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第一章 追放と仲間探し
14話「令嬢の修行と心変わり」
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アリスに背中を馬乗りにされて無理やり契約書にサインをさせられると、さっそく次の日の昼頃から俺の独断と偏見による剣の修行が始まりを告げたのであった。
本来ならばこんなところで時間を使っている場合ではないのだが、今ここで逃げ出しては領主が全権力を行使して俺を捉えに来ると、脅し文句を何度も言い放ってきたので下手に逃げる事も叶わずだ。
取り敢えず現状としては屋敷の庭に堂々と鎮座する高さ二メートル以上で幅五メートルほどの岩を綺麗に両断出来たら合格という事を伝えてアリスには素振りの練習をさせている。
……というか本音を言うと俺は素人同然の人間であり、剣の修行とかはアニメとか漫画とかで得た知識ぐらいしかなくて何をどう教えたらいいのか全く分からない。
だからその場凌ぎでちょうど運良く庭の真ん中に置かれていた岩を見て、某漫画に描かれていた修行内容を彼女に伝えたのだ。
まあだけどレイピアで岩を両断するなんて一日や二日、ましてや一ヶ月や二ヶ月掛けても無理だろう。そんな事を思いつつ俺は雨が降る日も風が吹き荒れる日も、毎日毎日アリスの修行を手伝い、気づけばあっという間に二ヶ月という月日が流れていたのだ。
しかし三ヶ月という月日が流れるとアリスとも自然と距離感が近くなり、最初の頃は嫌悪の雰囲気や眼差しを受けていたのだが、今では普通の人間を見るような視線を向けられるようになった。
つまりは人として認めて貰えたということである。それでもだいぶ時間と日数は必要としたが。
そして頃合を見計らいつつ俺は勇者の塔や魔王に対抗できる伝説の聖剣などの情報を尋ねてみたのだが、彼女曰くそんな物は何一つ知らないとの事であった。
やはりこの二つを探すには、かなりの時間と労力が必要なのだろう。
それは例えるならば雲を素手で掴むような絵空事なのかも知れない。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「さぁ、わたくしが入れた特性のお茶ですわよ。疲労回復に抜群ですの。温かいうちにどうぞ」
「あ、ああ頂くよ。ありがとうな……」
木製の椅子に座りながら弱々しく返事をすると俺の目の前にはアリスの入れたお茶が机の上に置かれて、ティーカップからは湯気が立ち登ると共に酸味の効いた匂いがして作り立てというのが容易に分かる。
一応だが言っておくと修行の日々は続いているのだが今日はたまたま休息日であり、俺としては街に繰り出してエッチなお店で給料を散財したかったのだが、屋敷を出る寸前でアリスに捕まるとお茶会に招待されて今に至るのだ。
だが最近は何故かお茶会に招待される頻度が高くて、何か裏でもあるんじゃないかと疑っているのは秘密だ。剣を教え始めて最初の頃はよく一人でお茶を飲んでいる所を目撃したことはあるが……本当になんで俺を誘うようになったのだろうか? こればかりは本当に分からん。
しかし周りを見渡せば花畑が視界一面に広がり心が和むような感覚を受けるが、こっちとしては日々の修行のせいで欲求不満が募りに募り下半身が膨張間近で一刻も早く沈めたいところであるのだ。
その欲求不満に関して理由を述べるならば剣の振り方を指導する際に、俺は怒られないように自然体を装い彼女の腰や腕や太ももを触り続けていたからだ!
やはり童貞の俺には個人指導で有り余る欲求を抑えることは出来なかったよ。
「あー……ところで一つ聞きたい事があるんだが、いいか?」
だがいつまでもそんな事を考えていても仕方ないので、ずっと気になっていた事を質問してみることにした。
「んっ、別に構いませんわよ」
紅茶を一口飲んでからアリスは言葉を返すと、そのままティーカップを小皿の上に乗せて視線を合わせてくる。
「お前は何でそんなにも強くなりたいんだ? 別に領主の娘ならば剣は嗜み程度でいい気がするんだが」
それはなぜ彼女がここまで力を欲しているのかという事であり、領主の娘とならば後々何処かの領主の息子や貴族の元へと嫁ぐのではないかと。
「……そうですわね。確かにただの領主の娘ならばそれで良かったのかも知れません。ですが、わたくしにはカークランドの街を自らの手で守るという大いなる使命がありますの。だからその為にも剣術をマスターしないといけないのですわ」
そう言いながらアリスは机の上に置かれているアフタヌーンティーに手を伸ばすと、一つのお菓子を手に取り口元へと近づけていた。どうやら話を聞く限り彼女は彼女で色々な事情を抱えているようで、モーセルが現役を退いたら次はアリスがカークランドの領主となるらしい。
「ほぉー、つまりお前は何処かの貴族や領主に嫁ぐ事はしないってことか?」
純粋に疑問に思った事を尋ねてみるが、その覚悟が本当ならば婿養子とかでないとアリスは結婚しないということなのだろうか。
「そうですわ。わたくしは何処ぞの馬の骨とも分からない人とは結婚しませんの。まあ……それでもわたくしよりも強い人が居れば話は別かも知れませんがね」
いつの間にかお菓子を食べ終えていたようでアリスは口元を白い布で拭くと、そのまま結婚しない発言をしていたが、最後に一瞬だけ迷いが生まれたのか強い人という条件を出していた。
「へぇーそうなのか。じゃあ強い人が見つかると良いな」
そう言いながら俺も小腹が空いたのでアフタヌーンティーに手を伸ばして菓子を一つ取ると、そのまま口の中に頬張り久々に甘味という物を堪能した。
「ッ……そ、そうですわね」
すると何故かアリスは目を細めて若干不服そうな表情を見せていた。
一体どうしたというのだろうか? 別に変なことも言ってない気がするのだが。
けれど今こうして思えば彼女が俺をお茶会に誘い出したのは、あの事件が起きた次の日からだった気がしないでもない。
それは豪雨の日であり視界全部が雨粒に覆われている中でアリスがいつも通りに修行を始めて暫くすると、突如として雨風と共に雨鳥と呼ばれる魔物が三羽ほど屋敷の庭に降り立ったのだ。
雨鳥という魔物は豪雨の日に現れるとされていて、その羽からは良質な水が搾り取れるとされている。しかしアリスは自分の家に汚らわしい魔物が侵入したとして、即刻排除しようと剣を構えて戦闘体制を整えたのだが、相手は数で勝ることから劣勢は明らかであったのだ。
しかもその時の俺は雨に濡れるのが嫌で屋敷の中からアリスの様子を見守っていたのだが、突然何かと戦っているような動きに変わった事に気づくと、そこで漸く彼女は今魔物と戦っているのではという考えにたどり着いて急いで庭へと駆け出したのだ。
そして急いでアリスの元へと駆け寄ると彼女は満身創痍の様子で剣を構えて立っていて、鎧ドレスは至る所が破れたり破損していたりして下着や肌が露出していたのである。
しかも腕や額には幾つもの傷痕があり鮮血が流れ出ていて、このままでは血を失い尚且つ雨のせいで体温が低くなり命に関わる状態になることは元ニートの俺でも容易にこの時は理解できた。
ならばやるべき事は単純で俺は着ていた服を脱いで彼女に被せると、一時的に体温維持と雨を凌がせることを優先させたのだ。
その際にアリスは『余計な手出しは無用ですわ!』と強がりを見せていたが手と足が震え始めて、唇も紫色に変色しつつあり意地を見せている場合ではないと一喝して黙らせてやった。
だけどその時の俺は何を考えていたのか『あとは俺が全てを終わらせてくるから、そこで黙って大人しく見ていろ』という今思い出しても恥ずかしい台詞を呟いたあと雨鳥を三羽討伐したのだ。
まあそのあとは傷だらけのアリスを見てモーセルや給仕達が血走った目で俺を睨みながら事情を問い詰めてきたが、手当を済ませた彼女がしっかりと説明をしてくれたおかげで事なきを得たがな。
ああ、それと言わずもがな三羽の雨鳥は夕食のディナーとなったな。
味はまあ水分多めの肉で美味しくはなかった。だが何故かモーセルだけは『よくも僕の娘を! 全て喰らい尽くしてやる!』とかなんとか言いながら完食していたが。
本来ならばこんなところで時間を使っている場合ではないのだが、今ここで逃げ出しては領主が全権力を行使して俺を捉えに来ると、脅し文句を何度も言い放ってきたので下手に逃げる事も叶わずだ。
取り敢えず現状としては屋敷の庭に堂々と鎮座する高さ二メートル以上で幅五メートルほどの岩を綺麗に両断出来たら合格という事を伝えてアリスには素振りの練習をさせている。
……というか本音を言うと俺は素人同然の人間であり、剣の修行とかはアニメとか漫画とかで得た知識ぐらいしかなくて何をどう教えたらいいのか全く分からない。
だからその場凌ぎでちょうど運良く庭の真ん中に置かれていた岩を見て、某漫画に描かれていた修行内容を彼女に伝えたのだ。
まあだけどレイピアで岩を両断するなんて一日や二日、ましてや一ヶ月や二ヶ月掛けても無理だろう。そんな事を思いつつ俺は雨が降る日も風が吹き荒れる日も、毎日毎日アリスの修行を手伝い、気づけばあっという間に二ヶ月という月日が流れていたのだ。
しかし三ヶ月という月日が流れるとアリスとも自然と距離感が近くなり、最初の頃は嫌悪の雰囲気や眼差しを受けていたのだが、今では普通の人間を見るような視線を向けられるようになった。
つまりは人として認めて貰えたということである。それでもだいぶ時間と日数は必要としたが。
そして頃合を見計らいつつ俺は勇者の塔や魔王に対抗できる伝説の聖剣などの情報を尋ねてみたのだが、彼女曰くそんな物は何一つ知らないとの事であった。
やはりこの二つを探すには、かなりの時間と労力が必要なのだろう。
それは例えるならば雲を素手で掴むような絵空事なのかも知れない。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「さぁ、わたくしが入れた特性のお茶ですわよ。疲労回復に抜群ですの。温かいうちにどうぞ」
「あ、ああ頂くよ。ありがとうな……」
木製の椅子に座りながら弱々しく返事をすると俺の目の前にはアリスの入れたお茶が机の上に置かれて、ティーカップからは湯気が立ち登ると共に酸味の効いた匂いがして作り立てというのが容易に分かる。
一応だが言っておくと修行の日々は続いているのだが今日はたまたま休息日であり、俺としては街に繰り出してエッチなお店で給料を散財したかったのだが、屋敷を出る寸前でアリスに捕まるとお茶会に招待されて今に至るのだ。
だが最近は何故かお茶会に招待される頻度が高くて、何か裏でもあるんじゃないかと疑っているのは秘密だ。剣を教え始めて最初の頃はよく一人でお茶を飲んでいる所を目撃したことはあるが……本当になんで俺を誘うようになったのだろうか? こればかりは本当に分からん。
しかし周りを見渡せば花畑が視界一面に広がり心が和むような感覚を受けるが、こっちとしては日々の修行のせいで欲求不満が募りに募り下半身が膨張間近で一刻も早く沈めたいところであるのだ。
その欲求不満に関して理由を述べるならば剣の振り方を指導する際に、俺は怒られないように自然体を装い彼女の腰や腕や太ももを触り続けていたからだ!
やはり童貞の俺には個人指導で有り余る欲求を抑えることは出来なかったよ。
「あー……ところで一つ聞きたい事があるんだが、いいか?」
だがいつまでもそんな事を考えていても仕方ないので、ずっと気になっていた事を質問してみることにした。
「んっ、別に構いませんわよ」
紅茶を一口飲んでからアリスは言葉を返すと、そのままティーカップを小皿の上に乗せて視線を合わせてくる。
「お前は何でそんなにも強くなりたいんだ? 別に領主の娘ならば剣は嗜み程度でいい気がするんだが」
それはなぜ彼女がここまで力を欲しているのかという事であり、領主の娘とならば後々何処かの領主の息子や貴族の元へと嫁ぐのではないかと。
「……そうですわね。確かにただの領主の娘ならばそれで良かったのかも知れません。ですが、わたくしにはカークランドの街を自らの手で守るという大いなる使命がありますの。だからその為にも剣術をマスターしないといけないのですわ」
そう言いながらアリスは机の上に置かれているアフタヌーンティーに手を伸ばすと、一つのお菓子を手に取り口元へと近づけていた。どうやら話を聞く限り彼女は彼女で色々な事情を抱えているようで、モーセルが現役を退いたら次はアリスがカークランドの領主となるらしい。
「ほぉー、つまりお前は何処かの貴族や領主に嫁ぐ事はしないってことか?」
純粋に疑問に思った事を尋ねてみるが、その覚悟が本当ならば婿養子とかでないとアリスは結婚しないということなのだろうか。
「そうですわ。わたくしは何処ぞの馬の骨とも分からない人とは結婚しませんの。まあ……それでもわたくしよりも強い人が居れば話は別かも知れませんがね」
いつの間にかお菓子を食べ終えていたようでアリスは口元を白い布で拭くと、そのまま結婚しない発言をしていたが、最後に一瞬だけ迷いが生まれたのか強い人という条件を出していた。
「へぇーそうなのか。じゃあ強い人が見つかると良いな」
そう言いながら俺も小腹が空いたのでアフタヌーンティーに手を伸ばして菓子を一つ取ると、そのまま口の中に頬張り久々に甘味という物を堪能した。
「ッ……そ、そうですわね」
すると何故かアリスは目を細めて若干不服そうな表情を見せていた。
一体どうしたというのだろうか? 別に変なことも言ってない気がするのだが。
けれど今こうして思えば彼女が俺をお茶会に誘い出したのは、あの事件が起きた次の日からだった気がしないでもない。
それは豪雨の日であり視界全部が雨粒に覆われている中でアリスがいつも通りに修行を始めて暫くすると、突如として雨風と共に雨鳥と呼ばれる魔物が三羽ほど屋敷の庭に降り立ったのだ。
雨鳥という魔物は豪雨の日に現れるとされていて、その羽からは良質な水が搾り取れるとされている。しかしアリスは自分の家に汚らわしい魔物が侵入したとして、即刻排除しようと剣を構えて戦闘体制を整えたのだが、相手は数で勝ることから劣勢は明らかであったのだ。
しかもその時の俺は雨に濡れるのが嫌で屋敷の中からアリスの様子を見守っていたのだが、突然何かと戦っているような動きに変わった事に気づくと、そこで漸く彼女は今魔物と戦っているのではという考えにたどり着いて急いで庭へと駆け出したのだ。
そして急いでアリスの元へと駆け寄ると彼女は満身創痍の様子で剣を構えて立っていて、鎧ドレスは至る所が破れたり破損していたりして下着や肌が露出していたのである。
しかも腕や額には幾つもの傷痕があり鮮血が流れ出ていて、このままでは血を失い尚且つ雨のせいで体温が低くなり命に関わる状態になることは元ニートの俺でも容易にこの時は理解できた。
ならばやるべき事は単純で俺は着ていた服を脱いで彼女に被せると、一時的に体温維持と雨を凌がせることを優先させたのだ。
その際にアリスは『余計な手出しは無用ですわ!』と強がりを見せていたが手と足が震え始めて、唇も紫色に変色しつつあり意地を見せている場合ではないと一喝して黙らせてやった。
だけどその時の俺は何を考えていたのか『あとは俺が全てを終わらせてくるから、そこで黙って大人しく見ていろ』という今思い出しても恥ずかしい台詞を呟いたあと雨鳥を三羽討伐したのだ。
まあそのあとは傷だらけのアリスを見てモーセルや給仕達が血走った目で俺を睨みながら事情を問い詰めてきたが、手当を済ませた彼女がしっかりと説明をしてくれたおかげで事なきを得たがな。
ああ、それと言わずもがな三羽の雨鳥は夕食のディナーとなったな。
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