218 / 629
第4章 魔術学園奮闘編
第218話 神の認識は初代法王聖スノーデンが聖教会を開いた時に始まりました。
しおりを挟む
土曜日は午前中に2つの講座を取っていた。
2限めは「神学入門」である。
実はステファノは、この学科を一番気にしていた。
何も知らないからである。
知らない以上、信仰心もない。それは神に対する「不敬」と言われないだろうか。
神に触れる機会のない庶民でありながら、ステファノがこの講座に登録したのには理由がある。
近い将来「神を知っておく必要」が生まれるのではないかと考えたからだ。
「神のごとき者」。
それがこの世界の法則を歪ませ、文明を停滞させているとすれば、いずれネルソンやドイルはそれと向き合うことになる。
それは神そのものなのか、それとも神に敵対する何かなのか?
「神」とは何かを知ることが、「神のごとき者」を知ることに繋がるのではないかと、ステファノは考えた。
(俺にわかるものであるならば、だけど)
何とたったの3人しか生徒がいない教室に座りながら、ステファノは考えていた。
「私が神学入門を担当するマイスナーです」
神学というので、神父というのだろうか神職の人が担当するのかと思っていたら、ごく普通の服装をした男性が講師であった。年齢は40歳前後であろうか。
「ちなみに私は宗教者ではありません。神を信じてはおりますけれどね。それを広める立場ではないということです」
マイスナー先生はそう言って優し気に微笑んだ。
「しからば私はこの講座で何を教えるのか? それは1つの真実ではありません。『神』が存在することに疑いはありませんが、『神』とは一体何なのか? その問いにいろんな賢人たちが答えようとしてきました。中にはうまく答えられていないものもありますが、この講座ではそれらの『答え』を皆さんに知ってもらいます」
マイスナー先生は自分の胸に手を置いた。
「私には私の信じる神がおります。皆さんにそれを押しつけるつもりはありません。この講座では様々な考え方に触れることで、皆さんがそれぞれの『答え』を見つけるお手伝いをしたいと思っております」
「神はいないという答えを得た人に対しても、私は何ら差別をいたしません。それもその人にとっての『神』の在り方であろうと考えるからです。私の信じる『神』を誰も否定できないように、皆さんの信じる『神』を私が否定することはできません」
3人の生徒、その一人一人の前に立ってマイスナーは語りかけた。
自分の言葉が伝わったことに満足したのであろう。マイスナーは教壇に戻ると椅子に腰かけた。
「さて、皆さん方3名は魔術学科の1年生ですね。ご想像の通り、『神』の存在は魔術師にとって極めて現実的な意味を持っています」
「それは魔力の存在であり、魔術の使用ですね。魔術師でなくとも、ギフト持ちであればやはり『神』と向き合う日がいつかやって来るでしょう」
ギフトも魔力も、教会で与えられる。神の恩恵という形で。
ギフト持ちも神について学ぶべき立場にあるように、ステファノには思えた。
(なぜ、この講座には一般学科の生徒がいないのだろう?)
「この国での神学は聖教会抜きには存在しません。神の認識は初代法王聖スノーデンが聖教会を開いた時に始まりました」
(それにしても初代法王にして初代国王、聖スノーデンて多才過ぎじゃないのか? 超絶魔術師にして、神と対話できるギフト持ち、それに恐らく政治力もあったのだろう)
政治力がなければ王室や聖教会を600年続く盤石のシステムにすることはできなかったろう。
「当初神の声を聞くことができるのは聖スノーデンただ1人だったそうです。その後法王の座を譲る際に後継者に贈られた聖笏が、神の声を聞く道具とされています」
(うん? それは「魔道具」じゃないのか? そしておそらくは魔力を必要としないタイプの)
「先生、質問しても良いでしょうか?」
「ああ、君はステファノ君だね。4人しかいない教室だからね。良いとも、どんな質問だね?」
「聖スノーデンが後継者に授けた聖笏とは、魔道具ではありませんか?」
「ふむ。魔術師らしい質問だね。聖笏はいわば秘物であって一般には公開されていない。したがって学者が手を触れることもできません。本当のところはわからないのです。但し、血統的にギフトを持たない貴族からも法王が出ているところを見ると、聖笏とは魔道具である可能性が高いというのが通説になっています」
「仮に魔道具だとすると、それは聖スノーデンが作ったということになりますか?」
「それも仮説の一部ですね。可能性はあると思います」
「そうすると魔力を要しない魔道具はアーティファクトだけでなく、現代でも製作可能だということになりませんか?」
「ふふ」と楽しそうにマイスナーは笑った。
「仮説の上に仮説を重ねることになりますが、可能性としてはあり得ますね。面白いと思いますよ」
ことによったら「不敬だ」と叱られることを覚悟していたが、マイスナーは純粋に質疑を楽しんでいるようだった。
「さて、聖スノーデンは火薬を戦場から駆逐しました。それだけでなく、やがて成立したスノーデン王国では火薬を禁制品として厳しく取り締まったのです」
マイスナーによれば取り締まりは苛烈であり、火薬を製造、貯蔵、販売、使用した者は死罪に処されたと言う。取り締まりは火薬の使用目的を問わなかった。
たとえ、「平和利用」を目的としていても一切の例外を認めなかったのだ。
「なぜ、そこまで厳しく、徹底的に火薬を弾圧したのでしょうね? あなた、ローデシア君ですか? どう思います?」
「えっ? あの……」
ローデシアと呼ばれた女生徒は、答えが思い浮かばなかったのだろう。顔を真っ赤にしてうろたえた。
「慌てなくても結構ですよ。これは試験でもないし、評価のためのドリルでもありませんからね? あくまでも会話を進めるための思考実験です。思いついたことを自由に言って構いませんよ」
「君はどうですか、サイト君?」
「危険、だからじゃありませんか?」
サイトと呼ばれた男子生徒が、おずおずと答えた。
「はい。殺人兵器ですからね。危険であることに間違いはありませんね。その意味では、剣や、槍、弓矢も危険ということになります」
「で、ですが、火薬は一度に大量の人間を殺すことができたのでは?」
先程の失態を取り戻そうと考えたのか。ローデシアが自分の意見を述べた。
(少人数の教室だと、1人ずつ意見を言いやすいな。これはこれで良い点があるかも)
ステファノはこのやり取りがどういう方向に向かうのか、興味を持って聞いていた。
「一度に複数の人間を殺傷することができたのは事実です。ですが、『大量の』とまで言えるかどうか。学者の研究によると、威力を上げるためには大量の火薬を必要としたそうです。それを運搬し、埋設する手間暇を掛けたとして、そこに運良く大量の敵が現れてくれるとは限りません」
「戦国時代最末期には鉄の筒に鉛の玉を籠め、火薬の爆発力で飛ばす『鉄砲』という武器が開発されたそうです。これは遠距離攻撃に類まれな威力を発揮しましたが、それにしても一度に倒せるのは1人の敵に過ぎません。大量の敵を倒すためには、大量の兵士に大量の鉄砲を使わせる必要がありました」
(だとすれば弓と大きくは違わないか? 差が出るとすると、威力とか、射程距離だろうか)
「殺人兵器としての性能は、圧倒的に魔術の方が上でした。にもかかわらず、スノーデン王国において魔術が取り締まりの対象となったことは一度もありません」
アカデミー構内での使用禁止など、「安全上のルール」が設けられることはあった。しかし、魔術そのものが禁止の対象になったことはない。
「誤解を招かぬように言いますと、『魔術を使用した犯罪』はもちろん厳しく取り締まられました。しかし、それは『刃物を用いた犯罪』と同じ取り扱いであって、魔術そのものを取り締まるものではありません」
聖スノーデンは明らかに魔術を優遇し、火薬を敵視していた。それは一体なぜなのか?
――――――――――
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
◆次回「第219話 聖教会によれば『神』は2つの恩寵を人間に与えました。『ギフト』と『魔力』です。」
「ごくまれにギフトと魔力の両方に恵まれる人がいますが、それは例外です。通常、ギフト持ちに魔力は発現せず、魔力持ちはギフトを持ちません」
ドリー、ディオールは数少ない例外であった。王立アカデミーであればこそ、それだけの人材を集められたのである。
「それは『神』がお作りになった秩序であると言われています。だとしたら、それはなぜなのか? なぜ、ギフトと魔力は分かたれたのか? そして、『両持ち』と呼ばれる人たちは、なぜ『ギフト』と『魔力』の両方を恵まれているのか?」
「『神』が見落としをされたとは思えません。分けるにはその理由があり、『両持ち』を許すにもその理由があるのではないでしょうか?」
……
◆お楽しみに。
2限めは「神学入門」である。
実はステファノは、この学科を一番気にしていた。
何も知らないからである。
知らない以上、信仰心もない。それは神に対する「不敬」と言われないだろうか。
神に触れる機会のない庶民でありながら、ステファノがこの講座に登録したのには理由がある。
近い将来「神を知っておく必要」が生まれるのではないかと考えたからだ。
「神のごとき者」。
それがこの世界の法則を歪ませ、文明を停滞させているとすれば、いずれネルソンやドイルはそれと向き合うことになる。
それは神そのものなのか、それとも神に敵対する何かなのか?
「神」とは何かを知ることが、「神のごとき者」を知ることに繋がるのではないかと、ステファノは考えた。
(俺にわかるものであるならば、だけど)
何とたったの3人しか生徒がいない教室に座りながら、ステファノは考えていた。
「私が神学入門を担当するマイスナーです」
神学というので、神父というのだろうか神職の人が担当するのかと思っていたら、ごく普通の服装をした男性が講師であった。年齢は40歳前後であろうか。
「ちなみに私は宗教者ではありません。神を信じてはおりますけれどね。それを広める立場ではないということです」
マイスナー先生はそう言って優し気に微笑んだ。
「しからば私はこの講座で何を教えるのか? それは1つの真実ではありません。『神』が存在することに疑いはありませんが、『神』とは一体何なのか? その問いにいろんな賢人たちが答えようとしてきました。中にはうまく答えられていないものもありますが、この講座ではそれらの『答え』を皆さんに知ってもらいます」
マイスナー先生は自分の胸に手を置いた。
「私には私の信じる神がおります。皆さんにそれを押しつけるつもりはありません。この講座では様々な考え方に触れることで、皆さんがそれぞれの『答え』を見つけるお手伝いをしたいと思っております」
「神はいないという答えを得た人に対しても、私は何ら差別をいたしません。それもその人にとっての『神』の在り方であろうと考えるからです。私の信じる『神』を誰も否定できないように、皆さんの信じる『神』を私が否定することはできません」
3人の生徒、その一人一人の前に立ってマイスナーは語りかけた。
自分の言葉が伝わったことに満足したのであろう。マイスナーは教壇に戻ると椅子に腰かけた。
「さて、皆さん方3名は魔術学科の1年生ですね。ご想像の通り、『神』の存在は魔術師にとって極めて現実的な意味を持っています」
「それは魔力の存在であり、魔術の使用ですね。魔術師でなくとも、ギフト持ちであればやはり『神』と向き合う日がいつかやって来るでしょう」
ギフトも魔力も、教会で与えられる。神の恩恵という形で。
ギフト持ちも神について学ぶべき立場にあるように、ステファノには思えた。
(なぜ、この講座には一般学科の生徒がいないのだろう?)
「この国での神学は聖教会抜きには存在しません。神の認識は初代法王聖スノーデンが聖教会を開いた時に始まりました」
(それにしても初代法王にして初代国王、聖スノーデンて多才過ぎじゃないのか? 超絶魔術師にして、神と対話できるギフト持ち、それに恐らく政治力もあったのだろう)
政治力がなければ王室や聖教会を600年続く盤石のシステムにすることはできなかったろう。
「当初神の声を聞くことができるのは聖スノーデンただ1人だったそうです。その後法王の座を譲る際に後継者に贈られた聖笏が、神の声を聞く道具とされています」
(うん? それは「魔道具」じゃないのか? そしておそらくは魔力を必要としないタイプの)
「先生、質問しても良いでしょうか?」
「ああ、君はステファノ君だね。4人しかいない教室だからね。良いとも、どんな質問だね?」
「聖スノーデンが後継者に授けた聖笏とは、魔道具ではありませんか?」
「ふむ。魔術師らしい質問だね。聖笏はいわば秘物であって一般には公開されていない。したがって学者が手を触れることもできません。本当のところはわからないのです。但し、血統的にギフトを持たない貴族からも法王が出ているところを見ると、聖笏とは魔道具である可能性が高いというのが通説になっています」
「仮に魔道具だとすると、それは聖スノーデンが作ったということになりますか?」
「それも仮説の一部ですね。可能性はあると思います」
「そうすると魔力を要しない魔道具はアーティファクトだけでなく、現代でも製作可能だということになりませんか?」
「ふふ」と楽しそうにマイスナーは笑った。
「仮説の上に仮説を重ねることになりますが、可能性としてはあり得ますね。面白いと思いますよ」
ことによったら「不敬だ」と叱られることを覚悟していたが、マイスナーは純粋に質疑を楽しんでいるようだった。
「さて、聖スノーデンは火薬を戦場から駆逐しました。それだけでなく、やがて成立したスノーデン王国では火薬を禁制品として厳しく取り締まったのです」
マイスナーによれば取り締まりは苛烈であり、火薬を製造、貯蔵、販売、使用した者は死罪に処されたと言う。取り締まりは火薬の使用目的を問わなかった。
たとえ、「平和利用」を目的としていても一切の例外を認めなかったのだ。
「なぜ、そこまで厳しく、徹底的に火薬を弾圧したのでしょうね? あなた、ローデシア君ですか? どう思います?」
「えっ? あの……」
ローデシアと呼ばれた女生徒は、答えが思い浮かばなかったのだろう。顔を真っ赤にしてうろたえた。
「慌てなくても結構ですよ。これは試験でもないし、評価のためのドリルでもありませんからね? あくまでも会話を進めるための思考実験です。思いついたことを自由に言って構いませんよ」
「君はどうですか、サイト君?」
「危険、だからじゃありませんか?」
サイトと呼ばれた男子生徒が、おずおずと答えた。
「はい。殺人兵器ですからね。危険であることに間違いはありませんね。その意味では、剣や、槍、弓矢も危険ということになります」
「で、ですが、火薬は一度に大量の人間を殺すことができたのでは?」
先程の失態を取り戻そうと考えたのか。ローデシアが自分の意見を述べた。
(少人数の教室だと、1人ずつ意見を言いやすいな。これはこれで良い点があるかも)
ステファノはこのやり取りがどういう方向に向かうのか、興味を持って聞いていた。
「一度に複数の人間を殺傷することができたのは事実です。ですが、『大量の』とまで言えるかどうか。学者の研究によると、威力を上げるためには大量の火薬を必要としたそうです。それを運搬し、埋設する手間暇を掛けたとして、そこに運良く大量の敵が現れてくれるとは限りません」
「戦国時代最末期には鉄の筒に鉛の玉を籠め、火薬の爆発力で飛ばす『鉄砲』という武器が開発されたそうです。これは遠距離攻撃に類まれな威力を発揮しましたが、それにしても一度に倒せるのは1人の敵に過ぎません。大量の敵を倒すためには、大量の兵士に大量の鉄砲を使わせる必要がありました」
(だとすれば弓と大きくは違わないか? 差が出るとすると、威力とか、射程距離だろうか)
「殺人兵器としての性能は、圧倒的に魔術の方が上でした。にもかかわらず、スノーデン王国において魔術が取り締まりの対象となったことは一度もありません」
アカデミー構内での使用禁止など、「安全上のルール」が設けられることはあった。しかし、魔術そのものが禁止の対象になったことはない。
「誤解を招かぬように言いますと、『魔術を使用した犯罪』はもちろん厳しく取り締まられました。しかし、それは『刃物を用いた犯罪』と同じ取り扱いであって、魔術そのものを取り締まるものではありません」
聖スノーデンは明らかに魔術を優遇し、火薬を敵視していた。それは一体なぜなのか?
――――――――――
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
◆次回「第219話 聖教会によれば『神』は2つの恩寵を人間に与えました。『ギフト』と『魔力』です。」
「ごくまれにギフトと魔力の両方に恵まれる人がいますが、それは例外です。通常、ギフト持ちに魔力は発現せず、魔力持ちはギフトを持ちません」
ドリー、ディオールは数少ない例外であった。王立アカデミーであればこそ、それだけの人材を集められたのである。
「それは『神』がお作りになった秩序であると言われています。だとしたら、それはなぜなのか? なぜ、ギフトと魔力は分かたれたのか? そして、『両持ち』と呼ばれる人たちは、なぜ『ギフト』と『魔力』の両方を恵まれているのか?」
「『神』が見落としをされたとは思えません。分けるにはその理由があり、『両持ち』を許すにもその理由があるのではないでしょうか?」
……
◆お楽しみに。
0
お気に入りに追加
98
あなたにおすすめの小説
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
公爵令嬢はアホ係から卒業する
依智川ゆかり
ファンタジー
『エルメリア・バーンフラウト! お前との婚約を破棄すると、ここに宣言する!!」
婚約相手だったアルフォード王子からそんな宣言を受けたエルメリア。
そんな王子は、数日後バーンフラウト家にて、土下座を披露する事になる。
いや、婚約破棄自体はむしろ願ったり叶ったりだったんですが、あなた本当に分かってます?
何故、私があなたと婚約する事になったのか。そして、何故公爵令嬢である私が『アホ係』と呼ばれるようになったのか。
エルメリアはアルフォード王子……いや、アホ王子に話し始めた。
彼女が『アホ係』となった経緯を、嘘偽りなく。
*『小説家になろう』でも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる