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昼寝
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〈加賀編〉
休日出勤をした土曜日。昼過ぎに帰宅すると、珍しい光景が広がっていた。
なんと、倉知がソファに体を横たえて、昼寝をしていたのだ。
これは珍しい。珍しすぎて、心が躍る。
音を立てないように、床に鞄を置いた。点けっぱなしのテレビは音量が小さい。倉知は神経質だから、少しの異音でもきっと目を覚ます。
慎重に、忍び寄る。
ソファで眠っている。
ただそれだけなのだが、妙にテンションが上がる。
可愛いな、愛しいな、と笑みが零れた。
肘掛けの部分からはみ出た足の裏を、こちょこちょしたい。
我慢した。すぐに起こすのはもったいない。
え、どうしよ。
何かはわからないが、クスクス笑いがこみ上げてきた。笑い出しそうになるのを必死で堪えて、スーツの上着を脱ぎ捨て、ネクタイを解き、手のひらを静かに擦り合わせた。
倉知が無防備に眠っている姿を、俺はあまり見ないのだなとこのとき気づいた。この盛り上がりは異常だ。
とにかく何か、いたずらしたい。
ひたいに「肉」と書くのはどうだ。
古典すぎる。
ダリ的な髭を描くとか。
そしてその顔のまま、知らんふりでスーパーに買い物に行くというのはどうだ。
怒るかな? いや、倉知は怒らない。
それよりちょっと待て。寝顔だ。なんだこれ、可愛いな。
顔を近づけてまじまじと眺めた。
可愛い。こいつ、本当に可愛いな?
写真を撮って、インスタだかツイッターだかに「俺の可愛い子ちゃん」とでも題して投稿してやろうか。きっといいねがつきまくるだろう。
まあ、どっちもアカウントは持っていないのだが。
そっと息を吐く。
駄目だ、可愛い。
寝顔が可愛い。吸いつきたい。撫でまわしたい。すりすりしたい。
可愛い。愛してる。
うなるように何度も口中でつぶやいて、倉知の頭から足までウロウロと往復した。それからやおら、ハッとした。
どうして気づかなかったのか。すぐに気づくべきだった。
寝ながら勃起している。
これは、朝勃ちとも違う。昼寝で勃起とか、すげえな、さすがだな、と感心する。
腕を組んで、倉知の股間を見下ろしているとムラムラしてきた。
ソファの横に膝をつき、起こさないようにそっとズボンを下ろそうとするのだが、勃起チンコが引っかかる。この野郎、本気だな?
「ん……、え? あ、加賀さん?」
ぐいぐいやっていると、倉知が起きてしまった。チッと舌を打つ。寝ている間に可愛がってやろうと思ったのに。
「おはよう」
「おかえりなさい、あの、なんで俺、勃起してるんですか?」
とぼける倉知が可愛い。
声を上げて笑って、剥き出しにした股間に食らいつく。
〈おわり〉
休日出勤をした土曜日。昼過ぎに帰宅すると、珍しい光景が広がっていた。
なんと、倉知がソファに体を横たえて、昼寝をしていたのだ。
これは珍しい。珍しすぎて、心が躍る。
音を立てないように、床に鞄を置いた。点けっぱなしのテレビは音量が小さい。倉知は神経質だから、少しの異音でもきっと目を覚ます。
慎重に、忍び寄る。
ソファで眠っている。
ただそれだけなのだが、妙にテンションが上がる。
可愛いな、愛しいな、と笑みが零れた。
肘掛けの部分からはみ出た足の裏を、こちょこちょしたい。
我慢した。すぐに起こすのはもったいない。
え、どうしよ。
何かはわからないが、クスクス笑いがこみ上げてきた。笑い出しそうになるのを必死で堪えて、スーツの上着を脱ぎ捨て、ネクタイを解き、手のひらを静かに擦り合わせた。
倉知が無防備に眠っている姿を、俺はあまり見ないのだなとこのとき気づいた。この盛り上がりは異常だ。
とにかく何か、いたずらしたい。
ひたいに「肉」と書くのはどうだ。
古典すぎる。
ダリ的な髭を描くとか。
そしてその顔のまま、知らんふりでスーパーに買い物に行くというのはどうだ。
怒るかな? いや、倉知は怒らない。
それよりちょっと待て。寝顔だ。なんだこれ、可愛いな。
顔を近づけてまじまじと眺めた。
可愛い。こいつ、本当に可愛いな?
写真を撮って、インスタだかツイッターだかに「俺の可愛い子ちゃん」とでも題して投稿してやろうか。きっといいねがつきまくるだろう。
まあ、どっちもアカウントは持っていないのだが。
そっと息を吐く。
駄目だ、可愛い。
寝顔が可愛い。吸いつきたい。撫でまわしたい。すりすりしたい。
可愛い。愛してる。
うなるように何度も口中でつぶやいて、倉知の頭から足までウロウロと往復した。それからやおら、ハッとした。
どうして気づかなかったのか。すぐに気づくべきだった。
寝ながら勃起している。
これは、朝勃ちとも違う。昼寝で勃起とか、すげえな、さすがだな、と感心する。
腕を組んで、倉知の股間を見下ろしているとムラムラしてきた。
ソファの横に膝をつき、起こさないようにそっとズボンを下ろそうとするのだが、勃起チンコが引っかかる。この野郎、本気だな?
「ん……、え? あ、加賀さん?」
ぐいぐいやっていると、倉知が起きてしまった。チッと舌を打つ。寝ている間に可愛がってやろうと思ったのに。
「おはよう」
「おかえりなさい、あの、なんで俺、勃起してるんですか?」
とぼける倉知が可愛い。
声を上げて笑って、剥き出しにした股間に食らいつく。
〈おわり〉
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