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第十三章 リーナらしいスキル
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「そう言えば、リーナのスキルって何?」
スキルは神と個人の契約なので滅多に他人に明かすものではない。家族や主従を除いては。ジョバンニとリーナの間では、お互いに隠す理由もなかった。
「『乾坤一擲』です!」
「おー! 勇ましいね」
乾坤一擲とは、ここ一番で普段以上の力を発揮するというスキル。俗に「火事場の糞力」と呼ばれていた。
「……。失礼なことを考えていません?」
「――別に」
リーナらしいなと内心思ったことは、口に出せないジョバンニだった。レンタル・メンタルが危険信号を発していたのだ。
そんなやり取りをしている間に、二人は停車場に着いた。隣町への乗合馬車はここから出発する。
「二人分で千ギルだ」
不愛想な御者が手袋をした右手を突き出してくる。ジョバンニはその手に銀貨を載せてやった。
普段であれば使用人であるリーナが支払いを行うところであったが、人目があるところではジョバンニが金を持っているように振る舞うことにした。これも用心のためである。
馬車は六人乗りで、しばらくすると満席になった。荷物が少ないジョバンニたちは膝の上に荷物を置いて座っている。
ぽこぽことのどかに蹄の音を立てながら、馬車は動き出した。窓から見える街の景色をジョバンニは目に焼き付けていた。
スキルは神と個人の契約なので滅多に他人に明かすものではない。家族や主従を除いては。ジョバンニとリーナの間では、お互いに隠す理由もなかった。
「『乾坤一擲』です!」
「おー! 勇ましいね」
乾坤一擲とは、ここ一番で普段以上の力を発揮するというスキル。俗に「火事場の糞力」と呼ばれていた。
「……。失礼なことを考えていません?」
「――別に」
リーナらしいなと内心思ったことは、口に出せないジョバンニだった。レンタル・メンタルが危険信号を発していたのだ。
そんなやり取りをしている間に、二人は停車場に着いた。隣町への乗合馬車はここから出発する。
「二人分で千ギルだ」
不愛想な御者が手袋をした右手を突き出してくる。ジョバンニはその手に銀貨を載せてやった。
普段であれば使用人であるリーナが支払いを行うところであったが、人目があるところではジョバンニが金を持っているように振る舞うことにした。これも用心のためである。
馬車は六人乗りで、しばらくすると満席になった。荷物が少ないジョバンニたちは膝の上に荷物を置いて座っている。
ぽこぽことのどかに蹄の音を立てながら、馬車は動き出した。窓から見える街の景色をジョバンニは目に焼き付けていた。
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