勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

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第一章 追放と仲間探し

36話「銀髪少女は嘔吐してKO」

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 クラークが魔眼を発動させて【シャドウ・イーター】という特徴のある言葉を叫び上げると、それは十中八九魔術的な技であることが分かった。

 何故なら彼女がショットガンの引き金を引いたと同時に、黒色の禍々しい魔法陣が不透明に浮かび上がり、放たれた銃弾たちが瞬く間に無数に分裂して乱雑に飛び始めると、それは到底普通の射撃ではありえない動きを見せていたからだ。

「ま、まじかよ。それこそチート能力じゃねぇか……」

 目の前の光景を見て自然と言葉が出ると、この独り言にこそ今の現状の全てが現されている。
 なんせクラークが撃ちだした銃弾には規則性という概念が一切なく、正面や背後や左右からと絶対に無理な方向から俺を仕留めようとしてきているのだ。

 それはもう魔法が関与しているということは明白であり、恐らくだが最初に見た例の黒色の魔法陣が全体的な影響を及ぼしている結果であろう。

 そしてこれは俺の推測になるのだが銃弾に魔法を付与させることで、分裂させた弾の一個ずつを自らが的確に魔力を使用して操作しているのではないだろうか。
 そう、例えるならば複数台のドローンを一つの端末で操作するような感じだ。

 だがそう考えるとクラーク本人が大量の魔力を消費していることが考えられ、その負担は相当なものだということも容易に理解できる。
 更にそれを成すためには強靭的な精神力を必要だということも。
 
 だがしかし俺は魔法とか使わない事から具体的なことは語れず、あくまでも外野から見たことを主観を織り交ぜて伝えることしかできない。
 けれど現状を見た限りでは、この説明が一番伝わりやすい筈だ。

「だが……こうも一方的に、しかも同時に死角を責められると中々どうして厳しいものがあるな」

 幾ら現状を自分なりに解説して上手く纏めようとしても、現実は何一つ変わることはなく無数の銃弾が死角を責めてくることは避けられない事実である。
 ……だがそれでも厳しいというだけで、まったく防げないという訳でもないのだ。

「くたばれぇぇぇぇぁああっ!」

 クラークが再び狂気じみた叫び声を撒き散らすと、周囲を旋回していた銃弾たちが一斉に角度を変えて狙いを定めてきた。
 それはとどのつまり一斉射撃の準備を整え終えたということ。

「ははっ、同時にやってくれるのか? だったらそれは最高の展開だぜ、なぁおい!」

 思わず笑みが込み上げてくると、それは願っていもないことであり、俺としてはこれ以上に幸運なことはない。

 仮にばらばらで一個ずつ死角から撃たれるとなると正直厄介な所ではあったのだが、一斉射撃であればその問題は解決して勝機は一気にこちら側へと傾くことは必須だ。

 ――そしてクラークが再び魔眼を光らせて睨みつけてくると、狙いを定めた無数の銃弾は一斉に魔力を帯びた状態で俺の元へと突撃を仕掛けてきた。しかし改めて思うが幾ら模擬弾と言えど魔力操作を受けていることから、威力と貫通力は実弾とほぼ大差ない状態であろう。

「ああ、まじで怖いぜ。だけどこれをやり遂げなければ俺は恐らく死ぬ。だから、それだけは絶対に回避しなければならない!」

 まるで雨のように降り注ごうとしている数多の銃弾を目の前にして手が震えるが、それでもここを乗り越えれば勝利は目前だとして気合を入れ直す。

 それから両手に携えている剣を交差させて銃弾が着弾する時を見計らうと、そのまま自身を勢いよく回転させて全方位を守る鉄壁の壁を築くことに成功した。

 ちなみにこの技は某アニメの主要キャラが使っていたのを先程思い出して、見様見真似で使用してみたのだが意外と万能な技かも知れないとして驚きが隠せない。
 まさかこうして即席での技が俺の身を守ることになろうとは。
 
 だがそう考えると日本の漫画は本当に優秀だと言わざる得ないだろう。
 この俺様が日本の漫画を最強の技特集として認めてやるぜ。
 勿論だが戦闘物のみだがな。甘酸っぱい学園ラブコメはお呼びじゃねえ。

「うっ”!? ……し、しまったな。ちょっとばかし調子に乗りすぎたか?」

 豪雨のように降り注ぐ銃弾を剣と共に回転し続けることで回避しているのだが、銃弾が剣に着弾する度に大なり小なり衝撃を受けることから手首の負担が凄まじい。

 ただでさえ最初の攻撃で手首の神経がやられていることから、この攻撃が長引けば地味にだが辛いものがあり確実に俺が不利となる。

「……だけど向こうも限界のようだな。もう飛んでいる銃弾が数えられる程度にまで落ちているぞ」

 そして銃弾の雨が次第に小降り程度のものへと変わると、ここが勝機と見て回転防御壁を辞めて地を蹴り上げると共に猪突猛進を繰り出してクラークの元へと近付く。

「そ、そんな馬鹿な……っ」

 すると彼女は自身の攻撃が二度も封じられたことで絶望の表情を見せながら唖然としていた。
 しかし魔力消費が凄まじいのか体を左右に揺らし始めると、等々残りの銃弾も全て消えて完全に魔力切れを起こしている状態であった。

「大丈夫だクラーク、お前は強い女だよ。ただ今回は相手が悪かった。……本当にただそれだけのことさ」

 これまでの戦いぶりを称えるように言葉を口にすると一筋の感情が脳裏を駆けていくが、このまま本気の力を駆使して彼女を叩きのめしていいのだろうかと思えてしまった。
 
 仮にも弱っている少女を俺がチート能力の力でねじ伏せる……。
 それは本当に良いことなのだろうかと今更ながらに道徳的な感情が湧いてならない。

 だがここまで全力を出して決闘をしてくれたクラークに、今更手加減をするのは些か無粋な行為だと俺は思うのだ。

 それにこっちは手首の神経を持って行かれている訳で、そう改めて考えると無性に苛立ちが込み上げてきてならない。
 だからこれは俺から精一杯の決闘のお礼として、

「うぉぉぉっ! 受け取れぇぇ! クラークぅぅう!」

 残りの力を出し切るようにして全力で彼女の溝尾へと目掛けて鞘入の剣を突き入れた。

「か”は”ぁ”っ”!?」

 そしてクラークは魔力切れを起こしているが故に避けることも叶わず、見後に突きの攻撃を食らうと皆が見ている前で盛大に吐瀉物をぶちまけた。それから彼女は震える両足で二歩後ろに下がると、途端に糸が切れた人形のようにその場へ倒れ込むのであった。
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