愛が重いなんて聞いてない

音羽 藍

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新たな草木が靡く風の章

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「それは……すまない。遅れてしまって。」

ユリウスも帰りたくても帰れなかったと無念そうな呻いている声がして、違うユリウスを苦しめたくて言ったのではない。

少し虚無感と彼に抱きしめたいとうずうずする心は相反して引き裂かれそうだ。

ゆらりと彼のランプの影は揺れていて、私はユリウスに問いかけ答えを聞くまではちゃんとここに居なければ。
ここから逃げ出して空に駆けて行きたい気持ちが奥底に眠る。
それは一歩間違えたら剣山の様な恐ろしさがある。

「会いたかった……仕事なのはわかっているわ。約束したから……ずっと待っていたわ。」
「俺もっ……会いたかったッ」
「でも少し後悔したのは……教えるわ。……そう思ってしまった悪い私もいるから。」
「え?」
「ユリウスなんで貴方から女の匂いがするの?」

ばたんと急いだ様な慌ただしい様にテーブルに剣帯を下ろして、来ていた服を荒々しく脱ぎ捨てている。

そして服の一つ一つを探す様にして、その服の中からソレを取り出した。

「……これか」

雪の降る朝の様な冷えのある低い声が聞こえた。
少しベッドの下から覗くと、なにかの破片であり、それをユリウスは手の上で魔力が放たれて轟々と燃え上がり消えて行った。

「私いらない?……いらないなら別れて。他の人が貴方の隣にいるのはつらいの。ここにいる必要もなくなる。」

私は足元がグラグラとまるで砂の城だった様な無念さと危なさを抱いた。
ぼたっと溢れていく涙は止まらなくて、自分の言葉が止められない。
まるで滝のように流れ落ちていく。
……それがユリウスを傷つけてしまうとしても。
 
「ちがう!……すまない、怒ってしまって。邪魔が入ったと送ったのだが、その時に物陰から当たって来たあのあばずれ。あのくそども元老院のとある1人の孫娘らしくて、俺が早く帰ろうと気がソワソワしているのが出ていたのか……俺とシアは番だというのに、今晩一緒にと言われて勿論速攻断ったし、王城内だったから下手に暴れると責任をとれと言質をとられるから警備していた騎士に任せてその場はようやく去ったけど、その時に香りは映ったのかもしれないし、それにシアの事を考えててソワソワしていたのもあって、コレはぶつかった時に忍ばされた物の様だ。忌々しい。俺が不覚をとった、申し訳ない。」
「……そうだったのね。」
「それに俺は…… 番だからあり得ないだろ?だからおいで……シア。」
「うん、確かに。とりあえず……服を持ってお風呂に入ってきて。その内に少しは冷静になるから。」
「う、うん、ごめんな。」

せつなさを含んだ様な声がして申し訳ないけど、自分には時間が必要だ。
確かに……契りを交わした番は他人とは行為をしないって今頃思い出した。

良かった……

ユリウスが風呂に入っている間に部屋の端に移動した。
他人の匂いがする身体に抱かれてえっちはしたくない。
まるで浮気されてるみたいで、屈辱的だ。

私の身体を客観的にみると、まるでいもむしのようだなと自嘲した。

「竜化したいなぁ」

あの空を飛べたらどんなに美しく楽しそうだなとただぼんやりとした思考の中、ふと考えてしまう。

がたんがたんと急いで洗い終わったまだ湯気の上がるユリウスは部屋にもどってきて、洗剤の良い匂いと、ユリウス自身の匂いが強く鼻に入りむせる様だ。

そう、番だもの。

興味はないに等しいはずだ。
例え…すごく美しい姫でも。

少し希望が見えてきた気がした。

今直ぐ、抱きしめたいと思う端ない自分がいる。

ハッとして、蕩けた目をぱちぱちと頬をローブの上から叩いて他の女の匂いのなくなったので私はふぅと息を吐いた。

「シアどうして、その巻いているのか?」
「あのね…少し姿が収まらなくて、変になってるけど気にしないで。それと、夜になってから……とても私がおかしくて……ごめんなさい。」

はらり。

私は覆っていたローブを落とした。

「私が私でない様な考えが止まらないの。」

ざわりとまるで鳥肌が立つ様な魔力がユリウスから漏れてる。

へ?

それ思った瞬間、ハッとすると近くまで近寄ってきた彼がガシッと身体を抱っこされ、ずんずんと寝室のベッドではない、リビングの方に連れて行かれる。

「しないの?」
「する。シアが嫌がっても絶対する。」
「え、なんでこっち。」
「シアが悪いんだ、俺の前から去るなんて言うから。」
「うん?浮気は誤解だったってわかったでしょ?」
「でも俺がもしなにか……絶対に天から槍が降って来ようともしないくらい、いやそれ以上にありえないけど、その可能性があったと思ったから俺から離れようとしたよね?」
「え?」
「俺だけのシア。ずっと一緒にいよう。俺は君さえいればいい。そうすればなにも問題はない。これからはずっと……ずっとずっと、俺にしかわからない場所に隠れていて。誰にもどこにも行かせないしシアがどこにも行かせないから……」

がしりと支えられたいる手はかすかに震えていて、ユリウスの昏い瞳は私を眺めた後前を向いてぼそりと俺だけが居れば良いよねと言っていて元からそうなんだけど。


どこへいくんだ。

ずんずんと下の階へ続く階段を降りて行く。

ユリウスのなにかいけないスイッチを押してしまったようだ。

とりあえず、私はどうするかユリウスの胸に顔を寄せて息をするだけで入ってくる匂いにぐらぐらと視界は揺れる。

ぼんやりとした視界の中、運ばれている事だけがわかる。


その間にもちょうど寝室の下方角かなと思ったけど、更に地下へ続く扉をユリウスは開けた。

ここにこんな扉あったんだと思いながらも、やけになんか宝物庫並みの防御力だなとおもっていると、ユリウスの手を置き、魔法扉は開いた。

ガチャリと厚い扉を抜けて、その後音を立てて
ガチャリと扉が閉まる。彼はかちゃかちゃと片手で操作しており、簡単にみただけだと意味不明だ。


なにかの扉やいろいな扉のある廊下を奥へ更に進むと、かなり値が張ると言われているグラウンドシープの魔羊毛からごく僅かに取れる最高一級品天毛のベッド。

「うそでしょ、これすっごい高い奴。」
「俺の古い友人に頼み….俺にツケていたツケの支払いを引き換えに紹介してもらった。天毛はどんな汚れがついても汚れない究極の品で欲しいと思っていたんだ。」

うーん?
でもなんでここへ?

そういえば、地下。
なんか異様にユリウスが喜んでいるような。


かちゃりと考えていたらいつのまにかベッド上で彼がなにかを私に着けた。

私の首につけている首輪をスルッと触り、ユリウスは魔力を込めている。

なんでそんな事を?

「なにをしているの?」
「首輪。これでもう俺から逃げれない。俺は前から……ずっと前……から一筋だから浮気はしないよ。俺を疑うなんてさ、あり得ないのに。でもずっと一緒にいれば分かり合えるよな。ずっと一緒にいようか。」

あたりを見渡すと思い出のある品々が。
ちゃりと首輪から鎖が伸びていて、ベッドのフレームのリングにくっつけられている。

「俺のこここんなに張り詰めてる。そんな色っぽい……素敵な格好を着てくれたんだから期待しても良いよね?」
「うん、元々そのつもりだったし。」

え?首輪?

「この首輪しているシアを見ると俺だけのって感じがして良い。」

下を向けば、ユリウスのペニスはユリウス自身の腹にくっつく程天をむき、脈打っている。
先っぽからは無色透明な汁が溢れ落ち流れていた。

ユリウスから香る番の匂いも一段と壮絶にしててもう私は溺れている様なきさえする。
ユリウスの顔を方へ向けると、舌舐めずりして、私を見ながら私の頭を優しく撫でてくれて、その表情は優しいけど、どこか焦っている様な気がした。

「俺が買ったこの服きてくれて嬉しいよ、すごく似合ってる。」

手を握られてちゅっと軽く口先を私達は合わせながらキスしてもっとしたいと望んで私は近寄り唇を追った。

ユリウスが赤くなりながら反応を返してくれて私は内心はこの状況に動揺していたが、すっかり彼と離れたくない。

ようやく離れた唇は互いの唾液で汚れ艶々としている。
荒い息を吐いて、私はぼーっと彼を見た。

まるで余裕があった様に見えていたけれど、私としたいと訴えかける様に伝えてくれているこの表情だけは…….

私だけのユリウスだ。

「……好きよユリウス」

私は目を見て言うのが恥ずかしいから、そっぽを向いていった。

早く戻ると良いのにと頭の周りに生えたクリスタルの様な蒼い角は捻れて、葉冠の様に生えているのを触りながら考えていた。

ちゃりといきなり鎖を引かれてぴくりと前かがみになりそこへユリウスは、私を抱きしめて、耳元へ悪魔の様に私に囁いた。

「俺の目を見て言って。」

声を低くして、少し不満気な声を出されて言われて、キュンとして、はくはくと息を吐いて吸って吐いてを驚いてしているとレロりと首筋や耳を吸われたりして、早く私とひとつとなって欲しい欲が首をもたげる。
揺れる細い尻尾の鱗を触られて、身体はぴくんと揺れる。

「いじわるしないで、ユリウス」
「こうしてると高貴なシアを堕としているのがすっごいしてて昂る。」
「高貴ってなによ、私よ?ずっとユリウスにおんぶだっこだから。」
「シアはわかってない。鏡を見たらわかる。絹糸の様な銀の髪も、しっとりもちっとした桃の様な肌も、イった時の甘い声も泣いてい掠れた声でさえもそこら辺には居ない宝石だというのに。」

言い聞かせる囁く声に、くすぐったくなっているがそれをわかっていても構わずユリウスは私の耳を触り首筋へと指を滑らせて、逆鱗のギリギリ触れない縁を触る。
私は足をもぞもぞとさせて、身体中に痺れるかの様な甘い快楽が時折来る。

「で、どう?俺の事を嫌いなの?」

ユリウスの方へ視線を向けると不敵に笑って私の頬や顎を優しく撫でて聞いてきた。
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