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第一章
8話「初のクエストで救助活動!?」
しおりを挟む「うーん……どのクエストが良いのか、まったく分からん」
「そうですねぇ。簡単で尚且つ報酬金が多いのが良いですね」
両腕を組みながら俺が言うと、ヴィクトリアは誰もがそう思う事を言ってきた。
そんな良いクエストがあったら先に持って行かれてると思うんだけどな。
俺達は翌朝になると宿屋で美味しい朝食を食べてから急いでギルドへと向かい、クエストが張り出されている提示版と睨めっこしていた。
この世界に来て初めて冒険者活動をするのだ。
俺のテンションはさっきから石炭を入れた機関車のように燃え上がっている。
しかし、異世界初心者の俺はどれが高物件クエストなのか分からず、苦戦している状況だ。
まだ俺達のランクがブロンズなだけあって、受けれるクエストも限られてくる。
これは意外な所でつまずいたなぁ……。
と、俺が思っているとヴィクトリアが声を掛けてきた。
「ねえユウキ。流石に私達だけじゃ分からないから、受付のお姉さんからオススメのやつ教えて貰ってきましょうか?」
「あー……そうだな。すまないが頼むよ」
俺の返事を聞くとヴィクトリアは頷いてから受付の方に向かっていった。
これは願ってもない展開だ。
正直あの受付のお姉さんとはファーストコンタクトで失敗しているから、どっかで挽回してからじゃないと話しかけづらいのだ。
更に言うと受付のお姉さんからオススメを教えて貰えれば、最初から無理難題のクエストはこないだろう。
俺達は昨日冒険者になったばかりだしな! その辺も考慮してくれる筈だ。
むしろ、自分達でクエスト選んで受けたほうが事故率とか危険率が上がりそうで怖い。
まあ、それでも次回からは自分達で選ばないといけないんだけどな。
今回渡されたクエストを参考に選ぶのが無難だろう。
「ユウキ~! オススメのクエスト貰ってきましたよ~!」
ヴィクトリアはクエストの紙をヒラヒラと靡かせながら走り寄ってきた。
「おう! ありがとうな。それで? 内容はどんなのだ?」
クエストを紹介して貰ったのは良いが、詳細をきっちりと確認しないと駄目だな。
とりあえず、達成条件は一番大事な部分だ。
「えーとですね。ランクCのクエストでブラックバードの討伐。一羽あたり五千パメラの報酬が出るらしいですよ!」
「ぶらっくばーど?」
ヴィクトリアが紙を見ながら教えてくれたが、正直さっぱり分からなかった。
「それ以外に詳しい情報はないのか?」
「うーんと……。受付のお姉さん曰く私が居たら簡単にこなせるクエストとしか……」
マジか……今のところクエスト情報は鳥退治と報酬金ぐらいだが、受付のお姉さんがヴィクトリアが居たら何とかなると言っているみたいなので、それを信じて受けてみるか。
「まあ、しゃあない。詳しいことは抜きにして早速行くぞ!」
「おーう!」
俺とヴィクトリアは腕を掲げて気合を入れると、ギルドから出てブラックバードとやらが出没する平原へと向かった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
最初の街ミストルの正門から出て一時間ぐらい掛けて歩くと、目的の場所に到着した。
そこは辺り一面見事な平原で、風が吹くと草がユラユラと揺らめいていた。
こんな自然豊かな土地に本当にブラックバードが居るのか?
そもそも見た目すら分からないんだよなぁ。
と、俺が思っていると風に乗って声が聞こえてきた。
「ちょっと!? やめてくださいまし! いい加減しつこいですわよ! あ、あっちに行きなさい!」
それは何かに襲われて慌てているであろう女性の声だった。
「お、おいヴィクトリア! 今の聞こえたか? あれは多分魔物に襲われている声だぞ!」
「はい! あっちの方角から聞こえました!」
まさか最初のクエストで他の冒険者が魔物に襲われている場面に遭遇するだなんて、気のせいだと思いたいが隣に居たヴィクトリアに確認すると、声が聞こえてきた方角にしっかりと指を向けていた。
「クッソぉ! 男だったら助けなかったが女性なら別だ! 行くぞヴィクトリア!」
「ユウキはさり気なく最低な事を言いますね」
俺が走り出すと後ろからヴィクトリアが冷たく言い放ってきた。
仕方ないだろ、こっちだって助けるのに命懸けなんだ。
野郎の為に命なんて落としたくないからな。ゲームみたいに蘇生がある訳でもないし。
無情にも聞こえるが、魔物に襲われるようなレベルや装備でくるのが悪い。
冒険者とは常に死と隣り合わせなのだ。だからこそ基本はパーティでの行動が推奨されている。
ソロで動く奴はよっぽどの死にたがりか自信家だ。
後半の言葉は昨日ギルドに居た先輩冒険者達が言っていた事だ。
まさか早々に実感できるとは思わなかったよ。
しかし、あの声を聞くに女性は一人でここに来たのだろう。
でなければ、直ぐに仲間の声も聞こえてくる筈だ。
「あぁっ!? やばいですよユウキ! あの人ブラックバードに襲われてます!」
ヴィクトリアは焦った様子で俺に伝えてきた。
「な、なに!? あれがブラックバードなのか!?」
俺はヴィクトリアに言われて魔物に視線を向けると、それは……カラスのような見た目をした鳥だった。
えっ…………待ってくれよ……。アレってまんまカラスじゃないか?
ちょっと日本に居た奴よりかはデカイけど。あの特徴的な黒光りしてる鳥ってカラスだよな。
俺は思わず走っていた足を止めてしまった。
「ちょっとユウキ! 何してるんですか!」
「いや……だってあれカラス……」
ヴィクトリアは俺を追い越すと振り返って言ってきた。
異世界で初めて見た魔物がゴリゴリ日本でもいる奴だと分かると、妙に拍子抜けしてしまった。
それによく見ると、ブラックバードは女性が着ている鎧を親の仇のように突いていた。
あぁー。やっぱりカラスなんじゃないかあれ?
確かカラスの習性に光るものを集めるみたいな事を聞いた事がある。
あの女性が身に着けている鎧は銀色で、オマケに太陽の日差しをモロに受けてギラギラに反射して輝いているのだ。
「ユウキってば! 早く助けないと!」
「まあまてヴィクトリア。俺に策がある」
「本当……ですか?」
ヴィクトリアが走るのを辞めて不安そうに言ってきたきたが、大丈夫だ問題ない。
俺は空気を思いっきり吸い込むと女性に向かって叫んだ。
「そこの鎧を着た女性の人! ブラックバードが狙っていのは貴女の鎧です!」
「えっ!? だ、誰ですの!?」
声が届くと女性は俺の方を見て困惑していた。
当然ことながら急に知らない男からそんな事を言われて理解できないわな。
……だが早くしないとブラックバードの嘴が鎧を貫通してしまい悲惨な事になってしまう。
「そいつは光るものを狙う習性があるので鎧を脱ぎ捨てて下さいー!」
「クッ……! よく分かりませんが承知しましたわ!」
俺は再び声を大きい声で呼び掛けると、女性は突かれる攻撃に嫌気が差したのかアドバイス通りに鎧を脱いで遠くに投げ飛ばしていた。
マジかよ……鎧を片手でぶん投げてやがる。
そしてブラックバードは案の定、鎧の方に向かって飛んでいった。
これでしばらくの間は安全だと思い、俺とヴィクトリアは女性に駆け寄った。
「大丈夫ですか?」
「え、ええ。貴方達のおかげで助かりました……。感謝しますわ……」
俺が声を掛けると女性は襲われている時に体力を使い切ったのか、地面に座り込んでいた。
「うーむ、目立った怪我もなさそうなので良かったです!」
ヴィクトリアは女性の顔や腕をくまなく見ていた。
「しかしここに居ると、またブラックバードが襲って来るかも知れないな……。すみませんが立って歩けますか?」
「えぇ……肩を貸して頂ければ……何とか大丈夫ですわ……」
あまり同じ場所に密集して長居するのは良くないと考えた俺は、移動できるか尋ねると女性は体をプルプルと震えさせて答えた。
だいぶ弱っているな……。一刻も早く休ませてあげないと。
その後、俺は安全に休めそうな場所を探して見つけると、ヴィクトリアと共にお嬢様口調の女性をそこまで運んだのだが、途中で気絶したように眠ってしまっていた。
ヴィクトリアは膝枕して女性を寝かせていると、俺は不意に横が気になり視線を向けた。
すると何故かそこには、簡易的なテーブルとティーセットが置かれていたのだ。
「…………いや、意味わからん」
「そうですねぇ。簡単で尚且つ報酬金が多いのが良いですね」
両腕を組みながら俺が言うと、ヴィクトリアは誰もがそう思う事を言ってきた。
そんな良いクエストがあったら先に持って行かれてると思うんだけどな。
俺達は翌朝になると宿屋で美味しい朝食を食べてから急いでギルドへと向かい、クエストが張り出されている提示版と睨めっこしていた。
この世界に来て初めて冒険者活動をするのだ。
俺のテンションはさっきから石炭を入れた機関車のように燃え上がっている。
しかし、異世界初心者の俺はどれが高物件クエストなのか分からず、苦戦している状況だ。
まだ俺達のランクがブロンズなだけあって、受けれるクエストも限られてくる。
これは意外な所でつまずいたなぁ……。
と、俺が思っているとヴィクトリアが声を掛けてきた。
「ねえユウキ。流石に私達だけじゃ分からないから、受付のお姉さんからオススメのやつ教えて貰ってきましょうか?」
「あー……そうだな。すまないが頼むよ」
俺の返事を聞くとヴィクトリアは頷いてから受付の方に向かっていった。
これは願ってもない展開だ。
正直あの受付のお姉さんとはファーストコンタクトで失敗しているから、どっかで挽回してからじゃないと話しかけづらいのだ。
更に言うと受付のお姉さんからオススメを教えて貰えれば、最初から無理難題のクエストはこないだろう。
俺達は昨日冒険者になったばかりだしな! その辺も考慮してくれる筈だ。
むしろ、自分達でクエスト選んで受けたほうが事故率とか危険率が上がりそうで怖い。
まあ、それでも次回からは自分達で選ばないといけないんだけどな。
今回渡されたクエストを参考に選ぶのが無難だろう。
「ユウキ~! オススメのクエスト貰ってきましたよ~!」
ヴィクトリアはクエストの紙をヒラヒラと靡かせながら走り寄ってきた。
「おう! ありがとうな。それで? 内容はどんなのだ?」
クエストを紹介して貰ったのは良いが、詳細をきっちりと確認しないと駄目だな。
とりあえず、達成条件は一番大事な部分だ。
「えーとですね。ランクCのクエストでブラックバードの討伐。一羽あたり五千パメラの報酬が出るらしいですよ!」
「ぶらっくばーど?」
ヴィクトリアが紙を見ながら教えてくれたが、正直さっぱり分からなかった。
「それ以外に詳しい情報はないのか?」
「うーんと……。受付のお姉さん曰く私が居たら簡単にこなせるクエストとしか……」
マジか……今のところクエスト情報は鳥退治と報酬金ぐらいだが、受付のお姉さんがヴィクトリアが居たら何とかなると言っているみたいなので、それを信じて受けてみるか。
「まあ、しゃあない。詳しいことは抜きにして早速行くぞ!」
「おーう!」
俺とヴィクトリアは腕を掲げて気合を入れると、ギルドから出てブラックバードとやらが出没する平原へと向かった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
最初の街ミストルの正門から出て一時間ぐらい掛けて歩くと、目的の場所に到着した。
そこは辺り一面見事な平原で、風が吹くと草がユラユラと揺らめいていた。
こんな自然豊かな土地に本当にブラックバードが居るのか?
そもそも見た目すら分からないんだよなぁ。
と、俺が思っていると風に乗って声が聞こえてきた。
「ちょっと!? やめてくださいまし! いい加減しつこいですわよ! あ、あっちに行きなさい!」
それは何かに襲われて慌てているであろう女性の声だった。
「お、おいヴィクトリア! 今の聞こえたか? あれは多分魔物に襲われている声だぞ!」
「はい! あっちの方角から聞こえました!」
まさか最初のクエストで他の冒険者が魔物に襲われている場面に遭遇するだなんて、気のせいだと思いたいが隣に居たヴィクトリアに確認すると、声が聞こえてきた方角にしっかりと指を向けていた。
「クッソぉ! 男だったら助けなかったが女性なら別だ! 行くぞヴィクトリア!」
「ユウキはさり気なく最低な事を言いますね」
俺が走り出すと後ろからヴィクトリアが冷たく言い放ってきた。
仕方ないだろ、こっちだって助けるのに命懸けなんだ。
野郎の為に命なんて落としたくないからな。ゲームみたいに蘇生がある訳でもないし。
無情にも聞こえるが、魔物に襲われるようなレベルや装備でくるのが悪い。
冒険者とは常に死と隣り合わせなのだ。だからこそ基本はパーティでの行動が推奨されている。
ソロで動く奴はよっぽどの死にたがりか自信家だ。
後半の言葉は昨日ギルドに居た先輩冒険者達が言っていた事だ。
まさか早々に実感できるとは思わなかったよ。
しかし、あの声を聞くに女性は一人でここに来たのだろう。
でなければ、直ぐに仲間の声も聞こえてくる筈だ。
「あぁっ!? やばいですよユウキ! あの人ブラックバードに襲われてます!」
ヴィクトリアは焦った様子で俺に伝えてきた。
「な、なに!? あれがブラックバードなのか!?」
俺はヴィクトリアに言われて魔物に視線を向けると、それは……カラスのような見た目をした鳥だった。
えっ…………待ってくれよ……。アレってまんまカラスじゃないか?
ちょっと日本に居た奴よりかはデカイけど。あの特徴的な黒光りしてる鳥ってカラスだよな。
俺は思わず走っていた足を止めてしまった。
「ちょっとユウキ! 何してるんですか!」
「いや……だってあれカラス……」
ヴィクトリアは俺を追い越すと振り返って言ってきた。
異世界で初めて見た魔物がゴリゴリ日本でもいる奴だと分かると、妙に拍子抜けしてしまった。
それによく見ると、ブラックバードは女性が着ている鎧を親の仇のように突いていた。
あぁー。やっぱりカラスなんじゃないかあれ?
確かカラスの習性に光るものを集めるみたいな事を聞いた事がある。
あの女性が身に着けている鎧は銀色で、オマケに太陽の日差しをモロに受けてギラギラに反射して輝いているのだ。
「ユウキってば! 早く助けないと!」
「まあまてヴィクトリア。俺に策がある」
「本当……ですか?」
ヴィクトリアが走るのを辞めて不安そうに言ってきたきたが、大丈夫だ問題ない。
俺は空気を思いっきり吸い込むと女性に向かって叫んだ。
「そこの鎧を着た女性の人! ブラックバードが狙っていのは貴女の鎧です!」
「えっ!? だ、誰ですの!?」
声が届くと女性は俺の方を見て困惑していた。
当然ことながら急に知らない男からそんな事を言われて理解できないわな。
……だが早くしないとブラックバードの嘴が鎧を貫通してしまい悲惨な事になってしまう。
「そいつは光るものを狙う習性があるので鎧を脱ぎ捨てて下さいー!」
「クッ……! よく分かりませんが承知しましたわ!」
俺は再び声を大きい声で呼び掛けると、女性は突かれる攻撃に嫌気が差したのかアドバイス通りに鎧を脱いで遠くに投げ飛ばしていた。
マジかよ……鎧を片手でぶん投げてやがる。
そしてブラックバードは案の定、鎧の方に向かって飛んでいった。
これでしばらくの間は安全だと思い、俺とヴィクトリアは女性に駆け寄った。
「大丈夫ですか?」
「え、ええ。貴方達のおかげで助かりました……。感謝しますわ……」
俺が声を掛けると女性は襲われている時に体力を使い切ったのか、地面に座り込んでいた。
「うーむ、目立った怪我もなさそうなので良かったです!」
ヴィクトリアは女性の顔や腕をくまなく見ていた。
「しかしここに居ると、またブラックバードが襲って来るかも知れないな……。すみませんが立って歩けますか?」
「えぇ……肩を貸して頂ければ……何とか大丈夫ですわ……」
あまり同じ場所に密集して長居するのは良くないと考えた俺は、移動できるか尋ねると女性は体をプルプルと震えさせて答えた。
だいぶ弱っているな……。一刻も早く休ませてあげないと。
その後、俺は安全に休めそうな場所を探して見つけると、ヴィクトリアと共にお嬢様口調の女性をそこまで運んだのだが、途中で気絶したように眠ってしまっていた。
ヴィクトリアは膝枕して女性を寝かせていると、俺は不意に横が気になり視線を向けた。
すると何故かそこには、簡易的なテーブルとティーセットが置かれていたのだ。
「…………いや、意味わからん」
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