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駆け巡る普天率土の章
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温かい彼の手を握った。
明日は文化祭がある日にちだ。
その代わり平日に振り替え休日がくるけれど、楽しみだ。
「当日向かいに行けばいいだろ?今日も一緒にいたいんだけど。」
「もう……それは何回も言っているでしょ?久しぶりにおじいちゃんの所に行くのだから、泊まると喜ぶし。また当日は帰ってくるのだから、一晩ぐらいでしょ?ユリウス。」
「……それでも寂しいだろ。君が側にいないのは。」
目の前で青い瞳は、ふさふさとした金色のまつ毛が伏せられせつない表情をしているユリウスに私はたった一晩離れるだけなのに、まるで長い期間離れる様な口ぶりだったから、少し微笑んでしょんぼりとした彼の口元に少し唇を近づけた。
かするように合わせたキスをして、離れようとしたが背中をギュッと彼の片手で抱かれ引き寄せられた。
思ったよりも深く入り、ウッと思った瞬間には彼の舌先が私の唇の上を舐めてきて、慣れた行為で自然と口が開き、彼の舌先が入り込み、やられたと考えているとすっかりと私は彼の掌の上で手玉に取られた。
ようやく離された時に既に私は涙目でぜえぜえと荒い息をして彼にもたれかかっていた。
そのまま、家の中に引き込まれそうになって、私はダメだと離れようとするとグルるるると彼の唸る様な竜声がしてきて、私は困惑した。
「ユリウス……少しだけなんだから。ね?」
「嫌だ……俺から君が離れると碌でもないという事は今まで……この前もわかっているから。」
「おじいちゃん家よ?安全だから、大丈夫よ。」
「でもな……仕方ないわかった。その代わり、振り替え休日の時は一緒に居てくれよ?」
「……それはそのつもりだったけど、気が早いわね。まだ先よ?」
「……良いだろ?」
「わかったわ、振り替え休日の時は一緒にいるから、これで良い?」
「なら、良い。」
途端に和かな微笑みを浮かべた彼を見ながら、離れて私は少し乱れた衣服を整えて馬車の内部へとはいる。
「いってくるわ、ちゃんとご飯は食べてよ?」
「食べるから……気をつけてな。」
扉を閉めて、彼に手を振り、進み出した。
久しぶりのユリウスが近くにいない日だ。
特にしたい事もないし、彼が危惧しているのもわかっているから、外には出ないけどね。
1人で寝るという事に寂しさはある。
けれど、熟睡できそうな事はわかっているし、明日は文化祭な事もあり、ちょうど良いだろう。
「それで、ユリウス殿との別れで遅くなったと。番は良いものだな……私も早く………欲しいものだ。」
「若いわねぇ、私もこの人と会った頃はそれは……」
「ごほん、それは内緒じゃ。」
ケタケタと私が来るのが遅れた理由を話していると、食事の場に着いている一同は笑って許してくれた。
「本来ならば、ここにおるのが正解なのだがな……」
「そうですよ、今からでもそうします?」
「えっ、それはユリウスが許さないと思うのです。天からユリウスが降ってきますよ?」
「それは嫌じゃなぁ、金竜と争うのはごめん被りたいものじゃて。街の名物になるのは嫌じゃ。」
「あら良いわね、名物金竜の開けた大穴パンとかふふっ。」
私は食事を食べながら、腕輪に時々来る大丈夫か?という簡易連絡の通知に大丈夫よと返しながら、祖父と祖母の話を聞きながら話して笑った。
「明日の文化祭に居るといいのだがな。もし居なければ、他国も軽く回ってみて居なかったら、まだその時ではないのかもしれんのか。」
手を組み、考え込んでいる銀髪の青年に私はそうねぇと相槌をうった。
彼はシルベスター。私の伯従父らしい。私が明日の学園祭の日に関係者の枠で一緒に行こうと思っている人だ。
「この前教えた本屋には行ったのかしら?」
「あぁ、それがそこで番の気配が一瞬していたのだが……中が迷路の様な本屋だったから、余り走ると店員に迷惑だと言われてしまってからは、歩きでしか見て回れないからその内見失ってしまった。見失ってからは、教えてもらった指南書を読んでいる。しかし女体の神秘には驚かせられる。」
「んふっ、それは余り大きい声で言わない方が良い話題ねっ」
私は少し頬に熱が上がり、あの本屋での出来事を思い出しながら、ふふと笑った。
少しあのユリウスの唸り声を思い出して、会いたくなったと少しホームシックにかられた。
目の前で唸りながらも、いやあの本は読むと恥ずかしさで読むのが難しいと頭を抱えるシルベスターに、ランドルフ爺ちゃんは見せてみなさいと言って付き合っており、私は微笑みながらその隣で少し舌舐めずりをしたばあちゃんを見てしまい、あぁと思いながらも、爺ちゃんがんばれと思う事しかできなかった。
「シア今頃は寝てるかな………」
ベッド中で毛布に包まれながらも、シアの居ない一夜は寂しく、静かだ。
夜は更けて、深夜になるぐらい。
今何してる?と送りたくなるけど、送り過ぎて少し前になにかあったら送るからと言われてしまった。
少し過保護になっていた様だ。
シアが着ていた夜着を拝借して顔を埋める。
すんすんと嗅ぐと、シアの匂いがして安心する。
少しずつ薄れてきてしまっているが、まだ匂いは少し残っている。
きゅるると思わず、求愛の竜声が先程でてしまったぐらい、依存していたのを自覚した。
「……でも止められるものじゃない。」
竜の番は重い。
病や老いなどの正当な理由じゃない死因で失えば狂う程。
「俺は何度もそれを乗り越えてきたから……怖いのか。」
この手からこぼれ落ちるのは簡単な事だ。
彼女は強いけれど弱い。
そして、彼女は至宝であり、皆が手にしたいと思うのも理解できる程に美しく、可愛らしい。
その価値は計り知れない。
古城にも入れる手段を持ち、つまり神器を操れる。
その血には初代王と乙女の血が流れる王族と等しく、濃いモノだ。
乙女と瓜二つの姿。
……魂は同じ本人だけどな。
だから、狙う者は多い。内外含めて。
番が俺で愛して合っている姿を見せてきただからこそ、狙う者は少なくなってきたが、まだ安心はできない。
「会いたいな……」
「ユリウス元気かしら……」
寝てるかなと少し不安はある。
元々、冒険者として短時間の睡眠でも満足できるみたいだけど、それでも無理してるかもしれないなと少し不安である。
もし寝ていたら連絡送るのも起こしてしまうのは嫌だから、送れない。
「会いたい……」
思考は微睡み、明日の文化祭が上手くいくといいなと考えていると意識はなくなった。
明日は文化祭がある日にちだ。
その代わり平日に振り替え休日がくるけれど、楽しみだ。
「当日向かいに行けばいいだろ?今日も一緒にいたいんだけど。」
「もう……それは何回も言っているでしょ?久しぶりにおじいちゃんの所に行くのだから、泊まると喜ぶし。また当日は帰ってくるのだから、一晩ぐらいでしょ?ユリウス。」
「……それでも寂しいだろ。君が側にいないのは。」
目の前で青い瞳は、ふさふさとした金色のまつ毛が伏せられせつない表情をしているユリウスに私はたった一晩離れるだけなのに、まるで長い期間離れる様な口ぶりだったから、少し微笑んでしょんぼりとした彼の口元に少し唇を近づけた。
かするように合わせたキスをして、離れようとしたが背中をギュッと彼の片手で抱かれ引き寄せられた。
思ったよりも深く入り、ウッと思った瞬間には彼の舌先が私の唇の上を舐めてきて、慣れた行為で自然と口が開き、彼の舌先が入り込み、やられたと考えているとすっかりと私は彼の掌の上で手玉に取られた。
ようやく離された時に既に私は涙目でぜえぜえと荒い息をして彼にもたれかかっていた。
そのまま、家の中に引き込まれそうになって、私はダメだと離れようとするとグルるるると彼の唸る様な竜声がしてきて、私は困惑した。
「ユリウス……少しだけなんだから。ね?」
「嫌だ……俺から君が離れると碌でもないという事は今まで……この前もわかっているから。」
「おじいちゃん家よ?安全だから、大丈夫よ。」
「でもな……仕方ないわかった。その代わり、振り替え休日の時は一緒に居てくれよ?」
「……それはそのつもりだったけど、気が早いわね。まだ先よ?」
「……良いだろ?」
「わかったわ、振り替え休日の時は一緒にいるから、これで良い?」
「なら、良い。」
途端に和かな微笑みを浮かべた彼を見ながら、離れて私は少し乱れた衣服を整えて馬車の内部へとはいる。
「いってくるわ、ちゃんとご飯は食べてよ?」
「食べるから……気をつけてな。」
扉を閉めて、彼に手を振り、進み出した。
久しぶりのユリウスが近くにいない日だ。
特にしたい事もないし、彼が危惧しているのもわかっているから、外には出ないけどね。
1人で寝るという事に寂しさはある。
けれど、熟睡できそうな事はわかっているし、明日は文化祭な事もあり、ちょうど良いだろう。
「それで、ユリウス殿との別れで遅くなったと。番は良いものだな……私も早く………欲しいものだ。」
「若いわねぇ、私もこの人と会った頃はそれは……」
「ごほん、それは内緒じゃ。」
ケタケタと私が来るのが遅れた理由を話していると、食事の場に着いている一同は笑って許してくれた。
「本来ならば、ここにおるのが正解なのだがな……」
「そうですよ、今からでもそうします?」
「えっ、それはユリウスが許さないと思うのです。天からユリウスが降ってきますよ?」
「それは嫌じゃなぁ、金竜と争うのはごめん被りたいものじゃて。街の名物になるのは嫌じゃ。」
「あら良いわね、名物金竜の開けた大穴パンとかふふっ。」
私は食事を食べながら、腕輪に時々来る大丈夫か?という簡易連絡の通知に大丈夫よと返しながら、祖父と祖母の話を聞きながら話して笑った。
「明日の文化祭に居るといいのだがな。もし居なければ、他国も軽く回ってみて居なかったら、まだその時ではないのかもしれんのか。」
手を組み、考え込んでいる銀髪の青年に私はそうねぇと相槌をうった。
彼はシルベスター。私の伯従父らしい。私が明日の学園祭の日に関係者の枠で一緒に行こうと思っている人だ。
「この前教えた本屋には行ったのかしら?」
「あぁ、それがそこで番の気配が一瞬していたのだが……中が迷路の様な本屋だったから、余り走ると店員に迷惑だと言われてしまってからは、歩きでしか見て回れないからその内見失ってしまった。見失ってからは、教えてもらった指南書を読んでいる。しかし女体の神秘には驚かせられる。」
「んふっ、それは余り大きい声で言わない方が良い話題ねっ」
私は少し頬に熱が上がり、あの本屋での出来事を思い出しながら、ふふと笑った。
少しあのユリウスの唸り声を思い出して、会いたくなったと少しホームシックにかられた。
目の前で唸りながらも、いやあの本は読むと恥ずかしさで読むのが難しいと頭を抱えるシルベスターに、ランドルフ爺ちゃんは見せてみなさいと言って付き合っており、私は微笑みながらその隣で少し舌舐めずりをしたばあちゃんを見てしまい、あぁと思いながらも、爺ちゃんがんばれと思う事しかできなかった。
「シア今頃は寝てるかな………」
ベッド中で毛布に包まれながらも、シアの居ない一夜は寂しく、静かだ。
夜は更けて、深夜になるぐらい。
今何してる?と送りたくなるけど、送り過ぎて少し前になにかあったら送るからと言われてしまった。
少し過保護になっていた様だ。
シアが着ていた夜着を拝借して顔を埋める。
すんすんと嗅ぐと、シアの匂いがして安心する。
少しずつ薄れてきてしまっているが、まだ匂いは少し残っている。
きゅるると思わず、求愛の竜声が先程でてしまったぐらい、依存していたのを自覚した。
「……でも止められるものじゃない。」
竜の番は重い。
病や老いなどの正当な理由じゃない死因で失えば狂う程。
「俺は何度もそれを乗り越えてきたから……怖いのか。」
この手からこぼれ落ちるのは簡単な事だ。
彼女は強いけれど弱い。
そして、彼女は至宝であり、皆が手にしたいと思うのも理解できる程に美しく、可愛らしい。
その価値は計り知れない。
古城にも入れる手段を持ち、つまり神器を操れる。
その血には初代王と乙女の血が流れる王族と等しく、濃いモノだ。
乙女と瓜二つの姿。
……魂は同じ本人だけどな。
だから、狙う者は多い。内外含めて。
番が俺で愛して合っている姿を見せてきただからこそ、狙う者は少なくなってきたが、まだ安心はできない。
「会いたいな……」
「ユリウス元気かしら……」
寝てるかなと少し不安はある。
元々、冒険者として短時間の睡眠でも満足できるみたいだけど、それでも無理してるかもしれないなと少し不安である。
もし寝ていたら連絡送るのも起こしてしまうのは嫌だから、送れない。
「会いたい……」
思考は微睡み、明日の文化祭が上手くいくといいなと考えていると意識はなくなった。
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