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駆け巡る普天率土の章
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竜化を解いて、目を開けると、目の前に映るのは白い砂浜と冬の海だった。
一面輝いた海が、きらきらと夕陽の色に染まり光っている。
昼には出たと思っていたら、竜化しているのだろうユリウスではない竜が追いかけてきて付き纏われてしまい、やっとまいてここに来れた。
本を見て、更に小説でここを題材にしたのもあり、興味が惹かれて、ここに決めた。
何処か此処が懐かしく感じたのは、潮の香りがして日本の頃の懐かしさを思い出したからだろうか。
人の姿へと戻った私はぴちゃりとローレライの女性が海に浸かりながら不思議そうに私を眺めていた。
私は思わぬ1人目の先客に微笑み、人族では醸し出せない人並み外れた美しさに目が釘付けなる。
私に見つめられて、彼女は恥ずかしそうに少し微笑み、海の中へと消えていった。
「あらぁ、お前さん綺麗な子だねぇ。」
背後から声が聞こえて、驚いて振り返る。
「あっごめんなさい、綺麗な海だったから見惚れてて。私有地だったかしら?」
「気にしないで、ここは自由よ。私はノーラ。そこの加工屋兼ここら辺の領主の妻なのよ。」
「私はシアよ。加工屋?」
私は不思議に思い、涼やかな美人な竜人族のお姉さんに聞いた。
レモンの様に爽やかな彼女は、冬を感じさせないラフな服装であり、風に吹かれて髪が舞い上がりそれを抑えながら笑う。
「知らないでここにきたのかい?珍しいね。この浜や海で撮れる物で加工するのは有名なんだよ。特に魔晶石と、星晶石は一対の番を持つ珍しい、星魔石なんだ。石の形・色合い・大きさ全て合わせるとピッタリ重なって絡み合って一つとなる巻貝の様な形なんだ。外すととても美しくてね。昔に王侯貴族が来るぐらいだったって聞くよ。今は忘れられてるみたいだけどねぇ。私の生涯で金竜なんて見た事一回もないねぇ。銀竜はたった今初めてみたがねぇ、ハハっ」
「どんな石なんです?」
「外はまるでクリスタルの様なつるりとしてて、触り心地で外の石を外すと中はその石によって色が変わる色彩なんだ。
……その時の状況によって変わるから同じ色彩を作るのが難しいくてね。海の中だと保護色で見つけにくいから探すのは難しいね。今は中々大物は、お目にかかれないねぇ。だから恋人同士はそれを持つと大昔の王様とお姫様の様に心を一つにして行こうって願うものさ。今はすっかりここも少し寂れたけどねぇ。」
「なぜです?そんな綺麗そうなのに。」
「さぁねぇ。ここは海しかないし。流行ったのも昔だからね。でもあんたがきたから少しまた人気になるかもね。」
「え?」
ざわざわとした喧騒に今更気がついて、その方向を見ると、ガゼボに少し観光客がいて私を見て指を指して驚いている。
シーズン外れているのに?
観光客が来ていたとは予想外だった。
私は慌ててフードを被った。
「てっきり人は居ないと思ってました。シーズン外れていたから。」
「それは運が良いとも悪いともいえるかもねぇ」
「え?どうしてです?」
私は不思議に思い、お姉さんを見ると、彼女は空を見上げて言った。
「今日はなんたって流星群の夜さ。星の力は意外にも人気でね。この海の周りは民家が少なくて、観測にも適しているのさ……ん?なんだい、あんた婚約しているのかい?ひとりできて大丈夫かい?」
私の首元の証を見て不思議そうにしていた。
「……実は喧嘩しちゃって……でもこの石って今のシーズン探してきても大丈夫ですか?もし見つけたら……彼に渡して謝りたくて。」
「ははっ若くていいねぇ。良いよ、まぁシーズン終わってるし、取り尽くしてる思うよ。私も旦那に久しぶりに誘ってこようかね。」
お姉さんは家の方へと歩き、数人の観光客の目線が恥ずかしくて、私は無我夢中で歩き出した。
すっかり黄昏時だった空はもう満天の夜空が見えており、私は少し胸が高鳴る。
石を見つけたらユリウスに謝ろう。
後でこっそりと海に潜り、石を見つけようかな。
そんな事を考えていたら、崖の上へと歩いて来てしまった。
ここには人はおらず、ようやく一息ついて夜空を眺めた。
下は海であり、ざぶんざぶんと冬の海の波が押し寄せており寒そうだ。
「あれ?ここに人がいた、先にこされたなぁ。」
「へぇ?女が独りか?」
「なぁ、あんた俺達と楽しい事しないか?そこのテントでしっぽり温まりながら楽しもうぜ。」
振り返ると人族の男達は、私が女性だとわかるとごくりと生唾を飲み、手を伸ばしてきた。
「離れてください、私には婚約者がおります。触れれば悲惨な目に……」
「あ?だが、ここにいねぇじゃねぇか?そんな独りでいて、ここにそいつ来るか?そんな男より、俺らと楽しみもうよ。」
「嫌よ、なんで貴方達と付き合わないといけないのよ。離れて」
「俺はあんたが好きだぜ?俺のテントにほら来なよ。」
数人の男は私へ手を伸ばしてきて、触れる間近に私は嫌悪して立ち上がり、後ろへと一歩下がる。
数人一緒にいるのに、男がそれで告白してくるなんて遊びか、揶揄いだろう。
碌な結末しかない。
それで女(私)が喜んだり、信じたりとか思っているのか?
ありえない。
そもそも、ユリウスしか愛さない。
ざぶっと足元の小さな石ころが下に落ちて波間に消えたのを見て焦った。
「なぁ、ほら誰も来ないだろ?そんな婚約者より俺達の方が好きになるぜ?沢山気持ち良くさせるからなぁ?もっとーって泣き叫ぶあははっ」
「いや、もっとしてぇって懇願してくるかもなぁ?」
私のローブをつかもうとしたので、魔法を使おうとしたが、男達がのしかかろうとしたので咄嗟に後ろへと足を伸ばしてしまい、身体は宙に落ちていく。
「っぁ」
「あーぁ、結構別嬪そうだったのにな。」
「なぁ……上のなんだあれ。」
どぶん。
咄嗟に息を止めて、海に入る。
落ちた衝撃で潜ってしまったが、無詠唱で水魔法で水流を起こして上の方へ行く。
ごぶっと水面に出ると、いつの間にか流星群が降ってきていて、美しい夜空へとなっていた。
私は崖上に奴らが居ないことを不思議に思っていたが、岩に這い上がり、腰掛けると寒さには私は強いのでそんなに気にならないが濡れた衣服が重く、張り付いていて面倒くさいと感じた。
あぁ、なんて世界は美しいのだろうか。
「ア……どこだ」
なにか懐かしく会いたいと思った声がした気がしたが、それよりも空の流星をまだ見ていたいと思ってしまった。
「シア……?」
「へ?」
ユリウスの声がした気がして、上を見ると背後の崖上から人影が見えて、急に焦った私は海の中へと飛び込んだ。
魔法で下の方へと向かいながらも、私は焦った余り、何も言わずに来てしまった。
もしかしたら、そうだ私を見ていないかもしれない。
そうだよねと若干無理のある事だと思いながら私は、ふと折角潜ったのだから目的の石を探す事にした。
それに、ユリウスは水や寒いのは苦手だから来ないかもしれない。
そんな甘いかもしれないけれど、考えていたら、夜の海は静かで美しい。
上から差し込む光がまるでステンドグラスの様に差し込み、砂地を探す。
水の中でも使える魔道ランプを腕輪から取り出して持ち、海底を歩きながら探していると突如上が暗くなり、不審に思いつつも探した。
海藻が足に纏わりつき、体勢を崩しておっとっと思ったら奥にきらりとなにか光った気がした。
ん?
私は気になり歩こうとした瞬間、背後からなにかに身体を抑えられ、心臓が飛び跳ねて鼓動した。
一面輝いた海が、きらきらと夕陽の色に染まり光っている。
昼には出たと思っていたら、竜化しているのだろうユリウスではない竜が追いかけてきて付き纏われてしまい、やっとまいてここに来れた。
本を見て、更に小説でここを題材にしたのもあり、興味が惹かれて、ここに決めた。
何処か此処が懐かしく感じたのは、潮の香りがして日本の頃の懐かしさを思い出したからだろうか。
人の姿へと戻った私はぴちゃりとローレライの女性が海に浸かりながら不思議そうに私を眺めていた。
私は思わぬ1人目の先客に微笑み、人族では醸し出せない人並み外れた美しさに目が釘付けなる。
私に見つめられて、彼女は恥ずかしそうに少し微笑み、海の中へと消えていった。
「あらぁ、お前さん綺麗な子だねぇ。」
背後から声が聞こえて、驚いて振り返る。
「あっごめんなさい、綺麗な海だったから見惚れてて。私有地だったかしら?」
「気にしないで、ここは自由よ。私はノーラ。そこの加工屋兼ここら辺の領主の妻なのよ。」
「私はシアよ。加工屋?」
私は不思議に思い、涼やかな美人な竜人族のお姉さんに聞いた。
レモンの様に爽やかな彼女は、冬を感じさせないラフな服装であり、風に吹かれて髪が舞い上がりそれを抑えながら笑う。
「知らないでここにきたのかい?珍しいね。この浜や海で撮れる物で加工するのは有名なんだよ。特に魔晶石と、星晶石は一対の番を持つ珍しい、星魔石なんだ。石の形・色合い・大きさ全て合わせるとピッタリ重なって絡み合って一つとなる巻貝の様な形なんだ。外すととても美しくてね。昔に王侯貴族が来るぐらいだったって聞くよ。今は忘れられてるみたいだけどねぇ。私の生涯で金竜なんて見た事一回もないねぇ。銀竜はたった今初めてみたがねぇ、ハハっ」
「どんな石なんです?」
「外はまるでクリスタルの様なつるりとしてて、触り心地で外の石を外すと中はその石によって色が変わる色彩なんだ。
……その時の状況によって変わるから同じ色彩を作るのが難しいくてね。海の中だと保護色で見つけにくいから探すのは難しいね。今は中々大物は、お目にかかれないねぇ。だから恋人同士はそれを持つと大昔の王様とお姫様の様に心を一つにして行こうって願うものさ。今はすっかりここも少し寂れたけどねぇ。」
「なぜです?そんな綺麗そうなのに。」
「さぁねぇ。ここは海しかないし。流行ったのも昔だからね。でもあんたがきたから少しまた人気になるかもね。」
「え?」
ざわざわとした喧騒に今更気がついて、その方向を見ると、ガゼボに少し観光客がいて私を見て指を指して驚いている。
シーズン外れているのに?
観光客が来ていたとは予想外だった。
私は慌ててフードを被った。
「てっきり人は居ないと思ってました。シーズン外れていたから。」
「それは運が良いとも悪いともいえるかもねぇ」
「え?どうしてです?」
私は不思議に思い、お姉さんを見ると、彼女は空を見上げて言った。
「今日はなんたって流星群の夜さ。星の力は意外にも人気でね。この海の周りは民家が少なくて、観測にも適しているのさ……ん?なんだい、あんた婚約しているのかい?ひとりできて大丈夫かい?」
私の首元の証を見て不思議そうにしていた。
「……実は喧嘩しちゃって……でもこの石って今のシーズン探してきても大丈夫ですか?もし見つけたら……彼に渡して謝りたくて。」
「ははっ若くていいねぇ。良いよ、まぁシーズン終わってるし、取り尽くしてる思うよ。私も旦那に久しぶりに誘ってこようかね。」
お姉さんは家の方へと歩き、数人の観光客の目線が恥ずかしくて、私は無我夢中で歩き出した。
すっかり黄昏時だった空はもう満天の夜空が見えており、私は少し胸が高鳴る。
石を見つけたらユリウスに謝ろう。
後でこっそりと海に潜り、石を見つけようかな。
そんな事を考えていたら、崖の上へと歩いて来てしまった。
ここには人はおらず、ようやく一息ついて夜空を眺めた。
下は海であり、ざぶんざぶんと冬の海の波が押し寄せており寒そうだ。
「あれ?ここに人がいた、先にこされたなぁ。」
「へぇ?女が独りか?」
「なぁ、あんた俺達と楽しい事しないか?そこのテントでしっぽり温まりながら楽しもうぜ。」
振り返ると人族の男達は、私が女性だとわかるとごくりと生唾を飲み、手を伸ばしてきた。
「離れてください、私には婚約者がおります。触れれば悲惨な目に……」
「あ?だが、ここにいねぇじゃねぇか?そんな独りでいて、ここにそいつ来るか?そんな男より、俺らと楽しみもうよ。」
「嫌よ、なんで貴方達と付き合わないといけないのよ。離れて」
「俺はあんたが好きだぜ?俺のテントにほら来なよ。」
数人の男は私へ手を伸ばしてきて、触れる間近に私は嫌悪して立ち上がり、後ろへと一歩下がる。
数人一緒にいるのに、男がそれで告白してくるなんて遊びか、揶揄いだろう。
碌な結末しかない。
それで女(私)が喜んだり、信じたりとか思っているのか?
ありえない。
そもそも、ユリウスしか愛さない。
ざぶっと足元の小さな石ころが下に落ちて波間に消えたのを見て焦った。
「なぁ、ほら誰も来ないだろ?そんな婚約者より俺達の方が好きになるぜ?沢山気持ち良くさせるからなぁ?もっとーって泣き叫ぶあははっ」
「いや、もっとしてぇって懇願してくるかもなぁ?」
私のローブをつかもうとしたので、魔法を使おうとしたが、男達がのしかかろうとしたので咄嗟に後ろへと足を伸ばしてしまい、身体は宙に落ちていく。
「っぁ」
「あーぁ、結構別嬪そうだったのにな。」
「なぁ……上のなんだあれ。」
どぶん。
咄嗟に息を止めて、海に入る。
落ちた衝撃で潜ってしまったが、無詠唱で水魔法で水流を起こして上の方へ行く。
ごぶっと水面に出ると、いつの間にか流星群が降ってきていて、美しい夜空へとなっていた。
私は崖上に奴らが居ないことを不思議に思っていたが、岩に這い上がり、腰掛けると寒さには私は強いのでそんなに気にならないが濡れた衣服が重く、張り付いていて面倒くさいと感じた。
あぁ、なんて世界は美しいのだろうか。
「ア……どこだ」
なにか懐かしく会いたいと思った声がした気がしたが、それよりも空の流星をまだ見ていたいと思ってしまった。
「シア……?」
「へ?」
ユリウスの声がした気がして、上を見ると背後の崖上から人影が見えて、急に焦った私は海の中へと飛び込んだ。
魔法で下の方へと向かいながらも、私は焦った余り、何も言わずに来てしまった。
もしかしたら、そうだ私を見ていないかもしれない。
そうだよねと若干無理のある事だと思いながら私は、ふと折角潜ったのだから目的の石を探す事にした。
それに、ユリウスは水や寒いのは苦手だから来ないかもしれない。
そんな甘いかもしれないけれど、考えていたら、夜の海は静かで美しい。
上から差し込む光がまるでステンドグラスの様に差し込み、砂地を探す。
水の中でも使える魔道ランプを腕輪から取り出して持ち、海底を歩きながら探していると突如上が暗くなり、不審に思いつつも探した。
海藻が足に纏わりつき、体勢を崩しておっとっと思ったら奥にきらりとなにか光った気がした。
ん?
私は気になり歩こうとした瞬間、背後からなにかに身体を抑えられ、心臓が飛び跳ねて鼓動した。
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