電車の男ー同棲編ー番外編

月世

文字の大きさ
上 下
119 / 162

ひとり おまけ ※

しおりを挟む
※本番なしですが変態全開なのでお気をつけください。

〈加賀編〉

 通話を終了させ、車から降りた。
 倉知が謝った理由は、容易に想像できた。
 多分、あのあと、俺をネタに自慰をした。
 いつもより濃いめのキスをしたせいだろうか。それとも「七世」と呼んだから?
 本当に、素直というか、ピュアというか。
 可愛い奴め。
「加賀君、何かいいことあった?」
 営業のフロアに入ると、挨拶をすっ飛ばして前畑が言った。
「すごい嬉しそうだけど」
「え、わかる? 聞きたい?」
「聞きたいっ」
「教えなーい」
 唇に人差し指を当てると、「もう! もう! もう」と前畑が体をくねらせて悶絶する。
「七世君絡みでしょ? いやらしいんだから!」
 そう、いやらしいのだ。朝、ディープキスで別れた結果、興奮した倉知が俺をおかずに一人でせっせと放出したらしい。
 包み隠さず報告したいところだが、完全なるセクハラだからやめた。
 その日は一日、とても気分がよかった。
 きっと倉知は罪悪感でいっぱいで、だから謝ってきたのだろうが、その思考パターンがめちゃくちゃ愛しい。恋人をネタにオナニーしたからと言って、謝る必要はないし、そもそもが、いちいち本人に教えてやらなくてもいい。黙っていればいいのに。あなたをネタに、してしまいましたと謝るつもりだろう。
 俺も倉知をネタに抜いたことはある。それを本人にわざわざ伝えもした。反応が見たかったからだ。
 恥ずかしがるのが可愛い。あのでかい図体で、頬を染めて、乙女のようにモジモジするのだから罪深い。その乙女が、ベッドの上では完全に男の顔になり、欲望をぶつけてくる。
 最高だ。あいつは最高だ。
 俺で抜いただろ、と問いつめて、可愛くてカッコイイあいつを、羞恥で震えさせてやる。
 帰宅後。
 スライディング土下座からの、思った通りの展開。ただ予想外だったのはパンツの件だ。倉知は俺のパンツをどうにかしたらしい。
 匂いを嗅いだのでもなく、被ったのでもないなら、なんなのだ。煮詰めて食ったとでもいうのか。まさかそこまで高度なプレイはやるまい。せいぜいが、使用済みのパンツを眺めてシコシコする程度だろう。
「あの、本当にやるんですか?」
 ベッドの上で正座した倉知が、緊張した様子で不安そうに訊いた。
 夕食そっちのけで、今からオナニーの実演が始まる。自分でもどうかしていると思うが、これを楽しみに今日の仕事を頑張ったのだ。言うなれば、ご褒美だ。
「うん、見せて」
 クローゼットから自分の下着を取り出すと、はい、と倉知の膝に置く。それから、スーツのままベッドの端に腰かけて、倉知の股間を見る。
 朝、抜いたから今はもう無理だと、常人なら言い訳にできる。でも倉知だ。ミスター無尽蔵だ。俺の目の前で、俺をネタに、自慰をする。そう思っただけで興奮してしまう、素直ないい子なのだ。
「あ、パンツ脱ごうか?」
「えっ」
「脱ぎたてのほうが燃えるかなって」
「いや、あの、加賀さん」
「ん?」
「く、口で」
「え、何、口で?」
 思わず身を乗り出すと、倉知が「違います」と赤くなった。
「口で説明するのじゃ駄目ですか?」
「駄目です。やってみせてください。今、ここで、俺の目の前で」
「……意地悪」
 ぼそりと呟いたのが聞こえた。可愛いなおい、と押し倒したいところだが、堪えた。そういう場合ではない。
「チンコ出して」
 ビクン、と倉知の肩が上がった。目が合う。少し、涙ぐんでいるのがそそる。無言でうなずくと、倉知がようやく動き出した。ベルトを外し、ファスナーを下ろし、股間に手を突っ込んで、根元をつかんで剥き出しにする。
「もうフル勃起?」
 下唇を噛んで、恥ずかしそうに顔を背ける姿にムラムラくる。いろいろしたい。でも今は、我慢のときだ。
 倉知の手が、俺のパンツをつかむ。It's show time! と脳内で吠えた。どう「使った」のか、とくと見せてくれ。
「あの、こう、こうやって、包むっていうか、か、……被せて、こす、擦ったんです」
 上ずった声で、丁寧に解説すると、勃起したペニスにパンツを覆い被せた。耳まで真っ赤だ。なんて可愛いんだ。健気だ。いじらしい。でも、わかった、もういいよ、とは言わない。
「やってみて」
「え……」
「擦ってみせて。やってるとこ見たい」
 俺が引きさがらないことくらい、わかっている。倉知は一瞬ためらいを見せたあとで、手を動かし始めた。パンツを被せたペニスをごしごしと擦る様を、じっくりと観察する。不思議だ。丸見えのペニスより、布越しのほうが、大きさと形が露骨にわかる。とても卑猥だ。倉知が手を上下させるのを、夢中で見つめた。
 吹っ切れたのか、止まらなくなったのか、俺の視線をものともしない。次第に勢いづいてきた。ペニスの先端を覆う生地が、湿って変色している。倉知の息が、上がる。
「加賀さん……」
 切なげに呼ばれ、ぎくりとした。股間から目を上げ、見つめ合う。
「あっ……、あ、好き、加賀さん……っ」
 視線と声に、射貫かれた。喉元で心臓が大きく跳ね、息が詰まる。みぞおちが痛んで、下腹に快感が渦巻いた。ものすごく、ヤりたい。
「加賀さん、もう、出ます」
 倉知が手を休めずに言った。
「もう、イキたい。加賀さんのパンツ、汚しちゃいます、けど、このまま、出してもいい?」
 息を荒げて途切れ途切れに訊いてくる。俺のパンツにぶちまける様を、見たい。
 でも。
 倉知の手首をつかんで、止めた。
「もったいない」
「……え?」
「オナニーで出すの、もったいない。俺の中に出して」
 倉知が唾を飲み込んだのがわかった。喉仏が大きく上下した。加賀さん、と泣き声で言って、のしかかってくる。ズボンの上から俺の股間を揉みしだき、荒々しく唇を塞ぐ。
 俺を全力で欲して、貪るオス。
 やはり、俺の男は最高だ。

〈おわり〉
しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

電車の男 同棲編

月世
BL
「電車の男」の続編。高校卒業から同棲生活にかけてのお話です。 ※「電車の男」「電車の男 番外編」を先にお読みください

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

処理中です...