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本編
堂山レオンの昔話③
しおりを挟む「は?!誰か入ってるー?!?!」
どんどんどんどん!!!!!!!!!
きっと帰り道で危なくなって(何がとは小太郎くんの名誉のために言わないけど)、人気のない公園のトイレに焦ってきたんだろう
「おーい!!どれほどで出てきますかぁぁー!!!!!!!!!」
古びた公園だったから男性トイレもひとつしかなかった
「はぁ?!壊れてんのドア」
咄嗟にこの声の人がここから帰ってしまったらやばいと思った
だから
「っ、、、、助けてください!!!!!!」
小太郎くんの間抜けで大きな声が僕を動かしてくれたんだ
------------------------------------------
それからはあっという間
僕を連れ込んだ男は咄嗟にドアを開けて逃げようとしてたけど焦っていたのか何もないところで転んで
それをこの状況に混乱しながら見逃さなかった小太郎くんは、男に向かって、その、股の中心に蹴りを入れた(蹴りというか、、、ほぼ踏んづけてたと思う)
男は蹲る
「えっ、えっ?!えと、とりあえずやばい人だよね?!?!
だれかぁぁぁ!!!!!!!!!たすけてくださぁぁぁい!!!」
子供の下校時間ということもあって、多くの大人が住宅街から出てきた
多数の大人に流石に諦めがついたのか、男は大人しく蹲る
僕はまだ動けずにトイレの中にいて、集まった大人たちに囲まれる
そのまま男は警察に連行されて、僕は残った警察官に聞き取りをされて、母さんが迎えにきた
住宅街の大人たちに心配されて囲まれていたうちに小太郎くんはいなくなってて
ただただ、僕を助けてくれた大きな声が耳にずっと残っていた
------------------------------------------
それから3日ぐらいだった頃だと思う
僕はどうしても助けてくれた小太郎くんにお礼を言いたくて、あの公園の道沿いに行った
母さんにも警察にも小太郎くんの存在を話したけど、いつのまにかいなくなってたから特に言及はされなくて
ただ、母さんからは
『その子はレオンちゃんのヒーローね』
って
「きみっっっ!!!!」
瞬間、あぁ僕のヒーローだって心の中で思った
「え、っと、あ、ごめん大声出して
え?この前の子だよね?あの、あー、公園でその、うん。とりあえず!
なんでまた1人でここにいるの?!?!危ないよ!!!」
この付近にある中学校の制服を纏った小太郎くんは、僕に焦った様子で話しかける。かなり言葉に困ってるけど
きっと、襲われた、なんて言葉を言ってしまったら僕がいやなことを思い出してしまうとか、そんなことを考えてたんだろう
「あ、お兄さん、、、ごめんなさい、でも僕どうしてもお兄さんにお礼を言いたくて、、、」
一旦話が変わるけど
可愛げのない小学生の僕は、前回のことで少しは周りを見直す、、、、、、
なんてことはなく
もう二度と同じ轍を踏まない、って言うことを心に刻んだだけで、周りを舐め腐って生きている分には変わりなかった
でもなんでか
目の前のお兄さんには嫌われたくないな、好かれたいな、なんて思ってしまって
つい健気な小学生という態度を取る
そんな僕を見て、困った顔をする小太郎くん
「えーっと、、、とりあえず。どっか人の多いとこに、、、」
「僕の家に来てくださいっ!!」
僕は友達を家に招くことはよくある
というか、あちら側からお願いされて招待する
だから僕が家に誘ったのは小太郎くんが初めてだった
「母さんもお礼がしたいって言ってたし、、、もしお兄さんが良ければ、、、」
半分嘘で半分本当
母さんはいつか会ったらお礼はしたいとは言ってたけど、家に連れてまでとは思ってないだろう
完全に僕の独断だった
「あー、、、。う、うん、
君の家族が良ければ、お邪魔しようかな?」
後から知った話だと
小太郎くんは僕のことを天使みたいに考えていたらしい
だから1人で歩いていたらまた攫われるだろうと
だったら自分が家まで着いて行って、ここから安全に帰したほうがいいなと思ったんだって
いや、小太郎くんの方が天使か?聖母か?
僕は少し周りを恐れた様子をわざと作り出して、小太郎くんに手を繋いでもらう
「ありがとう、、、お兄ちゃん」
僕の顔面をフル使用して、精一杯健気な小学生を作った
高校で唯一心を許してる友人にこの時の話をしたら
『天使の皮を被った大魔王だろお前は』と言われた。失礼だな
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