異世界で最強の魔導士になるために

第31話 迷いの森

火の精霊の試練を乗り越えたダンテたちは、次なる目的地である「迷いの森」へと向かっていた。この森は、古代の魔法によって道を失った者たちが彷徨う、危険な場所だとされている。彼らの目的は、伝説の秘宝「希望のクリスタル」を手に入れることだ。

「迷いの森は、あまり長居したくないな。」カイルが不安を漏らす。「一度入ったら、二度と出られなくなるって話もあるし。」

リーナは地図を広げ、眉をひそめながら言った。「でも、クリスタルがあるとすれば、ここを通るしかないわ。」

ダンテは仲間たちを見渡し、勇気づけるように笑った。「心配するな。俺たちが一緒にいる限り、迷うことはないさ。」

森に足を踏み入れると、薄暗い木々が生い茂り、太陽の光がほとんど届かない。そのため、まるで永遠に続く暗闇の中にいるかのような感覚を覚えた。彼らは一歩ずつ進み、周囲を警戒しながら道を探る。

「ここ、ずっと同じ場所を回っている気がする。」フィンが周囲を見回しながらつぶやく。「やっぱり、迷いの森って本当に不気味だな。」

リーナは何かを感じ取り、静かに言った。「私、何かがこっちから呼んでいる気がする。」

ダンテもその感覚を感じ取り、仲間に向かって言った。「リーナの言う通りだ。何かが僕たちを導いているかもしれない。信じて進もう。」

その言葉に勇気づけられた仲間たちは、リーナの指差す方向へ進んでいく。だが、森の深部へ進むにつれて、周囲の空気がどんどん重くなっていくのを感じた。

「この場所、ただの森じゃない。」ダンテは不安を覚えた。「何か異常な力を感じる。」

不意に、視界の隅に小さな影が見えた。彼らはそれに気づき、恐る恐る近づいていく。影は、森の中を歩く人影だった。顔は見えないが、何かを持っているようだ。

「誰かいるのか？」ダンテは声をかけたが、相手は振り返ることなく、そのまま森の奥へ進んでいった。

「気をつけて。何かの罠かもしれない。」カイルが警戒を強めた。

影を追ううちに、彼らはその人物の後をつけることになった。やがて、森の奥にある小さな清流にたどり着くと、影はそこで立ち止まっていた。

「どうしてこんなところに？」リーナが不安を感じながら言った。

影の正体が明らかになると、彼らは驚愕した。それは、以前彼らが出会った「迷いの森の精霊」だった。精霊は、悲しげな目をして彼らを見つめている。

「お前たちが来るのを待っていた。」精霊は言った。その声はまるで風のように柔らかかった。「この森には、あなたたちの力が必要だ。」

ダンテは思わず一歩踏み出す。「私たちの力が？」

「この森は呪われている。力を求める者たちが迷い込み、永遠に抜け出せない運命にある。」精霊は語り続けた。「お前たちが、クリスタルの力でこの呪いを解いてくれることを期待している。」

リーナは精霊に向かって尋ねた。「そのクリスタルは、どこにあるのですか？」

精霊は森の奥を指差しながら言った。「あの奥に、クリスタルが眠っている。しかし、そこには試練が待ち受けている。お前たちがその試練を乗り越えられるかは、今後の行動次第だ。」

カイルは少し考えた後、決意を固める。「試練に挑むのはいいけど、どんな試練なんだ？」

「過去の影と向き合い、あなたたち自身の真実を見つめることが試練だ。」精霊は言った。「その影を乗り越えなければ、クリスタルにはたどり着けない。」

ダンテは仲間たちを見つめた。「みんな、どうする？ここで立ち止まるわけにはいかない。」

フィンは頷き、勇気を持って答える。「行こう！過去を乗り越えて、クリスタルを手に入れよう。」

リーナも強く頷き、「私たちならできる。必ず乗り越えてみせるわ。」