異世界で最強の魔導士になるために

第45話 試練の先に

ダンテたちは、突如として現れたモンスターに対峙していた。目の前にいるのは、全身が鋼のように硬い皮膚で覆われた大型の獣だ。獣は、唸り声を上げながら迫りくる。その目は獲物を捉えようとする獰猛な輝きを放っていた。

「くそっ、動きが速い！」フィンが焦りを見せる。

「冷静に、まずはダンテが引きつける。私たちはその隙に攻撃を！」リーナが指示を出した。

「了解！」カイルが剣をしっかりと握りしめ、彼女の言葉に従った。

ダンテは前に出て、モンスターの動きを観察しながら、すばやく剣を振るった。モンスターはその鋭い爪をダンテに向けて振り下ろそうとするが、彼はすんでのところでかわす。

「今だ！」ダンテが叫び、仲間たちが一斉に攻撃を仕掛ける。

フィンは弓を引き絞り、矢を放った。矢はモンスターの側面に命中し、少しばかりの傷を負わせた。しかし、獣は驚くことなく、逆に怒りの咆哮を上げる。

「こっちだ！」リーナがダンテの隣で魔法を唱え始めた。「ファイアボルト！」

炎の玉がモンスターに向かって飛んでいく。しかし、モンスターはすばやく身をかわし、炎は木に当たって爆発した。

「もっとうまくやれよ！」ダンテが苛立ちを滲ませた。

「うるさい！私だって頑張ってるわ！」リーナは自分を奮い立たせ、次の魔法の詠唱に入る。

モンスターは再びダンテに向かって突進してくる。ダンテはその動きを読み、剣を振りかざして対抗した。刃は獣の首に当たるが、鋼のような皮膚に弾かれ、ダンテは後ろにふらついた。

「こいつ、ただのモンスターじゃない！」ダンテは冷静さを失わず、さらに鋭い一撃を放つ。

「こっちに来るな！」フィンが叫び、もう一度矢を放った。

モンスターはフィンの矢を無視し、ダンテの方へ突進する。ダンテは剣を構えたまま立ち尽くしていたが、そのとき、カイルが彼の視界に飛び込んできた。

「ダンテ、後ろだ！」カイルが声を上げた。

振り返ると、そこには別のモンスターが現れていた。それは目に見えないほど速く、まるで空気を切り裂いているように近づいてきた。

「うわああ！」ダンテは思わず剣を振り上げるが、モンスターは彼をかわして過ぎ去る。

その瞬間、ダンテの心に冷静さが戻ってきた。彼は一瞬の間、戦術を考えた。彼は仲間たちに指示を出す必要がある。

「みんな、戦い方を変えよう。分散して、モンスターを引き離す！」

「でも、そうしたら危ないじゃないか！」フィンが心配する。

「信じてくれ、みんなで力を合わせれば乗り越えられる！」ダンテが確信を持った声で答える。

仲間たちは少し不安そうだったが、ダンテの言葉に従うことにした。

ダンテはモンスターを引きつけるため、数歩後退した。リーナは魔法を使って遠くからサポートし、カイルは近くの木に隠れて、モンスターが近づくのを待つ。

「いけるかもしれない…」ダンテは胸の内で呟いた。

再びモンスターがダンテに向かって突進する。彼はその瞬間、剣を振りかざして攻撃した。今度はモンスターの動きに合わせて、見事にその腹に剣を突き刺すことができた。

モンスターは痛みの声を上げ、後退する。

「今だ、リーナ！」ダンテが叫ぶ。

リーナは瞬時に魔法を詠唱し、モンスターに向かって火の球を放った。火の球は獣の背中に命中し、さらに大きなダメージを与えた。

「やった！」フィンが興奮して叫ぶ。

しかし、モンスターはまだ倒れていなかった。再び彼らに向かって突進してくる。

「立て直せ、次が最後のチャンスだ！」ダンテが声を張り上げる。

彼らは一丸となってモンスターに立ち向かうことにした。カイルは近くの木から飛び出し、もう一度剣を振るい、獣の足を狙った。

その瞬間、ダンテは全力を振り絞り、剣を振り下ろした。モンスターの頭に直撃し、ついにその巨体が崩れ落ちる。

「やったか？」フィンが息を切らしながら尋ねた。

「まだ油断するな！」ダンテが警戒を怠らずに言った。

モンスターは完全に静まり返り、その周囲は静寂に包まれた。仲間たちは勝利の瞬間を共有し、達成感が胸に広がった。

「これで一つの試練を乗り越えた。だが、運命の石はまだ遠い。」ダンテは仲間たちを見つめながら言った。