異世界で最強の魔導士になるために

椿空

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第53話 絆の力

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ダンテたちはシェイドの指示に従い、次の試練の場に足を踏み入れた。目の前に広がる光景は、彼らの心の奥深くに潜む恐怖そのものだった。大きな鏡が立ち並び、その中には彼ら自身の姿が映し出されていた。

「これは…私の恐怖だ。」リーナが震える声でつぶやいた。

彼女の鏡には、孤独を抱える彼女自身が映し出されていた。周囲には誰もいなく、彼女だけが取り残されている姿だ。

「リーナ、逃げないで!それが恐怖なんだ。」ダンテが呼びかける。

「私は…もう一人ではない!」彼女は鏡に向かって叫び、力強く前に踏み出した。

すると、彼女の映像はゆっくりと変化し、彼女の仲間たちが傍にいる姿が現れた。その瞬間、彼女の恐怖は少しずつ薄れていった。

次に、カイルの鏡が光り輝く。彼の前には、過去の失敗や仲間を守れなかったときの自分が映し出されていた。

「お前は弱い、仲間を裏切った者だ…」鏡の中の声が彼に囁く。

「違う!俺は、もうそんな自分には戻らない!」カイルは剣を高く掲げ、鏡に向かって突進した。剣が鏡に触れる瞬間、彼の心の声が響いた。

「俺は仲間を信じている!だから、俺は強くなる!」

鏡は彼の力に反応し、砕け散った。その瞬間、彼の心の中にあった恐怖も消え去った。

フィンの前に現れたのは、彼が最も恐れていた失敗の瞬間だった。彼は再び、仲間を助けられなかった場面を目の当たりにしていた。

「お前は無力だ、何もできなかった。」その声が彼を責め立てる。

「それはもう過去のことだ!」フィンは叫び、勇気を振り絞った。「今は、仲間がいる!俺は一人じゃない!」

彼の言葉が響き渡ると、鏡は再び崩れ去った。彼の心の中の恐怖も、少しずつ消えていった。

そして、最後にダンテの前に現れたのは、彼自身の不安だった。強さを求めるあまり、仲間を犠牲にするかもしれないという恐れだ。

「お前は、本当に仲間を守れるのか?」その声が心に響く。

「そうだ、俺は…仲間を大切に思っている。」ダンテは強く言い放った。「俺が強くなるのは、仲間を守るためだ!」

その瞬間、彼の内なる声が響き渡り、鏡が割れた。彼の心の中にあった恐怖も、仲間たちの絆によって消え去った。

「お前たちは見事だ。恐怖を克服し、真の絆を手に入れた。」シェイドが微笑む。

「これで、次の試練を受ける準備が整った。お前たちが求める力は、既にその手の中にある。」シェイドは告げた。

ダンテたちは互いに見つめ合い、勝利の喜びを分かち合った。彼らの心の絆は、これまで以上に強くなっていた。

「次はどんな試練が待っているの?」リーナが興奮した声を上げた。

「それはお前たち自身が、進む道を切り開くことで知ることになる。」シェイドは神秘的な笑みを浮かべて言った。

ダンテは仲間たちの顔を見つめ、心の中で決意を固めた。「どんな試練が待っていても、俺たちは乗り越える!絆の力を信じて!」
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