200 / 640
第4章 魔術学園奮闘編
第200話 工芸入門の生徒は趣味と打算と素人の集まりだった。
しおりを挟む
「今日の3限目に『工芸入門』の授業があります。そこにもし魔術学科の新入生がいたら研究報告の話をしてみますよ」
「工芸入門か。確かに魔術科からそんな授業を受けに来る奴は相当な変わり者か、技術に深い造詣を持っている奴だろう」
「俺はどっちでもありませんけどね」
ステファノはそう言ってスールーを驚かせた。
「君は本気で言っているのかい? やれやれ、無自覚とは恐ろしいものだ」
あきれ顔でスールーは空いた食器を片づけ始めた。
「僕たちの方でも今日1日頑張って技術者を探してみるよ。結果は明日報告し合おう」
明日の金曜日は情報革命研究会の活動日だ。サントスは略して「情革研」だなどと呼んでいる。
「あの、研究報告の話とは別に勉強のことで相談したいことがあるんですけど、明日お願いしても良いですか?」
「ふむ。テストの答えは教えられんが、それ以外なら何でも聞き給え。僕たちに答えられることであればアドバイスくらいはできるだろう」
ステファノにとってはありがたい話であった。ドリーに続いて2人め、3人めの協力者が見つかった。
「すみません。なにしろ普通のレポートの書き方さえわからないもので」
「学校というものが初めてだと言ったな。それは確かに大変だろう。意味合いは違うが、君の苦労はトーマのそれと似ているかもしれないな」
「えー? そうなんでしょうか?」
「ははは。君の場合は接する機会がなかったための経験不足で困っているが、向こうは遊び惚けていたが故の知識不足に悩んでいるという違いはあるがね」
「そう言われても、何となく納得がいきませんね。不公平な気がします」
「ふふ。社会とは不公平なものさ。我々平民は特にそれを知っているはずだろう?」
お金持ちと貧乏人は違いますよと言ってやりたかったが、自分が傷つきそうなのでステファノはぐっと堪えた。
今更お貴族様がどうの、お金持ちがどうのと愚痴を言っても仕方がない。ここはそういう場所なのだ。
好んでここに入って来たからには、貧乏人は損だなどといじけている場合ではない。
貧乏人は貧乏人なりの世渡りを考えた方が健全というものであった。
「それじゃあまた明日」
ステファノはそう言って、スールーと別れた。
◆◆◆
「工芸入門」の教室は、工作室のような部屋だった。
だだっ広い工作室に集まった生徒はわずかに6人。魔術科の生徒はステファノと、トーマの2人だった。
(これは……取る科目を間違えたかな?)
ステファノは場違いな自分を感じていた。
冷静に考えてみると、確かに魔術学科所属でありながら「工芸」を勉強しようという者は珍しいに違いない。変わり者と呼んでよい人種であろう。
ならば一般科目からの履修者が多いかというとさにあらず。そもそも工芸を志すようなものは、既に入門レベルの知識や技能を身につけた上でアカデミーを受験する。
今更入門レベルの知識を必要とするのは、全く畑違いの「政治学科」や「薬学科」の学生くらいなのだ。
その学生たちにせよ、あえて工芸を学ばなくても単位はほかにいくらでも稼げる。結局趣味として木工を学ぼうという人間くらいしか集まらないのが「工芸入門」という講座であった。
そこになぜトーマがいるかというと、これだけは取って来てくれと職人たちに押し切られたからであった。
トーマは物作りの家業を継ごうとしている割に、実際の製作についてはからっきしである。絵も描けなければ、粘土も形にできない。持っているのは「良し悪し」を見極める鑑定眼だけなのだ。
それでは創作上の相談がしにくい。せめて基礎だけでも勉強して来いというのが、古株職人爺どもの総意であった。
トーマ本人としては「やる気」が甚だ欠けている。しかし、これなら苦労しなくても単位が取れそうだと踏んで、履修リストに加えた科目なのであった。
つまり趣味に走った4人と、打算で参加したトーマ、そしてずぶの素人であるステファノが集まった教室なのであった。
(これはどうにもならないかもしれないな)
この講座そのものの行く末をステファノは心配した。自分もその当事者であるだけ余計に気になるのだった。
ちなみにステファノは例の黒い道着を着てこの授業に参加している。見た目だけで言ったら一番やる気がなさそうに見える生徒だということに、本人はまったく気づいていなかった。
定刻5分後にやってきた教師は、中年の男性であった。つるつるの坊主頭にのっぺりとした顔をしていた。
タッセと名乗った講師は、6人だけの生徒を見て顔色一つ変えなかった。
「み、皆さんこんにちは。当講座の講師を務めるタッセです。これは『工芸入門』の教室です。間違いはないですね?」
手元の資料からほとんど目を上げず、タッセという名の講師はクラス6人の生徒に話し掛けた。
「この講座ではさまざまな工芸的技術の中から『木工』に対象を絞って、基礎的な技術を学んでもらいます」
そのことは講座の開催要項にも書かれている。生徒たちもそれは納得した上で集まっているはずであった。
タッセは6人しかいない生徒たちの間に、履修者名簿の記入用紙を回して学科と名前を記入させた。
「も、木工というのも雑な呼び方です。本来は『木材を使った工芸』などと呼ぶべきでしょうね」
(それを略して木工というわけか。普通の大工仕事とはどう違うのかな?)
「家などの大きな構造物は大工の仕事ですね。もちろん芸術的な美を追求した建造物もありますが、基本は構造物として堅牢で長持ちすることが大切です」
確かに住む家となったら美麗である以前にしっかり雨風を防いで、倒れない堅牢さが一番の要求事項であろう。
「テ、テラスや柵などの外構も、基本的には住宅と同様の性格ですね。機能を優先する比重が高いということです」
「もう少し、ち、小さくなってくるとどうでしょう? 家具などは? もちろん丈夫で長持ちするに越したことはありませんが、こちらは大分『趣味』が入って来るのではないでしょうか?」
(確かに家具になって来ると、材質やデザインに凝り出す人がいるなあ。建物ほど深刻に扱わなくても良いからかな?)
「さらに器具や装飾小物の大きさにまで小さな規模になって来ると、これは趣味の要素が大勢を占め始めます」
(器具といっても工具の類は実用一辺倒だけどね。娯楽や教養のためのものとなれば、凝ったデザインのものが多い)
「じ、実物を見ましょうか? これはコースターですが、『寄木細工』といって色の異なる木材を組み合わせて接着し、輪切りのようにス、スライスしたものです。き、幾何学模様が美しいですね」
タッセはコースターを端の生徒に渡し、回すように促した。
「つ、次にこちらはペン皿です。側面に細かい彫刻が施されています。意匠性の非常に高い細工物です」
ペン皿は反対側に座っているステファノに渡された。
(こんな手の込んだ小物を見るのは初めてだな。いや、二度めか? 頂いた遠眼鏡以来だ)
「講義の回数は限られています。そこで皆さんには、『木彫』の技法に絞って基本を身につけてもらうことにします。早速本日やってもらいます。こちらの円板を素材にして、自ら考えた意匠を彫刻してもらいます。技法は自由。来週のこの時間に提出してもらい、その出来上がりをチャレンジの評価対象と致します」
ペン皿を隣の生徒に回しながら、ステファノは課題の彫刻について考えた。
(絵は描けるけれど、彫刻はやったことがない。上手くできるだろうか?)
そう考えると、今見たペン皿は貴重なサンプルであった。側面に蛇のように胴体の長いドラゴンを彫り込んだ細工は細かい上に立体的で、職人の高い技術を窺わせるものだった。
(あれは「龍」という想像上の生き物だと思うが……。木皿の厚みの中であれだけの奥行きを表現するとは、すごい技術だ)
力加減を一つ間違えれば彫刻刀は木肌を突き抜けてしまうだろう。
――――――――――
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
◆次回「第201話 目を開けたままの瞑想と、目を閉じたままの観察と、両方を試してみたら良いじゃないか?」
「俺のアドバイスが欲しいというから言うけど、お前はその感覚を掘り下げるべきじゃないかな?」
「俺の感覚か。それが魔力操作につながるんだろうか?」
トーマがパッと顔を明るくした。
「保証はできないよ。俺にはお前の感覚はわからない。でも、魔術師が自分の感覚を信じなかったら何もできないんじゃないか?」
「そうか。そうだな! 確かにそうだ。俺が俺の感覚を信じなければ、誰が信じてくれるのかって話だ」
ステファノに言われたことでトーマの心に変化が生じたようだ。それがどうしたと言われようと、魔術師にとって自分自身が物事に納得するかどうかという点は意味が大きい。
実家の環境と大きく雰囲気が異なるアカデミーにやって来てから、トーマはマイペースが貫けなかったようだ。ステファノから見れば十分マイペースなのだが、本人の意識では自分を殺して来た。
「良し! 俺は瞑想の中で自分の『勘』を磨くようにするぞ!」
……
◆お楽しみに。
「工芸入門か。確かに魔術科からそんな授業を受けに来る奴は相当な変わり者か、技術に深い造詣を持っている奴だろう」
「俺はどっちでもありませんけどね」
ステファノはそう言ってスールーを驚かせた。
「君は本気で言っているのかい? やれやれ、無自覚とは恐ろしいものだ」
あきれ顔でスールーは空いた食器を片づけ始めた。
「僕たちの方でも今日1日頑張って技術者を探してみるよ。結果は明日報告し合おう」
明日の金曜日は情報革命研究会の活動日だ。サントスは略して「情革研」だなどと呼んでいる。
「あの、研究報告の話とは別に勉強のことで相談したいことがあるんですけど、明日お願いしても良いですか?」
「ふむ。テストの答えは教えられんが、それ以外なら何でも聞き給え。僕たちに答えられることであればアドバイスくらいはできるだろう」
ステファノにとってはありがたい話であった。ドリーに続いて2人め、3人めの協力者が見つかった。
「すみません。なにしろ普通のレポートの書き方さえわからないもので」
「学校というものが初めてだと言ったな。それは確かに大変だろう。意味合いは違うが、君の苦労はトーマのそれと似ているかもしれないな」
「えー? そうなんでしょうか?」
「ははは。君の場合は接する機会がなかったための経験不足で困っているが、向こうは遊び惚けていたが故の知識不足に悩んでいるという違いはあるがね」
「そう言われても、何となく納得がいきませんね。不公平な気がします」
「ふふ。社会とは不公平なものさ。我々平民は特にそれを知っているはずだろう?」
お金持ちと貧乏人は違いますよと言ってやりたかったが、自分が傷つきそうなのでステファノはぐっと堪えた。
今更お貴族様がどうの、お金持ちがどうのと愚痴を言っても仕方がない。ここはそういう場所なのだ。
好んでここに入って来たからには、貧乏人は損だなどといじけている場合ではない。
貧乏人は貧乏人なりの世渡りを考えた方が健全というものであった。
「それじゃあまた明日」
ステファノはそう言って、スールーと別れた。
◆◆◆
「工芸入門」の教室は、工作室のような部屋だった。
だだっ広い工作室に集まった生徒はわずかに6人。魔術科の生徒はステファノと、トーマの2人だった。
(これは……取る科目を間違えたかな?)
ステファノは場違いな自分を感じていた。
冷静に考えてみると、確かに魔術学科所属でありながら「工芸」を勉強しようという者は珍しいに違いない。変わり者と呼んでよい人種であろう。
ならば一般科目からの履修者が多いかというとさにあらず。そもそも工芸を志すようなものは、既に入門レベルの知識や技能を身につけた上でアカデミーを受験する。
今更入門レベルの知識を必要とするのは、全く畑違いの「政治学科」や「薬学科」の学生くらいなのだ。
その学生たちにせよ、あえて工芸を学ばなくても単位はほかにいくらでも稼げる。結局趣味として木工を学ぼうという人間くらいしか集まらないのが「工芸入門」という講座であった。
そこになぜトーマがいるかというと、これだけは取って来てくれと職人たちに押し切られたからであった。
トーマは物作りの家業を継ごうとしている割に、実際の製作についてはからっきしである。絵も描けなければ、粘土も形にできない。持っているのは「良し悪し」を見極める鑑定眼だけなのだ。
それでは創作上の相談がしにくい。せめて基礎だけでも勉強して来いというのが、古株職人爺どもの総意であった。
トーマ本人としては「やる気」が甚だ欠けている。しかし、これなら苦労しなくても単位が取れそうだと踏んで、履修リストに加えた科目なのであった。
つまり趣味に走った4人と、打算で参加したトーマ、そしてずぶの素人であるステファノが集まった教室なのであった。
(これはどうにもならないかもしれないな)
この講座そのものの行く末をステファノは心配した。自分もその当事者であるだけ余計に気になるのだった。
ちなみにステファノは例の黒い道着を着てこの授業に参加している。見た目だけで言ったら一番やる気がなさそうに見える生徒だということに、本人はまったく気づいていなかった。
定刻5分後にやってきた教師は、中年の男性であった。つるつるの坊主頭にのっぺりとした顔をしていた。
タッセと名乗った講師は、6人だけの生徒を見て顔色一つ変えなかった。
「み、皆さんこんにちは。当講座の講師を務めるタッセです。これは『工芸入門』の教室です。間違いはないですね?」
手元の資料からほとんど目を上げず、タッセという名の講師はクラス6人の生徒に話し掛けた。
「この講座ではさまざまな工芸的技術の中から『木工』に対象を絞って、基礎的な技術を学んでもらいます」
そのことは講座の開催要項にも書かれている。生徒たちもそれは納得した上で集まっているはずであった。
タッセは6人しかいない生徒たちの間に、履修者名簿の記入用紙を回して学科と名前を記入させた。
「も、木工というのも雑な呼び方です。本来は『木材を使った工芸』などと呼ぶべきでしょうね」
(それを略して木工というわけか。普通の大工仕事とはどう違うのかな?)
「家などの大きな構造物は大工の仕事ですね。もちろん芸術的な美を追求した建造物もありますが、基本は構造物として堅牢で長持ちすることが大切です」
確かに住む家となったら美麗である以前にしっかり雨風を防いで、倒れない堅牢さが一番の要求事項であろう。
「テ、テラスや柵などの外構も、基本的には住宅と同様の性格ですね。機能を優先する比重が高いということです」
「もう少し、ち、小さくなってくるとどうでしょう? 家具などは? もちろん丈夫で長持ちするに越したことはありませんが、こちらは大分『趣味』が入って来るのではないでしょうか?」
(確かに家具になって来ると、材質やデザインに凝り出す人がいるなあ。建物ほど深刻に扱わなくても良いからかな?)
「さらに器具や装飾小物の大きさにまで小さな規模になって来ると、これは趣味の要素が大勢を占め始めます」
(器具といっても工具の類は実用一辺倒だけどね。娯楽や教養のためのものとなれば、凝ったデザインのものが多い)
「じ、実物を見ましょうか? これはコースターですが、『寄木細工』といって色の異なる木材を組み合わせて接着し、輪切りのようにス、スライスしたものです。き、幾何学模様が美しいですね」
タッセはコースターを端の生徒に渡し、回すように促した。
「つ、次にこちらはペン皿です。側面に細かい彫刻が施されています。意匠性の非常に高い細工物です」
ペン皿は反対側に座っているステファノに渡された。
(こんな手の込んだ小物を見るのは初めてだな。いや、二度めか? 頂いた遠眼鏡以来だ)
「講義の回数は限られています。そこで皆さんには、『木彫』の技法に絞って基本を身につけてもらうことにします。早速本日やってもらいます。こちらの円板を素材にして、自ら考えた意匠を彫刻してもらいます。技法は自由。来週のこの時間に提出してもらい、その出来上がりをチャレンジの評価対象と致します」
ペン皿を隣の生徒に回しながら、ステファノは課題の彫刻について考えた。
(絵は描けるけれど、彫刻はやったことがない。上手くできるだろうか?)
そう考えると、今見たペン皿は貴重なサンプルであった。側面に蛇のように胴体の長いドラゴンを彫り込んだ細工は細かい上に立体的で、職人の高い技術を窺わせるものだった。
(あれは「龍」という想像上の生き物だと思うが……。木皿の厚みの中であれだけの奥行きを表現するとは、すごい技術だ)
力加減を一つ間違えれば彫刻刀は木肌を突き抜けてしまうだろう。
――――――――――
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
◆次回「第201話 目を開けたままの瞑想と、目を閉じたままの観察と、両方を試してみたら良いじゃないか?」
「俺のアドバイスが欲しいというから言うけど、お前はその感覚を掘り下げるべきじゃないかな?」
「俺の感覚か。それが魔力操作につながるんだろうか?」
トーマがパッと顔を明るくした。
「保証はできないよ。俺にはお前の感覚はわからない。でも、魔術師が自分の感覚を信じなかったら何もできないんじゃないか?」
「そうか。そうだな! 確かにそうだ。俺が俺の感覚を信じなければ、誰が信じてくれるのかって話だ」
ステファノに言われたことでトーマの心に変化が生じたようだ。それがどうしたと言われようと、魔術師にとって自分自身が物事に納得するかどうかという点は意味が大きい。
実家の環境と大きく雰囲気が異なるアカデミーにやって来てから、トーマはマイペースが貫けなかったようだ。ステファノから見れば十分マイペースなのだが、本人の意識では自分を殺して来た。
「良し! 俺は瞑想の中で自分の『勘』を磨くようにするぞ!」
……
◆お楽しみに。
0
お気に入りに追加
102
あなたにおすすめの小説
悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした
桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?
小平ニコ
ファンタジー
「ディーナ。お前には今日で、俺たちのパーティーを抜けてもらう。異論は受け付けない」
勇者ラジアスはそう言い、私をパーティーから追放した。……異論がないわけではなかったが、もうずっと前に僧侶と戦士がパーティーを離脱し、必死になって彼らの抜けた穴を埋めていた私としては、自分から頭を下げてまでパーティーに残りたいとは思わなかった。
ほとんど喧嘩別れのような形で勇者パーティーを脱退した私は、故郷には帰らず、戦闘もこなせる武闘派聖女としての力を活かし、賞金首狩りをして生活費を稼いでいた。
そんなある日のこと。
何気なく見た新聞の一面に、驚くべき記事が載っていた。
『勇者パーティー、またも敗走! 魔王軍四天王の前に、なすすべなし!』
どうやら、私がいなくなった後の勇者パーティーは、うまく機能していないらしい。最新の回復職である『ヒーラー』を仲間に加えるって言ってたから、心配ないと思ってたのに。
……あれ、もしかして『ヒーラー』って、完全に回復に特化した職業で、聖女みたいに、防御の結界を張ることはできないのかしら?
私がその可能性に思い至った頃。
勇者ラジアスもまた、自分の判断が間違っていたことに気がついた。
そして勇者ラジアスは、再び私の前に姿を現したのだった……
裏切られ追放という名の処刑宣告を受けた俺が、人族を助けるために勇者になるはずないだろ
井藤 美樹
ファンタジー
初代勇者が建国したエルヴァン聖王国で双子の王子が生まれた。
一人には勇者の証が。
もう片方には証がなかった。
人々は勇者の誕生を心から喜ぶ。人と魔族との争いが漸く終結すると――。
しかし、勇者の証を持つ王子は魔力がなかった。それに比べ、持たない王子は莫大な魔力を有していた。
それが判明したのは五歳の誕生日。
証を奪って生まれてきた大罪人として、王子は右手を斬り落とされ魔獣が棲む森へと捨てられた。
これは、俺と仲間の復讐の物語だ――
落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!
ユーリ
ファンタジー
気が付くと見知らぬ部屋にいた。
最初は、何が起こっているのか、状況を把握する事が出来なかった。
でも、鏡に映った自分の姿を見た時、この世界で生きてきた、リュカとしての記憶を思い出した。
記憶を思い出したはいいが、状況はよくなかった。なぜなら、貴族では失敗した人がいない、召喚の儀を失敗してしまった後だったからだ!
貴族としては、落ちこぼれの烙印を押されても、5歳の子供をいきなり屋敷の外に追い出したりしないだろう。しかも、両親共に、過保護だからそこは大丈夫だと思う……。
でも、両親を独占して甘やかされて、勉強もさぼる事が多かったため、兄様との関係はいいとは言えない!!
このままでは、兄様が家督を継いだ後、屋敷から追い出されるかもしれない!
何とか兄様との関係を改善して、追い出されないよう、追い出されてもいいように勉強して力を付けるしかない!
だけど、勉強さぼっていたせいで、一般常識さえも知らない事が多かった……。
それに、勉強と兄様との関係修復を目指して頑張っても、兄様との距離がなかなか縮まらない!!
それでも、今日も関係修復頑張ります!!
5/9から小説になろうでも掲載中
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。
だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。
女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。
途方に暮れる主人公たち。
だが、たった一つの救いがあった。
三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。
右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。
圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。
双方の利害が一致した。
※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる