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学期末小隊戦
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「ここ、どこ?」
上に見える星空は綺麗であるが、どこかいつも見てる星空ではないと1番星の配置から見て若干違うなとそう思った。
「……あれ?」
目の前に誰かよく顔は見えないが、黒い金の刺繍がされたフードを着けたローブを着た人が片方の膝だけを立て抱えて座っている。
まるで項垂れている様に顔は下を向いている為に見えない。
だが、なにかソレは見捨ててははいけない様に目が引き寄せられる。
「あの……」
私は静かに歩いて近寄ると、ゆっくりとそれは静かに泣いている様に見えた。
「あの……助けてください。私を……」
彼女はゆっくりとうねる赤い髪の間からジトっとした目で私を見上げた。
助けてと言われても……
絶賛迷子NOWな私には何も出来ない。
「……すみません、私はここに転移されてしまって……何処だがわからなくて……」
「それは"私の"ドールがした事ですよね。あの子は私の命令に従っただけですから。」
「ぇ?」
私はずさっと背後へ下がると彼女は首を振り、そうじゃないと言う風に訴えているが意味不明である。
「ややこしいですよね!あー、私の意思ではなくて……私の意識はここにあるので、今本体にいる意識の私は偽物なのです。」
「どう言う事?」
「それが……」
彼女は静かに涙を流しながら語ってくれた。
ドールと呼んだ、鳥仮面をつけている男性?が自身が頼んだ所用で側にいない時の戦いの末に負けてしまったらしい。
苦しみながらも逃げていったが、とうとう追い詰められて意識をシャットダウンされてしまい、秘術でどうにか意識は保っているが時間の問題であり、肉体の方が限界にきているらしい。
「どうして?」
「……さっきいったドールは私の"夫"だったのよ。」
「……だった?」
「えぇ、彼は病で早くに亡くなってしまって。私は耐えきれなくて……ドールに移植したり、改造したりしたの。」
「……そうだったのね。」
夫を亡くす悲しみを考え察しながらも、それを躊躇なく行うバイタリティーある人なんだなと目の前の赤い髪を眺めた。
「"記憶"はほぼ無くしてしまったみたいだけど、性格や癖はそのままで……いえそうね、私は彼と同じ病に罹っていたから私自身死んでもドールへ移植できる様に彼から与えられる魔力を取り込む必要があったの。そうすれば死んでも……迷わずに行けるからとでも、あの身体が乗っ取られてしまって。乗っ取った身体がボロボロなんて予想外だったのでしょうけど……きっとその後貴女に目をつけたのでしょうね。」
「えっ?それは嫌よ、断固お断りよ。」
「話を戻すわね、それで私の身体から貴女の身体へ乗り換えるさいに私の魂が残っているからたぶん私の魂を狙っていたのかここに貴女を呼びつけたのね。ここで私は対抗する策を幾つか試していたのだけど意識体だからどうにもできない事が多数あって……そんな時に貴女とこの赤き精霊が転移してきたの!これは渡船だったわ。」
精霊?とアッと私は来る前にあの赤い光を思い出してアレは精霊だったのかと納得した。
「この古い年代から生きている精霊は私に身体を貸してくれたの。一時的にだけどね、だから貴女には絶対この場所から帰って欲しいの。それだけで私は勝てるから。」
「本当に?それだけで良いの?」
彼女は微笑んで髪をかきあげる。まるで誰にそれを言っているのと言う様に自信がある瞳は輝きを見せていた。
「えぇ、もちろんね。だから、よろしくね!」
彼女は笑いながら、手を振り、そして走って行った。
軽やかに走る姿を眺めながら、名前を聞くのを忘れたと今頃気が付きながらも、腕輪を眺める。
ホームへ直接ワープできないあの感覚に似ているから、エリアから離れてからホームに戻らないといけない。
ここがどんな場所かはわからないが、魔物などが出てくるかもしれない。
私は備える為に腕輪の中にある服を着替えようと周りに誰もいないことを確認しながら服を取り出し着替え始めた。
「ユリウスが待っている。きっと、あの青い瞳を曇らせる事はしたくないの。私が戻らなかったら……ユリウスは狂ってしまうわ。そして、無理をしても……ゲートがある古城へ行こうとするわ。何を捨てて、そして何を選んでも彼は来るもの。」
古城にはとある場所に繋がるゲートがある。
それはある意味最終的に選ぶ選択肢な様なもの。
私が先程ゲートなしで行けたのは、たぶんアレクサリアのキーと言っていた神遺物のおかけでゲート経由で特殊に移動したのだろうが。
あの選択肢は取ってほしくない。
彼が願えば、なにを代償に求められるかは予想にできない。
だからこそ、私はユリウスの元へ早く戻りたい。
そして、狂ったユリウスは仮に戻ったとしても私を地下室へずっと出して貰えないかもしれない。
永遠に。
下手したら、竜化して暴れてしまうかもしれない。
そう考えるとブルっと震える。
快楽に浸る毎日になるだろう。
あの柔らかく目を細めて微笑んでくれる彼が見れなくなってしまうかもしれない。
その癖に私はなにかを思い出せそうな気がした。
「だから、必ず行くから。」
ユリウスへの腕輪のメッセージを送り無事であると送りながらも、私は着替え終わり歩き出した。
上に見える星空は綺麗であるが、どこかいつも見てる星空ではないと1番星の配置から見て若干違うなとそう思った。
「……あれ?」
目の前に誰かよく顔は見えないが、黒い金の刺繍がされたフードを着けたローブを着た人が片方の膝だけを立て抱えて座っている。
まるで項垂れている様に顔は下を向いている為に見えない。
だが、なにかソレは見捨ててははいけない様に目が引き寄せられる。
「あの……」
私は静かに歩いて近寄ると、ゆっくりとそれは静かに泣いている様に見えた。
「あの……助けてください。私を……」
彼女はゆっくりとうねる赤い髪の間からジトっとした目で私を見上げた。
助けてと言われても……
絶賛迷子NOWな私には何も出来ない。
「……すみません、私はここに転移されてしまって……何処だがわからなくて……」
「それは"私の"ドールがした事ですよね。あの子は私の命令に従っただけですから。」
「ぇ?」
私はずさっと背後へ下がると彼女は首を振り、そうじゃないと言う風に訴えているが意味不明である。
「ややこしいですよね!あー、私の意思ではなくて……私の意識はここにあるので、今本体にいる意識の私は偽物なのです。」
「どう言う事?」
「それが……」
彼女は静かに涙を流しながら語ってくれた。
ドールと呼んだ、鳥仮面をつけている男性?が自身が頼んだ所用で側にいない時の戦いの末に負けてしまったらしい。
苦しみながらも逃げていったが、とうとう追い詰められて意識をシャットダウンされてしまい、秘術でどうにか意識は保っているが時間の問題であり、肉体の方が限界にきているらしい。
「どうして?」
「……さっきいったドールは私の"夫"だったのよ。」
「……だった?」
「えぇ、彼は病で早くに亡くなってしまって。私は耐えきれなくて……ドールに移植したり、改造したりしたの。」
「……そうだったのね。」
夫を亡くす悲しみを考え察しながらも、それを躊躇なく行うバイタリティーある人なんだなと目の前の赤い髪を眺めた。
「"記憶"はほぼ無くしてしまったみたいだけど、性格や癖はそのままで……いえそうね、私は彼と同じ病に罹っていたから私自身死んでもドールへ移植できる様に彼から与えられる魔力を取り込む必要があったの。そうすれば死んでも……迷わずに行けるからとでも、あの身体が乗っ取られてしまって。乗っ取った身体がボロボロなんて予想外だったのでしょうけど……きっとその後貴女に目をつけたのでしょうね。」
「えっ?それは嫌よ、断固お断りよ。」
「話を戻すわね、それで私の身体から貴女の身体へ乗り換えるさいに私の魂が残っているからたぶん私の魂を狙っていたのかここに貴女を呼びつけたのね。ここで私は対抗する策を幾つか試していたのだけど意識体だからどうにもできない事が多数あって……そんな時に貴女とこの赤き精霊が転移してきたの!これは渡船だったわ。」
精霊?とアッと私は来る前にあの赤い光を思い出してアレは精霊だったのかと納得した。
「この古い年代から生きている精霊は私に身体を貸してくれたの。一時的にだけどね、だから貴女には絶対この場所から帰って欲しいの。それだけで私は勝てるから。」
「本当に?それだけで良いの?」
彼女は微笑んで髪をかきあげる。まるで誰にそれを言っているのと言う様に自信がある瞳は輝きを見せていた。
「えぇ、もちろんね。だから、よろしくね!」
彼女は笑いながら、手を振り、そして走って行った。
軽やかに走る姿を眺めながら、名前を聞くのを忘れたと今頃気が付きながらも、腕輪を眺める。
ホームへ直接ワープできないあの感覚に似ているから、エリアから離れてからホームに戻らないといけない。
ここがどんな場所かはわからないが、魔物などが出てくるかもしれない。
私は備える為に腕輪の中にある服を着替えようと周りに誰もいないことを確認しながら服を取り出し着替え始めた。
「ユリウスが待っている。きっと、あの青い瞳を曇らせる事はしたくないの。私が戻らなかったら……ユリウスは狂ってしまうわ。そして、無理をしても……ゲートがある古城へ行こうとするわ。何を捨てて、そして何を選んでも彼は来るもの。」
古城にはとある場所に繋がるゲートがある。
それはある意味最終的に選ぶ選択肢な様なもの。
私が先程ゲートなしで行けたのは、たぶんアレクサリアのキーと言っていた神遺物のおかけでゲート経由で特殊に移動したのだろうが。
あの選択肢は取ってほしくない。
彼が願えば、なにを代償に求められるかは予想にできない。
だからこそ、私はユリウスの元へ早く戻りたい。
そして、狂ったユリウスは仮に戻ったとしても私を地下室へずっと出して貰えないかもしれない。
永遠に。
下手したら、竜化して暴れてしまうかもしれない。
そう考えるとブルっと震える。
快楽に浸る毎日になるだろう。
あの柔らかく目を細めて微笑んでくれる彼が見れなくなってしまうかもしれない。
その癖に私はなにかを思い出せそうな気がした。
「だから、必ず行くから。」
ユリウスへの腕輪のメッセージを送り無事であると送りながらも、私は着替え終わり歩き出した。
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