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1201 同棲編
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〈倉知編〉
バイトで溜まった金額は、五万二千八百円。これだけあれば、それなりなものが買えるはずだ。
でも、何を買おう。稼ぐことに頭がいっていて、何を買うかまでは決めていなかった。
俺も物欲はないが、加賀さんも似たようなものだ。あれが欲しい、これが欲しい、という言葉はあまり聞かない。そもそも欲しいものがあれば自分で買える経済力がある。
欲しいものを買う、というより、加賀さんに持っていて欲しいものを渡す、という考え方をすることにした。
真っ先に浮かぶのは、指輪。でもこれは、今焦って買うものじゃない気がする。無事社会人になって、ちゃんとした大人の仲間入りを果たしてからだ。まだ俺はただの大学生で、プロポーズをできるような身分じゃない。指輪はそのときまで取っておきたい。
他に、何があるだろう。
仕事中でも、常に身に着けていてくれるようなものがいい。
時計は、無理だ。すでに三百万円のロレックスを持っている人に、予算五万円じゃ太刀打ちできない。
加賀さんが会社に行くときの格好を思い浮かべていると、ズボンのポケットでスマホが震えた。授業が終わったら見よう。授業中でも構わずスマホを見ている人は大勢いるが、俺はそれができない。というか、講義に集中せずに、恋人の誕生日プレゼントを考えているのも不真面目だ。
態度を改め、授業に集中することにした。ノートに落書きをした、「指輪 時計 スーツ ネクタイ 靴 鞄」の文字を、消しゴムで消す。隣に座っていた橋場が俺の手元を見下ろして首を傾げていた。
授業が終わると、すぐにスマホを確認した。六花からメッセージが来ていた。「暇なとき連絡ちょうだい」とある。今から昼休憩だ。いつも橋場と一緒に食事に行く。
「ごめん、ちょっと電話してくる」
教室を出て電話をかけると、すぐに六花が出た。
『元気?』
「うん、元気」
『早速ですが、そろそろ十二月一日ですね』
「うん、え、何」
『七世の誕生日、うちでやったじゃん?』
「ちょ、待って、まさか加賀さんの誕生日もみんなでお祝いするとか……」
『そのまさかです』
愕然とする俺に、六花がすかさず「ごめんね」と謝った。
『違うんだよ、あのね、加賀さんのお父さんが提案したことだから、怒らないでくれる?』
「え? 加賀さんのお父さんが?」
父親同士が個人的に連絡を取り合ったり、二人で飲みに行ったりしていることを最近知った。仲良くしてくれるのはありがたいが、本人たちを差し置いてどうしてそうなった、と言いたい。
『毎年父と子でお祝いしてるそうだけど、倉知家と加賀家合同でお誕生日会を開催することになりました。パーティ会場は二人の新居です』
ツッコミどころがありすぎて、声が出なくなった。
『何か質問は?』
「あの」
『うん』
「決定事項なの?」
『安心して。誕生日の当日は邪魔しないよ。パーティは日曜日の予定だから。一日は平日だしみんなそれぞれ仕事だから日曜の昼ならどうだろうって話になってて』
俺がバイトをしていることを、六花は知っている。それなのに日曜日を指定するのは、俺の行動パターンを読んでいるからだ。
『今週土日はバイト入れてないんでしょ?』
「ちょっと待って、倉知家と加賀家って、誰と誰……、何人? そもそもそんな大人数が食事できるようなテーブルもないし、ていうか誰が料理作るの?」
混乱して頭がなかなか働かない。マンションのリビングに家族が集合する図を想像してみる。落ち着かない。
『テーブルは、なんか適当にこっちで用意するよ。料理もお母さんが作って持っていくし、二人は何もしないでいてくれるだけでいいの』
これが誕生日当日なら断っていたかもしれない。だって、二人きりの時間がものすごく大事だ。土日をずっとバイトに充てていたせいで、ありがたみを痛感していたところだった。
『あ、加賀さんには私から話しておくね』
「は?」
『お疲れ様です。今から一緒にランチなんだ』
最初のお疲れ様ですは、加賀さんへ向けた言葉らしい。六花と加賀さんは職場が近く、たまに示し合わせて一緒に休憩を取っている。正直羨ましい。実の姉に対しても簡単に嫉妬してしまう。
『七世です。代わります?』
え、何、と戸惑った加賀さんの声がかすかに聞こえた。
『倉知君?』
「加賀さん、今度の日曜日」
『ああ、親父から聞いた』
ガガッ、と椅子を引くような音がした。
『いいんじゃない? 楽しそうだし』
あっさりと受け入れるところはさすがだ。加賀さんがいいと言うのに俺がごねるのはおかしい。黙り込んでしまった。
『うちんとこは親父とハルさんも来るって』
「あの、辻は? 妹さんとお母さんとか」
もしかして、と思ったが、加賀さんは「あー」とトーンを下げて言った。
『政宗は誘ってないと思うよ』
「そう、ですよね」
後妻のハルさんが来るならそうなるのもわかる。兄弟なのに、家族の集まりには呼ばれない。寂しいけど仕方がないのだろうか。
『じゃあ六花ちゃんに代わるわ』
「加賀さん、待って」
『ん?』
「あ、いえ……、なんでもないです」
『何?』
「本当になんでもなくて」
もう少し声を聞いていたいと思っただけだ。
「いいです、六花に代わってください」
『うん、じゃあな』
スマホが加賀さんから六花に渡されるしばらくの間が空いた。すぐに六花の声が「そういやさ」と続けた。
『プレゼント、決めたの? そのためのバイトでしょ?』
「まだ決めてない。どうしたらいいかな。加賀さん何が欲しいだろう」
『私に訊かれても』
「ですよね」
『七世の誕生日のときも加賀さんから相談されたんだよね。似たもの夫婦?』
「え、そうだったの?」
『ていうかあんた去年とかその前とか、何あげたの?』
電話の向こう側で加賀さんがむせている。
『え、あっ? うふふ、なんかそっち系だ』
六花が嬉しそうに声を弾ませる。慌てて話を逸らした。
「予算五万円で、悩んでるんだけど」
『そんな高いものじゃなくてもよくない?』
「だって加賀さんだよ。加賀さんが安物を身に着けるとか想像できない」
『うんまあ、あ、加賀さんうまい棒でいいって言ってるよ』
「うまい棒」
『うん』
六花が笑いを堪えている。
「何味がいいのかな」
『ふっ、……こっ、コンポタかな?』
ほとんど吹き出しながら六花が言った。
「でも加賀さんにそんな駄菓子似合わないっていうか、食べてるの見たことないし、あ、そうじゃなくて、食べたらなくなるものは悲しいからちょっとなあ」
『あんた天然に磨きかかってない?』
「ん? どういうこと? 加賀さんがうまい棒がいいって言ってるんだよね?」
『とにかく、七世が加賀さんのこと思って準備したものならなんでも嬉しいと思うよ。それに、あんたが自分で稼いだ初めてのお金で買うんだもんね。なんであろうと特別に決まってる』
早口で言って、時間ないから切るね、と唐突に電話が切れた。六花ならいいアドバイスをくれると思ったのに参考にはならなかった。
なんでも嬉しい。そうなのかもしれない。だからと言ってうまい棒なんて渡せない。
「予算五万円で、恋人の誕生日にプレゼント贈るなら、何買う?」
と、橋場に訊いた。訊いてから、橋場に訊いてどうするんだ、と自分に対してツッコミを入れたくなった。橋場は口を開けた間抜けな表情で俺を見上げ、歩みを緩めた。
「恋人の誕生日」
「う、うん」
「つまり、加賀さんの誕生日だね?」
「十二月一日なんだ」
「予算五万円か」
橋場は真面目な顔で腕を組み、考え込んでいる。適当にかわすこともできるのに、やっぱりいい奴だ、と思った。
「彼の一番近くにいて、よく知っているであろう倉知がそんなことを訊くということは、欲しいものがない人なの?」
「うん、そうなんだよね」
「さっきの落書きはプレゼント候補だったのか」
「でも、どれもピンとこないっていうか」
「冬だから、マフラーとかは?」
「あ、いいかも。でも五万円のマフラーってこの世に存在する?」
俺が使っているマフラーはいいとこ三千円だ。
「存在するよ。ブランド物ならそれくらいするんじゃないかな」
「そうか、マフラー。いいかもしれない」
でも電車通勤から車通勤になって、マフラーをつけなくなった。それをわかっていながらプレゼントするのもためらわれる。
「それか何か、ペアのものは? ペアリングはどうかな」
「指輪は結婚までとっておきたいんだよな」
俺が言うと、橋場は険しい顔で「結婚って……」と言いかけて、やめた。
「未婚なのに左手の薬指に指輪つけてたら、誰か大事な人がいるって証になって、言い寄ってくる人がいなくなると」
「それだ」
橋場の科白に割り込んで、声を上げた。
「でもそれ、前に加賀さんが結婚したって嘘ついて同窓会につけていったんだけど、結局なんか女の人に囲まれてて、そんなに効果ないのかなって」
「僕が言いたいのは、倉知のこともだよ」
「俺?」
「君がペアリングをつけていたら、加賀さんも安心すると思う。好意を寄せる人間に対する抑止力になるからね。だから、誕生日のプレゼントとしてはもっとも喜ばれるものじゃないかな」
なるほど、と思った。さすが橋場だ。説得力がある。もう、八割がた、ペアリングに傾いている。
「五万円でもいいのかな。安くない?」
「僕はその辺詳しくないけど、十分すぎると思うよ。それに金額は関係ないし、彼はそんなことを気にする人かな?」
加賀さんは金額なんて、気にしない。
「橋場」
足を止めた。橋場も足を止め、俺を振り返る。両手をとって、上下に振って「ありがとう」と笑った。
決めた。誕生日プレゼントはペアリングだ。
〈加賀編〉
今日は十一月三十日。あと数分後の明日、二十九歳の誕生日を迎える。二十代最後の年だ。妙なプレッシャーのようなものを感じるが、むしろ早く三十代になればいいとも思える。
隣で寝ている倉知の顔を見つめる。スタンドライトの淡い光に照らされる、十九歳の幼い顔つき。それでも出会った頃に比べたら、ちゃんと大人に近づいていっている。
無意識に手が伸びて、倉知の頬を撫でた。その瞬間に目が、ぱち、と見開いた。
「ごめん、起こした」
「ずっと起きてました」
「あれ、そうだったの?」
「あと二分ですね」
サイドテーブルの時計を見て、倉知が顔をほころばせた。
「誕生日になった瞬間に、一緒にいられるなんて嬉しいです」
確かにこれも同棲の醍醐味の一つかもしれない。
「加賀さん、ちょっと体起こして。目、閉じて」
「ん?」
「いいから起きて、目、閉じててください」
布団をどかして体起こし、シーツの上であぐらをかいた。
「キス?」
「違います」
否定したのに顔を寄せてくる。軽くキスをして、もう一度「目、つぶって」と念を押す。
「はいはい」
言われた通り目を閉じた。そして再度唇に押しつけられる柔らかい感触。
「何やってんの?」
「あ、目開けたら駄目ですからね」
衣擦れの音。ベッドがかすかに揺れて、フローリングを歩く足音。クローゼットを開けて、何かガサガサやっている。
倉知は俺の誕生日プレゼントを買うためにバイトを始めた。目的は達成したのだからとっとと辞めればいいのにと思ったが、労働に目覚めたらしく、これからも続けると宣言した。
土日は大体一緒にいたのに、それができなくなった。一人の時間もあればあったで別にいいか、とも思うが、実は寂しい。倉知がいない間、ほぼふて寝で時間を浪費する日々だった。
「加賀さん、目、開けてください」
言われるままに目を開けた。目の前に正座した倉知が気取ったような、大人びた笑顔で俺を見ていた。
「誕生日おめでとうございます」
「うん、ありがとう」
「これ、プレゼントです」
後ろ手に持っていたものを俺に差し出してくる。リボンがかかった小さな箱だ。
「ありがとう。開けていい?」
「開けてください」
倉知はわくわくした様子だった。この大きさからいくと、もしかして。
リボンを解き、箱を開けると思った通り、指輪だ。なんの飾りもついていない、シンプルな細身のリングだ。予想外で驚いたのは、指輪が二つ、並んでいることだ。
「すげえ、ペアリング?」
「そうです」
「どっちが俺の?」
「こっちです」
右側のリングを倉知の指がさした。
「これプラチナ? 高かっただろ」
指輪をつまんで眺めていると、倉知が俺の手を静かに握った。
「俺がはめてもいいですか?」
「うん」
俺の左手を取って、薬指に指輪を慎重にはめ込んだ。おそろしいほどすんなりと指になじんでいる。
「なんでぴったり? サイズわかってた?」
「いえ、測ったんです」
「ん? どうやって?」
「加賀さんが寝てるときに、こう、糸でしるしつけて」
いつそんなことをされたのか、まったく気づかなかった。神経が図太いから、夜は寝てしまえば滅多に目が覚めない。
「倉知君のもはめていい?」
「お願いします」
気合の入った手刀を俺の胸に向かって繰り出してくる。薬指にはめてやると、倉知がホッと息をついた。
「おそろいだ」
「うん、だな」
指輪をはめた手を並べて、顔を見合わせる。嬉しそうな倉知を見ていると、温かいものが胸に広がっていく。何を買うのか、いろいろ予想はしていた。指輪もありうるか、と思っていたが、なんとなく倉知は大学を卒業してからこういう行動に出る気がしていたから意外だった。
「ありがとな」
指を絡めてから、頭を撫でてやる。倉知は照れ笑いをして俺を抱きしめた。
「刻印を入れるサービスもあったんですけど、間に合わなくて何もないんです」
「刻印ってあれか、二人のイニシャル入れたりするやつ」
「そうです」
倉知が好きそうだ。俺はそういうのが気恥ずかしいタイプだ。何も入れなくてよかったと思ってしまった。
「本当は、ちょっと迷ったんです。だってこれ、会社に着けていけないでしょ?」
「あー、うん、結婚指輪以外はNGだね」
もう少しラフな職場なら許されたと思うが、営業だから身だしなみに特に厳しい。
「橋場もそれだけ心配してました」
「橋場君?」
「ペアリングを提案してくれたの、橋場なんです」
「嘘だろ。あいつこんな発想できるの?」
「俺もちょっと驚きました。もしかしてすごいロマンチストなのかもしれませんね」
おかしそうに言って、俺の身体を抱きしめたまま、ベッドに横になった。
「ずっと身に着けていられるものが理想だったんですけど」
「いいよ。だって俺の心の中に常にお前がいるから。身に着けてるようなもんだろ」
指を絡ませた手を持ち上げて、天井にかざした。安物にはない光沢だ。きっと稼いだバイト代をほとんどこれに費やしたのだろう。
「加賀さん」
「ん?」
「キュンとしました」
「はは、そっか」
「めちゃくちゃ幸せです」
抱きしめて、頬をすり寄せてくる。笑い合い、抱きしめ合い、キスをして、抱き合ったままベッドの上をゴロゴロと転げまわる。落ちそうになって爆笑したり、上になったり下になったり、夜なのになぜか二人揃ってテンションが高い。
指輪をはめた手を重ね合わせて、ひたすら指を絡ませてみたり、なかなか離れられない。
明日というかもう今日だが、仕事があるなんて考えたくない。一日中こうやってたわむれていられたらよかった。でも俺には仕事が、倉知には大学がある。
「倉知君はこれいつも着けててくれる? 学校行くときも着けてってよ」
倉知の手を取ると、指輪に唇をつけて言った。倉知が目を細めて、眩しそうに俺を見る。
「着けててほしいですか?」
「うん」
「どうして?」
「虫よけになるから。お前絶対モテるし、薬指に指輪してたら変な虫が寄ってこないだろ」
俺の答えは倉知の満足のいくものだったらしい。嬉しそうに、全開の笑顔で抱きしめてくる。
「もう外しません。ずっと着けてます」
「うん」
倉知の腹の上に乗って両手で顔を包み込み、目を覗き込む。澄んでいる。本当に綺麗だ。なんの濁りもない、綺麗な瞳。
「七世」
名前を呼ぶと、瞬時にして顔が赤くなる。目が泳いで、慌てた様子で「あっ、あの」と上ずった声を出した。
「もう、寝ましょう」
「はあ?」
「なんか急に睡魔に襲われたみたいです。あー、眠たい」
「なんつー棒読みだよ」
倉知は固く目を閉じて、下手くそなイビキを奏で、寝たふりを始めた。
「あれ? もう一個のプレゼントは?」
俺が腹に乗っているせいで身動きが取れない。逃げようにも逃げられず、ひたすら寝たふりで乗り切ろうとしている。くす、と笑って、眉間に刻まれた深いシワにキスをして、スタンドライトの明かりを落とす。
そもそも今、そういうことをする気分じゃない。仕事が終わったら、一日の締めくくりとしてじっくりといただくことにしよう。
「おやすみ、七世」
倉知の身体がビクン、と跳ねた。名前で呼ぶと異常に反応するせいで、今はまだ呼べない。時間をかけて慣れさせるしかない。
笑いをかみ殺し、布団をかぶり、倉知に寄り添って、手を繋ぐ。目を閉じると、体の力が抜けて、すぐに眠くなる。
意識が薄れるのを見計らったように、倉知の声が聞こえた。
「加賀さん、生まれてきてくれてありがとうございます」
去年も、その前も同じ言葉を聞いた。そのたびに、倉知に出会えた奇跡を痛感する。
生まれてきてよかったと、心から感謝する。
〈おわり〉
バイトで溜まった金額は、五万二千八百円。これだけあれば、それなりなものが買えるはずだ。
でも、何を買おう。稼ぐことに頭がいっていて、何を買うかまでは決めていなかった。
俺も物欲はないが、加賀さんも似たようなものだ。あれが欲しい、これが欲しい、という言葉はあまり聞かない。そもそも欲しいものがあれば自分で買える経済力がある。
欲しいものを買う、というより、加賀さんに持っていて欲しいものを渡す、という考え方をすることにした。
真っ先に浮かぶのは、指輪。でもこれは、今焦って買うものじゃない気がする。無事社会人になって、ちゃんとした大人の仲間入りを果たしてからだ。まだ俺はただの大学生で、プロポーズをできるような身分じゃない。指輪はそのときまで取っておきたい。
他に、何があるだろう。
仕事中でも、常に身に着けていてくれるようなものがいい。
時計は、無理だ。すでに三百万円のロレックスを持っている人に、予算五万円じゃ太刀打ちできない。
加賀さんが会社に行くときの格好を思い浮かべていると、ズボンのポケットでスマホが震えた。授業が終わったら見よう。授業中でも構わずスマホを見ている人は大勢いるが、俺はそれができない。というか、講義に集中せずに、恋人の誕生日プレゼントを考えているのも不真面目だ。
態度を改め、授業に集中することにした。ノートに落書きをした、「指輪 時計 スーツ ネクタイ 靴 鞄」の文字を、消しゴムで消す。隣に座っていた橋場が俺の手元を見下ろして首を傾げていた。
授業が終わると、すぐにスマホを確認した。六花からメッセージが来ていた。「暇なとき連絡ちょうだい」とある。今から昼休憩だ。いつも橋場と一緒に食事に行く。
「ごめん、ちょっと電話してくる」
教室を出て電話をかけると、すぐに六花が出た。
『元気?』
「うん、元気」
『早速ですが、そろそろ十二月一日ですね』
「うん、え、何」
『七世の誕生日、うちでやったじゃん?』
「ちょ、待って、まさか加賀さんの誕生日もみんなでお祝いするとか……」
『そのまさかです』
愕然とする俺に、六花がすかさず「ごめんね」と謝った。
『違うんだよ、あのね、加賀さんのお父さんが提案したことだから、怒らないでくれる?』
「え? 加賀さんのお父さんが?」
父親同士が個人的に連絡を取り合ったり、二人で飲みに行ったりしていることを最近知った。仲良くしてくれるのはありがたいが、本人たちを差し置いてどうしてそうなった、と言いたい。
『毎年父と子でお祝いしてるそうだけど、倉知家と加賀家合同でお誕生日会を開催することになりました。パーティ会場は二人の新居です』
ツッコミどころがありすぎて、声が出なくなった。
『何か質問は?』
「あの」
『うん』
「決定事項なの?」
『安心して。誕生日の当日は邪魔しないよ。パーティは日曜日の予定だから。一日は平日だしみんなそれぞれ仕事だから日曜の昼ならどうだろうって話になってて』
俺がバイトをしていることを、六花は知っている。それなのに日曜日を指定するのは、俺の行動パターンを読んでいるからだ。
『今週土日はバイト入れてないんでしょ?』
「ちょっと待って、倉知家と加賀家って、誰と誰……、何人? そもそもそんな大人数が食事できるようなテーブルもないし、ていうか誰が料理作るの?」
混乱して頭がなかなか働かない。マンションのリビングに家族が集合する図を想像してみる。落ち着かない。
『テーブルは、なんか適当にこっちで用意するよ。料理もお母さんが作って持っていくし、二人は何もしないでいてくれるだけでいいの』
これが誕生日当日なら断っていたかもしれない。だって、二人きりの時間がものすごく大事だ。土日をずっとバイトに充てていたせいで、ありがたみを痛感していたところだった。
『あ、加賀さんには私から話しておくね』
「は?」
『お疲れ様です。今から一緒にランチなんだ』
最初のお疲れ様ですは、加賀さんへ向けた言葉らしい。六花と加賀さんは職場が近く、たまに示し合わせて一緒に休憩を取っている。正直羨ましい。実の姉に対しても簡単に嫉妬してしまう。
『七世です。代わります?』
え、何、と戸惑った加賀さんの声がかすかに聞こえた。
『倉知君?』
「加賀さん、今度の日曜日」
『ああ、親父から聞いた』
ガガッ、と椅子を引くような音がした。
『いいんじゃない? 楽しそうだし』
あっさりと受け入れるところはさすがだ。加賀さんがいいと言うのに俺がごねるのはおかしい。黙り込んでしまった。
『うちんとこは親父とハルさんも来るって』
「あの、辻は? 妹さんとお母さんとか」
もしかして、と思ったが、加賀さんは「あー」とトーンを下げて言った。
『政宗は誘ってないと思うよ』
「そう、ですよね」
後妻のハルさんが来るならそうなるのもわかる。兄弟なのに、家族の集まりには呼ばれない。寂しいけど仕方がないのだろうか。
『じゃあ六花ちゃんに代わるわ』
「加賀さん、待って」
『ん?』
「あ、いえ……、なんでもないです」
『何?』
「本当になんでもなくて」
もう少し声を聞いていたいと思っただけだ。
「いいです、六花に代わってください」
『うん、じゃあな』
スマホが加賀さんから六花に渡されるしばらくの間が空いた。すぐに六花の声が「そういやさ」と続けた。
『プレゼント、決めたの? そのためのバイトでしょ?』
「まだ決めてない。どうしたらいいかな。加賀さん何が欲しいだろう」
『私に訊かれても』
「ですよね」
『七世の誕生日のときも加賀さんから相談されたんだよね。似たもの夫婦?』
「え、そうだったの?」
『ていうかあんた去年とかその前とか、何あげたの?』
電話の向こう側で加賀さんがむせている。
『え、あっ? うふふ、なんかそっち系だ』
六花が嬉しそうに声を弾ませる。慌てて話を逸らした。
「予算五万円で、悩んでるんだけど」
『そんな高いものじゃなくてもよくない?』
「だって加賀さんだよ。加賀さんが安物を身に着けるとか想像できない」
『うんまあ、あ、加賀さんうまい棒でいいって言ってるよ』
「うまい棒」
『うん』
六花が笑いを堪えている。
「何味がいいのかな」
『ふっ、……こっ、コンポタかな?』
ほとんど吹き出しながら六花が言った。
「でも加賀さんにそんな駄菓子似合わないっていうか、食べてるの見たことないし、あ、そうじゃなくて、食べたらなくなるものは悲しいからちょっとなあ」
『あんた天然に磨きかかってない?』
「ん? どういうこと? 加賀さんがうまい棒がいいって言ってるんだよね?」
『とにかく、七世が加賀さんのこと思って準備したものならなんでも嬉しいと思うよ。それに、あんたが自分で稼いだ初めてのお金で買うんだもんね。なんであろうと特別に決まってる』
早口で言って、時間ないから切るね、と唐突に電話が切れた。六花ならいいアドバイスをくれると思ったのに参考にはならなかった。
なんでも嬉しい。そうなのかもしれない。だからと言ってうまい棒なんて渡せない。
「予算五万円で、恋人の誕生日にプレゼント贈るなら、何買う?」
と、橋場に訊いた。訊いてから、橋場に訊いてどうするんだ、と自分に対してツッコミを入れたくなった。橋場は口を開けた間抜けな表情で俺を見上げ、歩みを緩めた。
「恋人の誕生日」
「う、うん」
「つまり、加賀さんの誕生日だね?」
「十二月一日なんだ」
「予算五万円か」
橋場は真面目な顔で腕を組み、考え込んでいる。適当にかわすこともできるのに、やっぱりいい奴だ、と思った。
「彼の一番近くにいて、よく知っているであろう倉知がそんなことを訊くということは、欲しいものがない人なの?」
「うん、そうなんだよね」
「さっきの落書きはプレゼント候補だったのか」
「でも、どれもピンとこないっていうか」
「冬だから、マフラーとかは?」
「あ、いいかも。でも五万円のマフラーってこの世に存在する?」
俺が使っているマフラーはいいとこ三千円だ。
「存在するよ。ブランド物ならそれくらいするんじゃないかな」
「そうか、マフラー。いいかもしれない」
でも電車通勤から車通勤になって、マフラーをつけなくなった。それをわかっていながらプレゼントするのもためらわれる。
「それか何か、ペアのものは? ペアリングはどうかな」
「指輪は結婚までとっておきたいんだよな」
俺が言うと、橋場は険しい顔で「結婚って……」と言いかけて、やめた。
「未婚なのに左手の薬指に指輪つけてたら、誰か大事な人がいるって証になって、言い寄ってくる人がいなくなると」
「それだ」
橋場の科白に割り込んで、声を上げた。
「でもそれ、前に加賀さんが結婚したって嘘ついて同窓会につけていったんだけど、結局なんか女の人に囲まれてて、そんなに効果ないのかなって」
「僕が言いたいのは、倉知のこともだよ」
「俺?」
「君がペアリングをつけていたら、加賀さんも安心すると思う。好意を寄せる人間に対する抑止力になるからね。だから、誕生日のプレゼントとしてはもっとも喜ばれるものじゃないかな」
なるほど、と思った。さすが橋場だ。説得力がある。もう、八割がた、ペアリングに傾いている。
「五万円でもいいのかな。安くない?」
「僕はその辺詳しくないけど、十分すぎると思うよ。それに金額は関係ないし、彼はそんなことを気にする人かな?」
加賀さんは金額なんて、気にしない。
「橋場」
足を止めた。橋場も足を止め、俺を振り返る。両手をとって、上下に振って「ありがとう」と笑った。
決めた。誕生日プレゼントはペアリングだ。
〈加賀編〉
今日は十一月三十日。あと数分後の明日、二十九歳の誕生日を迎える。二十代最後の年だ。妙なプレッシャーのようなものを感じるが、むしろ早く三十代になればいいとも思える。
隣で寝ている倉知の顔を見つめる。スタンドライトの淡い光に照らされる、十九歳の幼い顔つき。それでも出会った頃に比べたら、ちゃんと大人に近づいていっている。
無意識に手が伸びて、倉知の頬を撫でた。その瞬間に目が、ぱち、と見開いた。
「ごめん、起こした」
「ずっと起きてました」
「あれ、そうだったの?」
「あと二分ですね」
サイドテーブルの時計を見て、倉知が顔をほころばせた。
「誕生日になった瞬間に、一緒にいられるなんて嬉しいです」
確かにこれも同棲の醍醐味の一つかもしれない。
「加賀さん、ちょっと体起こして。目、閉じて」
「ん?」
「いいから起きて、目、閉じててください」
布団をどかして体起こし、シーツの上であぐらをかいた。
「キス?」
「違います」
否定したのに顔を寄せてくる。軽くキスをして、もう一度「目、つぶって」と念を押す。
「はいはい」
言われた通り目を閉じた。そして再度唇に押しつけられる柔らかい感触。
「何やってんの?」
「あ、目開けたら駄目ですからね」
衣擦れの音。ベッドがかすかに揺れて、フローリングを歩く足音。クローゼットを開けて、何かガサガサやっている。
倉知は俺の誕生日プレゼントを買うためにバイトを始めた。目的は達成したのだからとっとと辞めればいいのにと思ったが、労働に目覚めたらしく、これからも続けると宣言した。
土日は大体一緒にいたのに、それができなくなった。一人の時間もあればあったで別にいいか、とも思うが、実は寂しい。倉知がいない間、ほぼふて寝で時間を浪費する日々だった。
「加賀さん、目、開けてください」
言われるままに目を開けた。目の前に正座した倉知が気取ったような、大人びた笑顔で俺を見ていた。
「誕生日おめでとうございます」
「うん、ありがとう」
「これ、プレゼントです」
後ろ手に持っていたものを俺に差し出してくる。リボンがかかった小さな箱だ。
「ありがとう。開けていい?」
「開けてください」
倉知はわくわくした様子だった。この大きさからいくと、もしかして。
リボンを解き、箱を開けると思った通り、指輪だ。なんの飾りもついていない、シンプルな細身のリングだ。予想外で驚いたのは、指輪が二つ、並んでいることだ。
「すげえ、ペアリング?」
「そうです」
「どっちが俺の?」
「こっちです」
右側のリングを倉知の指がさした。
「これプラチナ? 高かっただろ」
指輪をつまんで眺めていると、倉知が俺の手を静かに握った。
「俺がはめてもいいですか?」
「うん」
俺の左手を取って、薬指に指輪を慎重にはめ込んだ。おそろしいほどすんなりと指になじんでいる。
「なんでぴったり? サイズわかってた?」
「いえ、測ったんです」
「ん? どうやって?」
「加賀さんが寝てるときに、こう、糸でしるしつけて」
いつそんなことをされたのか、まったく気づかなかった。神経が図太いから、夜は寝てしまえば滅多に目が覚めない。
「倉知君のもはめていい?」
「お願いします」
気合の入った手刀を俺の胸に向かって繰り出してくる。薬指にはめてやると、倉知がホッと息をついた。
「おそろいだ」
「うん、だな」
指輪をはめた手を並べて、顔を見合わせる。嬉しそうな倉知を見ていると、温かいものが胸に広がっていく。何を買うのか、いろいろ予想はしていた。指輪もありうるか、と思っていたが、なんとなく倉知は大学を卒業してからこういう行動に出る気がしていたから意外だった。
「ありがとな」
指を絡めてから、頭を撫でてやる。倉知は照れ笑いをして俺を抱きしめた。
「刻印を入れるサービスもあったんですけど、間に合わなくて何もないんです」
「刻印ってあれか、二人のイニシャル入れたりするやつ」
「そうです」
倉知が好きそうだ。俺はそういうのが気恥ずかしいタイプだ。何も入れなくてよかったと思ってしまった。
「本当は、ちょっと迷ったんです。だってこれ、会社に着けていけないでしょ?」
「あー、うん、結婚指輪以外はNGだね」
もう少しラフな職場なら許されたと思うが、営業だから身だしなみに特に厳しい。
「橋場もそれだけ心配してました」
「橋場君?」
「ペアリングを提案してくれたの、橋場なんです」
「嘘だろ。あいつこんな発想できるの?」
「俺もちょっと驚きました。もしかしてすごいロマンチストなのかもしれませんね」
おかしそうに言って、俺の身体を抱きしめたまま、ベッドに横になった。
「ずっと身に着けていられるものが理想だったんですけど」
「いいよ。だって俺の心の中に常にお前がいるから。身に着けてるようなもんだろ」
指を絡ませた手を持ち上げて、天井にかざした。安物にはない光沢だ。きっと稼いだバイト代をほとんどこれに費やしたのだろう。
「加賀さん」
「ん?」
「キュンとしました」
「はは、そっか」
「めちゃくちゃ幸せです」
抱きしめて、頬をすり寄せてくる。笑い合い、抱きしめ合い、キスをして、抱き合ったままベッドの上をゴロゴロと転げまわる。落ちそうになって爆笑したり、上になったり下になったり、夜なのになぜか二人揃ってテンションが高い。
指輪をはめた手を重ね合わせて、ひたすら指を絡ませてみたり、なかなか離れられない。
明日というかもう今日だが、仕事があるなんて考えたくない。一日中こうやってたわむれていられたらよかった。でも俺には仕事が、倉知には大学がある。
「倉知君はこれいつも着けててくれる? 学校行くときも着けてってよ」
倉知の手を取ると、指輪に唇をつけて言った。倉知が目を細めて、眩しそうに俺を見る。
「着けててほしいですか?」
「うん」
「どうして?」
「虫よけになるから。お前絶対モテるし、薬指に指輪してたら変な虫が寄ってこないだろ」
俺の答えは倉知の満足のいくものだったらしい。嬉しそうに、全開の笑顔で抱きしめてくる。
「もう外しません。ずっと着けてます」
「うん」
倉知の腹の上に乗って両手で顔を包み込み、目を覗き込む。澄んでいる。本当に綺麗だ。なんの濁りもない、綺麗な瞳。
「七世」
名前を呼ぶと、瞬時にして顔が赤くなる。目が泳いで、慌てた様子で「あっ、あの」と上ずった声を出した。
「もう、寝ましょう」
「はあ?」
「なんか急に睡魔に襲われたみたいです。あー、眠たい」
「なんつー棒読みだよ」
倉知は固く目を閉じて、下手くそなイビキを奏で、寝たふりを始めた。
「あれ? もう一個のプレゼントは?」
俺が腹に乗っているせいで身動きが取れない。逃げようにも逃げられず、ひたすら寝たふりで乗り切ろうとしている。くす、と笑って、眉間に刻まれた深いシワにキスをして、スタンドライトの明かりを落とす。
そもそも今、そういうことをする気分じゃない。仕事が終わったら、一日の締めくくりとしてじっくりといただくことにしよう。
「おやすみ、七世」
倉知の身体がビクン、と跳ねた。名前で呼ぶと異常に反応するせいで、今はまだ呼べない。時間をかけて慣れさせるしかない。
笑いをかみ殺し、布団をかぶり、倉知に寄り添って、手を繋ぐ。目を閉じると、体の力が抜けて、すぐに眠くなる。
意識が薄れるのを見計らったように、倉知の声が聞こえた。
「加賀さん、生まれてきてくれてありがとうございます」
去年も、その前も同じ言葉を聞いた。そのたびに、倉知に出会えた奇跡を痛感する。
生まれてきてよかったと、心から感謝する。
〈おわり〉
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