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一杯目 本日のお薦め。
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「おっ。やってるね、先生」
いつもの居酒屋で呑んでいると、あの男がやって来た。
「今からか、須佐」
「ああ。仕事が片付かなくてね。監督のボケが――」
「何にします?」
店の親父が聞いてきた。
「生大!」
「はい、まいど!」
この男、ビールは大しか頼まない。理由を聞くと、「どうせ呑んじゃうから」だそうである。
「さて、ビールを待ってる間に作戦決めちゃおうか?」
「何の作戦だ?」
「本日のお薦めさ。お題を決めないとね」
こいつと呑む時は大概歴史だの、伝説だのの話になる。二人共歴史馬鹿なのだ。
「そういや佐渡金山が世界文化遺産に推薦されたな」
私は暫く前に見たニュースを思い出した。
「佐渡か――。悪かないけど、今日の気分には合わないかな」
「なら、何にする?」
須佐はちょっと考えると、ニヤリと微笑んだ。
「金よりはさあ。火薬の方がヤバそうじゃない。きな臭くてさ」
「火薬だって?」
「そう。戦国日本の火薬庫についてってのはどうだい?」
「そりゃ芳ばしくて旨そうだ」
「生大お待ちー!」
須佐のビールが来た所でグラスを合わせる。
「えー、本日は世界文化遺産の里、五箇山と硝石のお造りとなりま~す」
須佐のアナウンスで、その夜の謎語りが始まった。
いつもの居酒屋で呑んでいると、あの男がやって来た。
「今からか、須佐」
「ああ。仕事が片付かなくてね。監督のボケが――」
「何にします?」
店の親父が聞いてきた。
「生大!」
「はい、まいど!」
この男、ビールは大しか頼まない。理由を聞くと、「どうせ呑んじゃうから」だそうである。
「さて、ビールを待ってる間に作戦決めちゃおうか?」
「何の作戦だ?」
「本日のお薦めさ。お題を決めないとね」
こいつと呑む時は大概歴史だの、伝説だのの話になる。二人共歴史馬鹿なのだ。
「そういや佐渡金山が世界文化遺産に推薦されたな」
私は暫く前に見たニュースを思い出した。
「佐渡か――。悪かないけど、今日の気分には合わないかな」
「なら、何にする?」
須佐はちょっと考えると、ニヤリと微笑んだ。
「金よりはさあ。火薬の方がヤバそうじゃない。きな臭くてさ」
「火薬だって?」
「そう。戦国日本の火薬庫についてってのはどうだい?」
「そりゃ芳ばしくて旨そうだ」
「生大お待ちー!」
須佐のビールが来た所でグラスを合わせる。
「えー、本日は世界文化遺産の里、五箇山と硝石のお造りとなりま~す」
須佐のアナウンスで、その夜の謎語りが始まった。
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