愛が重いなんて聞いてない

音羽 藍

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駆け巡る普天率土の章

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予想通りに寝室へと連れて行かれ、私はたっぷりとまたもや愛されてしまった。




「……ユリウス」
「ごめんって……可愛いからそれもう一度やって。」
「もう少し話していたのかったのに……ユリウス……」

私はデシッとユリウスは絡めてきた足を軽く蹴りながら、みっちりと隙間なくくっついていた胸板を軽く叩いて押しのけた。

身体の奥から来る甘くだるい感覚とは別に満たされた感覚にぐったりとベッドに深く倒れ込んだ。

ついついその幸せに私は彼から求められると受け入れてしまう事に、ダメだと思いながらもやはり、彼の事は愛しているから、出来る限り何でも叶えてあげたい心に揺り動き、ぐるぐると色々な事が頭に浮かぶ。

「シアと出来て気持ち良かった……少し怒るシアも可愛いな。」

だがそれさえも彼は可愛いと言ってきてしまい、チラッと横目で見ると目が合い、余裕そうに甘く目を細めて微笑んできて私はとても困った。

ユリウスにただ可愛いと言われて、気だるい身体なのに、下腹部をキュンと締め付けるのは些か感じているのは幼いだろうか。

それとは別にこの甘ったるくて、でも幸せで手放す事は確実に出来ない事はわかりきっているけれど。 

それでもやはり、身体をかきむきしりたくなる程砂糖菓子の様にたっぷり愛されて、私も愛したいのに……

いつの間にか彼にやり返されて、あれ?と疑問に思っていれば逆に愛されている。


内心やけくそになった私は、お風呂に逃げようとして、ベッドから降り、逃げようとしたがズルズルと腰を引き寄せられてぴたりと彼の元へ戻ってきてしまった。


暴れたからか、こぷっと下半身から先程たっぷりと中へと注ぎ込まれた残滓が溢れてきて、んっと私は声を上げて震えた。

「シア……逃げないで、またしたくなるから」
「ぁぁっ、ゃだっユリウス……こんなにしたでしょ……」

背中を舐められ、吸われながらも、私はまた感じてしまい、乱れた生活だなと息を吐きながらヒクヒクとまた向かいれたいと望む肉欲に抗う。

しかしながら、先程は愛される事は後半は自ら彼を受け止める様に動いていた事もあり、ユリウスだけを責めるのは違う。

それに彼もした後は後処理したほうがいいのだが、動こうとしない。

「もう少し……」
「どうしたの、ユリウス?」

確かにのんびりとくっついていたい気持ちもある。
しかし寝てしまいそうで嫌だ。

甘えてきて、離れそうにない彼が少しいつもよりも変で、私は向きを変えて彼の方へ振り向いた。

「……シア気持ち良く無かった?今度は上手くやるから。」
「気持ち良かったわ……でもこのままだと眠たくなるからお風呂行きましょう。」
「なら良かった……後少し……仕方ないか。」


彼が私の髪を触り撫でてきて、至近距離にある青い瞳に浮かぶ情欲の気配に、この期に及んで、再び微かにする気配をした。

私が嫌だと暴れようと動き始めかけたからか、ようやくズルズルと彼に抱えられてお風呂場へと向かった。

……少しいつもとは違う変なユリウス。





「あぁ、それであの後の処理や話し合いをしたり、あの後の報告を受けたりしてたんだ。」

ようやく、欲が治ったのか彼がまともに話してくれた。
ユリウスに洗われながら、私は気になっていた事を聞いた。


「砂になったってどういう事なの?」
「あの者達が残した儀式などの書物が文字通り砂になったんだ。真っ白な砂にね……読ませない為だろう。残った残党も一部意識の混濁があり、詳しくのやり方は探れなかったって聞いた。」
「それってアレが来たから?」
「ぁあ……たぶんな。」

人では無い彼を思い浮かべて答えると、くちゅっと彼に耳を軽く噛まれて、鏡に映る彼を睨んだ。
ヘラっと笑わっているがどこかゾクッとした感覚があり、まるでなにか見えない地雷を踏んでしまっている様な気持ちになった。

口元は戯けているけれど瞳からは、じめっとした仄暗い視線を向けている様に感じているのは、気のせいだろうか。

「同じ事を繰り替えさえ無い為だろうが、真実がわからないのは痛手だ。だが……それと同時にもう同じ事はないという知らせでもありそうだか……今まで集まっていた残党は散り散りになるだろう。」
「それ程、危ない集団だったのね。彼の方が危惧するぐらい。」
「……大精霊を分解をするのは普通じゃないからな。俺は初めてみたよ。罰当たり過ぎる。」

ナニカを召喚しようと力を貯めていたが、今回の騒動で貯めていた力の消費し、そしてダメ押しに天使アリサエールの妨害により、ほとんどが砂へと変わってしまった。

「……だから心配はしなくて良いのは助かったよ。それでも過去の記録を見る限りまだ少しは温情のある対応だったらしいけどな。」
「そうなの?」

私は不思議に思っているとざぶんとお湯をかけられてしまった。

「っ……ちょっとユリウスいきなりかけないでよ。」
「シア……本当になんとも思ってないよな?」
「ユリウス、どうしたの?」

私は突如としてかけられたお湯で、泡が流れてさっぱりしたが、鏡に見えるユリウスはじめっとした視線を私に向けてきている。

先程の温情のある対応の事が気になるが、彼の行動から煙に巻かれたのもあり、余り突いて欲しくなさそうだ。

それに……
やはり少し彼がいつもとは違い、変な違和感がある。

どうしたのだろうか?

「……不安なんだ。あいつの事を話すと君が関心を寄せている気がして……それに……」

彼がそういうと濡れた私の体の向きを変えて向かい合わせに持ち上げて彼の太ももの上へきてしまった。

心配している表情を見て、チラチラと私を見ているユリウスがその後の言葉を紡かずに、少し踏ん切りがつかなく言いたくなさそうなそうにしているので、私は手を伸ばして頬に触った。

「……ユリウス私達は番でしょ?私がその……ベッドを共にしたいのはユリウスだけよ。アレに対しては、少し警戒しているだけ。いつのまにか現れそうで……凶兆の様で不安なだけだから。」
「確かに……それはあるが……それだけか?」
「もう、他にはないわ。そろそろあがりましょ?明日はさすがにそろそろ学園に戻らないと。」
「その事で明日の朝話したい。今は眠たいだろうから避けておくが。」
「……今でも良いのよ?」

少し甘い様なだるい身体を、もう少し甘えても良いかなとユリウスの方へしなだれかかる。

ユリウスの筋肉質で引き締まった身体を堪能して触りながら伝えた。

私とは違い、鍛えられた身体は固いなと思いながら撫でているとギュッと抱きしめ返してくれて嬉しくなる。

「……シア……嬉しいんだが、それ以上接触するともう一戦したくなる。」
「え、また?復帰早すぎわ……」

怪訝な表情になりながら、ユリウスの顔の方を向くとトロッとした青い瞳は、誘いたいと如実に出てて、閉じられた口が我慢しているのがわかった。

「ユリウス、降ろしてくれる?」
「……グッ…………そうだよな」

少ししょんぼりしているユリウスを見てるとついついなんでも許したくなるけれど、ダメだと笑った。

「また……今度ね?ユリウス」

私はふふと微笑み、愛おしい彼の頬を手で撫でて、離れようと身体を起こした。




数日間離れていただけど、久しぶりだと思える学園にまた戻れたと嬉しさを思いながらも隣にいつもいた彼が居ないのは寂しくて、少し複雑な心境だ。


「元気で居たら良いのだけれど……」

あの時を思い出して、私は少し緊張していたのかもと今頃になって気がついた。



彼がどこか窓から外を見つめていた冷めた瞳は別の一面を見た気がして、そわそわとした。

「シア、数日間俺はここから離れる。既に学園には報告してある。だから学園とここ以外から離れる時は信頼できる近衛を付ける様に頼んだ。俺は一応これでも王族だから、一応権限はあるんだ。俺が居ない間は君につけておく。だから、学園から離れる時は一旦ここに戻ってくれ。一階に待機しておくように頼んだから。離れないでいてくれるのが1番安全だが。」
「えぇ、わかったわ。ユリウス、気をつけてね?」
「あぁ、もちろん。少し面倒を済ませてくるだけだよ。シアが気にする事はないさ。」

そう言った彼に私はそっと口の端にかするようにキスをした。

……離れるから昨日は少しあんなに甘えていたのかと理解した。

「……シア、可愛いイタズラしないでくれ。出かけたくなるから。」
「いってらっしゃい……」

深くしたらもう一度と思ってしまうかなと考えてしまうので、わざと口の端にしたけれど、少し残念そうな表情をしたユリウスを見て笑った。

「……帰ったらしてくれる?」
「んっ!?」

顔を寄せてきて、耳元で囁いてきたユリウスから離れようして後に一歩さがると嬉しそうにしている余裕なユリウスが見てしまい、私は顔が熱いなと思いながらも手で口元を隠した。

「ここで……待っているわ。いってらっしゃい、ユリウス」
「あぁ、少しばかり行ってくる……またなシア」


そうして、ユリウスは旅立った。

学園を歩き教室へ入ると久しぶりに見た顔ぶれに懐かしさを感じた。


「シアちゃん!お久しぶりね?」
「ミレディさん、お久しぶりです!」

私は再び会えた事に喜んだ。

「あら、ユリウス君はいらしてないのね?」
「えぇ、ユリウスは少し所用で数日間の間お休みしています。」
「あら、もう少しで期末テストなのに、大丈夫かしら?」
「え?テスト!?」

私は初めて知った事に驚いた。

ミレディさんがノートを取り出して見せてくれると色々出る範囲や出やすい場所などのヤマを教えてくれた。

「こことここは先生が必ず関係している問題を出すって言っていたから特にね。」
「やだ、苦手な部分だわ。ミレディさんありがとう。」

私は教えてくれて御礼を言うと、彼女は嬉しそうにしていた。

だがその後少し悩んでいた表情をしていて、私はどうしたのだろうかと聞く事にした。

「どうしたの?」
「……少し前ですけれど、ある1人の女性生徒を助けたの。普通科の生徒で……いじめられていたらしく、泥水をかけられようとしていたから、魔法を使い助けたですけれど……」
「いじめはよくないわ……だけど先生に忠告しておいた方が良いぐらいですね……下手に介入したら悪化するわ。」

ミレディさん自身が違う学部であり、私と同じく早めに卒業するからだ。
そして彼女自身もそうだけど、アメルハウザー辺境伯の嫡男であるイザーク君が番であり、婚約している為に、付随する爵位はかなりの上位付近であるから彼女が止めろと言えば彼女は助かるけれど、先程言った通り、私達は短期コースなので後はどうなるかわからない。

それに誰が悪いかはその子の事をよく知らないのでなにが原因かはそもそもまだわからない。

「……少しその子が……そう確か平民だと言っていたけれど天然なのかしら?少し変わっているから。」
「……それ大丈夫なのかしら?」

私はアルマさんの様な感じだったらと苦い心境だった。

「話をしたら、シアちゃんの事になって……会いたいって言っていたわ。」
「……え?」

なんで?と驚きつつも、すまなそうに子犬がしょぼんとする様な表情をしたミレディさんが可愛い。

「わかったわ、ノート見せてくれたし。気にしないで。」
「ありがとう!一応テスト近いから余り今は来ないでねって伝えてあるのだけど、チラチラ私の方を見ているのを見かける事があって。」
「……そうなのね。」

扉を開けて先生が来た事で私達は話を辞めて、ミレディさんの隣に慌てて座ったイザーク君がチラリと私の近くの席にある空いている席へと視線を動かしたのを見た後、私は先生へと視線を向けた。






久しぶりの授業は懐かしく感じた。

もう少し経ちテストを終えたら長期休暇になり休暇を終えると春やや少し前になれば卒業だ。

……卒業したらどうしているだろうか?

ユリウスの屋敷で優雅に暮らしているかなと考えると爛れた生活になりそうだなと考えて、それとも時々学園にくるかしら?と考えた。

ノートに授業の事を書いた後、私は目下テスト勉学など日本にいた頃を思い出して懐かしい。

ユリウスが居ないのは寂しいけれど、勉学に集中できるとも言える。

彼が留守にしているのは、学園側に話してあると言っていたし、帰郷がテスト後なのか前かはわからないが大丈夫なのだろう。


あっという間に昼休みになり、久しぶりに女生徒だけでおしゃべりしながら共に食べたいという話になり、ミレディさんはイザーク君に良いでしょ?とギュッと手を握りしめて微笑みかけている。

それを私はアレを私もユリウスとしていたのかと遠い目になった。








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