勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666

文字の大きさ
31 / 55
第一章 追放と仲間探し

29話「クラーク=ハイゼンベルクという女性」

しおりを挟む
 取り敢えず美容の話をしているアリスの背に向けて声を掛けたあと、俺は受付のお姉さんから指示された通りに裏庭へと出た。

 するとそこでは大勢の男の傭兵たちが屯していて、敷地の真ん中では先程教えて貰った情報通りの女性が佇んでいた。恐らくあれが例のクラーク=ハイゼンベルクという女性なのだろう。

 彼女は銀色に煌く長髪を風に靡かせて、まるで血のように赤い瞳を持ち、容姿は確かに子供のような体格をしていた。
 まさに受付のお姉さんが言ってた通りの人物ではあるが左目は眼帯で隠されているようだ。

 これが中二病的なものでなければ、恐らく目の病気か怪我をしているかのどちらかであろう。
 そして周りに屯する傭兵達はクラークを見守るようにして地面に座り込んでいる状況だ。

「な、なんだ? 一体なにが始まるんだ?」

 その光景は今まさに何かが始まろうとしている雰囲気すら感じ取れて、完全にクラークに話し掛けるタイミングを逃してしまっていた。

 だが不用意に話し掛けると普通に怪しまれて戦うことになりかねないという予想も出来るが故に、一体どうするべきかと考えるがその場で体が膠着してしまう。

 受付のお姉さん曰く『クラークの戦闘技能において右に出る者はいない』と言われるほどで、話し掛ける際には充分に気をつけろと念を押されているのだ。

 それはもう物凄く怖くて、やはりここはコミュ力のスキルがカンストしているアリスを連れてくるべきだっただろうか。

「武装召喚ッ! 私の元に顕現せよ、サウエル&コンバット!」

 しかしそんな事を考えている間にクラークは武装召喚なる魔法を発動させると、彼女の右手は途端に眩い光を無造作に放出し始めていた。

 そして周りに居る傭兵達はこのことが事前に分かっていたのか、全員が一斉に顔を逸らしたり目元を手で覆い隠していた。
 けれど俺はその行動を呆然と見ていたが故に判断が遅れると、

「あがっ!? め、目がぁぁあ!」

 その光を直視してしまい目の奥がナイフの先端で突かれているような痛みを受けて悶えた。

 だけど何度か目元を手で擦るうちに次第に痛みが抜けていくと、急いで視線をクラークの元へと向けたが、なんと彼女の右手には拳銃のような物が具現化していて、左手にはコンバットナイフのような物騒な得物まで握られていた。

「武装召喚使い……そうか。クラークは自在に武器を手元に呼び出せる者、つまりガンマスターの職業か!」

 彼女が先ほど詠唱した言葉と手に握られている武器を見て考察をしていくと、それは一つの職業へと繋がりを示していたのだ。そう、ガンマスターと呼ばれる上級職のことだ。
 それは数多の銃火器を自在に召喚し、どんな戦況でも対応できる能力を持つ万能型だ。

「おーいクラーク! いくぞー!」

 傭兵の一人が奥の方で声を大にして叫ぶと、その隣には奇妙な木製の大箱が三個ほど置かれていた。そしてクラークが傭兵の言葉に静かに頷くと、それを合図としてなのか木箱から飛び出していた紐を傭兵が力の限り引き抜く。

 するとその刹那、木箱からは無数の白い皿が放出されて、それらは上空を飛んでクラークのもとへと向かう。それから放出された皿が彼女の元へと近づくと、クラークは静かに拳銃を構えて狙いを定めるような仕草を見せる。
 
 ――そして引き金に添えていた人差し指に力を込めると、自分の元へと飛んでくる皿を次々と即座に打ち落としていき、その狙いに寸分の狂いはなく一発も外すことなく打ち落とす。

 地面には次々と打ち落とされた皿が転がるが、最後の一枚が飛んでくると弾切れを起こしたのか拳銃から弾が発射されることはなかった。

「ふっ、やはり最後はこれに限るな」

 だがそれは想定の範囲内なのかクラークは白い歯を見せつつ笑みを零すと魔法を解除したのか手元から拳銃を消して、最後は左手に握られていたナイフを手元で遊ばせて上空の皿へと視線を向けていた。

「も、もしかしてナイフで皿を落とそうとしているのか……?」

 その言葉を呟くと同時に彼女はナイフを握り直して投擲の姿勢を取ると、やはり俺の予想は的を得ていたようでクラークは最後の皿に目掛けてナイフを投げ放っていた。

 しかしナイフと拳銃では根本が違うのだ。それは子供でも分かることであり、そんな無謀とも言える投擲で上空を飛んでいる皿に当たる訳がない。
 そう思いつつ放たれたナイフを目で追っていたのだが、

「う、嘘だろ!?」

 奇妙な事にナイフは引き寄せられるように近づいていくと見後に皿を貫いたのだ。
 そして綺麗に真ん中を貫かれた皿は地面へと落ちると、ナイフの魔法も解除されたのか綺麗に消えていた。

「「「うぉぉぉぉ!」」」

 そのあと全ての皿を地に落としたクラークを称えるように、周りからは一斉に拍手喝采の嵐が巻き起こる。

「さすがはクラークだ!」
「今日も見事な腕前だったな!」
「惚れ惚れするぜ!」

 拍手喝采の嵐の中には彼女へと声を掛ける者も多く見えるが、当の本人のクラークは周りに耳を傾ける仕草すら見せず、冷たい雰囲気を出しながらその場を後にしようとしていた。

「確かに惚れ惚れする動きだったが……いかんいかん! 俺は情報を求めにここに来たのだっ!」

 彼女の一連の動きに魅了されれたいたが寸前のところで本来の目的を思い出すと、急いでクラークの元へと近づいて声を掛けることにした。
 今ここで彼女を逃がせば、それ即ち情報を逃すことと同じことであるからだ。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...