愛が重いなんて聞いてない

音羽 藍

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駆け巡る普天率土の章

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「シア……ダメだから」
「ぁぁ……やめっ」

ぐぶっと彼の腰が密着し、私の中でペニスが奥へとみっちりと埋まり、気持ち良さに、私自身でさえ、甘ったるいと思う様な声をあげた。

「シア、もっと聞かせて?可愛い」
「ゃぁぁっ」

ぬちゅぬちゅと水気のある生々しい音をさせながら、小刻みに腰をピストンされ、私は早々と達しそうになっていた。

「んんっ」

達そうになり、後ろへ下がろうとした私に、彼は唇を重ねてきて舌先を絡めあった。

ぐちゅぐちゅとユリウスに荒々しく求められて、逃がさないという様に縫い止められた私はがぐがぐと揺れながら達した。

「ユリウス、いぐから、ひぁぁ」
「シア……俺だけのシア、達しているのも可愛い」

こぷこぷと内部で彼が濃厚なモノを出し、注いでいるのが魔力でわかる。
私の魔力と彼の魔力が混ざり合い、ヒクヒクと蠢く私の身体はベッドへと崩れ落ちた。

互いの体液でぐずぐずとなり果てた。
私の視線はすっかり快楽に溺れて虚ろになりながらも、宙を彷徨った。

間接照明の魔道具の薄暗い室内に、微かに照らされている青く美しい瞳と目と目が合い、肉体的な快楽と、番に愛され満たされた幸せと肉体的な疲労に包まれながらも思わず微笑んだ。

二人の体液の匂いで充満している番の匂いの空気に、ドロドロしてて、所々カピッとしたベッドやシーツなど気持ち悪いけれど、相変わらず彼が奥へ擦りつけながら最後の一滴まで出し尽くす様に再び腰を細かく打ちつけられ、ビクビクと浅く感じながらも私はもうダメだと思いながらも浅く達した。

自身ですら驚く様なチョコレートの様に甘く淫美な声を漏らしてしまい、中を一際締め付けてまとわりついた。

「ん、シア今イッたよな?」
「っん……ユリウス……イッてなぃからっ気のせい……よ。」
「まだ足りない?それとも今が良いか?シアの為ならまだ……」
「ユリウス、それは遠慮したいの!お風呂入りたいから……ね?」
「シア……仕方ないな。後でするからな。」

ぬちゅりと抜けていく感覚にビグビクッと感じながらも、フッと息を吐いた。
見ての通り沢山愛されて、イキすぎたし、身体を動かしていたから、身体がギシギシする。
声も上げていたからか、擦れている。

「まだ……ゴホッ……したりないの!?」
「シアとするのに萎えて出来ないとかほぼ無い。」

うっとりと私を見つめているユリウスをげんなりと私は体力有り余る彼に少し引いた。

恐るべし竜人族の番。

ユリウスの指が、腹を優しく撫でて、その後恥丘を少し爪を立てられて、くすぐったいなと身を捩ると、低く笑われてしまった。

コプコプと流れ落ちてきた残滓を指に取り、ぬちゅりと彼の指が入り込み、私は嫌だと首を振る。

「ユリウス……後処理は私がするからっ」
「シア、こういうのは番の愛情表現だって初めてシタ後に教えただろ?」
「ぅ、でも恥ずかしいの。」

ぬちゅぬちゅとかき出すと思っていたが、あれ?と一向に掻き出すのではなく、塗りたくる様に指を入れられていてジト目で見上げた。


「んっ、そこはっ」
「シア、良い声だ。残念ながら仕事もあるからな……」
「ぁぁ、ユリウスっ、ひぃっ、いっちゃ」

グチュグチュと親指でクリトリスを押されながら首筋に彼の吐息がかかりくすぐったさに包まれながら達しようとしていた。

「……そろそろやめようか。」
「やだっやめないでっユリウス……イキたいっ」
「……さっきはやめるって言ってたのに?」
「ごめんなさいっ、やめてほしくないのっ、ぁぁんん、そこはやだっ」
「シア、これで満足してくれる?」
「イグからぁよすぎてっぁぁぐぅ……ぁぁ……はひぁ」

逆鱗を舐められて吸われた事で、私は意識を軽く飛ばすくらいの快楽に呑まれてビクビクと足先まで震えた。

ぬぷっと抜け落ちた彼の指を感じながらも、身体を彼に持ち上げられて、バスルームへと運ばれるのを私はユリウスの腕の中でほんとなんでこうなっているのかと、肉欲に溺れた私は荒い息を吐いた。

逆鱗を触られたせいで、未だビクビクと震えが止まらない。

番の匂いに圧倒されグラグラとする視界に、快楽に溶けた思考はただすりすりとユリウスに胸元におでこをくっつけて無意識に、きゅぅとまるで竜の発情した切ない感じの様な声を上げながら堪能した。

ぼっーと洗われながらも、時折コプっと外へ出てくる残滓の感覚になんともいえない表情をしながら、思考は散漫であり、何をしようとしたんだっけ?と上手く纏まらない。

ユリウスは満足気に時々私を軽いキスを耳や唇にしてくれた。

ようやくまともな思考が戻ってきたと思っていたが、既にその時は洗われた後なのかスッキリとしていた。

湯船に浸かり、向かい合わせでユリウスの膝の上に座っていたようだ。


「ユリウス……しないって言ったじゃないの?」
「シアが可愛いから仕方ない。それにしたいって言ったのはシアだろ?」
「……ぅぐ……ユリウスが指を動かすのが悪いの。それに、謝ったでしょ?」


あれは可愛かったと頷いたユリウスを睨み、太ももを触ってきた彼の手をお湯の中でざぶんと叩いて避けた。

「新たな扉を開いたかもしれない。」
「一生閉じておいて。」
「……今日は上の階に居てくれるか?」
「えぇ、居るわ。本を読んでいるから。」

彼に抱えられて、ざぶんとお湯から出て、色々とあの後の事を聞こうと思ったが、すっかりと時間が経っていたらしい。

「……もっといたいんだがな。」

そう言いながらも、慌しく用意しているので、私は半笑いした。


「また今度ね」
「今夜じゃないのか?」

ユリウスは服を着ながらも、寂しそうにしたので、今日こんだけしたのに?とジトっと見つめた。

また手を伸ばしてきたので私は彼の背中を押して仕事なんでしょ?と急かした。





彼と別れて、窓から手を振り、また今夜にでも聞けば良いのかしらと思った。






少し経っているが一向に帰ってくる気配がない。
窓から見た空は、夕暮れになりかけている。

読んでいた本も終わってしまい、手持ち無沙汰になった私は、図書室へ向かおうと立ち上がる。
普段着を着ている私は、鏡で変な所はないかとチェックして大丈夫よね?と少しユリウスにつけられた所有印の跡に、気がついて苦笑いした。

「……誰も見ないのに。」
 
扉を開けて、図書室に向かい、借りていた本を返した後は、竜人族の事を知りたいと、俗説や知られざるハンドサインの意味とかの興味を持った本を抱えた。

俗説の本を取ると、隣の本が落ちて私はそれを拾った。

「『青の王と白雪』?」

童話だろうか?
それにしては、少し厚めの内容で、描かれた人間の夫婦だった。

過去読まれた形跡があり、ユリウスが読んだのだろうか?

ページの開けていた形跡などあり、少し知りたくなった私はそれも持っていく事にした。
幾つかの本を持ち、自室へと帰ろうと思った。

一階に人が来ているのか、話し声が少し聞こえる。

なにかをユリウスは話しているようだ。

気になるけれど、上にいてくれと言われていたのを思い出したしとそのまま自室の方へ歩み始めた。


本を置き、リビングのソファーに座わり、気になった本を読み始めた。


主人公はとある白雪と呼ばれている王妃だ。
青の王と呼ばれる王は、いつも無口か、それとも尊大な口調で王妃とは仲が余り良く無いらしい。

白雪は少しはまともな夫婦へとなりたいと悲しみや嘆きを隠していた。

いつもと変わらない独りで寝ようとしていたがバルコニーの窓から現れた茶髪の青年と話すうちに意気投合していった。

フードを被った茶髪のぼさぼさの髪の隙間から見える顔立ちと声が何処かの誰かに似ていると思いながらも、会うのが楽しみになっていった。

「あら……これは不倫じゃないの……嫌だわ。」

 私は例え、政略結婚してもコレは嫌な展開になってきたわと思いながらも、読み進めた。

しかしながらある日、新月の日に青年はもうすぐこの国から離れてしまうと言った。

「共に来ないか?」

そう告げられた王妃は身分を隠し、告げていたから彼にどう返事をするのを迷った。


選択肢が二つ。

王と共に生きるからと、別れを告げる。

茶の君と共に駆け落ちする。

王と共に生きる道はそのまま読み進めるらしく、茶の君と駆け落ちならば、黒いページがある後ろから読み始めるらしい。


私は、正々堂々としていたいし、それに挿絵の白雪を見つめる青い瞳が、愛しているあの人と重なって見えて思わず挿絵の上から撫でた。

「決まってる……よね」

そして、読み進めた。

驚いたのが茶の君だと思っていたのは青の王だったらしい。

帝王学や様々な事情で素直になれなくて、困っていたらしい。

実際はどっぷりとなんでも王妃の事は知り尽くす程に愛していた。

王妃が憂いていますとメイド長から伝えられ、間男として現れて王妃に嫌ってもらい、捕えられた後こっそりと王に戻り、慰めながら愛そうと思っていたらしい。

「それで……」

王妃を試した彼は、真実を告げて、それでも自身を誠実に選んでくれた王妃に謝り、改めて愛していると幸せに暮らしましたとさと。


「良かったわ……上手く行ったのね。」
「なに読んでいるんだ?シア」
「ひゃっ」

耳元で待ち望んでいた甘く低い声に、耳元で吐息混じりで掛けられて、驚いた私は本を投げ落とした。







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