143 / 162
倉知君の ※
しおりを挟む
〈倉知編〉
やけに近くで見ているなと思ったら、加賀さんが言った。
「倉知君のちんこってさ」
「え?」
一気に血の気が引いた。重大な事実を告げる前触れのような、深刻な声色だったからだ。
「え、なんですか? 俺の、なんか変ですか?」
慌てて訊くと、加賀さんがうわの空で「うん」と言った。その「うん」は肯定の「うん」なのか、はたまた別の意味の「うん」なのか。次の言葉を待ったが、加賀さんは再び「うん」と言った。
俺のちんこは変らしい。
目の前が暗くなる。
「あ、ごめん、そうじゃなくて」
俺の股間をまじまじと眺めていた加賀さんが、さっきと変わらぬテンションで、同じ科白を繰り返した。
「倉知君のちんこってさ」
「は、はい、俺のが、なんですか?」
黒いとか、臭いとか、汚いとか、ネガティブな形容詞を予想していると、加賀さんが「大きいよね」とさらりと言った。
「……えっ」
動揺して少し体が跳ねてしまった。
「はは、こっちも反応した」
褒められた自覚があるのか、加賀さんの手の中でペニスがびくんを上を向く。
「俺、大きいですか?」
「うーん、正確には大きくなったなあって」
「そ……、そうですか……っ」
大きいことがいいことなのかはわからないが、なんとなく嬉しくて、弾んだ声が出た。加賀さんが目を上げて俺を見る。
「成長したとしたら、俺のおかげだよな」
上目遣いで俺を見ながら、裏筋に舌を当てた。根元から先端まで、ねっとりと舐め上げてから、身を起こす。
「ちょっと比べてみる?」
俺の上にまたがって両膝立ちになると、自身のモノを、ごしごしとしごく。その動作をうっとりと見つめ、素朴な疑問を口にした。
「比べるって、どうやって」
「別にこう、くっつけて、目視で? どう?」
上に乗った加賀さんが勃起したペニスをくっつけてくる。まるで鍔迫り合いのように、二本が擦れ合っている。
「わ、わかりません」
声が、上ずった。加賀さんは顔色を変えずに、裏側同士をずりずりとなすりつけてくる。腹の上で極限まで膨らむ自身を、息をつめて見守った。
「これは? どう?」
「あ……っ、あの、気持ちいいです」
「そうじゃなくて」
「加賀さん、加賀さんの、先っぽから出てます」
先走りがにじみ出て、丸い水滴になっている。目が、釘づけになった。ナイトスタンドに照らされたそれは、瑞々しい輝きを放っている。
「まるで真珠のよう……」
「ちょ、真顔でそういうのやめろって」
吹き出して、腹を抱える加賀さんのイチモツに、素早く手を伸ばす。
「動かないで、測ります」
「お、おう」
手のひらに、二人分のぬくもり。対面座位の体勢で、腰を浮かせ、揺すってみる。
「ん……」
加賀さんの爪が、肩に食い込んだ。眉間の皺が色っぽい。俺の動きに合わせて、加賀さんの腰が、揺らめく。
赤く染まっていく首筋。息を荒げ、観察する。手中には、怒張していく二人の欲望。動きが激しくなっていく。止まらない。二人の呼吸が、乱れていく。
「はあっ、あっ、あー……、やべえ、気持ちいい、……イッてもいい?」
「俺も、……もう、イキそうです」
イクことにした。
先に、俺が達した。吐き出される精液が、ぬちゃ、と音を立て、直後に加賀さんが「う」と小さく声を漏らした。右手の動きを、止めない。最後の一滴まで、搾り取る。
「はっ、あっ、もう、いいから」
「加賀さん、気持ちいい?」
「うん、ん……、ああもう……」
ぎゅう、と首に抱きついた加賀さんが、俺の首に唇を押し当てて、「好き」とつぶやいた。
「またイッちゃいそうです」
きつく抱きしめ、目を閉じた。
心臓の鼓動を感じる。
満ち足りて、全身に安堵が広がった。
気持ちいい。
「加賀さん」
「ん」
「どっちが大きいか、わかりませんでした」
何が、と言いかけた加賀さんが、思い出したように吹き出して、気だるげに息を吐く。
「うん、まあ、……どうでもいいな」
「ですね」
「とりあえず」
「はい、もう一回?」
「する?」
復活の兆しがある。二人同時に、股間を見下ろした。
もう一度、キスから始めよう。
〈おわり〉
やけに近くで見ているなと思ったら、加賀さんが言った。
「倉知君のちんこってさ」
「え?」
一気に血の気が引いた。重大な事実を告げる前触れのような、深刻な声色だったからだ。
「え、なんですか? 俺の、なんか変ですか?」
慌てて訊くと、加賀さんがうわの空で「うん」と言った。その「うん」は肯定の「うん」なのか、はたまた別の意味の「うん」なのか。次の言葉を待ったが、加賀さんは再び「うん」と言った。
俺のちんこは変らしい。
目の前が暗くなる。
「あ、ごめん、そうじゃなくて」
俺の股間をまじまじと眺めていた加賀さんが、さっきと変わらぬテンションで、同じ科白を繰り返した。
「倉知君のちんこってさ」
「は、はい、俺のが、なんですか?」
黒いとか、臭いとか、汚いとか、ネガティブな形容詞を予想していると、加賀さんが「大きいよね」とさらりと言った。
「……えっ」
動揺して少し体が跳ねてしまった。
「はは、こっちも反応した」
褒められた自覚があるのか、加賀さんの手の中でペニスがびくんを上を向く。
「俺、大きいですか?」
「うーん、正確には大きくなったなあって」
「そ……、そうですか……っ」
大きいことがいいことなのかはわからないが、なんとなく嬉しくて、弾んだ声が出た。加賀さんが目を上げて俺を見る。
「成長したとしたら、俺のおかげだよな」
上目遣いで俺を見ながら、裏筋に舌を当てた。根元から先端まで、ねっとりと舐め上げてから、身を起こす。
「ちょっと比べてみる?」
俺の上にまたがって両膝立ちになると、自身のモノを、ごしごしとしごく。その動作をうっとりと見つめ、素朴な疑問を口にした。
「比べるって、どうやって」
「別にこう、くっつけて、目視で? どう?」
上に乗った加賀さんが勃起したペニスをくっつけてくる。まるで鍔迫り合いのように、二本が擦れ合っている。
「わ、わかりません」
声が、上ずった。加賀さんは顔色を変えずに、裏側同士をずりずりとなすりつけてくる。腹の上で極限まで膨らむ自身を、息をつめて見守った。
「これは? どう?」
「あ……っ、あの、気持ちいいです」
「そうじゃなくて」
「加賀さん、加賀さんの、先っぽから出てます」
先走りがにじみ出て、丸い水滴になっている。目が、釘づけになった。ナイトスタンドに照らされたそれは、瑞々しい輝きを放っている。
「まるで真珠のよう……」
「ちょ、真顔でそういうのやめろって」
吹き出して、腹を抱える加賀さんのイチモツに、素早く手を伸ばす。
「動かないで、測ります」
「お、おう」
手のひらに、二人分のぬくもり。対面座位の体勢で、腰を浮かせ、揺すってみる。
「ん……」
加賀さんの爪が、肩に食い込んだ。眉間の皺が色っぽい。俺の動きに合わせて、加賀さんの腰が、揺らめく。
赤く染まっていく首筋。息を荒げ、観察する。手中には、怒張していく二人の欲望。動きが激しくなっていく。止まらない。二人の呼吸が、乱れていく。
「はあっ、あっ、あー……、やべえ、気持ちいい、……イッてもいい?」
「俺も、……もう、イキそうです」
イクことにした。
先に、俺が達した。吐き出される精液が、ぬちゃ、と音を立て、直後に加賀さんが「う」と小さく声を漏らした。右手の動きを、止めない。最後の一滴まで、搾り取る。
「はっ、あっ、もう、いいから」
「加賀さん、気持ちいい?」
「うん、ん……、ああもう……」
ぎゅう、と首に抱きついた加賀さんが、俺の首に唇を押し当てて、「好き」とつぶやいた。
「またイッちゃいそうです」
きつく抱きしめ、目を閉じた。
心臓の鼓動を感じる。
満ち足りて、全身に安堵が広がった。
気持ちいい。
「加賀さん」
「ん」
「どっちが大きいか、わかりませんでした」
何が、と言いかけた加賀さんが、思い出したように吹き出して、気だるげに息を吐く。
「うん、まあ、……どうでもいいな」
「ですね」
「とりあえず」
「はい、もう一回?」
「する?」
復活の兆しがある。二人同時に、股間を見下ろした。
もう一度、キスから始めよう。
〈おわり〉
52
お気に入りに追加
537
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる