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薄氷上のダンス

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がやがやとしていた室内のざわめきと民族特有の異国の音色を聞きながら、私はにんまりと微笑んでいたユリウスの方へと身体をもたれ掛かる。

顔を近づけながら傾けて、唇を重ねた。

彼の唇を舐めて入れてくれと、お願いする様にひと舐めすると、閉じられていた唇が開いて、私はユリウスの胸元へ手を伸ばして触りながら、行為を楽しんだ。

いつもは彼がしてくれていた側だったので、久しぶりだと考えながらも、はっ……と唇を離して息を吸った。

「……満足したかしら?」
「あぁ、君からしてくれるのはそれはそれで良いな。」

酒場のランプの光を浴び、目の前の青い瞳は蠱惑的に輝いており、私は少しふふって笑いながら、ユリウスと見つめ合いながらユリウスの耳へと口を近づけた。

「民族音楽良かったわ。客層は様々だけど……その分面白いわね、後ね……」
「ん?どうした。」
「大好きよ、ユリウス。連れてきてくれてありがとうね。」

私は伝えたかった事を伝えられてスッキリした。

椅子に座ると、ガシッと手を取られて、へ?っと顔を向けると、ユリウスからしっとりとした視線を浴びて私は、少しずつ尻込みしたくなった。

……あれ、これはなにかまずいような気がする。

その時、がちゃりと音がなり、新しい珍しい一人の客が来て席に座った。
身なりはローブを深く着込んでおり、顔は見え難い。
身体つきは中肉中背の男性ぽい感じだ。
ウェイターさんが接客の為に近寄ったのを見て、私は見るのをやめた。

掌をカリカリと爪を立ててくるユリウスになによ?と視線を向けると、少し膨れっ面をしており、なにか気に障った様だ。

ユリウスが顔を近づけて、フードの隙間から顔を潜り込ませて私の首筋あたりを舐めてきて、恥ずかしい。
止めようとしたいけど、ダメだ。

ピクっと身体が揺れてしまい、ユリウスと繋いでいる手さえも揺れているのが彼に伝わり、秘匿し通すことができなかった。

ぴちゃり、ぴちゃっ

耳に音が聞こえて、私はじわじわと顔に熱が集まる。

耳の下まで這い上がってきた舌先は、耳の穴へと入ってきて、まるでそれが一種の生き物の様に動いており、足が震えた。

ビクッビクッと動いて耐えている私をわかっているのに、ユリウスは止めてくれずに、責めてきている。

「んっぁ、ふっ……」
「声漏れてるけど?気持ち良いのか?」
「だったらっ、ぁっ」

耳に小声で囁かれて、そんな事言うならやめてほしいと思ったが、それが顔に出ていたのか、それとも私の考えている事などお見通しなのか、耳を甘噛みされて、一際強くきた快楽の反動でひくっと私は震えた。

散々営みをしてきたのに、今も尚、きゅんきゅんと彼を迎い入れたいと強張る私の秘密の花園は蠢いている。

こぷっとなにかが溢れ出た感覚と共にジワリとスカートに吸収されたのか少し模様が変わり、青い紋様が深くなったのを見た。

「シアは俺だけを見て。浮気はダメだ。」
「……してないでしょ?」
「さっきも俺以外を見ただろ?」
「少しぐらいじゃない。」
「せっかく君から好きだって言ってくれたのに……つれないな」
「それはっ……ぁっ」

小声で会話をした後最後にダメだと言わんばかりに、はみはみと舐められながら吸われてビクビクと震えた。

だめだ
それをされると、気持ち良すぎて喘ぎ声が漏れそうになる。
ここはお店だからと思っているのに、目の前の他の女性がひざまついて男性の下腹部へと口を寄せているのを、見かけてしまった。

カリカリと手のひらに爪をたてられながらも、それが口淫しているのだとわかり私は目を見張った。

男性が女性の後頭部を勢いよく押し込み、出したのか口端から白濁を垂らしていたが店の床へと少し吐き捨てて、口についたモノを自らの服で拭っていた。

ユリウスの唇が離れたと思い、私はようやく許してくれたと安心して、目を閉じて一息ついた。

「シア……どこ見ていた?」
「食事よ?」
「……嘘はダメだぞ。」
「ほんとだって。」

私は目を開けて、ユリウスの方へチラッと見ると目を細めて私をじっと熱のこもった視線を向けていた。
民族楽器を弾く奏者に客が野次を飛ばすとそれを受けて、音色を変化して奏でており、それさえも面白いなと私はフッと微笑んだ。

「……だから言っているだろ!」

他の客の大声どなる声に顔を顰めて、少し向くと先程入ってきた一人の客に若い女性のウェイターが接客したらしく、腹の肥えた男性が絡んでいるらしい。

「……学識のない野蛮人が……」
「あ?てめーなんて」
「……全ては最後には……やがて闇に抱かれる」
「頭おかしいじゃねぇか!このイカれ野郎!」
「お前じきにわかるだろう……」
「気持ち悪いな、死ね!」

肥えた男はヒートアップして、手のひらを床を見つめてぼそぼそと言っていた男へと向けて魔法を唱えていた。

「ユリウス、あぶな」
「……離れるぞ」

私が声をかけようと振り向きユリウスの方へ向いたら、同じく考えていたのか立ち上がって手を引かれる。

女性の甲高い悲鳴が複数響き、炎が酒が溢れたのかテーブルを包み派手に燃え上がる。

「高い酒がっ!」


ぶんなぐり、相手も返しと言っている様に殴り返した。

やんやと囃し立てる様に他の男性客は囃し立て、垂れ幕の入り口からは他所からの客が大人数入ってきて、騒ぎを見ようと来ていた。

燃えた臭いと人の汗の臭いや、野次の声で店内は騒然としており、他の客はまだまだ狭い店内へと雪崩れ込んできている。

もう入り込んでこれないのに、まだまだ入ってきていて、私はユリウスの方へ身体を近づけようとすると、他の客がぶつかり、手が離れてしまった。

「……リウス!」
「シアッ」

手を伸ばしたが、出ていく人の流れと中に入ろうとする流れで逆らおうとするとぶつかってしまい痛い。

手を伸ばしたが、私を女性だと判断して、尻を触ろうしてきた人もいて、私は身を捩り避けながらしていたらユリウスを見失ってしまった。

流れに負けて、外へ出て待とうと判断して流れに身を任せた。






入り口の外で待っているが、未だユリウスとは合流できていない。

アレから煙臭い臭いもしてきて、出てくる客は多い。

「あんた、銀貨3枚で今晩どうだい?」
「……私?」
「高く見積もってやってやるんだ、ありがたいと思え。」
「私は連れがいるの、この騒ぎで離れているだけなので。」
「あぁ、俺じゃダメだって?この肉便器が!」

私の前で青白い肌の太った腹の男は、私の手首を掴もうとしたが、ふと目の前に褐色の肌の男性の手が伸びて、それを弾いてくれた。

「この牝肉は俺のだ、さっさと失せろ」
「ハッ!この糞がっ」

そう言って、男は唾を地面に吐き捨てて、去っていった。

「あの……助けてくれてありがとうございます。」
「別に良い、俺のせいだからな。ここは危ないこっちへ。」
「え、でも私っ」

グイグイと引っ張られてしまい、小道の方へと私は引きずられてしまった。

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