!?!








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