6 / 13
俺たちはそうやって生きてきた
しおりを挟む
能力測定は水晶球や金属板に触るわけではなく、心電計そっくりの電極を体につけて行われた。いや、実際に心電図信号や脳波、筋電流などを計測していたのかもしれない。
数値は多岐に渡っていたが、結果を眺めるエリカの顔色は冴えなかった。
「気に入らないようだな」
龍也はエリカの様子を見咎めて言った。
「悪くはないのだが、勇者にしては数値が低い」
異世界渡りで得たはずの特別な力、「神の加護」とか「神の祝福」と呼ばれるパワーブーストが小さいという。
「ひょっとして一人分が二人に分散してしまったのか?」
エリカは動揺して言った。
「具体的に言って、どのくらいだ?」
龍也は冷静に尋ねた。
「この世界の最強であることは間違いない。あくまでも人間として、ではあるが」
英雄と呼ばれるクラスの最強戦士と比較しても、能力値は1.5倍あると言う。
「魔力についても同じだ」
「それで、魔王に対しては?」
エリカは一瞬答えを躊躇った。
「俺たちでは魔王に敵わないのだろう? はっきり言え。魔王は俺たちの何倍強いんだ?」
ごくりと唾をのみ、エリカは答えた。
「魔王は君たちの5倍強い……」
「ふん。ならばいけるな」
龍也は平然と言った。
「何を言っている? 5倍だぞ」
エリカは龍也の正気を疑った。
「こう考えてみろ。魔王は俺たち一人に比べて5倍の強さなんだろう? だったら、二人で5人を相手にするのと同じだ」
龍也は不敵に笑った。
「二人一緒なら、5人が10人でも勝って見せる。俺たちはそうやって生きてきた」
数値は多岐に渡っていたが、結果を眺めるエリカの顔色は冴えなかった。
「気に入らないようだな」
龍也はエリカの様子を見咎めて言った。
「悪くはないのだが、勇者にしては数値が低い」
異世界渡りで得たはずの特別な力、「神の加護」とか「神の祝福」と呼ばれるパワーブーストが小さいという。
「ひょっとして一人分が二人に分散してしまったのか?」
エリカは動揺して言った。
「具体的に言って、どのくらいだ?」
龍也は冷静に尋ねた。
「この世界の最強であることは間違いない。あくまでも人間として、ではあるが」
英雄と呼ばれるクラスの最強戦士と比較しても、能力値は1.5倍あると言う。
「魔力についても同じだ」
「それで、魔王に対しては?」
エリカは一瞬答えを躊躇った。
「俺たちでは魔王に敵わないのだろう? はっきり言え。魔王は俺たちの何倍強いんだ?」
ごくりと唾をのみ、エリカは答えた。
「魔王は君たちの5倍強い……」
「ふん。ならばいけるな」
龍也は平然と言った。
「何を言っている? 5倍だぞ」
エリカは龍也の正気を疑った。
「こう考えてみろ。魔王は俺たち一人に比べて5倍の強さなんだろう? だったら、二人で5人を相手にするのと同じだ」
龍也は不敵に笑った。
「二人一緒なら、5人が10人でも勝って見せる。俺たちはそうやって生きてきた」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
トレジャーキッズ
著:剣 恵真/絵・編集:猫宮 りぃ
ファンタジー
だらだらと自堕落な生活から抜け出すきっかけをどこかで望んでいた。
ただ、それだけだったのに……
自分の存在は何のため?
何のために生きているのか?
世界はどうしてこんなにも理不尽にあふれているのか?
苦悩する子どもと親の物語です。
非日常を体験した、命のやり取りをした、乗り越える困難の中で築かれてゆくのは友情と絆。
まだ見えない『何か』が大切なものだと気づけた。
※更新は週一・日曜日公開を目標
何かございましたら、Twitterにて問い合わせください。
【1】のみ自費出版販売をしております。
追加で修正しているため、全く同じではありません。
できるだけ剣恵真さんの原文と世界観を崩さないように直しておりますが、もう少しうまいやり方があるようでしたら教えていただけるとありがたいです。(担当:猫宮りぃ)
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

平和国家異世界へ―日本の受難―
あずき
ファンタジー
平和国家、日本。 東アジアの島国であるこの国は、厳しさを増す安全保障環境に対応するため、 政府は戦闘機搭載型護衛艦、DDV-712「しなの」を開発した。 「しなの」は第八護衛隊群に配属され、領海の警備を行なうことに。
それから数年後の2035年、8月。
日本は異世界に転移した。
帝国主義のはびこるこの世界で、日本は生き残れるのか。
総勢1200億人を抱えた国家サバイバルが今、始まる――
何番煎じ蚊もわからない日本転移小説です。
質問などは感想に書いていただけると、返信します。
毎日投稿します。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~
みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】
事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。
神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。
作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。
「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。
※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる