愛が重いなんて聞いてない

音羽 藍

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駆け巡る普天率土の章

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「それは、ダメなのです!」

がばっと少女は飛び起きた。

マリンブルーの髪色は採光窓から自然光が差し込み、不思議な色合いの髪はキラキラと光っていた。

コンコン

静かなノック音と共に開かれた静々と青色と銀髪の混ざった色合い髪色の少年が入って来た。

白と金で装飾された服は美しい。

「ゾーヤ様なにか叫んでましたが……《夢見》をされましたか?」
「タルシェン枢機卿、どうしてここに?」
「ゾーヤ様のそろそろお耳に入れたい話がありましてね……」
「……余り良い吉兆ではないのだけど、私も伝えたいわ。顔は見えなかったのだけど、伝説だった《暁の娘》が居たの。でも……近くに《闇の担い手》が居て……」

ガタガタと少女は震え出して、手をベッドに置きながら、深呼吸をしようとしていたが浅く吸い込むばかりでハッハッと呼吸は荒い。

「……それはゾーヤ様では無かったら夢物語だと言いますが、ゾーヤ様が言うのでしたら本当なのでしょう。なにか私達にうてる手はあるのでしょうか。」
「……あるわ。来たる日までに、増援を送り込むの。私自身が行きたいけれど……ダメでしょ?」
「それは幾ら私でも許可はできません。他の枢機卿達に末代まで小言を言われそうです。増援ですか。なら、儀礼兵では無く、裏の神魔兵を出しましょうか。期限と目的地を聞かせていただきたい。」
「目的地は……竜王国よ。」
「あの国ですか。あの国は逸話があり過ぎて、さすが神々のお膝元。しかし厄介ですね、大っぴらには派遣し難い。隠して派遣する事になりそうです。」
「タルシェンが言いたかった事は?」
「それはですね……最近かなり動きが竜王国の方であった様ですよ。楽曲の編成など多岐にわたり更新されてきています。」
「えぇ、それは私も確認したわ。今年の曲は間に合わないから去年と同じらしいけれど、来年度からは……どう変わるか。」

他の国とは違い少し豊かに実る彼の国の古くから伝わる祭典に通う信者も多い。

古い伝説が幾つも今にも伝わる彼の国。

創世神と女神が降り立ち、その外部の人には教えては居ない密かに口伝される伝説ではその二柱の娘と言われている《暁の乙女》が住み、金竜の竜人族の男性共に暮らして子孫を残したとされている。

「少し道は変わったの、少しは。だからこそ、私はもっとより良い方へ手を打つから……きっとそこに道があるはず。」
「それに……今年は代替わりの為の継ぎの王太子が兼任するそうですが、来年は出ると聞いていますよ。」
「あの……今代の金竜でしょ?」
「えぇ、金竜は数名いるのは確認していますが、今代の特にあの方は……それにその番が既にいると聞いておりますよ。」
「銀の乙女ね……」
「そうなんですよ、金と銀。揃うのはまれでありますが、その両名の見た目はまるで……初代の御姿に瓜二つだと聞いております。」

金竜であり、初代に似ていて、前竜王の長男の唯一の子孫である事、冒険者(表立っては動いては居ないが知る人は知っている)として人民からの人気も高い。

その事からも、貴族からの後押しもあり、現王太子よりも、人気だった。
そして……今その番は現存数が少ない絶滅危惧される銀竜の一族なのだから、更に人気は竜に翼を得たる如し。
だからか、彼は王にはならないと公言している。
王太子の地盤固めにも協力していたらしく、王太子との仲も良好と聞いている。


その二人の姿を見ていると、浄化されるだとか、二人の仲は火の精霊の様に熱々ぶりを聞くとも噂を聞いている。

「今思えば……《暁の乙女》は真実なのでしょうね。」

タルシェン枢機卿はゆっくりと窓の外を眺めながら、目を細めた。

「……私にできる事は限られているの。最前手を。」

少女に枢機卿は微笑み、礼をした。

「ええ、ゾーヤ女教皇。」











「シア、ごめんって。」
「……アレとって。」

私はユリウスに散々喘がされまくった事で、ベッドは散々な見せられない程汚れており、魔法で少し浄化した程だった。

やめてと言ったのに、止めてくれなかったので、少し怒っている。


今は楽しみの酒場に着いて席に座っているけど、料理が来るまで、ここの民族特有の楽器の音色を楽しんでいる為に少し気分は楽しい。

「ユリウス、少し前に約束したでしょ?止めてって言ったら止めてよ。」
「シア、それはすまなかった。可愛い君をもっと見たく聞きたくて止まらなかった。」

右手を優しく握る彼の手を見ながら、ラバーブやウードの音色に耳を傾ける。

一つ一つの指を絡めてきて、そのせいかツーと奥からなにか垂れてくる感覚に一瞬焦りながらも少し顔に熱が上がる。

「……今度からは気をつけてね。」
「許してくれる?」
「ユリウス許すわ……」
「良かった……」

チュッと私の手を取り、薬指の辺りにキスをしてきて、吸われた事で私は軽く睨む。

ユリウス、反省してるのかしら?

少しにやけた彼の顔を見ながら、またやりそうな感じなので、次したら何処ぞの伝説の様に雲隠れして、隠れていようかしら。

「はーい、おまちどう!」

見た目は鮮やかで美味しそうな衣を纏った料理を見て、私は目を見開いた。

舞台の中心では、かなり際どい格好をした女性は舞を踊りセクシーなポーズをすると、胸や腰にお金を客の男性達は入れながら揉んだり触っている。

長い事触ると軽くビシッと払われているそうだが、その男性の隣には女性達がいるのだが、彼女達は何も言わない。
その代わりに、かなりセクシーな動き……を時折テーブル下へと身をかがめて時折男性の下に潜り込んでいるのだがなにをしているかはわからない。

余り凝視すると、またユリウスに嫉妬されそうなので出来ない。

さすが男尊女卑の文化圏だからか、女性が一人や複数人で来店しているのは見えない。

似た様な格好をした女性は同伴している男性へと熱っぽい視線をして熱々だったり、キスをしているのでなにもして……ないたぶん私達は旅行客なのは見てわかるだろう。

酒場だからか、若年層はいない。

ウェイターの女性と男性が少し若いくらいかなとわかるぐらいだ。

鬼の様な尖った立派な角を持ち、薄い青い肌の大柄な男性は肥えた腹に汗をかきながら酒をぐびぐびと半ば溢しながら、文字通り浴びる様に飲んでいる。

彼が曲が終わり、袖奥に去っていった踊り子が居ないのを残念に思ったのか、ウェイターの女性に無理難題を言いながら、触ろうとして他の店員に止められていたりしている。

「他に女はいねぇのか?ほら、そこの甲斐しょうのない男より俺様を選べ。」

隣の席のカップル?だろう初々しい二人組へと突っ掛かり、初々しい二人は口元をへの字にして不快感を出している。

私は料理を食べながら、奏者が見た事の無い横笛を取り出して、それもこの国特有の楽器かと喜んだ。

ローブのフードが外れてないかチェックしながらも、私は食事を楽しんでいた。

するりと太ももを撫でられた事で、ユリウスへ横目で何?と見ると、自らの頬を指しており、私はどうしたのだ?と考えていたが、彼の表情は揶揄うような表情をしていた事からふと彼が言った事を思い出した。

確か……私からキスをするって内容だったけ。

周りの熱々な雰囲気もあり、そういう文化圏なのだから、郷に入ったら郷に合わせなくてはと考え私は、溢れてくる体液の感覚に眉を顰めながらも、カラトリーを置いて彼に近づいた。
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