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第4章 魔術学園奮闘編
第422話 蜂蜜、白桃、サトウキビ! とろけて甘き『天降甘露』!
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ブースにつくや否やトーマはポケットから小さな包みを取り出した。リボンのように捻ってある両端を解き、中に包まれたものを口に入れる。
それは黒糖と蜂蜜を煮詰めた飴玉だった。
(それがお前の工夫か、トーマ)
ステファノは口中で飴を転がすトーマをじっと見ていた。
(俺に才能なんかない。頼れるのはギフトただ1つだ。ギフトを活かすにはどうすれば良いか?)
トーマなりに考え抜いた結果が、この飴玉であった。
(甘い。甘いぞ! 飴玉、甘い! 俺の魔力はもっと甘い!)
魔核《マジコア》の練成を甘いと感じるギフト「天降甘露」。トーマはそれを利用して自己暗示を掛けた。
「甘い」という感覚に集中することにより、逆に魔核の密度を向上させようと言うのだ。
もしもヨシズミがそれを聞けば、「バイオフィードバック」という言葉を与えたであろう。目的のためになりふり構わぬトーマがたどり着いた、奥の手であった。
「蜂蜜、白桃、サトウキビ! とろけて甘き『天降甘露』!」
トーマの脳裏には「甘さ」のイメージしか存在しない。べたべたとまとわりつくような甘さの中で、トーマは術の発動を願う。
「甘露よ、とろけて炎となれ! 蜜なる火球!」
トーマは宣言と供に拳を突き出した。その指には魔力発動体である指輪をはめていた。
どろりという擬音がふさわしい姿で拳の先に火球が現れた。溶岩のようにぶよぶよと流動している。
「飛べ!」
トーマが叫ぶとどろどろの火球はひしゃげるように形を変えながら、標的を目指して真一文字に飛んだ。
べちゃり!
とても魔術の発動とは思えぬような音と供に、蜜なる火球は標的に取りついた。熟れたトマトをぶつけたように、つぶれて広がり、標的の前面を覆った。
火球の温度、火勢の強さ共にトーマのものはデマジオに劣っていた。
しかし、持続力が違った。ゲル状の燃料が燃えるように、トーマが放った火球はぐつぐつと煮えたぎりながら炎を上げつづけた。
その時間1分。
炎が消えた標的は全体が黒々と焦げていた。
(考えたな、トーマ。準備、発動、そして炎の持続。すべて時間がかかる術だが、このチャレンジには時間制限がない。テストの条件をうまく利用して自分の長所を最大限に活かしている)
トーマの表情にはやりとげた満足感が表れていた。
◆◆◆
「次、ジロー!」
名前を呼ばれて、ジロー・コリントは堂々と進み出た。
1学期を棒に振った謹慎明けの授業である。複雑な思いがあったろうが、それを見せない落ち着きぶりだった。
(ジローならこのチャレンジ、合格するだろう)
ステファノの目から見て、ジローの実力は1年生の中で群を抜いていた。アカデミーから姿を消していたが、その間に修行を怠ったとは思えない。
(きっと1学期の遅れを取り戻すため必死に努力したはずだ)
その性格を好きになれないステファノだったが、ジローが魔術に掛ける情熱は本物と認めていた。
「風魔術、参ります!」
短状を振りかぶったジローは、甲高い声で短く宣言した。
「切り刻め、無限刃!」
叫びながら、ジローは短状の先で「8」の字を横にした図形を宙に描いた。
(発動が速い! 腕を上げたな)
ひょうひょうと音を立てて飛んだ風刃は、標的の胸に命中した。
(おお! 風が留まっている!)
標的を捉えた風は横8の字を描いて旋回を続けていた。ぎしぎしと標的の肌に刃が食い込んでいく。
風が消えた跡には、深さ1センチの「×」の字になった切り込みができていた。
(4ヶ月前とは大違いだ。見事な風魔術だった)
ステファノとて負けていられない。ネルソンからの言いつけがある。
「圧倒的に勝利せよ!」と。
誰の目から見ても文句が言えぬ力量を示す。自分の順番を待ちながらステファノは使う魔法について考えを巡らした。
「……次、ステファノ!」
「おお!」
ステファノの名前が呼ばれると、見守る生徒たちから思わず嘆声が漏れた。
1学期のチャレンジ成功率、そして研究報告会での活躍でステファノの名はすっかり知れ渡っていた。
噂を聞いていてもステファノの術行使を直接見たものは少ない。いったいどんな術を使うのか? その実力は本物なのか? 居並ぶ生徒たちは思い思いの期待を寄せていた。
「土属性を使います。メシヤ流遠当ての術!」
ざわざわとさざめく取り巻きを気にせず、ステファノはヘルメスの杖を水平に構えた。既に握りと標的鏡を装着していた。
「何だ、あれは?」
「長杖をあんな風に使うとは……」
「あれが標的鏡か?」
人前で術を使う時は常に威力を抑えてきた。目立ち過ぎないように。注目を集めすぎないように。
しかし、時は満ちた。もう手加減は要らない。
(うん? 本当に手加減しなくて良いのかな? 標的を燃やしちゃった時はドリーさんに怒られたよね?)
一瞬の躊躇の後、ステファノはそこそこに威力を抑えることにした。
「ステファノの名において、虹の王よ、標的を打て!」
あえて声に出して宣言を行い、ステファノは土魔法遠当ての術を発した。
イドで固めた空気を引力で撃ち出す。不可視の衝撃が空間を駆け抜けた。
どおーん!
音速を突き破った衝撃が試射場にこだました。
「うわっ!」
生徒たちから驚愕の声が上がった。
(おうっ! すごい音だ。この威力で撃ったのは初めてだからな)
超音速の空気砲を受け止めた標的は、原形を留めていなかった。
――――――――――
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
◆次回「第423話 あの……、たまたま今日は調子が良かったんだと思います。」
「どうなった?」
「なくなっちゃった……」
「え? なくなったって、どういうこと?」
生徒たちが騒ぐのも無理はない。空気の塊をまともに食らった標的は首からちぎれて吹き飛んでいた。
残された頭部だけが鎖にぶら下がって揺れていた。
(あー。やっぱり壊れちゃった。加減がまだ足りなかったのかあ)
思いの外の威力に、ステファノ自身が驚いていた。
「あの、先生。標的を壊してしまってすいません」
こうなったら素直に謝ろうと、ステファノは頭を下げた。
……
◆お楽しみに。
それは黒糖と蜂蜜を煮詰めた飴玉だった。
(それがお前の工夫か、トーマ)
ステファノは口中で飴を転がすトーマをじっと見ていた。
(俺に才能なんかない。頼れるのはギフトただ1つだ。ギフトを活かすにはどうすれば良いか?)
トーマなりに考え抜いた結果が、この飴玉であった。
(甘い。甘いぞ! 飴玉、甘い! 俺の魔力はもっと甘い!)
魔核《マジコア》の練成を甘いと感じるギフト「天降甘露」。トーマはそれを利用して自己暗示を掛けた。
「甘い」という感覚に集中することにより、逆に魔核の密度を向上させようと言うのだ。
もしもヨシズミがそれを聞けば、「バイオフィードバック」という言葉を与えたであろう。目的のためになりふり構わぬトーマがたどり着いた、奥の手であった。
「蜂蜜、白桃、サトウキビ! とろけて甘き『天降甘露』!」
トーマの脳裏には「甘さ」のイメージしか存在しない。べたべたとまとわりつくような甘さの中で、トーマは術の発動を願う。
「甘露よ、とろけて炎となれ! 蜜なる火球!」
トーマは宣言と供に拳を突き出した。その指には魔力発動体である指輪をはめていた。
どろりという擬音がふさわしい姿で拳の先に火球が現れた。溶岩のようにぶよぶよと流動している。
「飛べ!」
トーマが叫ぶとどろどろの火球はひしゃげるように形を変えながら、標的を目指して真一文字に飛んだ。
べちゃり!
とても魔術の発動とは思えぬような音と供に、蜜なる火球は標的に取りついた。熟れたトマトをぶつけたように、つぶれて広がり、標的の前面を覆った。
火球の温度、火勢の強さ共にトーマのものはデマジオに劣っていた。
しかし、持続力が違った。ゲル状の燃料が燃えるように、トーマが放った火球はぐつぐつと煮えたぎりながら炎を上げつづけた。
その時間1分。
炎が消えた標的は全体が黒々と焦げていた。
(考えたな、トーマ。準備、発動、そして炎の持続。すべて時間がかかる術だが、このチャレンジには時間制限がない。テストの条件をうまく利用して自分の長所を最大限に活かしている)
トーマの表情にはやりとげた満足感が表れていた。
◆◆◆
「次、ジロー!」
名前を呼ばれて、ジロー・コリントは堂々と進み出た。
1学期を棒に振った謹慎明けの授業である。複雑な思いがあったろうが、それを見せない落ち着きぶりだった。
(ジローならこのチャレンジ、合格するだろう)
ステファノの目から見て、ジローの実力は1年生の中で群を抜いていた。アカデミーから姿を消していたが、その間に修行を怠ったとは思えない。
(きっと1学期の遅れを取り戻すため必死に努力したはずだ)
その性格を好きになれないステファノだったが、ジローが魔術に掛ける情熱は本物と認めていた。
「風魔術、参ります!」
短状を振りかぶったジローは、甲高い声で短く宣言した。
「切り刻め、無限刃!」
叫びながら、ジローは短状の先で「8」の字を横にした図形を宙に描いた。
(発動が速い! 腕を上げたな)
ひょうひょうと音を立てて飛んだ風刃は、標的の胸に命中した。
(おお! 風が留まっている!)
標的を捉えた風は横8の字を描いて旋回を続けていた。ぎしぎしと標的の肌に刃が食い込んでいく。
風が消えた跡には、深さ1センチの「×」の字になった切り込みができていた。
(4ヶ月前とは大違いだ。見事な風魔術だった)
ステファノとて負けていられない。ネルソンからの言いつけがある。
「圧倒的に勝利せよ!」と。
誰の目から見ても文句が言えぬ力量を示す。自分の順番を待ちながらステファノは使う魔法について考えを巡らした。
「……次、ステファノ!」
「おお!」
ステファノの名前が呼ばれると、見守る生徒たちから思わず嘆声が漏れた。
1学期のチャレンジ成功率、そして研究報告会での活躍でステファノの名はすっかり知れ渡っていた。
噂を聞いていてもステファノの術行使を直接見たものは少ない。いったいどんな術を使うのか? その実力は本物なのか? 居並ぶ生徒たちは思い思いの期待を寄せていた。
「土属性を使います。メシヤ流遠当ての術!」
ざわざわとさざめく取り巻きを気にせず、ステファノはヘルメスの杖を水平に構えた。既に握りと標的鏡を装着していた。
「何だ、あれは?」
「長杖をあんな風に使うとは……」
「あれが標的鏡か?」
人前で術を使う時は常に威力を抑えてきた。目立ち過ぎないように。注目を集めすぎないように。
しかし、時は満ちた。もう手加減は要らない。
(うん? 本当に手加減しなくて良いのかな? 標的を燃やしちゃった時はドリーさんに怒られたよね?)
一瞬の躊躇の後、ステファノはそこそこに威力を抑えることにした。
「ステファノの名において、虹の王よ、標的を打て!」
あえて声に出して宣言を行い、ステファノは土魔法遠当ての術を発した。
イドで固めた空気を引力で撃ち出す。不可視の衝撃が空間を駆け抜けた。
どおーん!
音速を突き破った衝撃が試射場にこだました。
「うわっ!」
生徒たちから驚愕の声が上がった。
(おうっ! すごい音だ。この威力で撃ったのは初めてだからな)
超音速の空気砲を受け止めた標的は、原形を留めていなかった。
――――――――――
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
◆次回「第423話 あの……、たまたま今日は調子が良かったんだと思います。」
「どうなった?」
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「え? なくなったって、どういうこと?」
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残された頭部だけが鎖にぶら下がって揺れていた。
(あー。やっぱり壊れちゃった。加減がまだ足りなかったのかあ)
思いの外の威力に、ステファノ自身が驚いていた。
「あの、先生。標的を壊してしまってすいません」
こうなったら素直に謝ろうと、ステファノは頭を下げた。
……
◆お楽しみに。
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