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第4章 魔術学園奮闘編
第195話 不立文字。言葉にできないものをどうして伝えれば良いのか?
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世界は光に満ちていた。目を指す太陽の光とは異なる、存在そのものを示す揺らぎ。その振動がステファノの眼に観えた。
人はその中でも特にイドの光に恵まれていた。瞑想により魔力を練ろうとする生徒たちは、それぞれに持ち属性の色をまとっていた。
しかし、一瞬光を放って瞬くものの揺らぎはすぐに力を失って消えようとする。色を維持し続けられるのは、3属性持ちの少年と講師のディオールだけであった。
今まで見えなかった他人のイドが、今は見える。ディオールは4つの色をまとっている。「火」と「水」、「土」と「風」の色が彼女の存在を包んでいた。
それだけではない。身を取り巻くすべての事物、森羅万象にイドは存在した。薄く、ほのかであろうとも、「存在」とは「色」を伴うものであった。
「色は匂えど 散りぬるを」
ステファノはその成句の意味を、改めて実感していた。
◆◆◆
「観想法」とはイドを観るための行であった。いつしか原義が薄れ、魔力を練るための瞑想法とされてしまった。
(この世界でも古代の人たちはイドを観ていたんだ。観想法も丹田法も魔視脳を活性化するための瞑想法に違いない)
ステファノは内にある知識としてそれを悟った。
(機械がなくても、この瞑想法を身につければ誰もがイドを認識し、イデアを操ることができるようになる。誰もが魔法師になれる! だが……)
太極の玉を作り出せなければ魔視脳を刺激することはできない。始原の赤と終焉の紫、陽気と陰気を同時に操れなければ真の「観想」には至れない。
(堂々巡りだ。俺はギフトの力で太極を得た。ギフトのない人にどうやってそれを伝えたら良い?)
不立文字。どんなに言葉を尽くそうとも、認識の外にある真理を人に伝えることはできない。始めに自分のイドが観えなければステファノも太極の玉を得ることはできなかったろう。
(ギフトを持たぬ人にイドの認識を与えること、それがこの先アカデミーを出てからの俺の使命になる)
諸行無常というギフトを与えられた自分が進むべき道は、きっとそこにあるとステファノは信じた。
しかし、今は自らを磨く時だ。
魔視脳によって開放されたイドを観る眼「魔視《まじ》」は魔法の発動と制御にどう影響するのか? それを自ら確かめ、術理を確立しなければならない。人を教えるつもりなら、まず自分が対象を理解しなければ。
魔視脳の活性化によって、ステファノは他人のイドが観えるようになった。ネルソンの「テミスの秤」あるいはサントスのギフトに近づいたと言えるかもしれない。
ネルソンが診るのは主に「魔力」つまりイデアの方だが、対象の「価値」を図るというギフトの性質上、イデアだけでなく相手のイドを診て評価を行っていると考えるべきだろう。そうでなければ、魔力の発現していないステファノを「味方にすべし」と判断する理由がない。
ネルソンの魔視脳は何らかのきっかけで部分的に活性化しているものと見て良いだろう。
マルチェルも極めて狭い範囲ながらも、イドに対する目覚めがある。
それは生まれついての資質なのか、研究や戦闘という長年の行動によって培われたものなのか、今の段階では断言できない。
(ヨシズミ師匠にはどこまでイドが見えているのだろう? 俺の観え方とは違うのだろうか? 1学期が終わったら相談に帰りたいな)
相談したいことは既にいくつも生まれていた。
(カウンター魔法も今ならもっと早く、正確に撃ち出せる。雷魔法の陰陽もはっきり見えるはずだ)
イドが見えるということは、対象の理解が深くなるということを意味する。術の制御は格段に細かく行えるだろう。
教室では生徒の指導を一通り終わったディオール先生が教壇に戻ったところだった。
「さて、みなさんよろしいですか。今日のように瞑想をし、魔力を練るだけでしたら教室の外で行って結構です。そうは言っても、なるべく人気のない広々としたところで行うように注意してください」
「来週の授業で練習の成果を1人ずつ見せてもらいます。その内容を本講義のチャレンジ課題とします。優れていると認めた者には本講義の修了資格を差し上げます」
なるほど。講義のタイトルは「魔力操作初級」である。初級のレベルを満足させられる内容が伴えば、修了資格を与えるというのは頷ける話であった。
ステファノとしては単位がもらえるのはありがたいが、どこまで素の力を出して良いものかがわからない。
(騒ぎになるのは困る。いっそのこと、マリアンヌ学科長に相談してみようか?)
魔道具の一件で関わり合いが生まれてしまった相手である。それならば懐に飛び込んで力を借りる手があるかもしれない。学科長の担当講座ではないので、癒着ということにはならないだろう。
(この講義だけの話じゃない。魔術科の講義全般に関わって来ることだからな)
何も特別扱いしてくれと言いたいわけではない。「どこまでやって良いか?」、「どの程度に抑えるべきか?」と、むしろ手加減の仕方を聞こうというのだ。
考えなければいけないのは、「どこまで実力を晒して相談するか?」であった。
(イドやイデアが観えるという話は出せないな。6属性が使えること。属性別に魔力を分けて扱えること。物に魔力をまとわせられること。出して良いのはこのくらいかなあ?)
今日の訓練でドリーに相談してみようと、ステファノは考えた。
◆◆◆
(さて、図書館に行って魔術史の課題について調べ物をしようか)
教室を出たステファノが図書館に向かおうとしたところで、後ろから声をかけて来る者がいた。
「おい、お前!」
追い掛けて来たのは居眠りをしていた男子生徒だった。名前は……聞いた覚えがない。
「俺のこと?」
他に人はいないのだが、一応ステファノは確認してみた。声を掛けられる心当たりがまったくなかったからだ。
「ああ、お前に用がある。ちょっとつき合ってくれ」
「今から図書館に行くところなんだけど……」
「すぐ済む。10分だけ時間をくれ。頼む!」
男子生徒は真っ直ぐステファノの眼を見て、頭を下げた。
(うーん。何だか面倒くさそうな人なんだけど、悪気はなさそうだな。ちょっとだけ話を聞くか)
「わかった。10分だけで良いならつき合うよ」
「助かる! 食堂へ行こう。飯を奢るぞ!」
まだ10時前である。食事は要らないからとステファノは断ったが、それなら飲み物だけでも奢らせてくれと言われた。
引っ張られるように食堂まで連れていかれ、すぐに料理を取りに行くことになった。ステファノはコーヒーをもらった。男子生徒はステーキとパン、それにオレンジジュースを買っていた。
テーブルにつくや否や、男子生徒は改めて頭を下げた。
「無理を言ってつき合わせて済まん! 俺はトーマだ。お前は確か……エバンス?」
「ステファノだよ」
「そうだ。ステファノだ! よろしく頼む、ステファノ」
トーマはそう言って右手を差し出した。綻ばせた口元から白い歯が光る。
屈託という者がまったくない少年であった。
(このタイプは……、えてして周りを振り回すんだよな)
自分のことは棚に上げ、ステファノはトーマの性格を警戒した。
「早速だけど、用って何だろう?」
「あ、ああ。その、なんだ……言いにくいことなんだが」
「あまり時間がないんで、はっきり言ってくれていいよ?」
「そうか」
トーマは自分を落ちつかせるように、大きく息を吸い込んだ。
「俺に、魔力制御を教えてくれ!」
「はい?」
「今日の授業でわかった。このままじゃ俺は落第する! 頼む! 俺に魔力の練り方を教えてくれ」
がつっとテーブルに手を突くと、料理に額がつくほどトーマは低く頭を下げた。
そのまま身動きもしない。
「ちょっと! 頭を上げてよ。話は聞くからさ」
「聞いてくれるか? 済まん!」
トーマはがばっと身を起し、顔いっぱいに笑顔を浮かべた。
――――――――――
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
◆次回「第196話 トーマの執着。」
「お前、ミョウシン様と柔の稽古をしているだろう」
「ああ、そうだけど」
「うぅうう、羨ましい……」
「えっ?」
背が高く、がっちりと逞しい体形のトーマが塩たれて一回り小さく見えた。
聞けば、トーマはミョウシンの父親であるフェルディナンド男爵領の住人だと言う。去年ミョウシン嬢がアカデミーに入学すると聞き、矢も楯もたまらず自分も行かせてくれと親に頼み込んだのだが、同じ男爵領から2人の推薦が通るはずもなく、1年遅れで今年ようやく入学できたのだそうだ。
「よくそんなわがままが通ったね?」
「うちは男爵領随一の豪商だからな。金の力に物を言わせた」
……
◆お楽しみに。
人はその中でも特にイドの光に恵まれていた。瞑想により魔力を練ろうとする生徒たちは、それぞれに持ち属性の色をまとっていた。
しかし、一瞬光を放って瞬くものの揺らぎはすぐに力を失って消えようとする。色を維持し続けられるのは、3属性持ちの少年と講師のディオールだけであった。
今まで見えなかった他人のイドが、今は見える。ディオールは4つの色をまとっている。「火」と「水」、「土」と「風」の色が彼女の存在を包んでいた。
それだけではない。身を取り巻くすべての事物、森羅万象にイドは存在した。薄く、ほのかであろうとも、「存在」とは「色」を伴うものであった。
「色は匂えど 散りぬるを」
ステファノはその成句の意味を、改めて実感していた。
◆◆◆
「観想法」とはイドを観るための行であった。いつしか原義が薄れ、魔力を練るための瞑想法とされてしまった。
(この世界でも古代の人たちはイドを観ていたんだ。観想法も丹田法も魔視脳を活性化するための瞑想法に違いない)
ステファノは内にある知識としてそれを悟った。
(機械がなくても、この瞑想法を身につければ誰もがイドを認識し、イデアを操ることができるようになる。誰もが魔法師になれる! だが……)
太極の玉を作り出せなければ魔視脳を刺激することはできない。始原の赤と終焉の紫、陽気と陰気を同時に操れなければ真の「観想」には至れない。
(堂々巡りだ。俺はギフトの力で太極を得た。ギフトのない人にどうやってそれを伝えたら良い?)
不立文字。どんなに言葉を尽くそうとも、認識の外にある真理を人に伝えることはできない。始めに自分のイドが観えなければステファノも太極の玉を得ることはできなかったろう。
(ギフトを持たぬ人にイドの認識を与えること、それがこの先アカデミーを出てからの俺の使命になる)
諸行無常というギフトを与えられた自分が進むべき道は、きっとそこにあるとステファノは信じた。
しかし、今は自らを磨く時だ。
魔視脳によって開放されたイドを観る眼「魔視《まじ》」は魔法の発動と制御にどう影響するのか? それを自ら確かめ、術理を確立しなければならない。人を教えるつもりなら、まず自分が対象を理解しなければ。
魔視脳の活性化によって、ステファノは他人のイドが観えるようになった。ネルソンの「テミスの秤」あるいはサントスのギフトに近づいたと言えるかもしれない。
ネルソンが診るのは主に「魔力」つまりイデアの方だが、対象の「価値」を図るというギフトの性質上、イデアだけでなく相手のイドを診て評価を行っていると考えるべきだろう。そうでなければ、魔力の発現していないステファノを「味方にすべし」と判断する理由がない。
ネルソンの魔視脳は何らかのきっかけで部分的に活性化しているものと見て良いだろう。
マルチェルも極めて狭い範囲ながらも、イドに対する目覚めがある。
それは生まれついての資質なのか、研究や戦闘という長年の行動によって培われたものなのか、今の段階では断言できない。
(ヨシズミ師匠にはどこまでイドが見えているのだろう? 俺の観え方とは違うのだろうか? 1学期が終わったら相談に帰りたいな)
相談したいことは既にいくつも生まれていた。
(カウンター魔法も今ならもっと早く、正確に撃ち出せる。雷魔法の陰陽もはっきり見えるはずだ)
イドが見えるということは、対象の理解が深くなるということを意味する。術の制御は格段に細かく行えるだろう。
教室では生徒の指導を一通り終わったディオール先生が教壇に戻ったところだった。
「さて、みなさんよろしいですか。今日のように瞑想をし、魔力を練るだけでしたら教室の外で行って結構です。そうは言っても、なるべく人気のない広々としたところで行うように注意してください」
「来週の授業で練習の成果を1人ずつ見せてもらいます。その内容を本講義のチャレンジ課題とします。優れていると認めた者には本講義の修了資格を差し上げます」
なるほど。講義のタイトルは「魔力操作初級」である。初級のレベルを満足させられる内容が伴えば、修了資格を与えるというのは頷ける話であった。
ステファノとしては単位がもらえるのはありがたいが、どこまで素の力を出して良いものかがわからない。
(騒ぎになるのは困る。いっそのこと、マリアンヌ学科長に相談してみようか?)
魔道具の一件で関わり合いが生まれてしまった相手である。それならば懐に飛び込んで力を借りる手があるかもしれない。学科長の担当講座ではないので、癒着ということにはならないだろう。
(この講義だけの話じゃない。魔術科の講義全般に関わって来ることだからな)
何も特別扱いしてくれと言いたいわけではない。「どこまでやって良いか?」、「どの程度に抑えるべきか?」と、むしろ手加減の仕方を聞こうというのだ。
考えなければいけないのは、「どこまで実力を晒して相談するか?」であった。
(イドやイデアが観えるという話は出せないな。6属性が使えること。属性別に魔力を分けて扱えること。物に魔力をまとわせられること。出して良いのはこのくらいかなあ?)
今日の訓練でドリーに相談してみようと、ステファノは考えた。
◆◆◆
(さて、図書館に行って魔術史の課題について調べ物をしようか)
教室を出たステファノが図書館に向かおうとしたところで、後ろから声をかけて来る者がいた。
「おい、お前!」
追い掛けて来たのは居眠りをしていた男子生徒だった。名前は……聞いた覚えがない。
「俺のこと?」
他に人はいないのだが、一応ステファノは確認してみた。声を掛けられる心当たりがまったくなかったからだ。
「ああ、お前に用がある。ちょっとつき合ってくれ」
「今から図書館に行くところなんだけど……」
「すぐ済む。10分だけ時間をくれ。頼む!」
男子生徒は真っ直ぐステファノの眼を見て、頭を下げた。
(うーん。何だか面倒くさそうな人なんだけど、悪気はなさそうだな。ちょっとだけ話を聞くか)
「わかった。10分だけで良いならつき合うよ」
「助かる! 食堂へ行こう。飯を奢るぞ!」
まだ10時前である。食事は要らないからとステファノは断ったが、それなら飲み物だけでも奢らせてくれと言われた。
引っ張られるように食堂まで連れていかれ、すぐに料理を取りに行くことになった。ステファノはコーヒーをもらった。男子生徒はステーキとパン、それにオレンジジュースを買っていた。
テーブルにつくや否や、男子生徒は改めて頭を下げた。
「無理を言ってつき合わせて済まん! 俺はトーマだ。お前は確か……エバンス?」
「ステファノだよ」
「そうだ。ステファノだ! よろしく頼む、ステファノ」
トーマはそう言って右手を差し出した。綻ばせた口元から白い歯が光る。
屈託という者がまったくない少年であった。
(このタイプは……、えてして周りを振り回すんだよな)
自分のことは棚に上げ、ステファノはトーマの性格を警戒した。
「早速だけど、用って何だろう?」
「あ、ああ。その、なんだ……言いにくいことなんだが」
「あまり時間がないんで、はっきり言ってくれていいよ?」
「そうか」
トーマは自分を落ちつかせるように、大きく息を吸い込んだ。
「俺に、魔力制御を教えてくれ!」
「はい?」
「今日の授業でわかった。このままじゃ俺は落第する! 頼む! 俺に魔力の練り方を教えてくれ」
がつっとテーブルに手を突くと、料理に額がつくほどトーマは低く頭を下げた。
そのまま身動きもしない。
「ちょっと! 頭を上げてよ。話は聞くからさ」
「聞いてくれるか? 済まん!」
トーマはがばっと身を起し、顔いっぱいに笑顔を浮かべた。
――――――――――
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
◆次回「第196話 トーマの執着。」
「お前、ミョウシン様と柔の稽古をしているだろう」
「ああ、そうだけど」
「うぅうう、羨ましい……」
「えっ?」
背が高く、がっちりと逞しい体形のトーマが塩たれて一回り小さく見えた。
聞けば、トーマはミョウシンの父親であるフェルディナンド男爵領の住人だと言う。去年ミョウシン嬢がアカデミーに入学すると聞き、矢も楯もたまらず自分も行かせてくれと親に頼み込んだのだが、同じ男爵領から2人の推薦が通るはずもなく、1年遅れで今年ようやく入学できたのだそうだ。
「よくそんなわがままが通ったね?」
「うちは男爵領随一の豪商だからな。金の力に物を言わせた」
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