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薄氷上のダンス

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「それで古代の遺跡群の中にある《力の泉》と呼ばれている大精霊が住まうとされていた場所に妹さんを護衛しながら進むと。しかも女性のみね。」
「はい、この条件があり、私自身はできませんでした。無理矢理しようとした事もありましたが、遺跡群の中で迷ってしまい、挑戦した昔はできませんでした。今は長年帰ってないので……どうなっているのかは不明ですが、かなり人の出入りが頻繁にあり、不審がっている妹のシャルロッテから手紙で催促が来まして……女性で尚且つ縁があるキャロル様にお願いしました。大精霊様からもシャルロッテ宛にあの人連れて早く来てと、少し前に名指しで指名されてまして……私からはお願いするしかなく、申し訳ございません。」

今はガゼボで昼休憩中にその事を聞いていた。

ユリウスがイラついているのは横目で見えており、ローブがシワになるから太ももの上の服を握るのはやめてほしいけれど、気持ちはわかる。

「嫌だな……女性だけだと、言っておくがシアは攻撃系統は得意ではないとこの前のオリエンテーリングでわかっただろ?なぜだ。」
「それは私の妹が得意ですので。しかしながら、勝ち気な子で……浄化や癒しなどの方向はほんとうに向かないのです。」
「だから、力の泉ね。最近出入りがあるとの事だったけど、泉は今は誰か見張っているの?」
「いえ、かなり森の奥まった位置にある為に、私達は永続してそこに留まる事はできません。奇しくも今は刈り入れ時で、小さな子供の手も借りるぐらい忙しい時期なので。民に無駄な時間を待たせる事はできません。しかし定期的に観測する為に人を派遣してますが……最近の3人は戻りませんでした。この事から私達は異常だとわかりまして、兵を送るのも考えましたが、しきたりの事が民の間でかなり問題になり、女性兵士は数が少ないというかほぼ居ないので結果的に大精霊様からも音信不通で、どうしようかと言う所です。」
「シアを一人で、そんな危ない所へ行かせられない。」
「そうね、心配があるわ。」

サブクエの時は酒場で女性冒険者を雇ったり、かなり親交のある一定以上のパートナーだと許されていた。

「ユリウスぐらい良いと思うのだけど……良いかしら?しきたりってその村の人の間でしょ?」
「そうですね……確か絵本にも共にある人なら大丈夫だと描かれてました。だから私自身も行けるかと踏んで行きましたが、失敗した後両親に聞いたらそれは番の様に将来を見据えた付き合いの事を指していたのではと教えられていたので。」
「3人か……」

他に同行者が居ないのは厳しいなと考えた。

複数人と親交のある……
今の状況で増やすそれって浮気……


そろりと太ももを撫でられて、私はふとユリウスの方へ視線を向けるとゾクッとする様な色気のある笑みを向けられて、私は何のことかなとあははと乾いた笑みを浮かべた。

一瞬考えた私を咎める様に、彼の指がチクチクとつねってきて、痛がゆい。

なんでわかるのかな。

顔に出てたかなと思いながら、するはずがないのにとぺしぺしと彼の手を払おうとするとガシッと手を掴まれて、握られてしまった。

「冒険者を雇いましょう、それなら女性冒険者いるでしょうし。」
「……確かにいるが。この式典の時期はかなり難しいと思う。今から探すとなると、相当だな。」
「あ、そっか建国祭とか被るからか。」

ゲームの時とは違い、人々の生活があり、いつでも酒場にいるという状況がない。

「ものは試しでね。」

私はユリウスの方へ向いて言うと、ユリウスは、少しムスッとした表情を浮かべており、嫌そうだ。

「わかった。そこまで言うなら俺が酒場で聞いてくるから、シアは来るなよ。シアが来たら絡まれるからな。」
「そこまで?」
「あのな……鏡を見ろよ。俺でさえ、半絡みされてんのに。可愛いシアが来たらな……」

ぶつぶついまだ続くお小言を彼に説教されてしまい、私は苦笑いしながら話を聞いたのだった。

「でも、その遺跡群ってどうやって、番かどうか判断しているのかしら?見た目じゃわからないじゃない?」
「それはですね……」

少し顔を赤らめて、うじうじと下を向くエーリヒ君が珍しく私はなんだ?と考えながらどうしたのだろうと首を傾げた。

「営みをしているかどうかか。体内にある自身以外の体液などを解析されているのかもしれんな。」
「んなっ!」
「それは……無理ね。」
「シア?まさか……」
「ち、違うからッ!」

目の前で、意外と初心なエーリヒ君を眺めていたら、ポツリと言った私の言葉尻を取り、ユリウスがジリジリと責めてきていた。

「……シア今日は楽しみにしててくれよ?」
「本当に違うってっ」

ユリウスがニヤリと笑い、手の薬指に艶かしく舌を這わせて吸い上げてきた。

私は目の前に同級生もいるのにと思うとカッと顔が熱くなっていく。


「ちょっとっ、やめっ」
「……私は帰っても良いですか?独り者には辛いのですが。」
「そうよ、ユリウス恥ずかしいからっ」

離してと手を引き抜こうとしたががっしりとした彼の手に包まれている私の手は振り解けず、逆に引き寄せられてしまい、彼の逞しい胸元へと顔面からダイブしてしまう。

ぶつかると慌てた所で彼に抱っこされて、は?と驚いた瞬間、座っていたガゼボの長椅子から彼の上へと移動され、呆気に囚われている内に彼がエーリヒ君に別れを告げていて、遠い目をしたエーリヒ君は私にお疲れ様ですと言って去って行った。

「シアそういえば明日からは文化祭の準備で午後授業が準備期間になるんだ。展示物系の生徒は早帰りしてもいいし、自由なんだけど……明日早帰りになったらシアが選んでくれ。一つ目、俺が選んだコーデで外を散歩する。二つ目、俺が選んだ場所で愛を育むか。三つ目……俺が終わりと言うまで拒否権無く愛されるか。どれが良い?選ばないのはダメだ。悪い子には罰が必要だからな。もちろん、全部したいのならそれも良いから。」
「それは……」

腰をズリズリと当てられて布越しのお尻の下に密着している事に、恥ずかしいと思いながらも、私は悩んだ。






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