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第一章 イギリスお嬢様とメイド

21話「やはり少年は女子に疎まれる&魔法実技ー後編ー」

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「全員デバイスは持ったな? あとは昨日お前達がダウンロードした魔法のコードを言って発動してみせろ」
「「「「「はいっ!」」」」」

 七瀬の張りのある声に全員が返事すると周りからは続々と詠唱を唱える声が聞こえてくる。
 詠唱と言ってもコード名を叫ぶだけの簡単仕様で、魔術士はそれをトリガーに魔法を発動する事が出来るのだ。

 そして望六は視線を女子達の方に向けると、詠唱が成功した者もいれば失敗した者もちらほら見受けられた。
 
「よし、俺達も魔法発動してみっか!」
「ああそうだな! さっきから体がうずうずして収まらないぜ!」

 望六の言葉に釣られたのか一樹は先程から身震いを起こしている。
 恐らくだが魔法を発動とすると言う行為に心が震えているのだろう。
 だがそれは望六も同じで二人が年甲斐もなくはしゃいでいると、

「まったく、お前達は本当に子供だな。少しは高校生らしく落ち着きを持った方がいいんじゃないのか?」

 それを横から見ていた月奈が両肩を竦めて呆れた様子で言ってきた。
 だが望六は考える。今まで見てきたアニメやラノベでも男子高校生と言うのは自分達みたいにノリと勢いで過ごしている者が多いと。

 ……しかしフィクションを現実に持ってくるのは流石に駄目かと言葉には出さなかった。

「おいそこ、何を先程から呑気に喋っている? お前達だけだぞ未だに魔法を発動していない組はな」
「「「すみません……」」」
「はぁ……まぁいい。私が今からお前達を見といてやるから発動してみろ。最初は月奈だ」

 喋っていた事に関して軽く怒られると七瀬が直々に三人に教えてくれるようだ。
 最初に名を挙げられた月奈はどことなく緊張した面持ちで一歩前に出ると、左手に持っている刀型のデバイスを鞘から抜刀した。

「ふーぅ。では参ります! 術式展開【Slashing斬撃 flash一閃】!」

 月奈は深呼吸して刀を振り上げて術式を放つと刃の周りに薄いピンク色が発光し始めて、刀を真っ直ぐに振り下ろすとピンク色の発光がそのまま勢いに乗って放たれた。

「おお!? 凄いな月奈! なんだよれ!」
 
 一樹が野次馬のような声を横から送ると、その斬撃は地面を抉りつつ五メートル程の距離の所で消滅した。
 
「ふむ。特質属性のテンプレだからこんなモノだな。しかし初めてにしては上出来の部類だ。良くやった」
「あ、ありがとうございます!」

 珍しく七瀬が人を褒めるという行為をすると望六と一樹は「えっ? あれ本当に七瀬さん?」と言った意味合いのアイコンタクトを交わしていた。
 ちなみに月奈は褒められた事が嬉しかったのか、お辞儀をしたと同時に勢い良く刃先を地面に突き刺していた。

「次は望六。お前がやってみせろ」
「はいっ!」

 望六も月奈同様に一歩前に出ると自分の腰からデバイスを引き抜く。
 やっと出番が回ってくると彼はここで派手に格好良く決めて、周りの女子達に自分の存在を認めさせるチャンスだと思ったのだ。

「いくぞ俺のデバイス【宵闇月影よいやみげつえい】! 術式展開【Ether魔力の bolt】!!」

 望六は淳史の形見のデバイス名を叫び片手剣を前に突き出すと刃先に白色の微粒子が集まり出し、球体状の形を成すとそれを前方に放出した。

 そのまま球体状の魔法の塊はある程度の距離を突き進むと破裂して消滅する。
 やはり無属性では威力はないようだ。しかしちゃんと魔法は使えたし、無属性の中ではそれなりに規模がでかい魔法なのではないだろうか。

「お、おぉ……。まさか初の実技授業でサッカーボールサイズの魔法の塊を作るとは……。どうやらそのAランクは飾りではないようだな」
「もちろんですよ! はははっ!」

 七瀬は望六の魔法を見て度肝を抜かれているようだ。つまり手応えは好感触の筈だ。
 あとはクラスの女子達がどんな反応をしているかだが――

「な、なぜなんだ……。どうしてなんだ……」

 彼は体の底から湧いてくる妙な自身を感じつつ周囲に顔を向けると、そこには前より遥かに刺の増した視線を至る方向から向けられていた。
 その予想外の出来事に望六は思わずその場で棒立ちしてしまうが、

「そこで固まるな望六後ろに下がれ。それと次は一樹だ。やれ」

 七瀬に言われた通りにその場を退くと、望六が醸し出す暗い雰囲気を察したのか月奈が声を掛けてきた。

「お前は馬鹿なのか? 唯でさえお前はAランクという肩書きで嫌われているのだから、その上に魔力まで強いと分かったら更に嫌われるのは当然だろうに。まあ半分は嫉妬だと思うがな」
「そ、それは盲点だった……」

 流石は月奈だ。あの女子達の気持ちを瞬時に理解出来たらしい。
 そしてそれを聞くにどうやら彼は盛大にやらかしたらしい。一層の事これがゲームならセーブポイントからやり直したいぐらいだが、これは現実なので望六は諦めるしかなかった。

「よっしゃ俺もやるぞ! 術式展開【Burst彈ける thunder雷鳴】!」
 
 望六が溜息を吐いていると前の方では一樹が詠唱を唱えて剣を大きく振っている……がしかし、

「……あれ?」
 
 一樹の片手剣は魔力を帯びることはなく、それはもはやただの素振りとなっていた。

「ちょ、ちょとぉ!? 術式展開【Burst thunder】! 術式展開【Burst thunder】!」

 一樹は格好良い感じに詠唱を行ったまではいいが、魔法が不発ということでかなり焦っている様子だ。だがそれもその筈。
 何度詠唱を繰り返しても魔法が発動する事はなく、背後では七瀬が睨みを利かせて周りでは女子達がワクワクとした期待を込めた視線で見守っているからだ。

「どうしたんだ一樹の奴? さっきから不発ばかりだけど」
「さあな。大方自分がAランクで望六も魔法が発動出来たから自分にも出来るだろうと浮かれていたんじゃないか?」

 望六が何気なく放った言葉に月奈は詳しく解説して返してくるが、その言葉に少し棘があるのは気のせいだろうか。
 だけど恐らく月奈の中で浮かれている者と言うは軟弱者と同レベルの扱いなのだろう。
 
「まったく、お前はそれでもAランクの魔術士候補生なのか?」
「だ、だってよ姉貴!「姉貴ではない。宮薗先生だ」せ、先生……」

 七瀬は一樹の不発魔法の数々を見ると呆れた様子で眉間を押さえると、周囲に顔を向けて女子達に声を掛け始めた。

「現状で魔法が発動できない者は何人居る? 挙手しろ」
 
 その言葉で周りからは数人の手が上がると、もちろんその中に一樹も含まれていた。

「はぁ……。これは教え甲斐があるな。いいか良く聞け。魔法を発動するイメージは酸素を体に取り込むのと何ら変わらない。空気中に含まれる魔力物質を体に引き寄せて、あとはそれをデバイスに伝わせて詠唱するだけだ。まあ、熟練者ともなれば無詠唱で発動できるがな」

 七瀬から魔力発動の原理というかイメージ構想を聞くと、先程挙手をしていた女子達は次々と魔法を発動させるこに成功していた。がしかし……一樹の方は相変わらずのようだ。

「なんで発動しないんだよ! 俺には素質がないのか?」
「一樹、お前のデバイスにはアビリティ魔術という一撃必殺の魔法が事前にインストしてある。今のお前でそれが発動できるか試してみろ。発動条件は同じだ」

 一樹は自分に自信をなくしかけているのか肩が下がっていると、七瀬が近づいてそんな事を言っていた。
 
 アビリティ魔術と言う言葉。それは偶然にも望六は知っていた。
 実は昨日デバイスとパソコンを接続した時にデバイス内の設定を見ていたら、この宵闇月影にもアビリティ魔術がインストールされていたのだ。
 
 これは可能性でしかないが恐らく淳史が生前に自作した魔法で、これは無属性の者しか使えない代物だろう。淳史も望六と同じく無属性であったがゆえにだ。それに属性が同じならランクは関係なく魔法が発動出来るというのは先程の実技で証明されただろう。

「えっ……。でも俺、術式名とか分からな「いいからやれ」はい……」

 一樹は七瀬に脅される形で改めてデバイスを構え直すと苦痛を感じたかのように一瞬顔を歪ませていた。だが直ぐに何時もの能天気顔へと戻ったようなので、きっと緊張か何かでやられていたのだろう。周りでは女子達が皆一様に一樹へと視線が釘付け状態だ。
 
 それから一樹の些細な表情の変化に気づくのは自分と月奈ぐらいだろうっと望六は思っていると、

「ははっ、なるほどな姉貴。よっしゃ今度こそ決めるぜ! アビリティ魔術【冥雷サンダー・ブロー・一斬オリジン二式】!!」

 一樹はアビリティ魔術の名を叫んでいた。
 そして月奈の時と同じように剣の周りには黄色の発光、恐らく雷の魔力が集まっているのだろう。彼の片手剣は弾けるような稲妻音を立てながら光り輝いている。

「そのまま上空に放て!」
「了解!」

 七瀬の合図で一樹は下から切り上げるように上空へと魔法を放つ。
 するとその魔法は空中で炸裂すると雷が落ちたかのような轟音を辺りに響かせて散った。

「な、なんだよあの魔法は……。見るからに高威力の攻撃魔法過ぎんだろ……」

 望六は空を眺めて言葉を漏らすと隣に立っている月奈も空を見上げて固まったままであった。
 だがここで彼はとある事を思い出した。
 それはこの魔法が七瀬が現役の頃に使っていた魔法ではないかと言う事だ。

「全員ちゃんと今のを目に焼き付けたな? あれが魔術士の一撃必殺【アビリティ魔術】だ。これは通常の術式展開とは違い絶対的にコード詠唱が必要だからな。覚えておけ」
「「「「「はいっ!」」」」」

 だがそんな考えは一旦置いとくとして、一樹のアビリティ魔術は普通に威力が高そうだと言う事実のみが残った。
 
 望六はまだ自分のアビリティ魔術を発動した事がないから分からないが、これを見る分には属性付きの方が有利という法則は変わらない事実かも知れないと悟った。

「凄いではないか一樹! あんな綺麗に剣を振れるとはな!」
「えっ? ああそっち?」
「無論魔法も凄かったぞ! こう、ドカーンピカーンとしていてな!」

 月奈は一目散に一樹の元へと近づくと剣の振り方を褒めているようだった。
 望六その光景を目にすると静かにこう呟いた。

「ふっ、流石は居合女子というべきなのだろうな」

 実は月奈の家は昔、居合を専門に道場をやっていて明治時代から伝わる”水崎流”居合術を教えていたらしい。でも今は教える人がいなから道場は閉まっているとのこと。
 所謂後継者が不在というやつだろう。

「さて、あとは各人が時間ぎりぎりまで詠唱を練習するように。目標は無詠唱で発動だからな」

 七瀬に言われた通りに全員は残り時間ギリギリまで詠唱をひたすらに繰り返すこととなった。
 だが一樹の場合なぜか術式展開ができないので、今さっき月奈から教わった袈裟斬りを練習しているみたいだ。

 だがなぜ袈裟斬りなのかは分からない。
 他にもあっただろうにと望六は見ていて思ったが魔法発動の練習に集中する為に押し黙った。

 そして望六は【Ether bolt】を上空に何個か放って魔力を消耗した事で離れた位置で休憩していると、唐突にも隣の方から「危ない!!」という声が聞こえてきた。

 何事かと思い視線を声の方へと向けると、視線の先には水属性の細い針状の塊が勢い良くこちらに向かって飛んできている場面であった。

「お、おい! 月奈後ろ!」

 しかも最悪なことにその魔法は月奈の直ぐ近くまで迫っているのだ。

「なんだ……急……に!?」
 
 月奈は望六の声でその存在には気づいたみたいだが、向かってきている魔法の数が多くて現状では空を飛ぶと言う方法でしか回避は不可能に近い。

「畜生どうする!? いや考えている場合じゃないな!」

 望六は直ぐに月奈の元へ走ろうとすると横から風圧を感じるほどに速い動きで一樹が真剣な眼差しをして通り過ぎて行く。
 そのまま一樹は走って月奈を庇うよに前へと出ると剣を構えた。

「か、一樹何をしている! このままではお前も……!」
「任せろ月奈、俺が守る。アビリティ魔術【冥雷極一斬二式】!!」

 勢いに乗って飛んでくる水属性の魔法にタイミング良く一樹がアビリティ魔術を放つと、双方の魔法はぶつかり合って相殺された。
 ……しかし望六は気付いてしまった。
 
 奥の方では誤って魔法を放ってしまったであろう女子達が何やら月奈を睨みながら舌打ちをしている事に。もしかてあの女子達は態と月奈を狙ったのかと疑いの視線を向けたが、今はそんな事よりも大事な事があった。

「おい、お前達大丈夫か!?」

 遅れて望六が二人の元に近づくと、

「だ、大丈夫だ!」

 とだけ言って一樹は顔面から地面へと倒れ込んでいた。

「あっ……あぁ……」

 月奈は言葉を無くしているようだが、きっと遅れて現状を理解して恐怖が襲ってきているのだろう。
 ――それからほどなくして離れた位置に居た七瀬が慌てて駆け寄ってくると同時に授業の終わりを知らせるチャイムがグラウンドに鳴り響いた。

 望六達は初の実技授業で危険な行為について深く学ぶことになったのと、本当の戦いでは迷っている暇はないという事を痛感させられた。
 自分も一樹みたいに自然と体が動けるようにしないといけないと望六も学ぶべき点は多かった。

 更に望六の中で気がかりなのはあの女子達の行動だ。
 あれは明確に月奈を狙っていたのか、それともたまたまなのか。
 どちらにせよ要注意と言う事は変わらないので一旦区切る事にした。

 そしてこれは七瀬が小言のように言っていが一樹がアビリティ魔術で通常の魔法を食い止めたのはかなり危険行為だったらしい。

 通常の魔法とアビリティ魔術は威力が異なることから、相手の魔法を打ち消してそのまま突き進んで女子達に怪我を負わせていたかも知れないとのこと。

 つまり二回目の魔法発動のおかげで威力が減退していたからこそ成し得たことなのだ。
 一回目のフルパワーだったら大惨事は免れなかっただろう。

 ――あとこれは余談だが当の本人の一樹は魔力を一気に放出し過ぎたせいで自力では歩けないらしく望六が教室まで運んだのだ。
 勿論ラーメンと炒飯を奢って貰うと言う条件付きだったが。
 
 それに月奈は授業が終わってもしばし放心状態であったが望六が「動かないと胸を揉むぞ」と軽い冗談を投げた所、恐ろしく早い鉄拳が飛んできたので大丈夫そうだった。
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