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千葉君のバレンタイン
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※千葉視点でバレンタインのお話です。多少、六花とのやり取りを含んでいます。読みたい方だけどうぞ。
〈千葉編〉
今日はバレンタインデーだ。
毎年、一個でも多く貰うことをステータスにしてきた。チョコの数では誰にも負けたくない。そう思っていたが、俺は今年、生まれ変わった。
「ごめんね、受け取れない。彼女がいるんだ」
過去、彼女がいたときでもチョコは受け取ってきた。でも六花さんは、特別な存在なのだ。彼女以外の女性からは、もう何も受け取らないと決めた。
今朝はいつもより早く出社した。まだ勤務時間前だが、すでに三人のチョコを断っている。女性の悲しむ顔を見たくない。差し出されたチョコを突き返したことなど人生で一度もなかった。
ものすごく、心苦しい。
胸を抑えて息をつくと、キャーと廊下に黄色い声がこだまする。女性社員が群がる中心にいるのは、加賀さんしかいない。
倉知君という生涯の恋人を見つけてもなお、チョコを受け取り続けている。もしかして実はモテていたいのだろうか。その気持ちはわからないでもない。
女子社員が散り散りに去ったあとで、紙袋をぶら下げた加賀さんが「はあ」と、やけに大きなため息を吐く。彼は今日一日、外回りでチョコを回収する旅に出る。
去年は羨ましかった。でも今年はこれっぽっちも羨ましさはない。本当だ。
「加賀」
営業のフロアに向かう加賀さんを呼び止めたスーツの人物がいた。人事の九條課長だ。企画課のフロアから顔を出して窺っていると、彼がピンクのリボンがかかったチョコらしきものを加賀さんに手渡した。えっ、と声が出た。九條課長が振り向く。慌てて身を翻し、逃げるように自分のデスクに腰を下ろし、パソコンの電源を入れた。意味もなくマウスを動かしながら、胸を抑える。
見てはいけないものを見てしまった。
九條課長は真面目で厳しい人物で有名だ。冗談なんて生まれてこの方口にしたことなどないのではないかというほど、気難しそうな人だ。
おかしい。確か彼は既婚者だ。ということはゲイじゃない。でもあれはどう見てもバレンタインのチョコだった。
なんてことだ。彼は加賀さんが好きなのだ。
「千葉君、だったかな」
名前を呼ばれて振り仰ぐ。九條課長だ。毛髪が逆立つ思いで飛び上がる。
「わーっ、くっ、かっ、おっ、おっはようございまっす」
驚きすぎて呂律が回らない。両腕をまっすぐ下ろして腰を直角に折り曲げた。恐ろしくて顔を上げられない。
「見たな?」
九條課長が耳元でそう囁いた。体が震えそうになるのを必死で我慢した。冷えていく手のひらを握り締め、「何をでしょうか」と絞り出す。
今、企画のフロアには俺しかいない。助けてくれる人は、誰もいない。
「俺が、加賀に、バレンタインのチョコを渡しているのを、見たな?」
説明口調でそう言うと、俺の顔を下から覗き込んできた。喉の奥で、か細い悲鳴が上がりそうになるのを堪える。
「絶対、誰にも言いませんから」
「本当か?」
「口が裂けても言いません」
「そうか」
九條課長は満足げに、少しだけ口の端を持ち上げた。笑った。のかもしれない。顔が怖くてよくわからない。
「ところで、千葉君は加賀と仲がいいみたいだな」
「えっ? あっ、あー……、ど、どうでしょう?」
ギクっとして仰け反った。確かに、部署が違うのにいろいろとよくして貰っているのは事実だ。加賀さんは多くの社員と「仲がいい」が、自分がその上をいく「特別仲がいい」関係だということは否定しない。
「まさかと思うが、加賀のことを」
「いえ! 僕は彼女がいます! 加賀さんより綺麗な子です!」
慌てて宣言すると、課長が「ふんっ」と盛大に鼻で笑った。
「あいつより綺麗な人間なんて」
そこで言葉を切り、顔を背け、咳払いをしてから俺を見る。
「さっきのはうちの部署の子から頼まれたチョコだ」
「……はい?」
「俺には妻も子もいる」
左手の結婚指輪を見せて九條課長が苦笑する。ぽん、と肩を叩いて「面白かった」と言い置き、去っていった。
力が抜けて、その場にしゃがみこむ。はああああああ、と深く息を吐き出し、身震いをする。
「こ、こわっ」
なんだかわからないが、弄ばれた気分だ。なんだよ、面白かったって。
あんなふうに人をからかったりギャグを言ったりする人だとは思わなかった。
ギャグ?
本当にそうだろうか。何か、違和感があった。指輪に注がれた目が、どこか寂しげというか、切なげというか、上手く言えないが、引っかかりを覚えてしまった。
あの表情の意味は。
「千葉君」
再び名前を呼ばれ、ぎゃあああ、とホラーチックな悲鳴を上げた。
「なんでしゃがみ込んでんの? うんこ?」
加賀さんの声だ。慌てて立ち上がり、胸を撫でおろす。
「びっくりした、九條課長かと……」
「九條? なんで?」
「そこでチョコ渡してるの見ちゃって……、あっ、頼まれたチョコだってわかってますよ。別に、課長が加賀さんのこと好きだとか、妄想してませんからね」
弁解すると、加賀さんが黙った。
え? なんだ?
どうしてだか、急に表情を消して真顔になってしまった。
電池が切れたみたいに、無表情だ。
「あ、あの、加賀さん?」
加賀さんがハッと我に返る。再起動した高性能のロボットのように、柔和な笑みを浮かべた。
「千葉君、立派に腐男子じゃん」
はは、と俺の肩をポンポン叩いて、「それより」と話題を変えた。
「六花ちゃんからなんか連絡来てる?」
「え? 連絡って?」
「バレンタインだろ。仕事終わったら会おうとか、なんかあった?」
訊かれて返答に詰まる。そういえば、何もない。あの日、よろしくお願いしますと頭を下げられた日、すぐに「付き合っていただけるということで間違いないですか?」と電話で確認した。間違いないです、と返事をもらい、浮かれていた。
俺たちは付き合っているはずだ。
はずだ、と曖昧なのは、今まで俺が付き合った女性たちと、六花さんがあまりにも違ったからだ。すさまじいほどに、ドライなのだ。
何度かメッセージをやり取りしたが、デートは一度もしていない。
あれから一か月経っている。
「ないよな。そんな気がした」
黙りこくる俺を見て、加賀さんがあごを掻いて苦笑する。
「六花ちゃん、忘れてたりして」
そんな憐れみの目で見ないで欲しい。無理やりテンションを上げて、加賀さんの背中をバシバシと連打する。
「いやいやいや、普通バレンタインをスルーします? 一応付き合って初めてのイベントですよ」
「でも会う約束してないんだろ」
「うっ、……して、ませんけど」
「うん」
少し同情したみたいに俺を見る。弱々しく首を横に振って、抵抗してみせた。
「忘れられたりなんか、絶対、ない、うん、ない」
言い聞かせるようにブツブツ言ってみるものの、不安を拭い去ることができない。彼女はイベントごとに関心がなさそうなタイプだ。男同士のカップル限定の、ラブラブイベントだと思っていそうだ。
「俺から訊いてやろうか?」
加賀さんが携帯を取り出して言った。
「えっ、なっ、なんて? なんて訊くんですか?」
「千葉君にチョコ用意してる? って」
「してないって言ったらどうするんですか、俺、死にますよ、血反吐吐いて死にますから」
「はは」
「そこ、笑うとこですか?」
加賀さんが俺のデスクに尻を載せ、携帯を操作し始めた。椅子に座って大人しく待っていると、フロアに女子社員が二人現れた。作業着を着た製造部の女子社員二人だ。去年入った新人だ。
加賀さんがいることに意表をつかれた様子だ。入り口で立ち止まっている。加賀さんだ、加賀さんいる、とヒソヒソ声が漏れ聞こえている。
女の子の一人と目が合った。笑ってみせると、笑い返してから、忍者のような足取りで近づいてきた。
「おはようございます」
二人が声を揃えて言った。手には紙袋を提げていた。
「おはよう」
俺が返すと、加賀さんもわずかに目を上げて「おはよう」と二人に微笑んだ。
俺たちは高木印刷のイケメンツートップだ。彼女たちはピンクの頬で果てしなくモジモジしながら、紙袋からチョコを出すと、まず俺に手渡してきた。
「あの、これ、受け取ってもらえますか?」
初々しい女の子二人が、勇気を出して用意したチョコだ。でも、受け取れない。
「ごめん、俺、付き合ってる子がいて、受け取れないんだ」
立ち上がり、頭を下げる。二人は顔を見合わせると、チョコを紙袋に戻し、「そうなんですね」と物分かりのいい顔をした。
「ごめんね、本当に」
「いえ、大丈夫です、ね」
「うん、ね」
二人が苦笑いで確認し合い、紙袋から再び取り出したチョコを胸に抱いて、今度は加賀さんに向き直る。よく見ると、さっき俺に差し出したチョコとは別のものだ。高級ブランドの包装紙だ。
「ああああ、あの、かかか加賀さん」
女の子の一人が激しくどもりながら強張った頬を引きつらせる。
「こっ、これ、よかったら……」
二人が揃って両手に持ったチョコを、加賀さんに突きつける。加賀さんは携帯をポケットにしまうと、優しい笑顔のままで「ありがとう」と答えた。
「会社の人から受け取ってもお返しできないんだけど、それでもいい?」
ものすごい量を貰うから、ホワイトデーは大赤字になるのだろう。たとえば百個貰ったとして、五百円の安いクッキーなんかでお返ししようとしても五万円になる。ただチョコを受け取っただけで、五万円。ひどい話だ。
「あっ、あの、知ってます、先輩たちから聞いてて、わかってます。受け取って貰えるだけで、いいんです。ねっ」
「うん、ねっ」
二人が涙目なことに気づいた。加賀さんが気づいているかはわからないが、二人の差し出すチョコを、丁寧に頭を下げてから受け取った。
「ありがとう」
彼女たちが手を取り合って小さく歓声を上げる。女の子の嬉しそうな笑顔を見るのはやっぱりいいな、とぼんやりと観察しながら、頭の隅で、六花さんのこんな表情を一度でいいから見てみたい、と考えていた。これから先、長く付き合えば、いつかは見られるときがくるだろうか。
長く、付き合えるのだろうか。なんだか、彼女との未来が白く霞んでよく見えない。
「どうして受け取るんですか?」
女の子たちがいなくなると、加賀さんに訊いた。持っていた紙袋にチョコを片付けて、首をかしげて俺を見る。
「倉知君、怒りません?」
「怒らないよ、倉知君は」
加賀さんが「倉知君」と名前を呼ぶとき、すごくマイルドな笑顔になる。俺はそれを見るのが実は好きだ。のろけられている気はするが、加賀さんが彼を大事に思っていることがひしひしと伝わってくる。こっちまで幸せになる笑顔なのだ。
「つーか、倉知君の怒ったとこ見てみたいんだよな。絶対可愛い。プンプンって効果音つけたくなりそう」
加賀さんがニヤニヤしながら言った。
「どうやったら怒るかな? プンプンの顔見たい」
知らんがな、と思いながら話を戻す。
「受け取らないで断ってしまえば楽じゃないですか」
「おっ、どうした? モテキングの科白じゃねえぞ」
「モテキングは卒業したって言ったでしょ。ただのキングです」
「ただの千葉な」
どうでもいい訂正をしてから、加賀さんがポケットから再び携帯を取り出した。
「受け取るだけで喜んで貰えるならそれでいいかなって」
しょんぼりさせるより、笑顔になって貰うほうがいい、と付け足して、加賀さんは携帯を見下ろしながらニヤリとした。
「六花ちゃんから返事きた」
「なっ、なんと?」
体が跳ねた。加賀さんが俺を上目遣いで見ながら携帯で口元を隠し、意味ありげに笑う。
「秘密」
「えっ」
「じゃあ俺、忙しいから行くわ」
「えっ、ちょっと待って」
呼び止めたのに、加賀さんは背中を見せたままで手を振って、消えた。
一体、どんな返事が来たのか。今日俺は、ちゃんとチョコを貰えるのか。
落ち着かない。
そわそわと、誰もいない早朝のフロアを行ったり来たりしていると、デスクに置いてあったスマホが振動音を立てた。
六花さんだ、と予感があった。
大急ぎでスマホに飛びつくと、ハアハア言いながら、画面を見た。
『ちょっと立て込んでて連絡遅れました。すみません。今日、仕事が終わったら会えませんか?』
「あああああああああ!」
スマホを天に掲げ、声を上げる。
「会える、会えるに決まってる!」
震える指で返信を打つ。
『会えます是非会いたいですよろしくお願いいたします』
ろくに文面を読み返さずに返信する。スマホを両手で持って画面に注目する。すぐに既読がついた。そして、返信が。
『何時になるかわかりませんが、仕事が終わったら連絡しますので』
「っしゃあああああ!」
拳を振り上げ、スキップする。とにかく早く時間が過ぎればいいと、その日は時計ばかり見ていた。昼になってもなぜか満腹で何も食べられない。そしてなかなか時間が経過しない。時間というやつは気にすればするほど、逆に流れが異様に遅くなる。
仕事に没頭することにした。
そうこうするうちに、なんやかやで定時になった。社員が一人二人と帰宅する。お疲れ様ですと連呼しつつ、デスクの隅のスマホに目を落とす。まだ連絡はない。
正直、チョコよりも、六花さんに会えるのが嬉しい。
自分からぐいぐいいくと嫌われそうでアクションを起こせずにいた。今日ほどバレンタインに感謝した年はない。
デスクの上で、スマホが震えた。飛びついた。
『こちら仕事が終わりましたが、千葉さんは?』
「終わります、いつでも終わります」
声に出しながら返信する。
『じゃあ今からそちらに向かいます』
「えっ」
外を見た。雨が降っている。天気予報では、ところによっては雪と言っていた。外は寒い。徒歩十分程度の距離にお互いの会社がある。遠くはない距離だ。でも十分も、寒空の下を歩かせるわけにはいかない。
慌てて返信を打つが、指がもたついてまともな文章が打てない。
パソコンを切って、コートを羽織り、鞄を持つ。
フロアを飛び出して、階段を駆け下りる。
会社を出て、走る。
顔に冷たい雨が降りかかったが、構わなかった。
走る。
走る。
「千葉さん」
背後から呼び止められた。驚いて振り向くと、傘を差した六花さんがおかしそうに笑っていた。
「どこ行くんですか」
どうやらすれ違っていたらしい。
「すいません、こんな寒いのに、歩かせちゃダメだと思って、俺が、そっちに、行かなきゃって」
途切れ途切れに謝ると、六花さんが俺に歩み寄り、いぶかしげな顔をした。久しぶりに会えて、胸が締めつけられる。息苦しい。ものすごく、息が上がっている。走ったせいか、緊張のせいか、まともに息ができない。
無様にうなだれ、膝に手を置いてハアハアしていると、頭の上に傘が差し出された。
「風邪引きますよ」
優しさに、涙が出そうになる。堪えて、腰を上げた。六花さんが傘を持つ手を上のほうに移動させ、俺を見上げてくる。
街灯の灯りが、彼女の顔を照らしている。白い肌が、寒さで少し赤く染まっていた。髪をかけた耳も、同様に赤い。
抱きしめたい。
いや、それは駄目だろ。
俺たちは、まだ、何も、手さえも、繋いだことがない。
「千葉さん、これ」
六花さんが、肩にかけたバッグから包装紙に包まれたものを取り出した。チョコにしてはでかいと思いながら受け取ると、六花さんが言った。
「多分チョコはたくさん貰ってると思って、マフラーにしました」
「……え、あ、開けても、いいですか?」
六花さんと包装紙を見比べて訊いた。
「どうぞ」
歩道の真ん中で、立ったまま何をしているのか、という気持ちもあったが、どこか温かいところに移動しましょう、という気の利いた科白が出る余裕がなかった。包装紙を破らないように、ゆっくり慎重に開封すると、赤と緑のタータンチェックのマフラーが見えた。
「なんかこういうパキッとした色が似あうかなと思って」
「あ……、ありがとう、ございます、すごく嬉しいです」
マフラーを握り締め、そこに顔をうずめて、震える息を吐き出した。
六花さんが、俺のことを考えて選んでくれた。それが嬉しくて、気が狂いそうだった。
「あの……」
マフラーで顔を隠したままで、呟いた。
「はい?」
「俺、チョコ、全部断ったんです」
「え?」
「会社の子からも受け取らなかったし、友達にも事前に、貰えないって」
口にしてから気づいた。今のはかなり、重いかもしれない。恐る恐る六花さんを見ると、困った顔していた。
「じゃあ、チョコのほうがよかったですか?」
「いえっ、そういうことじゃなく!」
ぐうううう、と盛大な音を鳴らしたのは、俺の腹の虫だった。空腹感がなくても空腹には変わりない。空気を読まない自分の体に恥ずかしくてたまらなくなった。
「食べたいものあります?」
六花さんが笑いを堪えた顔で訊いた。
「えっ、あっ、食事、行きます?」
「何か用事が」
言いかけた六花さんを遮って「ないです!」と吠えた。
「あそこの串揚げでも行きますか」
六花さんが指を差す。どこだって構わない。彼女と時間を過ごせるなら、なんだっていい。
「はい、これ持ってください」
傘を差し出してくる。
「千葉さん、結構背、高いんですね」
「はい、あ、弟さんよりは全然小さいですけど」
ふふ、と六花さんが微笑んだ。彼女は弟が大好きだ。彼を思い浮かべて笑顔になる人が、ここにもいる。倉知君という人は、不思議な人物だ。
「行きましょうか」
六花さんが歩き出す。彼女に、一粒の雨も当ててたまるか。
決して体を触れ合わせることはない。服がかするのですら、まだ早い。
肩が濡れるのもいとわず、冷たい雨から彼女を守る。
それが今の俺にできる精一杯だ。
〈おわり〉
〈千葉編〉
今日はバレンタインデーだ。
毎年、一個でも多く貰うことをステータスにしてきた。チョコの数では誰にも負けたくない。そう思っていたが、俺は今年、生まれ変わった。
「ごめんね、受け取れない。彼女がいるんだ」
過去、彼女がいたときでもチョコは受け取ってきた。でも六花さんは、特別な存在なのだ。彼女以外の女性からは、もう何も受け取らないと決めた。
今朝はいつもより早く出社した。まだ勤務時間前だが、すでに三人のチョコを断っている。女性の悲しむ顔を見たくない。差し出されたチョコを突き返したことなど人生で一度もなかった。
ものすごく、心苦しい。
胸を抑えて息をつくと、キャーと廊下に黄色い声がこだまする。女性社員が群がる中心にいるのは、加賀さんしかいない。
倉知君という生涯の恋人を見つけてもなお、チョコを受け取り続けている。もしかして実はモテていたいのだろうか。その気持ちはわからないでもない。
女子社員が散り散りに去ったあとで、紙袋をぶら下げた加賀さんが「はあ」と、やけに大きなため息を吐く。彼は今日一日、外回りでチョコを回収する旅に出る。
去年は羨ましかった。でも今年はこれっぽっちも羨ましさはない。本当だ。
「加賀」
営業のフロアに向かう加賀さんを呼び止めたスーツの人物がいた。人事の九條課長だ。企画課のフロアから顔を出して窺っていると、彼がピンクのリボンがかかったチョコらしきものを加賀さんに手渡した。えっ、と声が出た。九條課長が振り向く。慌てて身を翻し、逃げるように自分のデスクに腰を下ろし、パソコンの電源を入れた。意味もなくマウスを動かしながら、胸を抑える。
見てはいけないものを見てしまった。
九條課長は真面目で厳しい人物で有名だ。冗談なんて生まれてこの方口にしたことなどないのではないかというほど、気難しそうな人だ。
おかしい。確か彼は既婚者だ。ということはゲイじゃない。でもあれはどう見てもバレンタインのチョコだった。
なんてことだ。彼は加賀さんが好きなのだ。
「千葉君、だったかな」
名前を呼ばれて振り仰ぐ。九條課長だ。毛髪が逆立つ思いで飛び上がる。
「わーっ、くっ、かっ、おっ、おっはようございまっす」
驚きすぎて呂律が回らない。両腕をまっすぐ下ろして腰を直角に折り曲げた。恐ろしくて顔を上げられない。
「見たな?」
九條課長が耳元でそう囁いた。体が震えそうになるのを必死で我慢した。冷えていく手のひらを握り締め、「何をでしょうか」と絞り出す。
今、企画のフロアには俺しかいない。助けてくれる人は、誰もいない。
「俺が、加賀に、バレンタインのチョコを渡しているのを、見たな?」
説明口調でそう言うと、俺の顔を下から覗き込んできた。喉の奥で、か細い悲鳴が上がりそうになるのを堪える。
「絶対、誰にも言いませんから」
「本当か?」
「口が裂けても言いません」
「そうか」
九條課長は満足げに、少しだけ口の端を持ち上げた。笑った。のかもしれない。顔が怖くてよくわからない。
「ところで、千葉君は加賀と仲がいいみたいだな」
「えっ? あっ、あー……、ど、どうでしょう?」
ギクっとして仰け反った。確かに、部署が違うのにいろいろとよくして貰っているのは事実だ。加賀さんは多くの社員と「仲がいい」が、自分がその上をいく「特別仲がいい」関係だということは否定しない。
「まさかと思うが、加賀のことを」
「いえ! 僕は彼女がいます! 加賀さんより綺麗な子です!」
慌てて宣言すると、課長が「ふんっ」と盛大に鼻で笑った。
「あいつより綺麗な人間なんて」
そこで言葉を切り、顔を背け、咳払いをしてから俺を見る。
「さっきのはうちの部署の子から頼まれたチョコだ」
「……はい?」
「俺には妻も子もいる」
左手の結婚指輪を見せて九條課長が苦笑する。ぽん、と肩を叩いて「面白かった」と言い置き、去っていった。
力が抜けて、その場にしゃがみこむ。はああああああ、と深く息を吐き出し、身震いをする。
「こ、こわっ」
なんだかわからないが、弄ばれた気分だ。なんだよ、面白かったって。
あんなふうに人をからかったりギャグを言ったりする人だとは思わなかった。
ギャグ?
本当にそうだろうか。何か、違和感があった。指輪に注がれた目が、どこか寂しげというか、切なげというか、上手く言えないが、引っかかりを覚えてしまった。
あの表情の意味は。
「千葉君」
再び名前を呼ばれ、ぎゃあああ、とホラーチックな悲鳴を上げた。
「なんでしゃがみ込んでんの? うんこ?」
加賀さんの声だ。慌てて立ち上がり、胸を撫でおろす。
「びっくりした、九條課長かと……」
「九條? なんで?」
「そこでチョコ渡してるの見ちゃって……、あっ、頼まれたチョコだってわかってますよ。別に、課長が加賀さんのこと好きだとか、妄想してませんからね」
弁解すると、加賀さんが黙った。
え? なんだ?
どうしてだか、急に表情を消して真顔になってしまった。
電池が切れたみたいに、無表情だ。
「あ、あの、加賀さん?」
加賀さんがハッと我に返る。再起動した高性能のロボットのように、柔和な笑みを浮かべた。
「千葉君、立派に腐男子じゃん」
はは、と俺の肩をポンポン叩いて、「それより」と話題を変えた。
「六花ちゃんからなんか連絡来てる?」
「え? 連絡って?」
「バレンタインだろ。仕事終わったら会おうとか、なんかあった?」
訊かれて返答に詰まる。そういえば、何もない。あの日、よろしくお願いしますと頭を下げられた日、すぐに「付き合っていただけるということで間違いないですか?」と電話で確認した。間違いないです、と返事をもらい、浮かれていた。
俺たちは付き合っているはずだ。
はずだ、と曖昧なのは、今まで俺が付き合った女性たちと、六花さんがあまりにも違ったからだ。すさまじいほどに、ドライなのだ。
何度かメッセージをやり取りしたが、デートは一度もしていない。
あれから一か月経っている。
「ないよな。そんな気がした」
黙りこくる俺を見て、加賀さんがあごを掻いて苦笑する。
「六花ちゃん、忘れてたりして」
そんな憐れみの目で見ないで欲しい。無理やりテンションを上げて、加賀さんの背中をバシバシと連打する。
「いやいやいや、普通バレンタインをスルーします? 一応付き合って初めてのイベントですよ」
「でも会う約束してないんだろ」
「うっ、……して、ませんけど」
「うん」
少し同情したみたいに俺を見る。弱々しく首を横に振って、抵抗してみせた。
「忘れられたりなんか、絶対、ない、うん、ない」
言い聞かせるようにブツブツ言ってみるものの、不安を拭い去ることができない。彼女はイベントごとに関心がなさそうなタイプだ。男同士のカップル限定の、ラブラブイベントだと思っていそうだ。
「俺から訊いてやろうか?」
加賀さんが携帯を取り出して言った。
「えっ、なっ、なんて? なんて訊くんですか?」
「千葉君にチョコ用意してる? って」
「してないって言ったらどうするんですか、俺、死にますよ、血反吐吐いて死にますから」
「はは」
「そこ、笑うとこですか?」
加賀さんが俺のデスクに尻を載せ、携帯を操作し始めた。椅子に座って大人しく待っていると、フロアに女子社員が二人現れた。作業着を着た製造部の女子社員二人だ。去年入った新人だ。
加賀さんがいることに意表をつかれた様子だ。入り口で立ち止まっている。加賀さんだ、加賀さんいる、とヒソヒソ声が漏れ聞こえている。
女の子の一人と目が合った。笑ってみせると、笑い返してから、忍者のような足取りで近づいてきた。
「おはようございます」
二人が声を揃えて言った。手には紙袋を提げていた。
「おはよう」
俺が返すと、加賀さんもわずかに目を上げて「おはよう」と二人に微笑んだ。
俺たちは高木印刷のイケメンツートップだ。彼女たちはピンクの頬で果てしなくモジモジしながら、紙袋からチョコを出すと、まず俺に手渡してきた。
「あの、これ、受け取ってもらえますか?」
初々しい女の子二人が、勇気を出して用意したチョコだ。でも、受け取れない。
「ごめん、俺、付き合ってる子がいて、受け取れないんだ」
立ち上がり、頭を下げる。二人は顔を見合わせると、チョコを紙袋に戻し、「そうなんですね」と物分かりのいい顔をした。
「ごめんね、本当に」
「いえ、大丈夫です、ね」
「うん、ね」
二人が苦笑いで確認し合い、紙袋から再び取り出したチョコを胸に抱いて、今度は加賀さんに向き直る。よく見ると、さっき俺に差し出したチョコとは別のものだ。高級ブランドの包装紙だ。
「ああああ、あの、かかか加賀さん」
女の子の一人が激しくどもりながら強張った頬を引きつらせる。
「こっ、これ、よかったら……」
二人が揃って両手に持ったチョコを、加賀さんに突きつける。加賀さんは携帯をポケットにしまうと、優しい笑顔のままで「ありがとう」と答えた。
「会社の人から受け取ってもお返しできないんだけど、それでもいい?」
ものすごい量を貰うから、ホワイトデーは大赤字になるのだろう。たとえば百個貰ったとして、五百円の安いクッキーなんかでお返ししようとしても五万円になる。ただチョコを受け取っただけで、五万円。ひどい話だ。
「あっ、あの、知ってます、先輩たちから聞いてて、わかってます。受け取って貰えるだけで、いいんです。ねっ」
「うん、ねっ」
二人が涙目なことに気づいた。加賀さんが気づいているかはわからないが、二人の差し出すチョコを、丁寧に頭を下げてから受け取った。
「ありがとう」
彼女たちが手を取り合って小さく歓声を上げる。女の子の嬉しそうな笑顔を見るのはやっぱりいいな、とぼんやりと観察しながら、頭の隅で、六花さんのこんな表情を一度でいいから見てみたい、と考えていた。これから先、長く付き合えば、いつかは見られるときがくるだろうか。
長く、付き合えるのだろうか。なんだか、彼女との未来が白く霞んでよく見えない。
「どうして受け取るんですか?」
女の子たちがいなくなると、加賀さんに訊いた。持っていた紙袋にチョコを片付けて、首をかしげて俺を見る。
「倉知君、怒りません?」
「怒らないよ、倉知君は」
加賀さんが「倉知君」と名前を呼ぶとき、すごくマイルドな笑顔になる。俺はそれを見るのが実は好きだ。のろけられている気はするが、加賀さんが彼を大事に思っていることがひしひしと伝わってくる。こっちまで幸せになる笑顔なのだ。
「つーか、倉知君の怒ったとこ見てみたいんだよな。絶対可愛い。プンプンって効果音つけたくなりそう」
加賀さんがニヤニヤしながら言った。
「どうやったら怒るかな? プンプンの顔見たい」
知らんがな、と思いながら話を戻す。
「受け取らないで断ってしまえば楽じゃないですか」
「おっ、どうした? モテキングの科白じゃねえぞ」
「モテキングは卒業したって言ったでしょ。ただのキングです」
「ただの千葉な」
どうでもいい訂正をしてから、加賀さんがポケットから再び携帯を取り出した。
「受け取るだけで喜んで貰えるならそれでいいかなって」
しょんぼりさせるより、笑顔になって貰うほうがいい、と付け足して、加賀さんは携帯を見下ろしながらニヤリとした。
「六花ちゃんから返事きた」
「なっ、なんと?」
体が跳ねた。加賀さんが俺を上目遣いで見ながら携帯で口元を隠し、意味ありげに笑う。
「秘密」
「えっ」
「じゃあ俺、忙しいから行くわ」
「えっ、ちょっと待って」
呼び止めたのに、加賀さんは背中を見せたままで手を振って、消えた。
一体、どんな返事が来たのか。今日俺は、ちゃんとチョコを貰えるのか。
落ち着かない。
そわそわと、誰もいない早朝のフロアを行ったり来たりしていると、デスクに置いてあったスマホが振動音を立てた。
六花さんだ、と予感があった。
大急ぎでスマホに飛びつくと、ハアハア言いながら、画面を見た。
『ちょっと立て込んでて連絡遅れました。すみません。今日、仕事が終わったら会えませんか?』
「あああああああああ!」
スマホを天に掲げ、声を上げる。
「会える、会えるに決まってる!」
震える指で返信を打つ。
『会えます是非会いたいですよろしくお願いいたします』
ろくに文面を読み返さずに返信する。スマホを両手で持って画面に注目する。すぐに既読がついた。そして、返信が。
『何時になるかわかりませんが、仕事が終わったら連絡しますので』
「っしゃあああああ!」
拳を振り上げ、スキップする。とにかく早く時間が過ぎればいいと、その日は時計ばかり見ていた。昼になってもなぜか満腹で何も食べられない。そしてなかなか時間が経過しない。時間というやつは気にすればするほど、逆に流れが異様に遅くなる。
仕事に没頭することにした。
そうこうするうちに、なんやかやで定時になった。社員が一人二人と帰宅する。お疲れ様ですと連呼しつつ、デスクの隅のスマホに目を落とす。まだ連絡はない。
正直、チョコよりも、六花さんに会えるのが嬉しい。
自分からぐいぐいいくと嫌われそうでアクションを起こせずにいた。今日ほどバレンタインに感謝した年はない。
デスクの上で、スマホが震えた。飛びついた。
『こちら仕事が終わりましたが、千葉さんは?』
「終わります、いつでも終わります」
声に出しながら返信する。
『じゃあ今からそちらに向かいます』
「えっ」
外を見た。雨が降っている。天気予報では、ところによっては雪と言っていた。外は寒い。徒歩十分程度の距離にお互いの会社がある。遠くはない距離だ。でも十分も、寒空の下を歩かせるわけにはいかない。
慌てて返信を打つが、指がもたついてまともな文章が打てない。
パソコンを切って、コートを羽織り、鞄を持つ。
フロアを飛び出して、階段を駆け下りる。
会社を出て、走る。
顔に冷たい雨が降りかかったが、構わなかった。
走る。
走る。
「千葉さん」
背後から呼び止められた。驚いて振り向くと、傘を差した六花さんがおかしそうに笑っていた。
「どこ行くんですか」
どうやらすれ違っていたらしい。
「すいません、こんな寒いのに、歩かせちゃダメだと思って、俺が、そっちに、行かなきゃって」
途切れ途切れに謝ると、六花さんが俺に歩み寄り、いぶかしげな顔をした。久しぶりに会えて、胸が締めつけられる。息苦しい。ものすごく、息が上がっている。走ったせいか、緊張のせいか、まともに息ができない。
無様にうなだれ、膝に手を置いてハアハアしていると、頭の上に傘が差し出された。
「風邪引きますよ」
優しさに、涙が出そうになる。堪えて、腰を上げた。六花さんが傘を持つ手を上のほうに移動させ、俺を見上げてくる。
街灯の灯りが、彼女の顔を照らしている。白い肌が、寒さで少し赤く染まっていた。髪をかけた耳も、同様に赤い。
抱きしめたい。
いや、それは駄目だろ。
俺たちは、まだ、何も、手さえも、繋いだことがない。
「千葉さん、これ」
六花さんが、肩にかけたバッグから包装紙に包まれたものを取り出した。チョコにしてはでかいと思いながら受け取ると、六花さんが言った。
「多分チョコはたくさん貰ってると思って、マフラーにしました」
「……え、あ、開けても、いいですか?」
六花さんと包装紙を見比べて訊いた。
「どうぞ」
歩道の真ん中で、立ったまま何をしているのか、という気持ちもあったが、どこか温かいところに移動しましょう、という気の利いた科白が出る余裕がなかった。包装紙を破らないように、ゆっくり慎重に開封すると、赤と緑のタータンチェックのマフラーが見えた。
「なんかこういうパキッとした色が似あうかなと思って」
「あ……、ありがとう、ございます、すごく嬉しいです」
マフラーを握り締め、そこに顔をうずめて、震える息を吐き出した。
六花さんが、俺のことを考えて選んでくれた。それが嬉しくて、気が狂いそうだった。
「あの……」
マフラーで顔を隠したままで、呟いた。
「はい?」
「俺、チョコ、全部断ったんです」
「え?」
「会社の子からも受け取らなかったし、友達にも事前に、貰えないって」
口にしてから気づいた。今のはかなり、重いかもしれない。恐る恐る六花さんを見ると、困った顔していた。
「じゃあ、チョコのほうがよかったですか?」
「いえっ、そういうことじゃなく!」
ぐうううう、と盛大な音を鳴らしたのは、俺の腹の虫だった。空腹感がなくても空腹には変わりない。空気を読まない自分の体に恥ずかしくてたまらなくなった。
「食べたいものあります?」
六花さんが笑いを堪えた顔で訊いた。
「えっ、あっ、食事、行きます?」
「何か用事が」
言いかけた六花さんを遮って「ないです!」と吠えた。
「あそこの串揚げでも行きますか」
六花さんが指を差す。どこだって構わない。彼女と時間を過ごせるなら、なんだっていい。
「はい、これ持ってください」
傘を差し出してくる。
「千葉さん、結構背、高いんですね」
「はい、あ、弟さんよりは全然小さいですけど」
ふふ、と六花さんが微笑んだ。彼女は弟が大好きだ。彼を思い浮かべて笑顔になる人が、ここにもいる。倉知君という人は、不思議な人物だ。
「行きましょうか」
六花さんが歩き出す。彼女に、一粒の雨も当ててたまるか。
決して体を触れ合わせることはない。服がかするのですら、まだ早い。
肩が濡れるのもいとわず、冷たい雨から彼女を守る。
それが今の俺にできる精一杯だ。
〈おわり〉
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