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逃れられない刺客
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あれから数日経った。
古城ではかなり進展していて、古い祭典で必要な楽譜を更新できたりしてかなり学会では論議で賑わっているらしい。
学会には学園OBの司祭や助祭なども参列し日夜議論しているらしいと教授から聞いた。
私はロッカーから必要な教科書を取り出して席に戻る。
がやがやとした教室の中、今はユリウスがトイレで隣にはいない。
ノートに昨日のまとめを眺め、今日の予習を軽く教科書を見ていると、少し同じクラスの女子生徒がなにかこそこそと私を見ているのを感じながら、次の教科書間違えたかなと表紙を確認して間違っていないよなと思いながらも私は勉強を続けた。
こそこそと話す内容が薄らと聞こえた。
「知ってます?選択科目の……」
「見ました、私は選択科目が魔具細工師科なので同じ教室でしたの。でも、あれは度を越してますわ。ベタベタと触って……」
「しかも他の生徒にもでしょ?」
「嫌だわ……でもキャロル様は知らないのかしら?」
「アウラー様が止められていらっしゃるでは?同じ科目の騎士爵の子息の方が止められていますから、実害は無いのですし。余り大事にすると……下手したら学園の一部が吹き飛びますわ。修復の呪文があるにしても限度がありますし。危険ですもの。」
「そうよ、あの例のアバ……ごほっあのなんでしたっけ。そうそう……」
「あー、あの破廉恥な娘よね?名前なんでしたっけ……ナーさんですよね?」
「……なの……庶民にはありふれた苗字だから……」
だんだんと席の方へ移動してしまって声が遠ざかり聞こえなくなってしまった。
私は肝心の名前が聞こえなくてもやもやしているが、ユリウスが話さないという事に私は少し悩んだ。
最近、しない夜もあるので話して寝る事もあるが一向にそういう真剣な話題はない。
たわいもない話題や私の事を聞かれたりするし、私もユリウスに聞いてはいるが頼りになる生徒はいると言っていたので、彼がその人かなと予測はできるけど……
余りユリウスは秘密主義な所はあるので、少し心配ではある。
ストレス溜まって無ければ良いのだけど。
今度の祝日にどこか遠出して散策に誘ってみようかな。
王都近くのウィルメス湖特別保護地区に行ってみたい。
ウィルメス湖畔にあるかなり歴史のある水辺から少し距離があるらし古びた喫茶店が人気だと聞いている。
窓から数千羽の渡り鳥の群れが観れるらしい。
距離も然程遠くないから日帰りで行ける距離だ。
フッと耳に息をかけられて、ビクッと私は身体を揺らして、顔を上げてかけられた隣を見るとユリウスが頬杖をつき、私をみていた。
「どうした?教科書見てニコニコしてるけど、なんか面白い事発見した?」
「ううん、ちょっとそれて考えてて。」
いつのまにかトイレから戻ってきていて、私は慌てながらも優しそうに微笑むユリウスの手を握り、誘おうと口を開いた。
「あのね……今度の」
「それではそろそろ授業始めます」
「あ、また後でっ」
残念だと彼の表情が少し疑問の表情していたが、教壇の方から先生の声が聞こえているので私は話を終わりながらもそういえば……夜に聞いてみようかなと思いながらもペンを手に取った。
授業が終わり、昼休みの時間になり、教室からぞろぞろとロッカーへ荷物をしまったり出しているせいか混雑している。
私達は教室で待ちながら、ユリウスが私の方を向いて話しかけてきた。
「さっき言いかけていたのはなんだ?気になっていたんだが。」
ざわざわとした教室内は人の足音や騒ぐ声に少し聞きにくく、私は悩んで後にする事にした。
「後ででいい?そろそろ空いて来たから。」
「……あぁ良いが。」
私達はロッカーから荷物を整理して整えた後、今日のランチはどこにするか悩んだ。
「少し歩くけど美味しいって教えて貰ったからそこでも良いか?」
ユリウスは私の方を向き、微笑んだ。
私は楽しみだと思いながら、ユリウスの手を取り、歩い始めた。
大通りではなく、細道をぐんぐんとユリウスは先導するので不安になりながらも聞いた。
「迷わない?こっち余り私来た事なくて。」
「リーンハルトと……あ、この前言っていた騎士爵の友人だ。リーンハルトと鍛錬する為に色々探索した事があって……だから近道を見つけた。」
木の枝がトンネルの様になっていて、木漏れ日に私は視線を上に向けた。
「ここ綺麗ね……そういえば彼はなんで魔道細工科にしたのかしら?」
「あぁ、あいつは本当に強いから……俺でも負けるからな。敵にしたく無い奴だ。剣を時々破壊するから強化目的でそれにしたって聞いた。」
ユリウスの方を向くとまだまだほとんど勝てないと言った彼の表情は晴れやかで正々としており、悔しさは見せていない。
私は手を握りながら、歩きながらユリウスが私をチラリと見て、青い瞳を少し向けて目線を前に戻した。
「シアそれでさっき言っていたのは?なんだったんだ?気になっててさ。」
「あっ、そうだ。今度の休みに、行きたい場所があって。今ちょうど季節だし、ウィルメス湖畔に行こうと思ってて、ユリウスも一緒に見たでしょ?新旧載ってる竜王国名所案内に載っていた所。」
「あっあそこか、良いかもな。行こうか。仕事も休みだから俺も行ける。来週は少し忙しくなるかもしれないが。」
「え?どうしたの?」
私は少し不安になってユリウスの真面目な表情をした彼を見たが、首を振り大丈夫だとしか言わなかった。
「気にしないでくれ、来週は選択科目の関係で少し調達に遠出しようとリーンハルトと話していたからな。」
「そうなのね、なら良かった。」
私は鳥の囀さえずりと風の音が響く小道を歩きながら、ユリウスに引かれるまま別れ道を進み歩いた。
「あのさ、選択科目どう?楽しい?なにか……」
「楽しいよ。リーンハルトと一緒に考えたり、同じ班の生徒と試したりして失敗して落ち込んだりする事もあるが。」
彼は私がトラブルの事を聞こうとしたが、遮ってまで止めてられてしまい、聞けなかった。
さわさわと風が首を通り過ぎて駆け抜けていき、そういえば彼に首を見せろ言われて編み込んでいる髪型を纏めていると、私と会話していて、チラチラと少し顔を赤くする生徒もいたなと数日前恥ずかしかったと私はあの時を思い出したりした。
「色々あるが、新しい事を学ぶのは楽しいから。」
彼をふと横目に見ると真面目な表情で感情が読み取れなかったけど、私は少しもやもやしたままこの話は終了する事にした。
彼に無理矢理聞いても、なにか私が知っていると気取られて、逆に責められてしまうかもしれない。
彼は私が知った経緯を教えてとなり、他の生徒達に迷惑をかけたくないし、チラリとユリウスの首にかけられた婚約者の証である首飾りを見ながら私はユリウスが好きなのは私であるのはわかっているし、少しモヤモヤはするがユリウスを思い諦めた。
古城ではかなり進展していて、古い祭典で必要な楽譜を更新できたりしてかなり学会では論議で賑わっているらしい。
学会には学園OBの司祭や助祭なども参列し日夜議論しているらしいと教授から聞いた。
私はロッカーから必要な教科書を取り出して席に戻る。
がやがやとした教室の中、今はユリウスがトイレで隣にはいない。
ノートに昨日のまとめを眺め、今日の予習を軽く教科書を見ていると、少し同じクラスの女子生徒がなにかこそこそと私を見ているのを感じながら、次の教科書間違えたかなと表紙を確認して間違っていないよなと思いながらも私は勉強を続けた。
こそこそと話す内容が薄らと聞こえた。
「知ってます?選択科目の……」
「見ました、私は選択科目が魔具細工師科なので同じ教室でしたの。でも、あれは度を越してますわ。ベタベタと触って……」
「しかも他の生徒にもでしょ?」
「嫌だわ……でもキャロル様は知らないのかしら?」
「アウラー様が止められていらっしゃるでは?同じ科目の騎士爵の子息の方が止められていますから、実害は無いのですし。余り大事にすると……下手したら学園の一部が吹き飛びますわ。修復の呪文があるにしても限度がありますし。危険ですもの。」
「そうよ、あの例のアバ……ごほっあのなんでしたっけ。そうそう……」
「あー、あの破廉恥な娘よね?名前なんでしたっけ……ナーさんですよね?」
「……なの……庶民にはありふれた苗字だから……」
だんだんと席の方へ移動してしまって声が遠ざかり聞こえなくなってしまった。
私は肝心の名前が聞こえなくてもやもやしているが、ユリウスが話さないという事に私は少し悩んだ。
最近、しない夜もあるので話して寝る事もあるが一向にそういう真剣な話題はない。
たわいもない話題や私の事を聞かれたりするし、私もユリウスに聞いてはいるが頼りになる生徒はいると言っていたので、彼がその人かなと予測はできるけど……
余りユリウスは秘密主義な所はあるので、少し心配ではある。
ストレス溜まって無ければ良いのだけど。
今度の祝日にどこか遠出して散策に誘ってみようかな。
王都近くのウィルメス湖特別保護地区に行ってみたい。
ウィルメス湖畔にあるかなり歴史のある水辺から少し距離があるらし古びた喫茶店が人気だと聞いている。
窓から数千羽の渡り鳥の群れが観れるらしい。
距離も然程遠くないから日帰りで行ける距離だ。
フッと耳に息をかけられて、ビクッと私は身体を揺らして、顔を上げてかけられた隣を見るとユリウスが頬杖をつき、私をみていた。
「どうした?教科書見てニコニコしてるけど、なんか面白い事発見した?」
「ううん、ちょっとそれて考えてて。」
いつのまにかトイレから戻ってきていて、私は慌てながらも優しそうに微笑むユリウスの手を握り、誘おうと口を開いた。
「あのね……今度の」
「それではそろそろ授業始めます」
「あ、また後でっ」
残念だと彼の表情が少し疑問の表情していたが、教壇の方から先生の声が聞こえているので私は話を終わりながらもそういえば……夜に聞いてみようかなと思いながらもペンを手に取った。
授業が終わり、昼休みの時間になり、教室からぞろぞろとロッカーへ荷物をしまったり出しているせいか混雑している。
私達は教室で待ちながら、ユリウスが私の方を向いて話しかけてきた。
「さっき言いかけていたのはなんだ?気になっていたんだが。」
ざわざわとした教室内は人の足音や騒ぐ声に少し聞きにくく、私は悩んで後にする事にした。
「後ででいい?そろそろ空いて来たから。」
「……あぁ良いが。」
私達はロッカーから荷物を整理して整えた後、今日のランチはどこにするか悩んだ。
「少し歩くけど美味しいって教えて貰ったからそこでも良いか?」
ユリウスは私の方を向き、微笑んだ。
私は楽しみだと思いながら、ユリウスの手を取り、歩い始めた。
大通りではなく、細道をぐんぐんとユリウスは先導するので不安になりながらも聞いた。
「迷わない?こっち余り私来た事なくて。」
「リーンハルトと……あ、この前言っていた騎士爵の友人だ。リーンハルトと鍛錬する為に色々探索した事があって……だから近道を見つけた。」
木の枝がトンネルの様になっていて、木漏れ日に私は視線を上に向けた。
「ここ綺麗ね……そういえば彼はなんで魔道細工科にしたのかしら?」
「あぁ、あいつは本当に強いから……俺でも負けるからな。敵にしたく無い奴だ。剣を時々破壊するから強化目的でそれにしたって聞いた。」
ユリウスの方を向くとまだまだほとんど勝てないと言った彼の表情は晴れやかで正々としており、悔しさは見せていない。
私は手を握りながら、歩きながらユリウスが私をチラリと見て、青い瞳を少し向けて目線を前に戻した。
「シアそれでさっき言っていたのは?なんだったんだ?気になっててさ。」
「あっ、そうだ。今度の休みに、行きたい場所があって。今ちょうど季節だし、ウィルメス湖畔に行こうと思ってて、ユリウスも一緒に見たでしょ?新旧載ってる竜王国名所案内に載っていた所。」
「あっあそこか、良いかもな。行こうか。仕事も休みだから俺も行ける。来週は少し忙しくなるかもしれないが。」
「え?どうしたの?」
私は少し不安になってユリウスの真面目な表情をした彼を見たが、首を振り大丈夫だとしか言わなかった。
「気にしないでくれ、来週は選択科目の関係で少し調達に遠出しようとリーンハルトと話していたからな。」
「そうなのね、なら良かった。」
私は鳥の囀さえずりと風の音が響く小道を歩きながら、ユリウスに引かれるまま別れ道を進み歩いた。
「あのさ、選択科目どう?楽しい?なにか……」
「楽しいよ。リーンハルトと一緒に考えたり、同じ班の生徒と試したりして失敗して落ち込んだりする事もあるが。」
彼は私がトラブルの事を聞こうとしたが、遮ってまで止めてられてしまい、聞けなかった。
さわさわと風が首を通り過ぎて駆け抜けていき、そういえば彼に首を見せろ言われて編み込んでいる髪型を纏めていると、私と会話していて、チラチラと少し顔を赤くする生徒もいたなと数日前恥ずかしかったと私はあの時を思い出したりした。
「色々あるが、新しい事を学ぶのは楽しいから。」
彼をふと横目に見ると真面目な表情で感情が読み取れなかったけど、私は少しもやもやしたままこの話は終了する事にした。
彼に無理矢理聞いても、なにか私が知っていると気取られて、逆に責められてしまうかもしれない。
彼は私が知った経緯を教えてとなり、他の生徒達に迷惑をかけたくないし、チラリとユリウスの首にかけられた婚約者の証である首飾りを見ながら私はユリウスが好きなのは私であるのはわかっているし、少しモヤモヤはするがユリウスを思い諦めた。
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